爆・爆ストーリー ZERO 第29話

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第29話「ロン襲来!吹雪から現れた憎悪」
 なんとかB-フォースと決着を着ける事が出来たクロウ達。
 と言うわけで、ようやくグラビトンビレッジでゆっくりする事が出来るわけで・・・。
ヒスイ「お、重い・・・!」
 とあるブティック店で、ヒスイは両手いっぱいに荷物を抱えていた。
セシル「え~っと、これと、これと、あ~それからこれも!」
 セシルは次々に服を選び、ヒスイに渡す。
ヒスイ「うわわ~!ちょっと、これは買いすぎじゃないですか~!?」
セシル「別にいいじゃない。私のお金なんだし。やっとこうしてゆっくり買い物が出来るんだから。」
クロウ「(服だけこんなに買ってもしょうがないと思うが・・・。)」
 クロウには、女心と言うものが全く分からないらしい。まぁ、男として生まれた以上、女心というものは一生理解出来ないものらしいが・・・。
 ちなみに、クロウは全く荷物を持っていない。押しの弱いヒスイと違い、クロウは荷物持ちを丁重に断ったのだ。
クロウ「(いつまでもこんな所にいても、時間の無駄だな。)」
 目を輝かせて服を選んでいるセシルを見て、このまま長く続くだろうと判断したクロウは、店を出る事を選択した。
クロウ「・・・・・。」
 特に当ても無く、ブラブラと歩くクロウ。
 そしてその時、路地裏から子供達の声と、ビーダマンの発射音が聞こえてきた。
クロウ「この音は。」
 どうせくだらないビーダーの集まりだろうが、何も無いよりはいいと判断したのか、音のする方向へと足を運ぶクロウ。
 そして、案の定、路地裏では、子供達がビーダマンで遊んでいた。
子供A「いけー!」
子供B「連射連射~!!」
 しかし、子供達はただビーダマンをひたすら撃つだけで、特に対戦しているわけでも、ターゲットを狙っているわけでもない。
 まぁ、ビーダマンはただ撃つだけでも結構快感だったりするからね。釣りも同様、例え釣れなくても、ただルアーを投げるだけでも結構楽しかったりするのだ。

クロウ「お前ら、何してるんだ?」
 さすがに呆れたクロウは、思わずそんな事を言ってしまった。
子供A「え?ビーダマンだよ!」
 子供達のうちの一人が答える。
クロウ「見れば分かる。で、今ビーダマンでやってるそれは何なんだ?」
子供B「何って・・・特に決まってないけど・・・。」
クロウ「はぁ・・・。」
子供C「もしかして、お兄ちゃんもビーダーなの?」
クロウ「ああ、まぁな。」
子供D「強いの?!」
クロウ「少なくとも、お前らよりはな。」
子供A「うわぁ~!だったら、僕達にビーダマンを教えてよ~!!」
 子供達が目を輝かせてクロウに言う。
クロウ「その前に・・・一つ言わせて貰うが。ビーダマンは競技だ。ただ撃てばいいと言うわけじゃない。」
子供B「そんな事、分かってるよ・・・。」
 突然うつむく子供達。
子供A「でも、僕達の家お金少なくて・・・やっとビーダマンを買って貰ったんだけど、ターゲットやDHBアーマーを買うお金は無いんだ・・・。」
クロウ「バカか?」
子供A「え?」
クロウ「いくら流行ってるからって、別にDHBをする必要なんてないし、ターゲットも無理に市販品のを使う必要はない。」
子供C「そんな事言われても・・・。」
クロウ「ターゲットなんて、そこら辺に転がってるもので十分だ。例えば・・・。」
 クロウは、ゴミとして捨てられ、転がっていたガチャガチャのカプセルみたいなものを拾った。
クロウ「こんなもので十分だ。」
子供B「こんなのでいいの?」
クロウ「ああ。狙えるものならなんでもいい。そして、ちょっと工夫するだけで、競技はいくらでも作れる。」
 クロウは、ガチャガチャのカプセルを置き、地面に線を引く。
クロウ「このカプセルをビー玉で押し合い、先に相手の陣地に入れたほうが勝ちだ。」
子供A「うわぁ!面白そう!」
 早速、クロウの発案した競技に興じる子供達。
子供D「こんな簡単な事でビーダマンの競技が出来るなんてスゴイや!」
クロウ「イチイチ、押し付けられたセオリーに従う必要は無い。少しは頭を使え。」
子供C「うん!」
 つーわけで、特になんの成果も得られないと判断したクロウは、そのまま路地裏を後にし、店へと戻った。
