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爆・爆ストーリー ZERO スペシャル 前篇

スペシャル『ZEROへの復讐』
 それは、B-伝説や爆ZEROでヤマトやクロウ達が活躍している頃から7年ほど前の事じゃった・・・。
 とある町のとある広場。
 ここでは、いつものように人々で賑わっていた。
 この小さな町で唯一の広場と言う事もあり、連日のように子連れや子供達でごった返している。
子供達「いっけー!負けるな~!!」
 子供達が細長い筒のようなものを持って遊んでいるようだ。
 広場ではさまざまな遊びに興じている子供達がいるのだが、その中でももっとも多い遊びがこれだ。
 バシュッ!バシュッ!
 細長い筒の後ろの部分を押すとビー玉が発射され、そのビー玉でターゲットを倒す。
 そう、言わずとしれたビーダマンだ。ビーダマンとはホールドパーツと言うビー玉を弾く軟質素材のパーツを内蔵した筒状のおもちゃで、後ろに着いているトリガーを押す事でビー玉を発射して遊ぶものだ。ビー玉を発射するしか能がないので、競技云々は人間が決めなければならない。
子供A「よっしゃー!俺のかち~!!」
 ターゲットを撃破した子供がガッツポーズを取る。
子供B「ちぇ、やっぱカズマにはかなわねぇや。」
 子供Aの名前はカズマと言うらしい。
カズマ「へっへっへ、ビーダマンなら俺様は無敵だな!」
 自分のビーダマンを掲げ、踊りだす。どうやら調子に乗り易いようだ。
子供C「勉強や運動はからっきしだけどな。」
 子供Cの一言にその踊りはぴたっと止まる。
カズマ「う、うるせー!人間誰にでも取り柄ってのは必要だろうがよ!」
子供B「まぁ、その取り柄が役に立つものだったら・・・の話だが。」
 子供達のツッコミは微妙に的を射ているので、言い返せない。
カズマ「ぐぐぐ・・・!」
???「やぁ、盛り上がってるようだね。」
 その時、黒と紫の服を着た赤毛の少年が広場にやってきて、皆に近づいてきた。
カズマ「お前は・・?」
 どうやら、この子供達とは顔見知りではないらしい。
???「僕も仲間に入れてくれないかな?」
 ???は屈託の無い笑顔で言ってくる。
カズマ「ああ!別に構わないぜ!ビーダーなら誰でも大歓迎だ!」
???「ありがとう。」
 そして、???はビーダマンを取りだす。
 しかし、そのビーダマンは他の子供達の持つ筒型ではなく、人型の全く新しいものだ。
カズマ「な、なんだ・・・そのビーダマンは!?」
???「これは新型ビーダマン・・・ビーダマンゼロだ!」
カズマ「ビーダマン・・・ゼロ?」
 ???はビーダマンゼロにパーツを取り付けていく。
カズマ「なんだ!?形が変わっていくぞ!?」
???「このビーダマンゼロにはヘッド、腕、足、ホールドパーツの前後それぞれにジョイント部が
設けられており、互換性のあるアーマーを装着出来るのさ。それによって、全く新しい、そして
特徴のある機能を持ったビーダマンを簡単に生み出す事が出来る!これがゼロシステムだ!」
子供B「ゼロシステム・・・!」
 今まで見た事の無いビーダマンに、ビー魂が高ぶる。
カズマ「お、面白そうだな。で、バトルのルールは・・・?」
???「デスマッチ・・・でどうだ?」
カズマ「デスマッチだと!?まさか、お前、シャドウの・・・!?」
 そう言ったあと、???の態度が急に変わった。
???「ふはははは!その通りさ、俺はシャドウのビーダーさ!お前らの持ってるビーダマン、
一つ残らずぶっ潰してやるよ!」
カズマ「くっ!負けてたまるか!」
 ・・・・。
 ・・・。
 バトルは一方的だった。シャドウの持つビーダマンゼロにカズマ達は全く敵わなかったのだ。
カズマ「ぐぐ、三人がかりだってのに!」
 既に子供B、Cのビーダマンは破壊されている。
 カズマもボロボロだ。
???「ふふふふ!」
 ???はビーダマンのホールドパーツをシメだしはじめた。
カズマ「なんだ、あの構えは?」
???「喰らえ!」
 バシュッ!!!
 そのショットは今までの物とは桁違いに強い!
カズマ「なに!?」
 バーンッ!!
 そのショットにあたり、よろめくが、なんとかビーダマンは手放さなかった。
???「ビーダマンのホールドパーツをしめ付ければ締め付けるほど、威力が増す・・・これぞ
ゼロビーダマン特有のシメ撃ちだ!!」
 ドンッ!!
 再び強力なシメ撃ちが襲い掛かる。
カズマ「くそっ、俺もシメ撃ちを・・・!」
???「無駄だ!従来のビーダマンの構造では、シメ撃ちは撃てない!」
カズマ「ぐっ!」
 バーンッ!!
 ???のショットが当たり、カズマのビーダマンが砕け、そしてカズマ自身も吹っ飛ばされる。
カズマ「うわあああ!!!」
 ドサッ!!
 地面に叩き付けられ、そのまま気を失う。
???「けっ、ザコだらけだな。」
 そう言って、???は去って行った。
 それから、数分後、デブ猫が広場にやってきて、その地獄絵図のような光景に驚く。
デブ猫「これは・・・!やはり、わしはとんでもない物を奪われてしまったようじゃ・・・!
このまま奴らを野放しにするわけにいかん!一刻も早く、ゼロを市販化せねば!そして・・・
例のビーダマンの開発も急がねばな・・!」
 そう呟いた後、倒れた少年達を病院へと連れて行った。
カズマ「シャドウ・・・・ビーダマンゼロ・・・許さない・・・絶対に、許さない・・・!」
 病院に担ぎ込まれる時、カズマは渾身状態のまま、シャドウへの憎しみを掻き立てていた。
 それから数ヵ月後、ビーダマンゼロが市販化されたのだが、カズマはなかなか馴染めなかった。
カズマ「ビーダマンゼロか・・・。」
 一応買ったのだが、それを使う気にはなれない。
カズマ「くっ!これを持ってるだけで、あの忌々しい記憶が蘇ってくる!」
 耐え切れなくjなり、ビーダマンゼロを床の上に放る。
カズマ「ぐ・・!」
 見ているだけで吐き気がする。そのヘッド、その腕、その足、そのコア・・・何もかもが、あの悪夢を思い出させる材料となる。
カズマ「は・・・あ・・・。」
 憎かった。その形の全てが憎い。
カズマ「形・・・が・・・。」
 形が・・・その形でなければ・・・自分を苦しめたあの忌々しい形じゃなくなれば・・・。
カズマ「そうだ・・・だったら変えてしまえばいい。俺を地獄へ追いやったこのビーダマンゼロなど、
変えてしまえば・・!」
 そして、カズマは自分の部屋に閉じこもり、何やらビーダマンの開発に取り組んだ。
 それから数ヵ月後。
カズマ「ついに完成だ・・・!改良型・・・素体ZERO・・・!」
 カズマの開発したビーダマンはホールドパーツ部にかなりの改良が加えられたものだった。
カズマ「ふぅ。」
 一息つくカズマ。もうあの時のような吐き気はない。むしろ、愛着すら湧いてくる。
カズマ「苦労して作ったからかな?」
 早速試し撃ちしようと、外に出ようとする。
テツ「あ、兄ちゃん。」
 と、玄関で、カズマと良く似た小さい少年と八合わせになる。
カズマ「テツ。あ、そうだ、お前も来るか?新型ビーダマンの試し撃ちだ!」
テツ「うん!」
 テツは元気良くうなづいた。
 あの事件があった広場。
カズマ「いけー!!」
 ドンッ!!
 カズマの開発したビーダマンから発射されたビー玉は強力な回転を得て、凄いスピードでぶっ飛んでいく。
テツ「すっげぇ~!!」
カズマ「よし・・・!」
 テストは上々だった。予想以上に力を発揮したそのオリジナルビーダマンに満足するカズマ。
テツ「凄いね!これ本当に兄ちゃんが作ったの!?」
カズマ「もちろんさ。」
テツ「すごいなぁ~!すごいなぁ~!!」
 さっきからすごいすごいと連呼している。物凄く感動しているのだが、ボキャブラリーが乏しくてうまく言葉に出来ないのだろう。
 こいつはそう言う奴だ。兄であるカズマをすごく尊敬しているのだが、他の人にカズマについて話そうとするといつも「すごいすごい」しか言えなくなる。
 まぁ、そんなところが可愛かったりするのだが。
カズマ「・・・。」
 カズマは、目を輝かせながら改良型素体ZEROを眺めているテツを見ながら、心地よさを感じていた。
???「ふふふ、なかなかいいビーダマンね。」
 その時、黒い服を着た小さいピンク色の猫がやってきた。
カズマ「?!」
 突然声を駆けられ、驚く二人。
 そして、猫は不気味に笑う。
???「申し遅れました。私はシャドウのボス、アババです。」
 シャドウと言う言葉に敏感に反応するカズマ。
カズマ「シャドウだと!?」
 憎しみに満ちた目でアババを睨むカズマ。
アババ「改良型素体ZERO・・・なかなか面白いわね。その技術・・・私に頂戴。」
カズマ「誰が!シャドウなんかに・・・!?」
アババ「ふふふ。」
 その時、アババの額から目が開いた。
カズマ「第三視点!?」
 物語が違うっつーの!
アババ「はぁ!」
 その額の目から光線が発せられ、カズマを呪縛する。
カズマ「ぐわあああああ!!!」
 強力な呪縛に苦しむカズマ。
テツ「に、兄ちゃん!」
カズマ「(ぐっ・・・このまま、奴の術にかかったら・・・!)」
 カズマは辛うじて残っている意識をフル総員させ、改良型素体ZEROをテツに渡す。
カズマ「テツ・・兄ちゃんはもう駄目だ・・・だが、これを・・・奴らに渡すわけにはいかない・・・!」
テツ「兄ちゃん!」
 そして、カズマの顔に黒い筋が入る。
カズマ「逃げろ・・テツ・・・に・・・げ・・・があああ!!!」
 カズマの断末魔が響き渡る。
テツ「兄ちゃん・・・!」
 カズマに触れようとするテツに、カズマは怒鳴った。
カズマ「は・・・やく・・・逃げ・・・ろっつってんだろ!!!」
テツ「・・・!」
 テツは意を決してその場から走り去った。
アババ「ふふふ、改良型素体ZEROの試作はあの少年に渡ってしまいましたか。でも、開発者さえいればいくらでも作り出せる・・・。いや、シャドウが総力を結集すればより素晴らしい作品が出来るでしょう。おほほほほほ!」
 数年後。
 バトルビーダマンゼロ。それは、この世界、ビーダワールドおける高尚なアイテムである。
 あるものは武器として扱い。あるものは娯楽として興じ。
 またあるものは野望の道具として扱い。そしてまたあるものはそれを極めようとする・・・。
 ここにも、そんなビーダマンを扱うビー玉戦士・・・ビーダーが激しいバトルを繰り広げていた。
ヤマト「バーニングマグナム!!」
炎呪「ブレイジングマグナム!!」
 『表世界で』ナンバーワンのビーダーを決定する大会、ウィナーズの会場では熱きビー魂を持つ少年ヤマトと悪しきビー魂を持つ炎呪の放つビー玉が飛び交っていた。
 しかし、これはあくまでビーダマンの世界のごく一部。甘っちょろい甘っちょろい、まるでバナ納豆パンみたいに甘っちょろい世界なのである。
 あ、バナ納豆パンって言うのは、パンの中に納豆とバナナクリームが満遍なくトッピングされている非常に栄養価の高いパンである。もちろん、味の保証はしません!(ぇ
 ちなみに、どこの購買に行っても売ってないと思われるので、食いたければ自分で作れ!
Mr.ビーダ「決まったぁ!優勝はヤマト選手!!」
ヤマト「やったでぇ!!」
 ついに勝負が決まったようだ。ガッツポーズを決めるヤマト、それにかけよる仲間達。湧き上がる歓声。
 ウィナーズ会場は今、最高のテンションに達していた。
 しかし、今回のお話は、これよりも少しだけ過去になる。そう、ほんの少しだけ。そして舞台は、誰も、誰も知らない。公になっていない所・・・。
 そこは・・・・闇の世界だ。
 特に当ても無く、荒野を歩いている三人組。
 先頭を歩いている黒い服を来た少年はクロウ・アスカード。訳あって強さを求めている少年だ。
 その少し後ろを歩いている二人の男女。メガネをかけた少年の名はヒスイ。メカニック面で旅の仲間をサポートする頼もしい奴だ。
 紅一点の少女は、セシル。活発そうな見た目とは逆に、お金持ちのお嬢様だ。金銭面でサポートしている。彼女がいなければ、命に関わるのである。
セシル「あのさぁ、前々から言いたかったんだけど。」
 セシルが唐突に口を開く。
クロウ「なんだ?」
 振り返りもせず答えるクロウ。
セシル「いい加減さ、何か目的意識みたいなものを決めてから歩こうよ?いつもいつもただ歩くだけって・・・。」
クロウ「ん。」
 クロウの足が止まる。
 ドンッ!
 当然慣性の法則(?)で、後ろを歩いていた二人はクロウの背中にぶつかる。
ヒスイ「いたた・・・急に止まらないでくださいよ。」
セシル「なんなのよ、まったく。」
 ぶつかった鼻を押えながら文句を言う二人。
クロウ「目的。」
 一言呟き、前方を指差すクロウ。
 その先には、巨大なドームが特徴的な町が見えた。
ヒスイ「あ、街ですね!」
 結構大きい町なのか、B-コロシアムもあるようだ。
クロウ「なまらないうちに、腕慣らしと行くか。」
 とりあえず一時的な目的を決めた三人は、それ目指して歩いて行った。
 ドンッ、バシュッ!!
 ド派手にふっ飛ぶターゲット。
クロウ「・・・・・。」
 無言でその飛んで行ったターゲットを眺めているクロウ。
クロウ「やはりつまらないな。」
 そう呟き、ビーダマンをしまう。
ヒスイ「それにしても、伝説のビーダマンだけあって凄いパワーですね、デスサイズ!」
クロウ「どうだかな、こんなくだらない競技じゃ性能を図る事は不可能だ。」
 悪びれる様子も無く、B-コロシアムの競技にケチをつけるクロウ。
 まわりのビーダー達が一瞬凄い顔でクロウを睨む。
セシル「ほらまたすぐそうやって・・・どうしてそういつもいつもまわりにいるビーダー達を敵に回すような事言うかな?」
クロウ「敵に回す?・・・違うな、元々俺のまわりにいるビーダーは全て敵だ。そして、それと同時に、敵ではない。」
セシル「はぁ、もういいよ。」
 ため息をつき、クロウを説得するのをあきらめるセシル。
???「おいお前!」
 と、その時、クロウと同い年くらいの少年が物凄い形相でクロウに詰め寄ってきた。
クロウ「なんだ?」
???「お前の持ってる、そのビーダマン・・・!」
クロウ「あん?」
 とりあえずデスサイズを取り出すクロウ。
???「やっぱり・・・改良型・・・。お前、シャドウのビーダーだな!」
クロウ「・・・バカな事を聞く。もうあんな奴らとは縁は無い。」
???「惚けるな!」
 いきなり大声を出す少年。まわりの皆が一斉に振り返る。
 さすがに気まずくなったのか、少年は声のトーンを落とす。
???「とにかく、表に出ろ。話はそれからだ。」
 少年に強引につれられ、外に出るクロウ達。
 そして、人気の無い場所へと連れられた。
クロウ「で、ここで何をするんだ?挑戦のつもりか?」
 クロウの問いかけには答えず、クロウを睨み付ける少年。
???「もう一度聞く、お前シャドウのビーダーだろ?」
クロウ「何度でも答えてやるさ。あんな奴らとは縁は無い。それに、何故俺がシャドウだと思った。」
???「お前は、改良型素体ZEROを持っている。それが何よりの証拠だ!」
クロウ「こいつか。」
 デスサイズを取り出すクロウ。
クロウ「確かに、俺は昔シャドウにいた。改良型素体ZEROも、その組織から与えられた。もっとも、今持っているものとは別のものだが。」
???「・・・そうか。今は違うのか・・・。悪かったな。」
 そう言って、少年は踵を返す。
セシル「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
 慌ててその背中に声をかけるセシル。
???「え?」
 少し驚いて振り向く少年。
セシル「いきなりこんなところに連れ出しといて、用がなくなったらさよならするなんて、ちょっと失礼じゃない?」
テツ「あ・・・それもそうだね。えっと・・・とりあえず、名乗っとくよ。僕の名前はテツ。」
 テツと名乗った少年は柔らかく笑った。どうやら、根は温和らしい。
 だが、温和と言うのは逆に弱さを相手に見せる、少しでも自分の敵と思われる相手には神経を貼り詰めるのだろう。
ヒスイ「でも、どうしてシャドウのビーダーに敏感に反応するんですか?」
クロウ「シャドウに喧嘩でも売ってるのか?」
テツ「・・・兄が、囚われてるんだ、シャドウに。」
 言って、拳を握り締めるテツ。
テツ「僕はシャドウを許さない・・・!絶対に兄ちゃんを助け出してやる・・・兄ちゃんが残してくれたビーダマンで・・・!!」
 ビーダマンを取り出すテツ。
テツ「この、トリプルダガーで!」
 そのトリプルダガーと呼ばれたビーダマンのホールドパーツは、三本存在し、上部の爪は斜めになっていた。どっからどうみても普通の素体ではない。
ヒスイ「そのビーダマンは、改良型素体ZERO!?」
テツ「ああ。世界で最初の改良型素体ZEROさ。」
 その言葉に、胸の高鳴りを覚えたヒスイ。
ヒスイ「世界で最初・・・これが・・・。」
 まじまじとトリプルダガーを見つめるヒスイ。
 そして、自分もビーダマンを取り出す。
ヒスイ「テツ君、ちょっと手合わせしませんか?」
テツ「え?」
ヒスイ「君のビーダマン、研究者として非常に興味があります。是非、この目でその力を確かめてみたい!」
セシル「(またヒスイのいつもの病気が始まった・・・。)」
 ヒスイのいきなりの申し出に多少面食らった様子だったが、すぐに顔を引き締めるテツ。
テツ「いいね!兄ちゃんを助けるためにも、いろんなビーダーと戦って、腕を磨いておいた方がいいもんね!」
ヒスイ「決まりですね。」
 ジェイドガンナーブリッツを構えるヒスイ。トリプルダガーを構えるテツ。二人は距離をとり、対峙した。
テツ「ルールは、デスマッチ!シャドウと戦わなくちゃいけないんだ。より実戦に近い形にしてもらうよ!」
ヒスイ「OK!それなら僕としても好都合です!」
テツ「それじゃ、いっくぞ~!」
ヒスイ&テツ「ビー、ファイア!」
 そのバトルと同時に、二人は玉を発射する。
 カキンッ!
 トリプルダガーから放たれた玉がジェイドから放たれた玉を弾いた。
クロウ「威力は向こうが上か。」
ヒスイ「くっ、なら!」
 ズドドドド!!
 片手でビー玉装填、そして片手でトリガーを押す。基本的な連射だ。
 しかし、何発撃ってもトリプルダガーのショットは撃ち落せない。それどころか、全然勢いが衰えない。
ヒスイ「そんなっ!」
 カンッ!!
 ついに、ジェイドのヘッドに玉がヒットする。
ヒスイ「!?」
 ヒットした玉は、ヘッドを伝い、上へと上がって行った。
ヒスイ「(これは・・・。)」
テツ「よし!先手は取った!」
 ヒスイはテツの撃ったショットの正体に気づいたようだ。
ヒスイ「ドライブショット・・・それも、レクイエムやヘイロンを遥かに凌駕しています!」
テツ「これが、デルタシステムの威力さ!」
 トリプルダガーのコアがアップされる。(文章じゃ伝わらないのが残念です(泣)
ヒスイ「なるほど、スリークロウズとは違い、上部の二つの爪を斜め下に、丁度ビー玉を下部のラバーに押し付けるように設置する事で、発射の際により強くラバーに力がかかり、高回転のドライブショットを生み出せるんですね。」
テツ「・・・・・・・。」
 テツはヒスイの解説を、ボケ―っと聞いている。
ヒスイ「??どうしたんですか。」
テツ「い、いや、たった一発受けただけでそれを見抜くなんて、すごいなぁっと思って・・・。」
ヒスイ「そうですか?」
 ちょっと照れる。
テツ「でも、今はバトル中だよ!そんなにのんびりしてる暇は無いんじゃないかな!」
 ドンドンッ!!
 テツは続けて二発ほど撃った。
ヒスイ「くっ!」
 迎撃は無駄と判断し、咄嗟にかわす。
テツ「まだまだ!!」
 かわした直後は、隙がでるもの。テツはそれを逃さなかった。
ヒスイ「っ!」
 ヒスイに向かってショットを放ち、そのすぐ横に二発目を撃った。
 カカンッ!!
 動けず、ヒットしてしまう。
テツ「よし・・・!」
ヒスイ「(これじゃダメだ。連射型は手数で圧倒するもの、受身になってたら絶対に勝てない。)」
 ザッ!
 ヒスイは、一旦テツから射程外に離れる。
ヒスイ「いっけー!!」
 そして、連射しながらテツに向かって走っていく。
テツ「!?」
 咄嗟の事で反応出来ないテツ。
 カンッ!カンッ!
 ヒスイのショットは、最初は射程外だったので外れていたが、近づくにつれどんどんヒットしていく。
テツ「くそっ!」
 テツは、そのショットの衝撃で上手く発射出来ない。
 ヒスイの連射は留まる事無くヒットしていく。
セシル「ヒスイすごい!」
クロウ「なるほどな。一旦射程外まで離れ、相手の攻撃を受けなくする。当然、このままでは自分も攻撃できなくなるが、相手に近づきながら隙を見せずに連射する事で、射程内に入ったと同時に相手に攻撃が当たる。一回攻撃が当たれば、相手はその反動で一瞬ひるむ。その一瞬を逃さずに立て続けにヒットさせれば、反撃される事無く連続で攻撃できる。まさに、連射型ならではの戦術だな。」
 ヒスイの連続攻撃に体勢が崩れていくテツ。
テツ「ぐっ!挽回しないと!」
 しかし、連射の反動でうまく構えが取れない。構えないとビーダマンは撃てない。
テツ「(いや、構えないと撃てないんじゃない。構えないと狙えないだけだ。だったら・・!)」
 テツはヒスイの連射に耐えながらも、銃口を地面に向ける。
ヒスイ「?」
テツ「はああ!!」
 ドーンッ!!
 地面に向かって思いっきり撃った。
ヒスイ「なに!?」
 砂埃でテツの姿が消える。そのせいでヒスイのショットが外れる。
ヒスイ「目くらましか!?」
テツ「それだけじゃないよ!」
ヒスイ「え!?」
 バシュッ!!
 砂埃の中から一つのビー玉が凄い勢いで向かってきた。
ヒスイ「うっ!」
テツ「強力なドライブ回転の掛かった玉を地面にぶつけたんだ。当然、弾かれるように前へ飛ぶ!」
 カンッ!!
 咄嗟のショットに対処できずヒットしてしまう。
ヒスイ「しまった!」
 体勢が崩れるヒスイ。
テツ「今だ!いっけー!!」
 ダッ!!
 地面を蹴って走るテツ。そして、砂埃を抜け出したと同時にパワーショットを放つ。
 バーンッ!!
 そのショットは見事命中。さすがにその威力には耐えられなかったのか、ヒスイはジェイドを落としてしまった。
ヒスイ「負けた・・・。」
テツ「ふぅ、危なかった。」
 ビーダマンをしまう二人。
テツ「いいバトルだったね!」
ヒスイ「ええ。」
 二人は熱く握手した。
ヒスイ「(素体をただ改造するだけでは、やはりもう限界がきてるかな・・・。これは計画中の例のシステムの完成を急がなければ!)」
 こんな時でも打算的な事を考えているヒスイ。
テツ「あ、じゃあ僕はこの辺で、こう見えても結構忙しいんだ。」
ヒスイ「はい、じゃあまたバトルしましょうね!」
テツ「うん!」
 手を振って、テツはその場を去って行った。
 後編に続く

 

 

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爆・爆ストーリー ZERO 第35話

第35話「鋼の烏 密かな企み」
 バーミンとの熱きバトルを終えたクロウ達は、長い長い螺旋階段に差し掛かっていた。
セシル「まだ続くの~?」
ヒスイ「あるけどあるけど階段階段・・・。随分長いですね。」
 例えるなら、スーパーマリオ64の最終ステージに行くまでの無限階段のようだ。まぁパワースターを集めれば無限ではないのだが。
クロウ「グダグダ言うな。上へ上がっているという事は、それだけ最上階に近づいて来ていると言う事。そんなに文句を言うほどでも無いだろう。」
セシル「だけどぉ・・・。」
フローネ「皆さん、注意してください。ここから先は、どんな危険が待っているか分かりません。」
クロウ「どういう事だ?」
フローネ「ボスに近づいていると言う事は、その道のりはボスを守るためのものになっているはず・・・。どんな罠が仕掛けてあるか分かりません。」
セシル「わ、罠って・・・。」
 ポチッ。
 その時、セシルが階段に備えられた何かのボタンを踏んだ。
 ドシュッ!ドシュッ!!
 その瞬間、両側の壁から無数の槍が飛び出してきた。
セシル「きゃ、キャアアア!!!」
 間一髪、なんとかそれを交わす。
セシル「は、ははは・・・。」
 目に涙を浮かべながら、ただ笑う事しか出来ない。
フローネ「大丈夫ですか?!」
セシル「う、うん・・・。」
ヒスイ「き、気を付けてくださいよ!」
セシル「そんな事言われても。」
クロウ「何をモタモタしている?」
 見ると、さっきの罠で立ち止まった三人を置いて、クロウは先に進んでいた。
セシル「あぁもう待ってよ!」
 セシルは立ち上がろうと、壁に手をかけ・・・。
 ポチッ!
 壁にあるボタンを押してしまったようだ。
セシル「あ・・・。」
 ゴゴゴゴゴ・・・!!
 突如起こる地鳴り。
ヒスイ「地震・・・ですかね?」
クロウ「それだけならいいが・・・。」
 徐々に近づいてくる音。
セシル「あ・・・あ・・・ああ・・・!!」
 そしてその音の正体がついに明らかになる。
 巨大な岩が何故か階段を勢い良く上ってきているのだ。
全員「なにぃ~~!?」
 その瞬間、四人は走り出した。
セシル「な、なななななんで岩が階段を上ってくるのよ~!!」
ヒスイ「知りませんよ!」
クロウ「まぁ、上から転がってくるより遥かにマシだけどな。」
セシル「逃げるなら上るより下るほうがいいに決まってるでしょ~!」
クロウ「どうせ上らなくちゃいけなかったんだから、いいだろ。」
セシル「なんであんたはこんなときも冷静に・・・はあ・・・はあ・・・!」
 さすがに息が切れてきた。
 セシルだけが若干遅れだす。
 しかし、岩は容赦なく迫ってくる。
セシル「も、もうだめ・・・。」
ヒスイ「諦めちゃダメですよ!」
セシル「そんな事言われても・・・。」
 ドキュンッ!バシュッ!!
 その時、どこからともなくビー玉が飛んできて、岩を弾き飛ばした。
クロウ「なに!?」
 弾かれた岩を見た後、反射的に前を見るクロウ。
クロウ「誰だ・・・?」
 そこに立っていたのは・・・!
レシアス「ふ、随分とてこずっていたようですね。」
ジュウ「サガシンジャーがいなければ、どうなっていた事か。」
ジャベンス「ごわす。」
ヒスイ「みんな・・・どうしてここに?」
レシアス「これですよ。」
 レシアスは、懐からピストルのようなものを取り出す。
レシアス「レーダーレーザー。これを撃ったものには、超小型発信機が取り付けられるんです。」
ヒスイ「それで僕らの居場所が・・・。」
セシル「でも、なんで私達の前にいるの?普通後ろにいるんじゃ・・・?」
レシアス「その辺については省略させて貰います。」
ジュウ「何故なら、そのほうがロマンチックだからだ。」
セシル「はぁ!?」
ジュウ「論理的に説明出来ない事象があったら、ロマンチックなほうを選ぶ。これ常識!」
ヒスイ「そ、そうですか・・・。」
クロウ「・・・・。」
 クロウは、そんなやり取りをしている輩を無視し、歩き出す。
ジュウ「おいちょっと待てよ。」
 ささっと、クロウの前に出るジュウ。
クロウ「なんだ?」
ジュウ「ここであったのも何かの縁だし、ここからは皆一緒に行こうぜ~。」
クロウ「勝手にしろ。俺はお前らに興味は無い。俺の興味は、唯一つだ。」
 そう言って再び歩き出す。
ジュウ「なぁ、ところで一体何探してるんだ?」
レシアス「そろそろあなた方の目的を教えてくださってもよいのでは?」
セシル「う、うん・・・。」
 セシルはジュウ達に目的を話した。
 壊れたレクイエムの事、鋼の烏の事、鋼のビーダマンの事、などなど・・・。
レシアス「なるほど。要約すれば、この先にいる(と思われる)鋼の烏を倒せば良いのですね?ふ、報酬は期待していますよ。」
 相変わらずお金にがめついレシアス。
セシル「はいはい・・・。」
ヒスイ「・・・。」
フローネ「皆さん、気を引き締めてください。そろそろ最上階へつきます。」
 見ると、何メートルか先に扉が見える。
ヒスイ「この扉の・・・向こうが・・・!」
クロウ「躊躇している暇は無い。行くぞ。」
セシル「ええ。」
 ついに、クロウ達は最後の扉を・・・開いた。
 ビュウウウウ!!!
クロウ「うっ!」
 扉を開いたと同時に、思わず顔を覆いたくなるほどの物凄い突風が吹きつける。
セシル「きゃっ!」
 片手で顔をガードしながらも、なんとか前へ出るクロウ達。
クロウ「・・・・・。」
 上を見上げれば青い空。そしてまわりは、開けはたれた景色が広がっている。そう、まさに屋上だ。
 音がする。何かが羽ばたくような。上を見てみる。そこにいたものは・・・。
ヒスイ「あわわわ・・・!」
 言うまでも無く鋼の烏だ。
 鋼の烏は空中でゆっくり羽根を動かしながらクロウ達の事を見下ろしている。そして、その口元には・・・。
クロウ「鋼のビーダマンか。」
レシアス「あ、あれが・・・我々の求めるもの・・・!」
ジュウ「正義のためにも、あれをゲットしてやるぜ!いくぞ、ジャベンス!」
ジャベンス「おうでごわす!」
 駆け出す二人。もちろん、ジュウとジャベンスだ。レシアスは冷静なので、いきなり駆け出す事はしない。
ヒスイ「あ、いきなり飛び出すのは危険です!まずは出方を・・・。」
 しかし、二人には聞こえていない。
レシアス「ふ、相変わらず単純だ。」
 バーンッ!!
ジュウ&ジャベンス「うわああああ!!」
 案の定、あっさり二人は飛ばされてしまった。
レシアス「全く、愚かな。こう言うときは、じっくり相手を見据え・・・え?」
 いつの間にか、鋼の烏はレシアスの目の前にきていた。
レシアス「・・・・。」
 あまりの出来事に固まってしまう。
烏「きしゃああああ!!!!」
 バシッ!!
 鋼の烏の翼で撃つ攻撃。
レシアス「ぐわああああ!!!」
 レシアスはあっさり吹っ飛ばされてしまい、星になった。
クロウ「(結局何しに出てきたんだ?)」
 尺稼ぎだ。
 いきなり現れた来客者のせいで、暴れまくる烏。
セシル「す、すごい迫力・・・。ていうか、物凄く怒ってない?」
ヒスイ「そ、そりゃあ、いきなり僕らみたいな部外者が縄張りに入ってきたら、誰だって不快に思いますよ。」
クロウ「これじゃあ、奴がくわえているものを奪うのには、少してこずりそうだな。」
 その時、鋼の烏は急上昇し、力を溜め、そのまま急降下する。
クロウ「うっ!」
 地面すれすれで再び上昇するが、その風圧は凄い。
ヒスイ「うわあああ!!」
セシル「きゃあああ!!」
 みんなその風圧に耐えるので精一杯だ。
 しかし、そのせいで鋼の烏は鋼のビーダマンを落としてしまった。
フローネ「(にやり)」
 その時、フローネの口元が緩んだのをクロウは見逃さなかった。
クロウ「(こいつ・・・!)」
 そしてフローネは、迷わず鋼のビーダマンの元へ走っていく。
クロウ「(しまった!)」
 よりによってその時だけ、反応が遅れてしまった。
 いかに俊足のクロウでもスタート位置、スタート時の差が空き過ぎていてはどうしようもない。
ヒスイ「え、どうしたんですか?」
セシル「クロウ?フローネさん?」
 二人はもつれ合うようにして鋼のビーダマンへと向かうが、先に手に取ったのはフローネのほうだ。
クロウ「くそっ!」
 ドンッ!!
 クロウは取られまいと、鋼のビーダマンへショットを放つ。
フローネ「なに!?」
 数メートル飛ばされる鋼のビーダマン。
フローネ「ちぃ!」
ヒスイ「ど、どうしたんですか!?」
フローネ「伝説のビーダマン・・・ようやく、手に入ると思ったのに・・・!」
クロウ「貴様になど渡しはしない。」
セシル「え、どういう事?」
ヒスイ「あなたの目的はこの砦を取り戻す事で、鋼のビーダマンではないはず・・・。」
クロウ「鈍い奴らだな。全ては、あいつの虚言だったんだよ。あいつが預言者だと言う事、この砦の家主だと言う事も。」
ヒスイ「そんな!・・・じゃあ、あなたは・・・!」
フローネ「そう。私もあなた達と同じ。この鋼のビーダマンに魅せられたビーダーなのよ!」
 そしてフローネは懐からビーダマンを取り出す。
フローネ「スプレッドサークル!」
 スプレッドサークルから片手撃ちによる連射が放たれる。
ヒスイ「くっ!連射タイプか?!」
 その連射に阻まれ、前に出れないヒスイ達。
フローネ「誰にも邪魔はさせない!」
烏「きしゃあああ!!」
 鋼の烏もビーダマンを取られまいとフローネに向かって突っ込む。
フローネ「はぁ!!」
 ドンッ!!
 片手うちにもかかわらず、スプレッドサークルから強力なショットが放たれる。
ヒスイ「な、パワーリンクシステム・・・!?」
セシル「パワーリンク?」
ヒスイ「作用反作用を利用し、ブースターを引く事でカウンターレバーを広げる事が出来る・・・つまり、片手うちでシメ撃ちが出来るシステムなんです!」
 その強力なショットに烏は一瞬ひるんだ。いや、一瞬しかひるまなかった。だが、その一瞬だけでフローネには十分だった。
フローネ「っ!」
 フローネはすばやく鋼のビーダマンを手に取った。
フローネ「ふふ・・・ついに・・・ついに、手に入れたぞ・・・!ふふ・・・はは・・・はーっはっはっは!!!」
 鋼のビーダマンを掲げ、高笑いするフローネ。
 その時、鋼のビーダマンが怪しく光り、アーマーが装着されていく。
クロウ「なに!?」
ヒスイ「あれが、伝説のビーダマンの力・・・!」
 コバルトブレードが、ヤマトのビー魂に反応して炎の模様が出たように、このビーダマンも持ったもののビー魂に反応し、アーマーが装着されるようだ。
 その姿は、現実世界で言うところの、デスサイズノーマルモードと同じ感じだ。
フローネ「これが・・・コバルトブレードと対を成す伝説のビーダマン『デスサイズ』・・!」
クロウ「デスサイズ?」
ヒスイ「コバルトブレードと対を成す・・・?」
フローネ「そう、この世には、男と女、光と影、表と裏、夜明けと晩、鶴とカメ、後ろと正面・・・二つの対を成すものによって成り立っている。そしてビーダマンの世界も同じ。対を成す二つの伝説のビーダマンによってビーダマンの世界は成り立っているの。陰と陽の伝説のビーダマン。陽の力、コバルトブレードは、ビーダマンを生み出す力。つまり、ゼロビーダマンの一号機を意味する。そして陰の力、デスサイズは、破滅の力。つまり、定石を崩し、更に発展させる事。最強の改良型素体を意味するの。」
ヒスイ「なるほど、正統派の素体のコバルトブレード・・・邪道である改良型素体最強のデスサイズ・・・。」
クロウ「(だが・・・並のビーダーに使いこなせるものでもない。)」
フローネ「今更生み出す力など必要ではない。私に必要なのは、最強の力。最強であるのなら、正当であろうが邪道であろうが、なんだって構わない!」
 チャキ・・・!
 クロウにその銃口を向けるフローネ。
フローネ「まずはその力・・・ためさせて貰う!」
クロウ「おもしろい、撃てるものなら撃って見ろ?」
 クロウは、両手を広げ、見下すように笑う。
フローネ「っ!なめるな!!」
 ドンッ!!
 デスサイズのトリガーを押すフローネ。しかし・・。
フローネ「きゃぁ!!」
 その反動で、よろけてしまい、弾道がそれる。
 バーンッ!!
 それた弾は、そのままフェンスに当たり、フェンスは粉々になる。
フローネ「はぁ・・・あ・・・あああ!!!」
 ドンッ!ドンッ!!
 突如、暴走しだすデスサイズ。縦横無尽に連射しまくる。
フローネ「そ、そんな、指が・・・指が止まらない!!」
 その連射は更に勢いを増し、まわりを破壊し尽くす。
クロウ「くっ!まさか、ここまで暴走するとは・・・!」
ヒスイ「ここは、危険です、下へ降りましょう!」
セシル「う、うん!」
 ダッ!!
 階段へと走るクロウ達。しかし・・・。
 ゴゴゴゴゴ!!
クロウ「うっ!」
 突如揺れ出す建物。
クロウ「く、崩れるぞ!」
 言い切る前に、建物は巨大な音をたてて、崩れていく。
三人「うわああああ!!!」
 ・・・・・。
 ・・・・。
 気づいたときには、瓦礫の中にいた。
 3人はなんとか立ち上がり、辺りを見回す。
ヒスイ「な、なんとか助かったみたいですね・・・。」
クロウ「いや、そうでもない。」
 言ったクロウの目線の先には、デスサイズに支配され、完全に自分を見失っているフローネの姿があった。
セシル「フローネ・・・さん・・・。」
鋼の烏「ぎゃああああ!!!」
 自分の城を壊され、怒り狂う烏はそのままフローネへ突っ込む。
フローネ「はぁあああ!!!」
 バババババ!!!
 烏へ向かい、容赦なく連射するフローネ。
烏「がああああ!!!」
 烏は、断末魔を上げ、そのまま地面へ落ちる。
 しかし、フローネは攻撃の手を緩めず、攻撃し続ける。
セシル「ひ、酷い・・・。もう動けないのに・・・。」
ヒスイ「狂気・・・まさに狂気です・・・。あのビーダマンは、悪魔・・・。」
クロウ「強い力は、半端な強さを持つものを支配する。強いビーダマンは、ただ手に入れればいいと言うものではないんだ。」
セシル「え?」
クロウ「何故、あの砦にあんなにたくさんの刺客達がいたと思う?ビーダマンを守るためだけが目的なら、強力な罠を仕掛けるだけの方が、能力的にも経済的にも、効率が良い。」
ヒスイ「そういえば・・・。」
クロウ「あの刺客達は、デスサイズを使いこなすための力を得るための特訓相手のようなものだったんだ。しかし、フローネはあいつらと戦わなかった。デスサイズを扱うための力は得ていない。」
ヒスイ「じゃ、じゃあこの砦の本当の主は、デスサイズを扱えるビーダーを探して・・・・。」
クロウ「ああ、恐らく・・・っと、そんな事を言ってる場合じゃないな。」
 クロウは、今だ暴走を続けているフローネに銃口を向ける。
クロウ「ようは、あのデスサイズを撃ち落せばいいんだ。」
 ドンッ!!
 ショットを放つ。クロウのショットは完璧な正確さを見せ、フローネの持つデスサイズにヒット。
フローネ「!?」
 簡単に撃ち落されるデスサイズ。
 その瞬間、フローネは意識を失ったかのように倒れてしまう。
 クロウは、フローネの事を無視し、フローネが落としたデスサイズを拾う。
クロウ「これが・・・伝説のビーダマン・・・。」
 クロウが手にした瞬間、デスサイズの形状が変化する。
クロウ「!?」
 その姿は、現実で言うデスサイズパーフェクトモードだ。
クロウ「これが・・・こいつの本当の姿か・・・。」
 ちなみに、バックグラウンドではセシルがフローネを介抱してたりするのだが、そこら辺は省略させて貰う。

ヒスイ「クロウ。」
 ヒスイは、クロウにレクイエムの欠片である緑色の球を渡す。
クロウ「ああ。」
 クロウはそれを受け取り、デスサイズの肩に埋め付ける。
ヒスイ「これで、レクイエム復活ですね!」
クロウ「ふっ。」


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爆・爆ストーリー ZERO 第34話

第34話「秘められた罪 償わせ人」
 突如クロウ達の前に現れたロン。ロンの言うクロウの罪とは一体・・・。
ロン「お前は罪を償うべきだ。」
クロウ「罪・・・?何の事だ!」
 確かにクロウには罪がある。自分の肉親を手にかけたこと・・・シャドウに入ってからも全く悪い事をしなかったわけじゃない。しかし、それはロンに言われる筋合いは無い。
ロン「お前はあれを求めてはならない。一生孤独に苦しむんだ。」
クロウ「どういう事だ・・・!」
ロン「はぁ!」
 ロンはブリザードヘイロンを取り出し、クロウへ撃つ。
クロウ「ちっ!」
 咄嗟にそれを交わし、ジェイドワンを構える。
クロウ「まぁいいさ、どんな理由があろうと、関係ない。」
ロン「関係ないだと・・・!」
 クロウの言葉を聞き、明らかに表情が険しくなるロン。
ロン「何を寝ぼけた事を言っている?関係ないだと・・・!」
 ギシギシ・・・!
 ロンはブリザードヘイロンに備えられた爪を思いっきりしめる。
ロン「ふざけるな!」
 ドンッ!!!
 強力なシメうちが再びクロウを襲う。
ヒスイ「危ない!!」
 ヒスイの連射がそのショットを止める。
ロン「邪魔をするな。」
 ヒスイの方を向き、にらみつける。
ヒスイ「いえ、邪魔をしてるのはあなたの方です。」
ロン「なんだと・・・!」
セシル「そうよ!私達はどうしてもこの砦の最上階へいかなければならないの!」
ヒスイ「あなたの相手をしている暇は無いんです!」
ロン「黙れ!」
 ドキュンッ!!
 ロンはヒスイ、セシルの間にビー玉を撃ち、黙らせる。
クロウ「おい、誰を相手にしている?」
ロン「あん・・?」
 クロウはロンが余所見をしている隙にビー玉を発射する。
ロン「ふん。」
 しかし、あっさり落とされる。
クロウ「(ジェイドワンでは、あのビーダマンのパワーには対抗できないか・・・。)」
 さすがにちょっと形成が不利だ。
ロン「その程度か?」
クロウ「ちっ。」
ヒスイ「クロウ!僕も助太刀します!」
セシル「私も!」
 ヒスイとセシルがクロウのそばによる。
クロウ「お前ら・・・。」
セシル「私達は仲間よ!どんな時でも、一緒に戦うの!」
ヒスイ「そうです!絶対にあの鋼のビーダマンを手に入れるんです!(こいつにビーダマンをやめてもらっちゃ、いろいろと不都合だからな。)」
クロウ「ふん、勝手にしな。」
ロン「ちっ、ザコどもが。」
 ロンVSクロウ達三人。激しく撃ち合う。
 しかし、ロンは三人がかりでも全くひるまない。
セシル「な、なんてビーダーなの!?」
ヒスイ「僕ら三人がかりで全然ひるまないなんて!(さすが、我が師の最高傑作と言ったところか?)」
ロン「そろそろ決めるか・・・。」
 ロンは、腕を前に伸ばす。
ヒスイ「あの構えは?」
 そして、素早く腕を引き、ビー玉を発射した。丁度ブーストマグナムと正反対の動きだ。
 『爆・憎回天』
 ドウンッ!!
 発射された玉はゆっくりと・・・しかし確実に空中を進んでいく。
セシル「な、なに・・・この玉は・・・!」
ヒスイ「異常に遅い速度のショット・・・しかし、この威圧感は一体・・・!?」
クロウ「とにかく、撃ち落すぞ!」
 ロンのショットを撃ち落そうと3人は連射する。しかし・・・。
セシル「そんな!!」
 三人のショットはロンの玉に当たる事無く弾かれてしまう。
クロウ「ふ、風圧で・・・!」
ヒスイ「まさか・・・そんな・・・!」
 ゴオオオオオオ!!
 どんどん近づいて来る威圧感。
ヒスイ「回転・・・・してる・・・。」
クロウ「なに!?」
ヒスイ「強力な回転を得て・・・そのジャイロ効果で空中をゆっくり進みながら・・・。あの強力な回転が、触れずに相手の玉を吹き飛ばすほどの風圧を生み出しているんです!」
クロウ「そうか・・・あの動き・・・腕を引くようにして撃った事で、ブローバック効果を生み出し、下部のラバーの摩擦を増大させたのか。」
 迫り来るロンのショット。しかし、その威圧感でクロウ達は動けない。
クロウ「くっ!」
 バーンッ!!
 ついにロンのショットが命中。強力な回転による威力でクロウ達は吹っ飛んでしまう。
セシル「きゃああぁ!」
ヒスイ「うわあああ!!」
クロウ「ぐっ!」
 ドサッ!!
 吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられる三人。
 ロンは口元をゆるめ、仰向けに倒れている三人に歩み寄る。
フローネ「やめてください!」
 そこへ、フローネがロンの前に立ち塞がる。
ヒスイ「ふ、フローネさん・・・止めたほうがいいです・・・。」
フローネ「いえ、もうこれ以上、あなたに勝手な事をさせるわけにはいきません!」
 両手を広げ、震える瞳でロンを見る。
フローネ「・・・・。」
ロン「!?」
 その時ロンは、今まで見た事の無い驚愕の表情を見せ、顔を伏せる。
フローネ「?」
ロン「ふん。」
 そして、そのまま立ち去ってしまった。
ヒスイ「ど、どうしたんでしょう・・・?」
 少し体力が回復し、立ち上がる三人。
セシル「と、とにかく助かったぁ~。」
 どっと疲れた出てきたのか、へたり込むセシル。
クロウ「それじゃ、先に進むか。」
 今までの事を無かった事にし、淡々と話を進めようとするクロウ。
セシル「ちょっと休んでいこうよ~。」
クロウ「そんな時間も場所も無い。」
セシル「そんなぁ~。」
 しかし、これ以上駄々をこねるわけにもいかないので、仕方なく次の部屋へ進む。
 しかし、次の部屋は休憩所だった。
セシル「よかったぁ~。」
クロウ「ち、時間が無いと言うのに・・・。」
ヒスイ「まぁまぁ。あれだけの事があった後なんです。休憩は必要ですよ。」
セシル「そうそう!」
 つーわけで、仮眠を取る事にした三人。
 しかし、目覚めたときは既に日付が変わってしまったと言う事は言うまでも無いだろう。
 翌日。
 完全に寝過ごした事など全く気づかず、3人は次の部屋へと進むのだった。
クロウ「ここは・・・?」
 今回の部屋は、特になんの変哲も無いところだ。丁度スピニングツインズと戦ったときみたいに。
???「やぁ、待っていたよ。」
 と、部屋のど真ん中で立っていた少年が声をかける。
レッダ「僕の名前はレッダ。言わなくても分かると思うけど、君達は僕を倒さなければ先へ進めない。」
クロウ「ああ。早く話を進めよう。ルールは?」
レッダ「アルティメットシューティング。制限時間内に、フィールド上のターゲットをより多くゲットした方の勝ちだ。」
クロウ「面白い。」
 クロウ達は部屋の隅に置いてあったアルティメットシューティング用のテーブルに集う。
クロウ「始めるか。」
レッダ「ええ。まずは僕から。いくぞ、レッドリザード!!」
 レッドリザードと呼ばれたビーダマンを構えるレッダ。
 バトルスタート!
 不規則に動くターゲット。あれを狙うのは難しい。
レッダ「うおおおお!!!ギガンテスショット!!」
 ズドドドド!!
 レッドリザードからパワーは無いが、凄いスピードの連射が放たれる。
ヒスイ「あ、あの連射スピードは!?」
レッダ「レッドリザードに装備されているギガンテスシステムはワンストロークで二発の玉を発射する事が出来るのさ!パワーは低いが、連射スピードなら負けない!」
 詳しくは僕のレポートにて。
 下手な鉄砲数うちゃ当たる理論で、レッダはターゲットを次々と撃破していく。
レッダ「ふぅ・・・81点か・・・。」
セシル「う、うわ・・・!」
ヒスイ「高得点ですね・・・。」
セシル「どうする、ヒスイ?」
ヒスイ「このバトルに必要なものは、連射と命中精度・・・だったら!セシルちゃん、ホーネットを貸して下さい。」
セシル「え?」
 ヒスイはホーネットとジェイドをばらし、そしてジェイドのブースターをホーネットにつける。
ヒスイ「出来ました!名づけて、ブリッツァーホーネットです!」
 セラフィックホーネットに、ジェイドのバックアーマーを搭載したものだ。
ヒスイ「いきますよ~!」
 バトルスタート!
 ヒスイはコントロールと連射をいかしたショットでどんどんターゲットをゲットしていく。
レッダ「なっ!」
 そして終了。
ヒスイ「ふぅ。」
 得点148点。
ヒスイ「やったぁ!」
セシル「カスタマイズの勝利ね!」
レッダ「負けたか・・・。『敗北の軍、兵を語らず』だ。何も言う事は無い。次へ進みなよ。」
クロウ「ああ、そうさせれもらう。」
 余計な言い訳をしない奴は本当に助かる。
 さっそく次の部屋へとすすむ。
ヒスイ「ここもまた、何の変哲もありませんね。」
セシル「ていうか、いつまで続くのよ・・。」
???「とう!」
 再び唐突に謎の少年が現れる。
バーミン「わの名前はバーミンだで!わのバーニングバードと勝負だで!」
ヒスイ「なんか、相手側が勝手に話を進めるようになって、ちょっと楽ですね。」
セシル「うん。」
バーミン「手っ取り早くルールの説明からいくで!ルールは簡単スーパー五大フィールドのフェニックスステージで勝負だで!」
 部屋の真ん中にあるステージを指差す。
クロウ「パワー勝負か。」
バーミン「そのとーり!」
クロウ「じゃ、早くはじめよう。」
 早速ステージの前に立つクロウ。
クロウ「すぐに決めてやるよ。」
 ドンッ!バシュッ!
 クロウはあっさりとパーフェクトを取る。
バーミン「それじゃわも。いくで!」
 バーミングバードから放たれる強力なショット。まずは三体倒す。
ヒスイ「凄いパワーですね。」
バーミン「バーニングバードのバックアーマー、デルタウィングはトリガーを押す事で干渉し、カウンターレバーを広げる。つまり、無駄の無いより効果的なパワーショットが出来るのさ。」
 再び構えるバーミン。
バーミン「これで、同点を狙う!」
 バシュッ!
 しかし、狙いがちょっとずれたのか、フェンスのど真ん中に当たってしまい、ターゲットにはヒットしなかった。
バーミン「しまったぁ!」
クロウ「勝負あったな。」
バーミン「ぐぐぐ・・・・!」
クロウ「さ、先へ行くか。」
 早々と退散するクロウ達。
 次の部屋では一体どんなビーダーが待っているのか・・・!
フローネ「(いよいよ・・・いよいよ近づいてきたわね・・・ふふふ、私の計画通り。)」



つづく

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爆・爆ストーリー ZERO 第33話

第33話「ロン乱入!」
 鋼の砦。
 そこはまさに悪夢のような場所だった。
 次々と襲い来る強力な刺客達。彼らを全て倒し、頂上で待つ鋼の烏の所まで行かなくてはならないのだ。
セシル「(強力・・・ねぇ・・・。まぁ、別の意味で強敵だけど。)」
ヒスイ「さぁ、次の部屋へいきますよ!」
 ヒスイ達は次の部屋への扉を静かに開けた。
 するとそこには・・・・。
 ベッドが数台おいてあった。
クロウ「なんだこれは?」
フローネ「休憩所・・・でしょうか?」
 せっかくだから、休憩する事にする一同。

 そして翌日。
 目を覚ましたクロウ達は、次なる部屋へと進む。
 次は一体どんなフィールドが待ち構えているのか・・・!
ヒスイ「あり?」
フローネ「え?」
セシル「ありゃりゃ?」
クロウ「・・・・・。」
 部屋の中に入った一同は、驚いた。
 部屋の中はとても殺風景で、何も無いホールのようになっている。
 今まで草原やら沼やらと解放的な部屋ばかりだったので、ちょっと拍子抜けしたのだ。
 そして、その隅に立っていた少年が振り向く。
???「やぁ、話には聞いていたよ。」
???「僕達の挑戦者なんだってね?」
 二人いるようだ。いや、しかし、立っていたのは一人だったはず。しかし、二人の少年がしゃべっている。
セシル「えぇ?!」
ヒスイ「これは?!」
 そう、この少年は、体は普通だが、首が二つあり、双頭になっているのだ。
 何の変哲も無いフィールドで、今までで一番変哲のある刺客が現れたのだった・・・。
セシル「ば、化け物・・・?!」」
 セシルの何気ない一言。まぁ、双頭の人間が現れたら誰だって化け物とか妖怪とか、そう思うのが自然だ。
 しかし、その一言を聞いた少年は悲しそうに目を伏せる。
???「そうだ・・・。」
???「皆、僕らの姿を見たら、そう言うんだ。」
セシル「あ、ご、ごめんっ!」
 慌てて両手で口を塞ぐセシル。
???「僕らは、双子だったんだ・・・。」
???「でも、突然変異で、体がくっついたまま生まれてしまったんだ。」
セシル「そうだったんだ・・・無神経な事言ってごめんね。」
 しかし、そんな事はお構い無しとばかりにクロウは口を開く。
クロウ「そんな事はどうでもいい。それよりお前らが今回の刺客なんだな?」
ライス「ああ。僕はこの体の右半身を司っている。ライス。」
レフス「僕はレフス。」
クロウ「なるほど。で、バトルのルールは?」
ライス「デスマッチでいくよ。」
レフス「ここは特にバトル用の器具がないからね。」
ライス「それに、僕らのビーダマンじゃDHBは出来ないし。」
 そう言って取り出したビーダマンは、彼らと同じく二体がくっついたような形状をしている。
ライス「スピニングツインズ!これが僕らのビーダマンさ!」
ヒスイ「な、なかなか興味深い機体ですねぇ・・・。」
 メガネをクイッと上げ、まじまじとそれを見つめるヒスイ。
ライス「こっちは、実質二人だから、そっちも二人がかりで構わないよ。」
ヒスイ「え、いいんですか?」
レフス「ああ。」
 つー事で、ここは厚意に甘えて二人選出する事にした。
フローネ「それで、誰と誰を出すんですか?」
ヒスイ「そうですねぇ・・・・って、今ビーダマン持ってるのは、僕とセシルちゃんしかいませんでしたね。」
セシル「えぇ、また私が出るの?」
ヒスイ「まぁまぁ。なるべく僕がサポートしますから。」
 選手は決まったようだ。
 早速構える四人(?)
四人「ビー、ファイア!!」
 バトル開始。
ヒスイ「いきますよ!!」
 ズドドドド!!!
 早速ヒスイの連射が吠える。
ライス「ふっ、それじゃ行こうか。レフス。」
レフス「うん。」
ライス&レフス「はぁ!!」
 ドンッ!!
 二人は気合いを込めてビー玉を発射する。
 スピニングツインズから発射される二つのビー玉。そのパワーは凄まじく、ヒスイの連射した玉を全て弾いていく。
 バーンッ!!
 成す術無くヒットする。
ヒスイ「ぐっ!」
 ヒスイは多少よろけながらも、必死でビーダマンを持ち、耐える。
ヒスイ「なんだ、このショットは?!」
ライス「僕達のスピニングツインズは、二つのホールドパーツが融合してるんだ。」
レフス「つまり、二発同時発射する事で中央の爪が固定され、強力なショットが撃てるのさ。」
ライス「さらに、中央の爪にはラバーが装着されている。強力な横回転が可能なんだ。」
ヒスイなるほど・・・。」
レフス「さぁ、どんどん行くよ!」
 飛び交うビー玉。それをなんとか避けるヒスイ。
ヒスイ「くっ、玉が速過ぎる!それに、回転もあるから、パワーも凄い!」
 一瞬の隙も与えずにツインズの玉が襲ってくる。
セシル「ヒスイ!」
 カキンッ!
 すんでのところでセシルがその玉をそらした。
セシル「大丈夫!?」
ヒスイ「ええ、助かりました。」
ライス「ふぅ、なかなかやるようだね。」
レフス「ならば、僕らもそろそろ本気をださせてもらおうか!」
 レフスとライスの気合いがさっきより段違いに上がる。
セシル「えっ!」
ヒスイ「!?」
ライス&レフス「我ら双子の力を見せてあげるよ!」
 某ナギ―ズのように声がハモル二人。
ライス&レフス「スピニングスティック!!」
 ドキュンッ!ギュワアアアア!!
 ツインズから発射された二つの玉が、発射されたと同時に密着しながら猛回転で突き進む。
ヒスイ「なに?!」
ライス「逆方向に回転する横回転の玉が吸い寄せられるように密着し、回転力を上げながら進むのさ!」
 ジャスティスタイフーンと被る!とか言っちゃいけません。
 スピニングスティックは、物凄い音を立てながら、ヒスイのすぐ横をすりぬけ、壁に激突。大きな音を立て、えぐれる壁。
セシル「う、うわ・・・!」
 その威力に息をのむセシル。
ヒスイ^回転・・・回転・・・!」
 しかし、ヒスイは動じる事無く何か呟いている。
セシル「どうしたの?」
ヒスイ「回転・・・・そうだ!」
 何かを思いついたヒスイは、銃口を上へ向ける。
ライス「?何か思いついたようだね。」
レフス「でも、それも無駄というもの。」
ライス&レフス「僕らのスピニングスティックは、誰にも止められない!」
 ドンッ!!
 再びスピニングスティックが火を吹く。
ヒスイ「いっけー!!」
 ドンッ!!
 ヒスイは天井に向かってショットを放つ。
セシル「えっ?」
ライス「血迷ったか!?」
 天井は以外と低い。ヒスイのショットはあっという間に天井にぶつかり、その反動で勢い良く降下する。
 そして、その降下した先にあったものは・・・・。
ライス「バカな!!」
 カキンッ!!
 ヒスイのショットがスピニングスティックを弾いた。地面に落ち、キュルルルル!と横回転を続けるビー玉。
ヒスイ「どんなに強烈な回転でも、横回転なら、垂直落下で最も遠心力の小さい円の中心を狙えば撃ち落せますからね。」
レフス「くっ!」
ライス「でも、僕らの技を撃ち落せただけ!勝負はまだ五分!」
クロウ「それは、どうかな?」
ライス「なにっ!」
 ヒスイは、未だに地面で回転している玉を狙った。
 カンッ!!
 ヒスイのショットはその玉を弾く。そして弾かれた玉がスピニングツインズを襲う。
ライス&レフス「なにぃ!?」
ヒスイ「地面で回転してる間も、二つの玉はお互いに回転を与え合い、回転力を増大させていったんです!それを弾いて攻撃すれば・・・!」
ライス&レフス「うわぁあぁ!!!」
 バーンッ!!!
 自らが放った玉により、撃破されるスピニングツインズ。
ライス「ま・・・負けた・・・。」
レフス「そんな・・・僕らのコンビネーションが・・!」
ヒスイ「いえ、いいバトルでした。勝てたのは、偶然ですよ。」
 手を差し出すヒスイ。その手を握るライス。
ライス「僕達の事を認めてくれたのは、君がはじめてだ。」
レフス「君達ならきっと、最上階までいけるさ!」
ヒスイ「ありがとうございます!」
 三人の間に厚き友情がうまれた。

 
 そして、クロウ達は次の部屋へと辿りついたのであった。
クロウ「ん・・・最初の部屋と同じか?」
 クロウの言った通り、次の部屋も、草原っぽい場所だった。
ヒスイ「いえ、確かに似てますが・・・これは人工芝生ですね。」
フローネ「まわりに林や池がある所を見ると、ゴルフ場みたいです。」
セシル「まさか、今度はビーダマンでゴルフするってわけじゃないよね?」
 セシルの呟きは、質問と言うより諦め切った嘆きのように聞こえる。
???(三人)「その通りさ!」
 突如聞こえてくる三人の少年の声。
 見ると、いつの間にかチビ、デブ、メガネの三人組が現れていた。
マグネット「我ら!マグネット三兄弟!!」
 チビを真ん中に、右にメガネ、左にデブが並び、ポーズを取る。
クロウ「お前らが、次の刺客か。」
マグ「ああ!俺は、三兄弟の長男、マグ!!」
 真ん中のチビが叫ぶ。
グネ「僕は、次男のグネ。よろしく。」
ネット「僕はネットだよ。あぁ、お腹すいた~。」
 メガネがグネで、デブがネットのようだ。
マグ「ネット、お前さっき食べたばかりじゃねぇか。」
グネ「そうだよ。食べすぎはバトルに影響するよ。」
ネット「そんな事言われても、すくものはすくんだもん。」
グネ「僕の計算によれば、ネットはもっとカロリーを落とした食事をするべきだね。」
ネット「そんなぁ~。」
 いきなりアットホームな会話をし始める三兄弟君。
ヒスイ「あのぉ・・・僕ら、ちょっと時間ないんで、もうちょっと手っ取り早くはじめて欲しいんですが・・・。」
マグ「おおっと!わりぃわりぃ、んじゃ、手っ取り早くルールを説明するな。」
グネ「今回のバトルは、シューティングゴルフ’99。一つのビー玉をどんどん撃っていって、先にホールへ入れた方の勝ちだ。」
 何故99なのかは、不明である。
ネット「ちなみに、三人一組のリレーだよ。」
ヒスイ「さ、三人ですか・・・。」
 ちょっと困る。
フローネ「どうしたんですか?あなたがた三人が出ればよいのでは?」
 事情を知らないフローネはそんな勝手な事を言う。
セシル「ううん、今クロウのビーダマンは壊れてるの。だから・・・。」
クロウ「・・・。」
ヒスイ「仕方ありませんね、あれを使いますか。」
 ヒスイは懐から、ビーダマンを取り出す。見たところ、ジェネラルワンのようだが・・・。
ヒスイ「僕が前に使ってたジェイドワンです。基本性能はジェネラルワンとほぼ同じですが、クロウならその力を200%は引き出せるでしょう。」
 ジェイドワンを受け取るクロウ。
 あ、ちなみに、こいつのデザインは爆研内にあるジェネラルワンヒスイバージョンという方針で。
クロウ「(かなり手入れが行き届いているな・・・。ジェネラルワンとはいえ、なかなかの性能が期待できそうだ。)」
マグ「じゃあ始めるぞ、時間無いんだからな。」
クロウ「ああ。」
 と、言うわけでバトルスタート。
 順番は、セシル・クロウ・ヒスイ。マグ、グネ、ネットの順で行なわれるようだ。
セシル「いっくよ~!!」
 ホール目掛けてビー玉発射。40Mくらい飛んだところで、落ちる。ちなみに、ホールまでの距離は5Kmはある。
マグ「へっ、行くぜ!オートマチックB!マグネットショットォ!!」
 オートマチックBのトリガーとカウンターレバーには、マグネットが装備されており、トリガーを押す事で、マグネの反発によりカウンターレバーが広がり、威力を上げるのだ。
 マグのショットは軽く120Mは飛んだ。
セシル「そ、そんなぁ!」
マグ「どぉだぁ!!」
ヒスイ「まぁ、ホーネットはパワー型ではありませんしね。」
クロウ「次は俺の番だな。」
 クロウのショット。180Mくらい飛ぶ。
マグ「なぬっ!?」
クロウ「ま、こんなもんか。」
マグ「たかだか、ジェネラルワンごときに・・・マグネットショットが敗れるとは・・・!」
グネ「そう落ち込まないで。次は僕の番だ。いくよ、バトルイーグル!!マグネホールド!!」
 バトルイーグルのバックアーマーには、マグネの吸着する力でカウンターレバーを広げるギミックが積んである。
 その力により、シメ力を上げているのだ。
グネ「いっけー!!」
 飛距離は90Mくらい。
グネ「う~ん、まぁ計算通りってところかな?」
マグ「お前にしては、よくやったよ。」
ヒスイ「それじゃ、次は僕ですね。いきますよ!ジェイドガンナーブリッツ!!」
 飛距離、50M。 ジェイドは連射型なので、ホーネットよりパワーは劣るが、ヒスイの方がセシルより握力があるので、ヒスイの方が飛距離が出たのだ。
ネット「じゃあ次は僕だね。ブルーアリゲータ!マグネパッドショット!」
 ブルーアリゲータのホールドパーツと腕には、磁石がついており、それをあわせる事でホールドパーツをシメられるのだ。
 飛距離、100M。
 とまぁ、こんな感じでバトルは進んで行った。
 クロウのパワーは圧倒的だが、ヒスイとセシルの非力さはかなり足を引っ張っており、逆に三人で安定したパワーを見せるマグネット兄弟もなかなかの強さを誇っていた。
 そしてついに両チームとも、ホールまであと50メートルくらいの所まで辿りついた。
マグ「おっしゃ~!次は俺の番だ~!!」
 マグは勢い良く・・・やっちゃったらホールを飛び越えちゃうので、慎重にショットを放つ。
 コロコロ・・・。力を抑えて放ったビー玉は、情けないほど弱弱しくホールへ向かう。しかし、この距離なら、それが得策だ。
 コロコロコロ・・・。しかし、勢いが弱いと地面の摩擦をもろに受ける。そのせいでビー玉の軌道がそれてしまった。
マグ「しまったぁ!!」
 軌道がそれたビー玉は、ホールのすぐ右で止まる。その距離約5ミリ。
マグ「ぐぐぐ・・・!」
クロウ「次は俺の番だ。」
 クロウはホールドパーツをしめる。
ヒスイ「えぇ!?この状態でシメうちですかぁ!?」
クロウ「まぁ、みていろ。」
 ドンッ!!
 クロウは、地面に向かってそのショットを放った。
 ズザザザ!!
 地面をえぐりながらも突き進むビー玉。しかし、どんどんその勢いは落ちていく。そしてホール直前。ビー玉が地面から飛び出し、コロコロとホールの中へと吸い込まれるように入って行った。
クロウ「よし。」
ネット「そんなぁ・・・。」
マグ「ま、まだだ!グネが入れれば引き分けにもちこめる。
グネ「う・・・!」
マグ「頼んだぞ、グネ!」
ネット「兄ちゃん!」
グネ「う・・ぁ・・・。」
 皆からの期待をモロに受けるグネ。そのプレッシャーに押しつぶされ、グネは当然のごとくミスショット。外してしまった。
グネ「ううぅ・・・。」
マグ「ばかやろう!なにやってんだよ!!」
グネ「ご、ごめん~。」
 そんなマグネット兄弟をほっといて、クロウ達は更に先へ進むのだった。
 そして、次にたどり着いた部屋は・・・。
セシル「あ、あっつーい・・・!」
 まるで、サウナのように蒸し暑い部屋だった。
ヒスイ「ほんと、なんですか、この異常な温度は・・・。」
 汗だくになり足元もふらついている。
クロウ「よく見てみろ、まわりに炎が燃え盛ってるだろう。」
 確かに、所々、炎がある、この暑さの原因はそれだ。
ヒスイ「分かってますよ・・・僕が言いたいのは、暑さの原因ではなく、その原因を作る理由であって・・・。
フローネ「あ・・ぐっ・・・!」
 その時、フローネが突然頭を抑え、うずくまった。
クロウ「どうした!?」
ヒスイ「熱さでやられたんですか!?」
フローネ「うぅ・・・だ、大丈夫・・・今、神のお告げが・・・。」
ヒスイ「え?」
フローネ「気を付けてください。このバトル・・・あなた方が最も恐れる・・・!」
 そこで、フローネの言葉は止まった。そして、立ち上がるフローネ。その顔は、いつもとなんら変わり無かった。
ヒスイ「え、最も恐れる、なんですか?」
フローネ「すいません、神のお告げはそこで終わってしまいました。そこから先は、分からないんです。」
セシル「それにしても、唐突なんですね、神のお告げって。」
フローネ「ええ、私が望みもしないのに、突然頭痛が襲ってきて、頭の中に言葉が響くんです。・・・正直、あまり嬉しい能力じゃないんですよ。」
 そう言ったフローネの表情は少し悲しげだったが、それにクロウ達は気づかなかった。
???「お客さんかぁ?」
 と、そこに、炎の中から現れた一人の少年。
クロウ「貴様が次の刺客のようだな。」
フレイ「フレイだ。誰よりも心が燃え盛っている男さ。」
ヒスイ「な、何故部屋の中に、炎が!?」
フレイ「決まっているだろう?俺様の燃え盛る心を表現するためさ。」
 フレイはビーダマンを取り出した。
フレイ「そんな事より、バトルだ。時間が無いからな。」
ヒスイ「ルールは?」
フレイ「デスマッチでいい。早く始めるぞ。」
ヒスイ「え、えぇ。じゃあ今回は僕がいきましょう。」
 ジェイドを取り出すヒスイ。
フレイ「ふん、見たところ連射型のようだな。パワー型のブレイジングコロナに勝てると思ってるのか?」
 バトル開始。
ヒスイ「やってみなくちゃ分かりませんよ!!」
 開始と同時に連射でせめるヒスイ。
フレイ「無駄だ。」
 フレイは、ホールドパーツと、バックから上に伸びた、炎みたいな形状のパーツをしめた。
 そして発射された玉はかなりのパワーをもっており、ヒスイの連射を全て弾いてしまった。
ヒスイ「えぇ!?凄いシメ撃ちです・・・!」
フレイ「このブレイジングコロナは、バックアーマーを閉める事でカウンターレバーを広げられる。通常のシメと合わせれば二倍のシメうちが出来る。これがダブルシメ撃ちだ!」
 ドンッ!!
 再び襲い来るフレイのショット。
ヒスイ「くっ!!」
 なんとか連射で止めるが、フレイの方がわずかに優勢だ。
クロウ「まずいな、このままじゃ。」
セシル「うん・・・ってあれ?なんか、暑くなくなってきた・・・ていうか、涼しくなってきたんですけど・・・。」
クロウ「そういえば。」
 見ると、まわりの炎は全て消えてきた。
クロウ「なに!?」
フローネ「明らかに、温度が下がってます。それどころか、肌寒いくらいですね。」
 そのせいなのか、フレイの動きが少し鈍っているようだ。
フレイ「な、なぜ部屋の温度が下がってるんだ?!このままじゃ、パワーが出せない!」
ヒスイ「チャンス!!」
 形勢逆転。今度はヒスイが押す番だ。
 しかし、その時・・・!
 ブオオオオオオ!!!
 突如拭き荒れる吹雪により、当たり一面銀景色に変わる。
フレイ「なんだと!?」
クロウ「これは・・・!」
 そして、どこからか飛んだショットがブレイジングコロナを撃破する。
フレイ「うっ!」
???「邪魔者は消えろ・・・。」
 吹雪の中で、何者かの影が見える。
クロウ「まさか・・・奴は・・・!」
 そして、その影は徐々に姿を現す。
ロン「お前に、あれを渡しはしない。」
クロウ「ロン・・・!」
ロン「お前は罪を償うべきなんだ。」
クロウ「(罪・・・?)」

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爆・爆ストーリー ZERO 第32話

第32話「現れる刺客達」
 鋼の砦。
 最初にクロウ達が入ったのは、草原のような部屋だった。そして現れたビーダーは・・・・。
クロウ「な・・・っ!」
 クロウは驚愕の表情を隠せないでいる。
少女「うみゃあ。」
 それもそのはずだ。
 クロウ達の前に現れたのは、猫耳、しっぽ、そして肉球のついた手を装着している、なんともオ○クが喜びそうな感じの少女だったからだ。
クロウ「こいつも・・・刺客なのか?」
フローネ「え、ええ。恐らく。」
 フローネもまさかこんな奴が現れるとは思って無かったのか、少し動揺している様子だ。
少女「うみぃ、ところであなた達は何しに来たのぉ?」
ヒスイ「え、えっと、僕達は、君を倒しにきたんですよ。この砦の最上階へいくために。」
少女「そうなのぉ?じゃぁメグの挑戦者だね。」
セシル「メグ?」
メグ「メグの名前。メグ・イマサカっていうのぉ。」
 一人称が自分の名前のようだ。
ヒスイ「は、はは・・・。と、とにかく勝負です!」
 ヒスイは、困惑しながらもビーダマンを取り出す。
メグ「メグもぉ!」
 メグもビーダマンを取り出す。そのビーダマンはふわふわした綿毛に包まれている。
メグ「ニンニンネコピョ~ン!」
 と、そのビーダマンを掲げながら訳の分からない事を叫ぶ。
ヒスイ&セシル「ニンニンネコピョン~!?」
クロウ「(ニンニンネコピョン・・・忍々猫ピョンだろうか・・・?まぁ、カメの忍者がいるくらいだから、猫の忍者がいてもおかしくはないが。しかし・・・。)」
 メグの持っているビーダマンは、とてもフワフワと言うか、太ってるというか・・・ともかく、素早く動くには不向きな感じだ。
クロウ「それは、忍々猫ピョンと言うより、単なるデブ猫だな。」
 思わず口に出してしまったらしい。見ると、メグはクロウの言葉を聞き、不満そうに口を尖らせる。
メグ「違うのぉ!ニンニンネコピョンなのぉ!」
ヒスイ「な、何が何やら・・・。」
メグ「この子のお腹にはぁ、赤ちゃんがいるの。」
 と言い、メグは自分のビーダマンを撫でる。
四人「・・・・・・。」
 メグのセリフに完全に言葉を失う。
メグ「妊娠してる人は、妊婦さんって言うでしょ?だったら、妊娠してる猫は妊猫さんって事になるよね?でも、妊猫さんじゃ、可愛くないのぉ。」
クロウ「(確かに、御嶽山みたいな響きだしな。)」
メグ「だから、愛着を込めてニンニンネコピョンなのぉ。」
 意味が分からない。まず、ビーダマンに妊娠と言う概念を取り込んでる時点で何かが間違っている。
セシル「も、もういいから早く始めようよ。頭痛くなってきた。」
 額を押え、ため息をつく。
ヒスイ「そ、そうですね。それで、ルールは?」
メグ「ん~、デスマッチでいいよぉ。」
 姿に似合わず、一番えげつない競技を選んでくる。
ヒスイ「いいですよ。」
セシル「じゃ、始めるよ~、ビーファイア!!」
 さっさと終わらせたかったセシルは唐突に、問答無用にバトルの合図をする。
ヒスイ「うわ、いきなりですか!」
 多少慌てたものの、すぐに気を引き締め、ニンニンネコピョン目掛けてショットを放つ。
 ボムッ・・!
 そのショットはあっさりヒットするのだが、ニンニンネコピョンの体にめり込み、そのまま弾かれてしまった。
ヒスイ「あ、あれ?(結構強く撃ったはずなのに・・・。)」
クロウ「ちょっと待て。」
 その時、クロウが何か気づいたようだ。ジッとメグの手を見ている。
クロウ「あいつ、肉球のついた手でなんであんなに安定してビーダマンを持ってられるんだ?」
セシル「そ、そういえば・・・!」
ヒスイ「そうか・・・。あのフワフワなボディ・・・あれが、どんな手にもフィットするようになってるんです。しかも、相手の攻撃の衝撃を吸収できる・・・。持ち易いどころのレベルじゃないですよ、あのビーダマンは!」
メグ「うみぃ、今度はこっちから行くのぉ!」
 ドンッ!!
 ニンニンネコピョンから放たれるショット。しかし、その威力は通常のビーダマンゼロとほぼ変わらない。
ヒスイ「(なるほど、防御はさすがですが、他は大した事無いようですね。多少持久戦になりそうですが、勝つ事自体はそう難しくなさそうですね。」
 ヒスイの思った通り、多少時間はかかったものの、あっさりヒスイが勝利した。
メグ「うみぃ、負けちゃったのぉ・・・。」
 地面にペタンと座り、悔しそうにうつむく。
ヒスイ「悪いですね。僕もこんなところで躓くわけには行かないんです。」
メグ「仕方ないのぉ・・・次の部屋、言ってもいいよ。」
 と言ってメグが指差す方向には、扉があった。こんな大草原の真っ只中にぽつんと存在する扉は、何やら違和感がバリバリである。
クロウ「まずは、第一関門突破・・だな。」
ヒスイ「ええ。」
 四人は、その扉へ向かい、そして、次の部屋へと進む。
 四人がたどり着いた次の部屋。そこには・・・!
 沼があった。
ヒスイ「草原の次は沼ですか・・・。」
セシル「もう驚けないわね。」
 バシャッ!!
 その時、水面が勢い良く跳ねた。
セシル「え?!」
???「フィーッシュ!!」
 謎の少年がランカーをフッキングしたようだ。
 しかし、ランカーは結構抵抗するようで、右へ左へと動き回る。
???「おっ、これはなかなかいいファイトが楽しめそうだ。」
 謎の少年は、なれた手つきでランカーを操る。
 そして、ランカーの疲労が増してきたところで一気に引き寄せ、ランディング。
???「グッサイズ!!」
 ランカーのアゴを持ち、元気良く叫ぶ。
クロウ「なぁ・・・?」
 その様子を黙って見ていたクロウは、隣にいるフローネに話し掛ける。
フローネ「え?」
クロウ「これは、『ビーダマン』のフィールドなんだよな?」
フローネ「え、えぇ、まぁ・・その・・・・。」
 さすがにここまで場違いな連中が出てくると、ちょっと自信が無くなってくるようだ。
???「そこの君達!」
 さっき釣ったバスを優しくリリースし、クロウ達を指差す釣り少年。
ヒスイ「あ、はい。」
???「目的は聞かずとも分かっている!さぁ、俺と勝負だ!」
 と言って、緑色のビーダマンを取り出す。
セシル「(一応、約束は守ってくれるようね・・・。)」
グラムサ「俺の名前はグラムサ!愛機は命中精度とパワーが自慢の『グランダースケール』だ!」
 グランダースケールは、ブラックバスをモチーフにしているようだ。ブラックバスの模様をしたバレルが特徴的だ。
グラムサ「今回のバトルのルールを説明しよう。ルールはいたって簡単、ビーダマンを使って、より大きなブラックバスをゲットした方の勝ちだ!」
ヒスイ「(どこが簡単ですか・・・?)」
クロウ「バトルの特性から考えると、命中精度が重要だな。」
セシル「てことは、私の出番ね!」
 レーザーホーネットを取り出し、前に出るセシル。
ヒスイ「あ、待って!」
 それを制するヒスイ。
セシル「なに?」
 出鼻をくじかれ、ちょっと不満そうに振り向く。
ヒスイ「レーザーホーネットを、セシルちゃん用に改良してきましたよ。」
 と言って、新たなビーダマンをセシルに渡す。
セシル「これは?」
ヒスイ「セラフィックホーネット。ヘッドのスコープによって狙いを定め易くしたビーダマンです!」
セシル「うわ~、かわい~!」
 セシルは、性能よりもデザインが気に入ったようだ。
 ヒスイはセシルからレーザーホーネットを受け取り、そしてヘッドに着いているレーザーを外す。
ヒスイ「こんなものは、無いほうがいいんです。」
 そう言って、池の中に放り投げる。もう二度と、あの悪夢が繰り返される事は無いだろう。
グラムサ「さて、始めようか。」
セシル「ええ。」
グラムサ「ビー、ファイア!!」
 スタートと同時にグラムサは、池の中央にあるストラクチャー目掛けて撃つ。
 そのショットはストラクチャーまでは届かず、手前で落ちてしまう。
ヒスイ「外した?」
グラムサ「ふっ。」
 バシャッ!!
 その瞬間、一匹のバスが勢い良くライズする。
クロウ「なにっ!」
グラムサ「いくぜぇ、フリップショット!!」
 グラムサは、フリップキャストの要領で手首を返し、ショットを放つ。
 バーンッ!
 そのショットは見事バスに命中。
グラムサ「30UPってところかな?」
ヒスイ「そうか。今の沼はマッドウォーター・・・。水がにごってる時は、バスは通常ストラクチャーのそばにいるんです。」
グラムサ「そう、さっきの俺のショットは水面近くをうろつくトンボをイメージしたんだ。そしてそのトンボを捕らえようと、バスがライズしたところを狙ったのさ。」
 グラムサに負けじと、セシルもポイントを探す。
セシル「すとらくちゃー・・・?と、とにかく、あの変な杭みたいなのにバスって魚がついてるのね?」
 丁度いいストラクチャーを見つける。
セシル「あ、あった!よーし・・・。」
 標準を定めるセシル。
セシル「命中精度なら、ホーネットが一番よ・・・。いけっ!」
 ドンッ!・・・・カンッ!!
 セシルの放ったショットは見事ストラクチャーに命中してしまった。
セシル「やった!」
グラムサ「あ~あ。」
 喜ぶセシルに、グラムサは呆れた顔をする。
セシル「え?」
グラムサ「そんな事したら、びっくりしてバスが逃げちゃうよ。」
セシル「そ、そなの?」
 セシルは釣りの経験が全く無いようだ。
クロウ「仕方ない、こうなったら奴がライズさせたバスを狙え。それしか方法は無い。」
セシル「えぇ・・。」
グラムサ「あいにく、俺はもうプレイはしないよ。ある程度のサイズをゲットできたら、それをキープするのも戦術だしね。」
クロウ「ちっ。」
セシル「うぅ・・・どうすれば・・・。」
ヒスイ「・・・・あ、そうだ!」
 その時、ヒスイは何かにひらめいたようだ。頭上に電球のエフェクトが浮かんでいる。
ヒスイ「セシルちゃん!カバーです!カバーを狙うんです!!」
セシル「かばー・・・?あの口のおおきな?」
ヒスイ「違いますよ。えっと・・・枝とかで影になってる部分です。」
クロウ「おい、普通バスがカバーについているのはクリアウォーターの時だけだろ?」
ヒスイ「えぇ、でもそれは普通のバスならです。しかし、頭のいい主が、普通に皆が狙う場所にいるわけがない。」
クロウ「なるほど、カオスの存在にかけるというわけか。」
セシル「わ、分かったわ!」
 セシルは沼にあるカバーを見つけ、狙いを定める。
グラムサ「ふん、そんな所にいるわけがない。」
セシル「いるかどうかはやってみなくちゃ分からないよ!いけー!!」
 バシャッ!バシャッ!!
 セシルのショットは、水面を跳ねながら進んでいく。
グラムサ「スキッピングだと!?」
 そして、ちょうどカバーの下で着水。
 バシャッ!
 それと同時に沼の主であろう巨大なランカーが飛び出してきた。
グラムサ「なにぃ!これは、50UPはあるぞ!?」
セシル「よーし!いけー!!」
 バシュッ!!
 セシルの放ったショットは見事ランカーに命中。
 この勝負、セシルの勝利だ。
グラムサ「くそ・・・世界一のグランダー、Gマスターであるこの俺が・・・・!」
 膝をつき、悔しがるグラムサ。
グラムサ「鬼頭グループをやっつけ、レシェンターも全て集めたほどの腕前のこの俺が・・・!」
 訳の分からない事を言いながら悔しがるグラムサを尻目に、クロウ達は次の部屋へと進んでいく。
                 

爆・爆ストーリー ZERO 第31話

第31話「鋼の砦」
 クロウの告白、衝撃の真実。そして、物語はあのなつかしのキャラの再登場により、急展開する。
 大空を凄い勢いで飛んでいく鋼の烏。
 それを追いかける三人。
ヒスイ「クロウ、あの烏。」
クロウ「ああ、間違えようが無い。あんなもの、この世で何匹もいるわけがないしな。」
セシル「ちょ、ちょっとなんでいきなり走り出したのよ!」
 セシルはついていくので必死だ。
ヒスイ「あの銀色の鳥。」
セシル「え?」
 見上げるセシルは驚愕の声を上げた。
セシル「な、なに!?あの鳥!!」
クロウ「今気づいたのか・・・?」
ヒスイ「あれこそが、クロウのレクイエムを復活させる鍵になるかもしれないんです!」
セシル「それってどういう事よ?」
クロウ「イチイチ話してる時間は無い。とにかく、あれを追いかける事に集中しろ。」
セシル「なによ、もう・・・。」
 ブツブツと文句をいうセシルだが、徐々にクロウ達との差が開いて行く。
セシル「はぁ、はぁ・・!」
ヒスイ「クロウ、ちょっとペースを落とした方がいいんじゃないですか?」

 セシルを気遣うヒスイだが、クロウは聞く気はないようだ。
クロウ「ちっ、じゃあお前だけ落としてろ。俺は行く。」
ヒスイ「分かりました、頼みますよ!」
クロウ「ああ、見失うなんて、愚かしい事は・・・あれ、どこだ?」
 言ってるそばから鋼の烏はどこかにいってしまった。
ヒスイ「えぇ!?」
セシル「はぁ、はぁ、どうしたの?」
 ようやく追いついたセシルは、立ち止まり肩で息をする。
クロウ「ちっ、どこ行った?」
 舌打ちして、キョロキョロ辺りを見回すクロウ。
ヒスイ「ダメです、完全に見失ってしまいました。」
クロウ「くそっ。」
 その時、どこからともなく、天の助けとも言える声が聞こえてきた・・・。
???「探しものよ最強のビーダーに届け!輝く強さ求められるように!」
セシル「このフレーズは・・・。」
 思わず、背中の悪寒が走った。
ジュウ「とう!探しものの事なら、この捜索戦隊サガシンジャーにお任せあれ!」
 またも変てこなヒーローの肩書きを引っさげ、あのジュウが現れた。
ジャベンス「同じく、サガシンジャー二号!」
 ジャベンスも現れ、ジュウと同様ノリノリにポーズを決める。
ヒスイ「じゃ、ジャベンスまで・・・。」
ジュウ「で、何を探しているんだい?」
クロウ「鋼のツバサを持つ烏だ。」
ジュウ「なるほど、よし行くぞ!二号!」
ジャベンス「おうでごわす!」
 まだロクに情報を聞いてもいないくせに走り出す気まんまんの二人。相変わらず勢いだけである。
???「ふん、あなた方には任せられませんね。」
 と、その時、またも聞き覚えのある声が。
クロウ「お前は・・・!」
 そう、あのB-フォースのメンバー、レシアスだった。
ヒスイ「レシアス・・・!!」
 レシアスを見て、途端に険しい表情になるヒスイ。
クロウ「また懲りずにセシルを奪いに来たってわけか。」
レシアス「ふん、何か勘違いをしているようですね?」
クロウ「なに?」
レシアス「あれはあくまで依頼主の望み。我々の意志ではない。依頼主が依頼を破棄した今、それをする義務は無い。」
 それより・・・と話をつづける。
レシアス「何か依頼があるのなら、こんな役立たずよりもB-フォースへお願いしますよ。」

 レシアスは恭しく礼をした。
ジュウ「どういう意味だレシアス!」
レシアス「裏切り者であるあなた方では、この任務は荷が重いでしょう。大人しく引き上げたほうがいいのでは?」
ジュウ「うるさい!それより、この前はよくも酷いめに合わせたな!」
レシアス「ふん、私が直接やったわけではありませんが・・・。なんなら、また同じ目に合わせましょうか?」
 パワードスナイパーをちらつかせるレシアス。
ジュウ「おいらだって、あの時のままじゃない!この新型ビーストの力を見せてやる!」
ジャベンス「わしも新型スピアで勝負でごわす!」
 新型ビーダマンを取り出す二人。
ヒスイ「(ほう、面白そうだな。)」

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爆・爆ストーリー ZERO 第30話

第30話「クロウの告白」
 クロウ達の前に突如現れたロン。
 クロウへの憎しみをハッキリとあらわし、よりいっそう強くなった新型ヘイロンで
襲い掛かってきた。
ロン「はぁ!!」
 ドキュンッ!!
 ブリザードヘイロンから凄まじいパワーのショットが放たれる。
 迎撃するクロウだが、その玉はなかなかとまらない。
クロウ「ちっ!」
 仕方なくよけようとするクロウ。
 しかし、雪に足をとられて、うまく動けない。
クロウ「っ!」
 そうこうしているうちに、ロンのショットはすごい勢いでクロウに迫る。
セシル「危ない!」
クロウ「ぐっ!」
 もう遅い。かわすことを諦め、膝を少し曲げ、重心を下げる。体を安定させ、少しでも衝撃をやわらげるのだ。
 バーンッ!!
 ビー玉はクロウに命中すると同時に大爆発が起きる。まぁ、正確にはショットの衝撃波によりまわりの雪が舞い上がっただけだが。
クロウ「は・・・あ・・・。」
ロン「・・・・・。」
ヒスイ「(まてよ、まさかあいつ・・・!)」
 ヒスイは、ロンに対し何かの仮説が浮かんだようだ。
ヒスイ「(なるほど、だとしたら、あれが最後の作品というわけか・・・まさかこれ
ほどとは。)」
クロウ「はぁ!!」
ロン「・・・・。」
 バーンッ!!
 空中で激しく激突するクロウとロンのショット。
 バシュッ!!
 力はわずかにロンのほうが勝ったのか、かなり威力は落ちているが、ロンのショットがクロウに向かって飛んできた。
クロウ「なに!?」
 しかし、威力が落ちているので、すぐに撃ち落とすことが出来た。
クロウ「こいつ・・・!」
ロン「・・・・・・。」
 その様子を見て、ニヤリと笑うロン。
ヒスイ「す、すごい・・相変わらずすごいドライブショットです・・・。」
セシル「スピードも半端じゃないわよ!」
ヒスイ「えぇ、あの特殊なコア・・・肩と腕を分離し、腕パーツとホールドパーツが
一体化しています。それがあのパワーの秘密!そして、その強力なパワーの反動に耐えるために、バックアーマーもかなり改良されてますね。」
 あの二枚のフリー可動ウィングが最高の持ちやすさを出しているのだろう。
クロウ「(少し、厄介かもしれないな。)」
 さすがに身構えるクロウ。
クロウ「(まぁ、『少し』だけだが。)」
 ホールドパーツをおもいっきり締め付けるクロウ。
 ギシギシ・・・!
 軋むボディ。相当な負荷がかかっている。
クロウ「食らえ!」
 ドンッ!!
 レクイエムから発射される強力なショット。
ロン「むっ!」
 ロンもそれを撃ち落そうとするが、クロウのショットの方が数段強かったらしく、
何発撃ってもとまらない。
 ガキンッ!!
 それでも、大分威力を半減できたので、ショットがヒットしてダメージは少ない。
ロン「ほう。」
クロウ「・・・!」
 そしてクロウの方も、指に相当な負担がかかってしまった。
ヒスイ「今のショット・・・撃ったクロウの方がダメージは大きいですね。」
セシル「そんな!攻撃を仕掛けたほうが逆にダメージを受けるなんて!」
クロウ「(こいつもそろそろ限界か?・・・ふっ、ならいいさ。それならそれで、使
い物にならなくなる前に踏み台にするまでだ。)」
 再びシメうちの構えをとる。
セシル「え!?」
ヒスイ「まさか、またあんなショットを!?」
クロウ「(まだ利用価値はある・・・道具なら道具らしく、ゴミになるまえにしっか
り使わせてもらう。)」
 ドキュンッ!!
 再び強力なシメうち。
ロン「!?」
 そのシメうちはさっきとは比べ物にならないくらい強い。さすがのロンも迎撃しきれず、ヒットする。
ロン「・・・・。」
 だが、全く動じない。
クロウ「はあああぁぁ!!」
 再びおもいっきりシメる。
セシル「ちょ、ちょっとクロウ!」
ヒスイ「やめてください!これ以上あのショットを撃てば、レクイエムが持ちません!」
クロウ「持たすつもりなんかない。」
ヒスイ「な・・・!どういう意味ですか!?」
クロウ「そのままの意味だ。」
 ギシギシ・・・!!
 クロウは更に力を加える、ボディの軋みもどんどん大きくなる。
セシル「な、何、この音・・・!」
ヒスイ「悲鳴です・・・クロウの力に、レクイエムが悲鳴を上げてるんです・・
・。」
ロン「面白い・・・。」
 その様子を微笑しながら見るロン。
クロウ「うおおおおお!!!」
 更に力を上げる。
セシル「も、もうやめて・・・クロウ!このままじゃ・・・このままじゃ・・・!」
 そして、トリガーを押すクロウ。
クロウ「!?」
 その時、レクイエムのショルダーパーツの一部が砕けた。
 そして、その事で力を緩めてショットを放った。
 ドンッ!!
 そのショットはさっきよりも数段弱い。だが、その分機体への負担は軽減された。
ロン「ふん。」
 あっさり撃ち落すロン。
ロン「やはり・・な。」
クロウ「・・・・・。」
 自分の行動に驚きを隠せないクロウ。
クロウ「(何故だ・・・何故、俺は手加減した・・・!あの状態でパーツが破損する
など、予想の範囲内だったはずだ!なのに・・・何故俺は、あの時、必要以上に動揺した?・・・なんだ、この気持ちは・・・!)」
 得体の知れない感情に戸惑うクロウ。
ロン「お前の中に・・・弱さが生まれている。」
クロウ「!?」
ロン「完璧だったものが・・・崩されていく瞬間か・・・。」
クロウ「貴様いったい・・!」
ロン「これで、お前の支えているものの一つを崩せる。」
 ドキュンッ!!
 レクイエムへ強力なショットを放つロン。
クロウ「うっ!!」
 迎撃は間に合わず、それはレクイエムに直撃。
 そして・・・・。
クロウ「あ・・・・!」
 クロウの手から・・・無数の欠片が・・・落ちた・・・。
ヒスイ「そ、そんなバカな。」
セシル「レクイエムが、粉々になるなんて。」
ロン「ふん。」
 ロンはその様子を鼻で笑い、そのまま踵を返して歩いていった。
ロン「(今出来る復讐は、これが限度だな。)」
 クロウは、地面に落ちた欠片を見ることなく、去っていくロンの姿を見るわけでもなく、ただ、立っていた。シメ撃ちの構えをとったまま、直立不動していた。精彩の欠けた目をしながら。
クロウ「・・・・・。」
セシル「クロウ・・・。」
 セシルはクロウの足元にあるレクイエムの欠片を集め、拾った。
セシル「ひどい・・!」
ヒスイ「これではもう、修復は難しいです。」
セシル「そ、そんな!なんとかならないの!?」
ヒスイ「無理ですよ。原型がわからなくなるくらい粉々にされたら。」
クロウ「(俺は何故呆然としている・・・。経緯は違うもののこうなることは、こう
いう結果は既に予想できた・・・いや、俺の中で予定されていたものだ。じゃあ俺は何に驚き、何に対してこの気持ちを抱いているのか・・・。そして、この気持ちは何なのか・・・。)」
 クロウは、無言のままセシルの手にある欠片の一つをとった。
セシル「あ。」
クロウ「・・・・・。」
 無言でその欠片を見つめる。見ていると、なんだか喉に何か得体の知れないものが詰まったような感覚を覚えた。
クロウ「(これは・・・この感情は・・・まさか・・・。)」
 驚いた。クロウは自分自身に驚いた。自分自身の感情に。
ヒスイ「クロウ?」
 クロウは、顔を伏せ、静かにしゃべりだす。
クロウ「俺は・・・今まで・・・ビーダマンは自分の強さを表現するための、道具だ
と思っていた・・・。だから、たとえ壊れたとしても、それはそのビーダマンが弱い
せいだから・・・弱いビーダマンは俺にとっては必要の無いものだから・・・だか
ら、より強いものに取り替えればいいと、ただそれだけ思っていた。」
ヒスイ「・・・・。」
クロウ「なのに・・・・なのに、なんでだろうな?・・・・なんで、こんなに悲しい
んだろうな?」
 クロウは、手を握り締めた。必死で涙をこらえているのだ。その握り締めた手は小刻みに震えている。
セシル「クロウ、それは人として当然のことだよ。自分の愛機が壊れたんだから・・・。」
クロウ「俺は!・・・俺は・・・お前らと同じ、人間じゃないんだ。」
セシル「え!?」
ヒスイ「ど、どういう意味ですか!?」
 驚愕するセシル。
クロウ「俺は・・・あの忌々しいマッドサイエンティスト、Dr.コハクの手によっ
て、人工受精の末に生まれた、改良型ヒューマノイドなんだ。」
ヒスイ「改良型・・・ヒューマノイド・・・?」
セシル「それっていったい・・・?」
 今まで聴いたことの無い単語に疑問を抱くセシル。
クロウ「俺の両親は、二人とも有名なビーダーだった・・・。」
 ゆっくり語り始めるクロウ。
クロウ「数々の大会で優勝し、その実績は伝説のビーダーとうたわれるほどのものだったらしい・・・。
だが、そんな二人の間にはビーダーとしての才能を持ったものは生まれなかった。
よほどショックだったんだろうな。『才能を持ったものの子供が凡人』その事実が、どうしても許せなかったらしい。
そして二人は、悪魔に魂を売った・・・。」
ヒスイ「人工的に、才能のある子供を産もうとしたんですね?」
クロウ「ああ。」
セシル「で、でも当時にそんな医療技術を持った人がいるの?今だって、そんな特殊な技術を持った人は数えるくらいしかいないのに・・・。」
クロウ「一人だけいたんだよ。悪魔のような、神がな・・・。」
ヒスイ「それが、Dr.コハク?」
クロウ「あぁ、あの二人の希望通り、Dr.コハクは人工的な受精を行い、俺が生まれた。
成功だった。俺は、誰もが予想も出来ないほどの強さをもって生まれることが出来た。
希望が叶ったんだ、最初は喜んださ、あの二人は。だが、問題はその後だった。」
セシル「その後って?」
クロウ「俺の力は、強すぎたんだ。それゆえ、バトルをすれば必ずまわりを傷つけてしまう。幼かった俺は、自分の力を制御するなんてノウハウはなかったからな。そして、その力に恐怖したあの二人は・・・俺を・・・!」
 クロウの手が更に強く握られる。
クロウ「地下牢へ監禁したんだ。」
ヒスイ「え!?」
セシル「ひ、ひどい!」
クロウ「日のあたらないあの暗闇の中、俺は外に出ることはおろか、誰とも会うことは許されず、しゃべることも、歩くことも、立つことさえ、制限された。それが、被害を出さない唯一の方法だったらしい。そして、俺はそれをただ受け入れていた。いや、ただ分からなかっただけかも知れない。自分が何故ここにいるのか、そして、今ここにいることはつらいことなのかどうかと言う事さえ。」
セシル「・・・・。」
クロウ「だが、ついにそれも限界が来た。例えわからなくても、精神や肉体は正直だ。限界が来れば、キレる。俺はついに、あの牢屋を破壊し、そして・・・。」
ヒスイ「そして・・・?」
クロウ「・・・・・。」
 クロウは息を吸い込んだ。次の言葉を発するには、相当なエネルギーがいるらしい。
クロウ「俺は・・・自分の両親と、兄弟を・・・手にかけてしまったんだ・・・!」
セシル「!?」
クロウ「俺は自分の力を、強さを呪った・・・。」
セシル「で、でも、だったらなんで、クロウは今まで強さを求めてきたの?クロウにとって強さは・・・。」
クロウ「自分の・・・唯一のパートナーを守るために・・・。」
セシル「唯一のパートナー?」
クロウ「肉親を手にかけた俺は、本当に孤独になってしまった。そんな俺には、もう何もなかった・・・そう、俺には強さしか残ってなかったんだ。」
セシル「強さしか・・・。」
クロウ「強さだけが、俺の唯一のパートナーだった。だから、俺はそれを失いたくなかったんだ!強さだけを求められて生まれたものにとって、それだけが俺の存在意義だった。俺は、それを失いたくなかったんだ・・・!」
 吐き出すように全てを語ったクロウ。
セシル「そんな過去があったなんて・・・・。」
クロウ「だが・・・・。」
 顔を上げるクロウ。
クロウ「そんな俺にも、いつの間にか・・・仲間、と呼べるものができたのかもしれない・・・。」
セシル「クロウ・・・・。」
 クロウのセリフにセシルは笑顔で言う。
セシル「うん!私達は仲間よ!」
ヒスイ「そうですよ!僕達は、どんなことがあっても、仲間です!」
クロウ「お前ら・・・。」
 ビュウウウウウ~!!
 その時、頭上から突風が吹いた。
クロウ「なんだ!?」
 見上げると、そこには鋼の烏が飛んでいた。
ヒスイ「あれは、あの時の!?」
セシル「あの時?」
ヒスイ「そうだ!クロウ!追いかけましょう!」
クロウ「なに。」
ヒスイ「あの烏なら、もしかしたら蘇らせることが出来るかもしれません!!」
クロウ「・・・・。」
 最初はヒスイの言ってる意味が良くわからなかったが、だんだん理解してくるクロウ。
クロウ「なるほど、賭けてみるのも、悪くないな。」
セシル「ちょっと、なんの話よ!」
ヒスイ「さぁ、行きましょう!」
クロウ「ああ!」
 駆け出す二人。
セシル「え、ちょっと待ってよ!」
 あわてて二人の後を追うセシル。
 ようやく本当の仲間となれた三人。この先、いったいどんなことが待っているのか・・・。
       つづく
 次回予告
ヒスイ「破壊されたレクイエムを復活させるため、僕達はあの鋼の烏を追いかけました!」
クロウ「そして、その末にたどり着いた場所にあったものは・・・!」
ヒスイ「こ、この建物はいったい!?」
セシル「次回!『鋼の砦』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」



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爆・爆ストーリー ZERO 第29話

第29話「ロン襲来!吹雪から現れた憎悪」
 なんとかB-フォースと決着を着ける事が出来たクロウ達。
 と言うわけで、ようやくグラビトンビレッジでゆっくりする事が出来るわけで・・・。
ヒスイ「お、重い・・・!」
 とあるブティック店で、ヒスイは両手いっぱいに荷物を抱えていた。
セシル「え~っと、これと、これと、あ~それからこれも!」
 セシルは次々に服を選び、ヒスイに渡す。
ヒスイ「うわわ~!ちょっと、これは買いすぎじゃないですか~!?」
セシル「別にいいじゃない。私のお金なんだし。やっとこうしてゆっくり買い物が出来るんだから。」
クロウ「(服だけこんなに買ってもしょうがないと思うが・・・。)」
 クロウには、女心と言うものが全く分からないらしい。まぁ、男として生まれた以上、女心というものは一生理解出来ないものらしいが・・・。
 ちなみに、クロウは全く荷物を持っていない。押しの弱いヒスイと違い、クロウは荷物持ちを丁重に断ったのだ。
クロウ「(いつまでもこんな所にいても、時間の無駄だな。)」
 目を輝かせて服を選んでいるセシルを見て、このまま長く続くだろうと判断したクロウは、店を出る事を選択した。
クロウ「・・・・・。」
 特に当ても無く、ブラブラと歩くクロウ。
 そしてその時、路地裏から子供達の声と、ビーダマンの発射音が聞こえてきた。
クロウ「この音は。」
 どうせくだらないビーダーの集まりだろうが、何も無いよりはいいと判断したのか、音のする方向へと足を運ぶクロウ。
 そして、案の定、路地裏では、子供達がビーダマンで遊んでいた。
子供A「いけー!」
子供B「連射連射~!!」
 しかし、子供達はただビーダマンをひたすら撃つだけで、特に対戦しているわけでも、ターゲットを狙っているわけでもない。
 まぁ、ビーダマンはただ撃つだけでも結構快感だったりするからね。釣りも同様、例え釣れなくても、ただルアーを投げるだけでも結構楽しかったりするのだ。

クロウ「お前ら、何してるんだ?」
 さすがに呆れたクロウは、思わずそんな事を言ってしまった。
子供A「え?ビーダマンだよ!」
 子供達のうちの一人が答える。
クロウ「見れば分かる。で、今ビーダマンでやってるそれは何なんだ?」
子供B「何って・・・特に決まってないけど・・・。」
クロウ「はぁ・・・。」
子供C「もしかして、お兄ちゃんもビーダーなの?」
クロウ「ああ、まぁな。」
子供D「強いの?!」
クロウ「少なくとも、お前らよりはな。」
子供A「うわぁ~!だったら、僕達にビーダマンを教えてよ~!!」
 子供達が目を輝かせてクロウに言う。
クロウ「その前に・・・一つ言わせて貰うが。ビーダマンは競技だ。ただ撃てばいいと言うわけじゃない。」
子供B「そんな事、分かってるよ・・・。」
 突然うつむく子供達。
子供A「でも、僕達の家お金少なくて・・・やっとビーダマンを買って貰ったんだけど、ターゲットやDHBアーマーを買うお金は無いんだ・・・。」
クロウ「バカか?」
子供A「え?」
クロウ「いくら流行ってるからって、別にDHBをする必要なんてないし、ターゲットも無理に市販品のを使う必要はない。」
子供C「そんな事言われても・・・。」
クロウ「ターゲットなんて、そこら辺に転がってるもので十分だ。例えば・・・。」
 クロウは、ゴミとして捨てられ、転がっていたガチャガチャのカプセルみたいなものを拾った。
クロウ「こんなもので十分だ。」
子供B「こんなのでいいの?」
クロウ「ああ。狙えるものならなんでもいい。そして、ちょっと工夫するだけで、競技はいくらでも作れる。」
 クロウは、ガチャガチャのカプセルを置き、地面に線を引く。
クロウ「このカプセルをビー玉で押し合い、先に相手の陣地に入れたほうが勝ちだ。」
子供A「うわぁ!面白そう!」
 早速、クロウの発案した競技に興じる子供達。
子供D「こんな簡単な事でビーダマンの競技が出来るなんてスゴイや!」
クロウ「イチイチ、押し付けられたセオリーに従う必要は無い。少しは頭を使え。」
子供C「うん!」
 つーわけで、特になんの成果も得られないと判断したクロウは、そのまま路地裏を後にし、店へと戻った。
セシル「え~っと、あとはこれとこれと・・・。」
 まだ選んでいたセシル。クロウは黙って二人のそばによる。
ヒスイ「あ、クロウ。どこ行ってたんですか?」
クロウ「ちょっとな。それより、まだ選んでるのか、あいつは?」
ヒスイ「ええ・・・。」
 ヒスイはげんなりとした表情で、未だに目を輝かせているセシルを見る。
ヒスイ「はぁ・・・。」
クロウ「おい、いい加減にしておけ。」
 クロウがセシルの腕を掴む。
セシル「え?」
クロウ「本気で全部買う気か?」
セシル「別にいいでしょ~、私のお金なんだし。」
クロウ「で、どうやって持っていくんだ?」
 セシルの表情が凍りつく。
店員「ありがとうございました~!」
 店員の礼をうけ、店の外に出る。
セシル「はぁ・・・結局あまり買えなかったなぁ・・・。」
 ヒスイの両手にぶら下げてある紙袋を見てため息をつく。
ヒスイ「(これであまりですか・・・。)」
セシル「まぁいいや!よーし、次はファンシーショップよ~!!」
ヒスイ「ま、まだ行くんですか~!?」
 セシルの強引な決定により、ファンシーショップへ向かう事になった。
セシル「うわ~、これかわいい~!!」
 セシルは、店の中にいろいろと並べてあるアクセサリー類を見てはしゃいでいる。
ヒスイ「はぁ・・・・。」
 またも荷物持ちをやらされる事でため息をつくヒスイ。
クロウ「しかし・・・。」
 クロウは、店の中を一通り見る。
 店の中は、いかにも女の子が喜びそうな感じの小物がたくさんおいてあり、お客である女の子達がキャキャ言ってる。
クロウ「こんなののどこがいいんだろうな?」
ヒスイ「それは、まぁ、僕らには理解出来ないでしょうけど・・・。」
クロウ「こんなもの、どんな形をしていようが、性能はどれも変わらない。持っている意味は無いだろ。」
ヒスイ「・・・・・。」
 女心以上に、クロウの考え方の方が理解しづらいと思われる。
セシル「あ~、楽しかった~♪」
 ファンシーショップを出たセシルは、かなりご機嫌のようだ。
jクロウ「随分とご機嫌だな・・・。」
 いい加減退屈度が限界まで来ている様子のクロウ。
ヒスイ「まぁ、いいじゃないですか。あれだけの事件があった後なんですから。」
クロウ「・・・・。」
セシル「よーし、次は・・・!」
クロウ「待て。」
 セシルのセリフを遮るクロウ。
セシル「何よ?」
クロウ「次は俺達の番だ。」
セシル「???」
 そして、クロウ達の向かった場所は・・・・。
ヒスイ「わぁ、すごいですね~!!」
 ビーダマンショップだった。ちなみに、セシルの買った膨大な荷物はコインロッカーに預けている。
クロウ「予備パーツをいろいろと買って置いたほうがいいだろうからな。」
ヒスイ「そうですね!」
セシル「う~ん、私もレーザーホーネット用に、何か買ってみようかな?」
ヒスイ「それがいいですよ。メンテ用の道具もいろいろいりますしね。」
セシル「ふ~ん、そうなんだ。」
ヒスイ「ええ。あと破損した時に必要な、修復剤とかも揃えておいたほうが良いですよ。」
セシル「う~ん、良く分からないなぁ・・・。」
クロウ「心配するな。分からなくても、ものさえあればこいつがやってくれる。」
 親指でヒスイを指差すクロウ。
セシル「そっか!」
ヒスイ「あ、あんまり頼りにされすぎるのも困りますけど、ある程度なら僕がなんとかしますよ(汗)」
セシル「うん、頼りにしてるね~!」
 そしてクロウは、ターゲットセットが売ってある棚に目を向けた。
クロウ「(わざわざこんなものが売ってるあるのか・・・買うほうも買うほうだが、売るほうも売るほうだな。)」
 ターゲットなんてものは、買わなくてもそこら辺にある。わざわざ買うなんてバカらしい。
 幼い頃、まわりに何もなく、一人で強くなるしかなかったクロウにとって、それは当たり前の事だった。
 そして、買い物を済ませたクロウ達は、グラビトンビレッジをあとにした。
セシル「ふぅ、満足満足~。」
ヒスイ「これでようやく、グラビトンビレッジともお別れですね。」
セシル「うん、いろいろあったよね~。」
クロウ「・・・・。」
 特にこれと言って話題があると言うわけじゃない。
 3人はしばらく何もしゃべらず荒野を歩いていた。
セシル「ねぇ・・・ちょっと寒くない?」
 体を振るわせるセシル。
ヒスイ「た、確かに、少し冷えてきましたね。」
クロウ「ああ。今の時期にしては珍しいな。」
 と、その時、クロウ達の目の前に白い綿の様な物がふわふわと降りてきた。
ヒスイ「これは・・・。」
セシル「雪?」
 それは紛れも無く雪だった。
クロウ「忘れ雪・・・とか言う奴か?」
ヒスイ「いや、それにしても時期はずれすぎますよ!」
 その時・・!
セシル「きゃっ!」
 突如吹雪きが起きた。
 その吹雪はすぐに止んだが、辺り一面が銀世界になってしまった。
ヒスイ「な、なんなんですか、一体!!」
 と、クロウの方を見る。
ヒスイ「クロウ?」
 クロウは、何かに怯えているように見える。
クロウ「(これは・・・!この・・・吐き気がするほどの激しい想いは・・!)」
 顔をしかめ、辺りを見回すクロウ。
クロウ「(奴か・・・奴が・・・また・・・!)」
 そして、前方から雪を踏みしめる足音がどんどん近づいてきた。
クロウ「!?」
ヒスイ「あ、あなたは!」
 そう、かつてクロウに脅威を与えた、あのロンだった。
ロン「見つ・・・けた・・・。」
 クロウの姿を確認したロンは、ニヤリと笑う。
クロウ「くっ・・・!」
 そして、ビーダマンを構えるロン。
ヒスイ「そ、そのビーダマンは、ライジングヘイロンじゃない!?」
 ロンの持っているビーダマンは、血にまみれたバイザー、そしてどす黒いボディが印象的な・・・。
ロン「ブリザード・・・ヘイロン・・・!」
 ドンッ!!
 ブリザードヘイロンから放たれた強力なショットがクロウに向かって飛んで来る。
クロウ「ちぃ!」
 間一髪でそれを交わす。そして、そのショットは雪の地面を舞い上がらせた。
ロン「お前に避ける資格は無い・・・。大人しく、死ね!」
 ドンッ!!
 更に強力なショットが放たれる。
クロウ「貴様・・!」
 ガキンッ!!
 素早くレクイエムを取り出し、迎撃。なんとかロンのショットを止める。
クロウ「何故だ!何故俺をつけねらう!」
ロン「憎い・・・!」
 クロウの問いには答えず、それだけつぶやく。
 ドンッ!!
 またもヘイロンから放たれるショット。
クロウ「くっ!」
 バーンッ!!
 今度は見事レクイエムに命中。何メートルか吹っ飛ばされるが、ビーダマンは手放さなかった。まぁ、今回はルールも何も無いから手放した所で勝ち負け云々は影響ないんだけど。
クロウ「貴様・・・!!」
 ここでようやくクロウも戦闘体制に入る。
セシル「クロウ!話しなんか通じる相手じゃないよ!」
ヒスイ「そ、そうですよ!とにかくバトルに集中してください!」
クロウ「分かっている!」
 今度はクロウがロンに向かってショットを放つ。
ロン「・・・・・。」
 しかし、ロンはなんなくそれを撃ち落す。
ヒスイ「い、以前より遥かにパワーアップしてます!」
クロウ「(こ、この力・・・!一発一発に込められた憎しみが、骨が軋むような激しい憎悪が伝わってくる・・・!)」
 震える手を握りなおし、再び構えるクロウ。
クロウ「(だが、何故奴は俺を憎む・・・?俺は、奴を知らない・・・奴は、俺を知っているのか?)」
ロン「ユルサナイ・・・・ユルセナイヤツハオレノヒョウテキダ。」
 まるで機械のように何回も同じセリフを繰り返しだすロン。
セシル「な、なんなの!?」
ヒスイ「彼は一体・・・。」
クロウ「誰だって構わないさ。立ち塞がる奴は倒すだけだ。相手にどんな都合があろうが、俺には関係ない。俺にとっては単なる糧に過ぎないんだからな。」
ロン「オマエガイナケレバオレハ・・・オマエサエ・・・!!」
 更に激しく憎悪を剥き出しにした顔でクロウを睨むロン。
クロウ「・・・!」
 一瞬ひるむが、すぐに体勢を立て直し、レクイエムの銃口をロンに向けるクロウ。
クロウ「すぐに、終わらせてやるよ。」
 そのレクイエムの素体は、さっきのロンのショットによってヒビがはいっていると言う事にも気づかずに・・・。
             つづく
 次回予告
クロウ「俺は、いつも一人だった・・・まわりには何も無い・・・そう、暗闇しかない・・・感じられるものは、ただ一つ・・・・ただ・・・寒かった・・・。それでも俺は・・・生きて・・・いたかった・・・。」
ヒスイ「次回!『クロウの告白』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」


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爆・爆ストーリー ZERO 第28話

第28話「戦う決意」
レシアス「さぁ、お話の時間は終わりです。一気にかたをつけますか!」
 レシアス、チルド、シルバが一斉にビーダマンを構える。
クロウ「ふん・・・誰だろうと、何人で来ようと、関係ない。」
 クロウもレクイエムを構える。
クロウ「だが・・・本当に好都合だ。」
 口元を吊り上げ、微笑するクロウ。
レシアス「いきますよ!」
 ドンッ!!
 パワードスナイパーのショットが真っ直ぐクロウへ向かう。
クロウ「ふん、遅いな。」
 あっさりかわしてしまう。
シルバ「はああぁぁ!!」
 ホーリープリンスのショートストロークトリガーによる超速連射が襲い掛かる。
シルバ「ショートストロークショットじゃ~!!」
クロウ「はぁ!」
 ドンッ!!バーンッ!!
 シルバの超速連射をパワーショット一発で全部弾き飛ばしてしまった。
シルバ「なっ!?」
チルド「・・・・。」
 チルドはその様子を面白そうに見ている。
チルド「(ふふふ、見ていたほうが面白いや。)」
クロウ「どうした、もう終わりか?」
シルバ「くっ!」
 二人相手に全然余裕のクロウ。
ヒスイ「(ふふふ・・・さすがだ・・・!)」
 ニヤリと笑みをこぼすヒスイ。
レシアス「ふん、あの時よりは強くなったと言う事ですか。」
クロウ「違うな。」
 レシアスのセリフをあっさり否定する。
レシアス「なに・・・!?」
クロウ「強くなったのではない。これが、俺の元々の力だ。そして、その強さはこのバトルで更に磨きがかかる。」
 ドンッ!!
 レシアスへ向かってパワーショットを放つ。
レシアス「はぁ!」
 迎えうつパワードスナイパーだが、あっさり弾かれてしまう。
レシアス「!?」
 カンッ!!
 そのままパワードスナイパーにショットがヒットする。
 しかし、迎撃によりある程度威力が減っていたため、耐えられた。
レシアス「・・・・・。」
 しかし、レシアスは、そのままうつむき、呆然と立ちすくんでいた。パワードスナイパーを持っている手が小刻みに震えている。
シルバ「大丈夫か!?」
レシアス「シルバ・・・悪いですが、手を出さないでください。チルドも、いいですね?」
チルド「うん。」
 レシアスの顔半分上が黒い影に隠れる。
シルバ「(こ、この雰囲気は・・・!?まさか、過去に二度しか見せていないあの技を・・・・!?)」
クロウ「ようやく、面白いものが見れそうだな。」
 この期に及んでまだ余裕のクロウ。
レシアス「えぇ、見せてあげますよ・・・。最高に面白い物をね。」
 ダッ!
 パワードスナイパーを逆さに持ち、飛び上がる。
ヒスイ「跳んだ!?」
レシアス「メテオスマッシャー!!」
 ビー玉を発射した瞬間、思いっきりちょうどブレードショットみたいにパワードスナイパーを振り下ろす。
 すると、物凄い勢いでビー玉が振ってくる。
クロウ「くっ!」
 間一髪でそれをかわす。
 ズゴーン!!
 そのショットにより、地面がえぐれてしまった。
クロウ「・・・・・。」
ヒスイ「な、なんて威力ですか・・・!」
レシアス「ふふ。」
 着地するレシアス。
ヒスイ「なるほど・・・アンダーレールによってビー玉を地面に向かって叩きつけたんですね・・・。」
レシアス「さぁ、どうします?」
 余裕の笑みを浮かべるレシアス。
ヒスイ「ま、まずいですよクロウ!」
セシル「頑張って、負けないでクロウ!」
 一瞬、クロウはセシルをにらみつけたが、すぐにレシアスに向きなおす。
セシル「?」
クロウ「その技を使った時点で、お前の負けだ。」
レシアス「なにぃ・・・!?」
 ビクッとレシアスの足が動く。
クロウ「辛いだろう?立ってるのが。」
レシアス「ぐっ・・・!」
クロウ「俺をビビらせるために敢えてリスクの大きい技を使ったんだろうが、残念だったな。最後の切り札が通用しなくて。」
レシアス「まだ・・・まだですよ!」
 レシアスが銃口をクロウに向ける。
クロウ「無駄だ、諦めろ。パワーはこっちの方が上。動けなくなった相手など、俺の敵ではない。」
 ドキュンッ!バキィ!!
 パワードスナイパーに向かって飛んで来たビー玉がパワードスナイパーを撃破する。
レシアス「うっ!」
クロウ「なに!?」
 しかし、玉を撃ったのはクロウではない。
チルド「なぁんだ。その程度か。レシアスもたいした事無いんだね・・・。」
レシアス「チルド・・・!」
シルバ「・・・・。」
 シルバもチルドに怯えているようだ。
チルド「シルバも邪魔だよ。」
 バキィ!
 チルドのショットがホーリープリンスを弾く。
シルバ「くっ!」
ヒスイ「な、仲間のビーダマンを・・・!?」
チルド「さぁ、今度は僕と遊ぶ番だよ。」
 そして、ジェネラルワンを地面に叩きつけ、踏み潰す。
セシル「ビーダマンを・・・!?」
ヒスイ「(やはりあのビーダマンはフェイクか・・・。)」
チルド「ふふふ。」
 そして、懐から見た事の無い紫色をしたゴツいビーダマンを取り出す。
チルド「さぁ行こうか。ジェノサイドメフィスト。」

セシル「ジェノサイドメフィスト!?」
ヒスイ「な、なんて威圧感のあるビーダマンだ・・・!」
クロウ「(ジェネラルワンであれだけの力を出した奴のビーダマンだ・・・どれくらいのものか、探りを入れてみるか。)」
 手始めに二発ほどビーダマンを放つクロウ。
チルド「ふんっ!」
 チルドはたった一発で撃ち落してしまった。
クロウ「(なるほど。思った通り、パワー型か。)」
チルド「どうしたの?もっと遊ぼうよ。」
クロウ「・・・・。」
 クロウは、一旦チルドから離れた。そして、離れざまに一発撃ち込む。
 しかし、チルドはまたもそれを撃ち落す。
チルド「違うよ・・・遊ぼうって言ってるんだ・・・!」
クロウ「(ドライブか・・・?)」
ヒスイ「あのショット、ドライブに見えますが、でも素体はノーマルですね・・・どういう構造なんでしょう?」
セシル「分析してる場合じゃないよ!このままじゃ、クロウが!」
 その声を聞き、一瞬セシルを睨むクロウ。
クロウ「何の心配をしてるんだ?」
 振り向きもせず、セシルにそう問い掛ける。
セシル「え?」
クロウ「はぁ!」
ガキンッ!!
 再びぶつかり合うクロウとチルドのショット。
チルド「やっと遊んでくれた・・・。」
クロウ「いや、遊びはもう終わりだ。良い子はもう帰る時間だろ。」
 ドンッ!!
 ホールドパーツを思いっきりシメてショットを放つ。
チルド「っ!」
 バーンッ!!
 見事にヒットする。
 そして、そのショットの衝撃で辺りに砂煙が立ちこめる。
クロウ「むっ!」
 砂煙が晴れ、チルドの姿が露になる。が、チルドはビーダマンをしっかりもっていた。
チルド「ふふ。」
 しかし、よほどクロウのショットが強力だったのか、ジェノサイドメフィストは破損しており、所々パーツが外れていた。
セシル「お、惜しい!」
ヒスイ「でも、大分追い詰めましたよ!」
クロウ「(違うな・・・。)」
チルド「リミッター・・・パージ!」
 ドンッ!!!
 ジェノサイドメフィストからとんでもない強力なショットが放たれる。
クロウ「ちっ!」
 咄嗟にそれをよけるクロウ。
セシル「ど、どうなってるの!?」
ヒスイ「破損したビーダマンは普通、バランスが崩れて、パワーが上がらないはずなのに・・・!」
クロウ「コレが、奴の本当の姿なんだろう。破損したのではなく、邪魔になるパーツを取っ払っただけ。そうだろ?」
チルド「うん、そうだよ。」
セシル「え!?」
ヒスイ「ジュウが言っていた、『二つの姿』とは、こう言う事でしたか・・・。」
チルド「さぁ、お遊びを始めよう。」
 クロウに銃口を向けるチルド。
クロウ「仕方ない、まぁいいだろう。」
 クロウも構える。
ヒスイ「これは、長期戦になりそうですね・・・!」
 しかし、旦那としては、早く決着がついてほしいわけで。
旦那「(やはり、あいつらだけでは心もとないな。)」
 旦那は指をパチンッと鳴らす。
旦那「バトルを盛り上げてやろう。」
クロウ「なに!?」
 突如、クロウのまわりに複数の黒服の男達が現れた。
クロウ「貴様・・・!」
旦那「これで、終わりだな。」
 まわりの黒服達が一斉にクロウに銃口を向ける。
クロウ「(まぁ、こんなザコが何人集まろうが・・・。)」
セシル「お願いクロウ!負けないで!」
 見た目不利なクロウを必死で応援するセシル。
クロウ「(ちっ!)」
 そんなセシルに対し、心の中で舌打ちするクロウ。
セシル「お願い・・・・私は・・・自分の夢を叶えたいの・・・・!」
 涙を流しながら叫び続けるセシル。
クロウ「・・・・・・お前!」
 そんなセシルに突如怒鳴るクロウ。
セシル「え?」
クロウ「本当に夢を叶えたいと思ってるのか?」
セシル「!?」
 そして、懐からレーザーホーネットを取り出し、セシルに投げつける。
 セシルはレーザーホーネットを受け取らず、レーザーホーネットはセシルの足元に落ちる。
クロウ「お前に、それを持つ勇気があるか?それを持つと言う事は、ビーダーとして、戦う事を意味する。そして、今この場で戦うと言う事は、自分の父親と戦う事になるんだ。」
セシル「・・・・。」
 クロウの言葉を聞き、一歩退くセシル。
クロウ「お前はただ、逃げてただけだ。ロクに父親を説得しようともせず、家出したのも、いつまでも俺達の後をついてきたのも・・・お前は、自分の父親に勝つ自信がないんだ。自分の夢に自信がないんだ。だから逃げたんだろ?」
セシル「ち、ちがっ・・!私は・・・。」
クロウ「俺には夢は無いが・・・求めなければならないものがある。だから戦ってるんだ。夢のために戦う勇気も無い奴が、夢なんか語るんじゃない。虫唾が走るんだよ!」
セシル「・・・・・。」
 そして、チルドと大勢の黒服達との戦いに身を投じていくクロウ。
 そのクロウの姿を見て、セシルは思案する。
セシル「(私は・・・逃げてただけ・・・。家出したのは、お父様に訴えるのに一番有効だと思ったから・・・だけど、本当は、ただ怖かっただけなのかも・・・。)」
 足元のレーザーホーネットに視線を落とす。
 “お前に、それを持つ勇気があるか?それを持つと言う事は、ビーダーとして、戦う事を意味する。そして、今この場で戦うと言う事は、自分の父親と戦う事になるんだ。”
 “夢のために戦う勇気も無い奴が、夢なんか語るんじゃない。虫唾が走るんだよ!”
 クロウのセリフが脳裏に浮かぶ。
セシル「(クロウならきっと・・・ここにいる全員をあっさりと倒してしまうに決まってる・・・だけど、それじゃ何も解決しない・・・。逃げるのは簡単だけど・・・戦うのは怖いけど・・・!)」
 意を決して、レーザーホーネットを拾うセシル。
セシル「(私は・・・夢を叶えたい!)」
 一方クロウは、大方の予想通り、黒服達に圧勝していた。
クロウ「ザコが何人集まろうが、同じだ。」
 あれだけ多かった黒服達だが、もう3人にまで減っている。
旦那「な、なんてビーダーだ・・・!」
チルド「ふふ。」
 ドンッ!!
 クロウが黒服達に集中している隙にチルドがクロウの背中に向かってショットを放つ。
クロウ「甘いな。」
 素早く振り向き、それを迎撃しようとする。が、その時!
 ガキンッ!
クロウ「ん?」
 クロウがビー玉を撃つ前に、そのショットに一発のビー玉がヒットした。
クロウ「ほう・・・。」
 しかし、そのショットだけではチルドのショットを止められなかったので、クロウが一発撃ち、完全に撃ち落した。
 そして、チルドのショットに向けた一撃を放ったのは・・・!
クロウ「ようやく、腹を括った様だな。」
セシル「うん・・・私に出来るかどうか分からないけど、でも、今出来る事をやりたいの!それが、私の本当の夢。」
旦那「なっ・・・・!」
 セシルの登場に、かなり動揺する旦那さん。
旦那「そんな・・・・せ、セシルよ・・・パパと戦おうと言うのか?あぁ、私の可愛い娘よ・・・・!」
セシル「私は、お父様の言いなりにはならない。私の人生は私が決めるの!私が決めたいの!」
旦那「ガーン・・・・!」
 セシルの言葉にかなりショックを受けた旦那さんは、そのまんま放心状態のまま、公園の外へ出て行ってしまった。
ヒスイ「あ、あれ?」
黒服A「あぁ、旦那様!」
 黒服達も慌ててその後を追う。
 しばらく呆然とする一同。
レシアス「これは、依頼主が依頼を破棄した・・・と言う事ですかね。」
シルバ「となると、俺達はもう用無しじゃな。」
レシアス「仕方ありませんね。報酬はまだもらってませんし、後でキャンセル料を請求しておきますか。では、帰りますよ。」
チルド「えぇ~、つまんないよ~。」
 ダダをこねるチルド。
レシアス「私達は仕事をしにきたんですよ。その仕事がないのなら、もうここにいても仕方が無いでしょう。」
チルド「はあ~あ・・・・。」
 チルドはがっくりと肩を落とし、アジトへと帰っていくレシアスとシルバの後をついていく。
クロウ「終わったな、これで。」
ヒスイ「ええ。」
セシル「(初めて、本当にお父様と戦えた・・・・自分のために戦えた・・・・。)」
 セシルはこのバトルで、何かを得る事が出来たようだ。
              つづく
 次回予告
セシル「はぁ~、やっとB-フォースやお父様から解放された~!よーし、じゃあ早速グラビトンビレッジでお買い物よ!」
ヒスイ「って、これはちょっと買いすぎじゃないですか!?」
セシル「いいのいいの!元々このために村に来たんだから!」
ヒスイ「うぅ~・・重い~!」
クロウ「なっ、貴様は!」
ヒスイ「どうしたんですか、クロウ?」
クロウ「ちっ、また現れたか・・・!」
ヒスイ「あ、あいつはまさか!?」
クロウ「次回!『ロン襲来!吹雪から現れた憎悪』極めろ、強さへの道!」
 

 



爆・爆ストーリー ZERO 第27話

第27話「その花は夢見る」

 レシアスとのバトルが終わり、宿屋に戻るクロウとヒスイ。
クロウ「明日の正午か・・・。」
ヒスイ「わざわざ教えると言う事は、罠かもしれませんね。」
クロウ「なんだっていいさ。どのみち、情報がなくて動けない状態だったんだし。それに、罠は罠でそれなりに利用できるからな。」
ヒスイ「?」
 最初、クロウの言っている意味が分からなかったが、すぐに理解する。
ヒスイ「あぁ、そう言う事ですか。相変わらずですね。」
クロウ「当たり前だ。俺の目的は元々一つしかない。」
ヒスイ「ふ、それより、レクイエム直しておきましたよ。」
 ヒスイがクロウにレクイエムを手渡す。クロウ「これは・・!」
 そのレクイエムは、いろいろと改良されているところがあり、新型と言って良いようなものだった。
クロウ「・・・・。」
ヒスイ「うっ!」
 突如、ヒスイが右手首を押える。
クロウ「どうした?」
ヒスイ「えぇ、ずっとリバースハンドミッションを使ってきましたから・・・相当負担が掛かってるようです・・・。」
 見ると、ヒスイの右手首は、少し赤くはれていた。
クロウ「手首を捻る技だから、その分の負担が大きいわけか。」
ヒスイ「ええ、明日はあまり戦えそうにありません。でも、その強化したレクイエムなら、なんとか・・・。」
クロウ「もとより、お前の手を借りるつもりは無い。自分のビーダマンがあるのならな。」
ヒスイ「そうですか。分かりました。」
クロウ「それより、飯にするぞ。腹が減ってたら、勝てるバトルも勝てなくなるからな。」
ヒスイ「そうですね。」

 宿屋にある食堂へ行くクロウとヒスイ。
ヒスイ「クロウ・・。」
クロウ「ん?」
 食堂はバイキング形式になっており、好きなだけ食べられるのだ。
 クロウはここぞとばかりにテーブルいっぱいに料理を並べている。
ヒスイ「いや、いくらなんでも食べすぎなのでは?」
クロウ「明日は久しぶりにバトルが出来るからな。力を付けておかないと。」
ヒスイ「で、でもいくらなんでもそれは食べすぎですよ。お腹壊したら元も子もないですよ。」
クロウ「お前こそ、そんなに少食でいいのか?明日へばっても知らないぞ。」
ヒスイ「これが少食ですか・・・(汗)」
 ヒスイも大人一人前くらいの量は食べてる。
ヒスイ「まぁ、僕は明日あまりバトルしないつもりですから、別にいいんですけど・・・。」
クロウ「そうか。」
 と、いつの間にかクロウの前にあった皿が空になった。
ヒスイ「えぇ!?」
クロウ「さて・・・。」
 再び立ち上がり、料理を取りに行く。
ヒスイ「(いつの間に食べたんですか!?)」

 そして翌朝。
 早起きし、宿屋から出るヒスイとクロウ。

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