セシル「え~っと、あとはこれとこれと・・・。」
 まだ選んでいたセシル。クロウは黙って二人のそばによる。
ヒスイ「あ、クロウ。どこ行ってたんですか?」
クロウ「ちょっとな。それより、まだ選んでるのか、あいつは?」
ヒスイ「ええ・・・。」
 ヒスイはげんなりとした表情で、未だに目を輝かせているセシルを見る。
ヒスイ「はぁ・・・。」
クロウ「おい、いい加減にしておけ。」
 クロウがセシルの腕を掴む。
セシル「え?」
クロウ「本気で全部買う気か?」
セシル「別にいいでしょ~、私のお金なんだし。」
クロウ「で、どうやって持っていくんだ?」
 セシルの表情が凍りつく。
店員「ありがとうございました~!」
 店員の礼をうけ、店の外に出る。
セシル「はぁ・・・結局あまり買えなかったなぁ・・・。」
 ヒスイの両手にぶら下げてある紙袋を見てため息をつく。
ヒスイ「(これであまりですか・・・。)」
セシル「まぁいいや!よーし、次はファンシーショップよ~!!」
ヒスイ「ま、まだ行くんですか~!?」
 セシルの強引な決定により、ファンシーショップへ向かう事になった。
セシル「うわ~、これかわいい~!!」
 セシルは、店の中にいろいろと並べてあるアクセサリー類を見てはしゃいでいる。
ヒスイ「はぁ・・・・。」
 またも荷物持ちをやらされる事でため息をつくヒスイ。
クロウ「しかし・・・。」
 クロウは、店の中を一通り見る。
 店の中は、いかにも女の子が喜びそうな感じの小物がたくさんおいてあり、お客である女の子達がキャキャ言ってる。
クロウ「こんなののどこがいいんだろうな?」
ヒスイ「それは、まぁ、僕らには理解出来ないでしょうけど・・・。」
クロウ「こんなもの、どんな形をしていようが、性能はどれも変わらない。持っている意味は無いだろ。」
ヒスイ「・・・・・。」
 女心以上に、クロウの考え方の方が理解しづらいと思われる。
セシル「あ~、楽しかった~♪」
 ファンシーショップを出たセシルは、かなりご機嫌のようだ。
jクロウ「随分とご機嫌だな・・・。」
 いい加減退屈度が限界まで来ている様子のクロウ。
ヒスイ「まぁ、いいじゃないですか。あれだけの事件があった後なんですから。」
クロウ「・・・・。」
セシル「よーし、次は・・・!」
クロウ「待て。」
 セシルのセリフを遮るクロウ。
セシル「何よ?」
クロウ「次は俺達の番だ。」
セシル「???」
 そして、クロウ達の向かった場所は・・・・。
ヒスイ「わぁ、すごいですね~!!」
 ビーダマンショップだった。ちなみに、セシルの買った膨大な荷物はコインロッカーに預けている。
クロウ「予備パーツをいろいろと買って置いたほうがいいだろうからな。」
ヒスイ「そうですね!」
セシル「う~ん、私もレーザーホーネット用に、何か買ってみようかな?」
ヒスイ「それがいいですよ。メンテ用の道具もいろいろいりますしね。」
セシル「ふ~ん、そうなんだ。」
ヒスイ「ええ。あと破損した時に必要な、修復剤とかも揃えておいたほうが良いですよ。」
セシル「う~ん、良く分からないなぁ・・・。」
クロウ「心配するな。分からなくても、ものさえあればこいつがやってくれる。」
 親指でヒスイを指差すクロウ。
セシル「そっか!」
ヒスイ「あ、あんまり頼りにされすぎるのも困りますけど、ある程度なら僕がなんとかしますよ(汗)」
セシル「うん、頼りにしてるね~!」
 そしてクロウは、ターゲットセットが売ってある棚に目を向けた。
クロウ「(わざわざこんなものが売ってるあるのか・・・買うほうも買うほうだが、売るほうも売るほうだな。)」
 ターゲットなんてものは、買わなくてもそこら辺にある。わざわざ買うなんてバカらしい。
 幼い頃、まわりに何もなく、一人で強くなるしかなかったクロウにとって、それは当たり前の事だった。
 そして、買い物を済ませたクロウ達は、グラビトンビレッジをあとにした。
セシル「ふぅ、満足満足~。」
ヒスイ「これでようやく、グラビトンビレッジともお別れですね。」
セシル「うん、いろいろあったよね~。」
クロウ「・・・・。」
 特にこれと言って話題があると言うわけじゃない。
 3人はしばらく何もしゃべらず荒野を歩いていた。
セシル「ねぇ・・・ちょっと寒くない?」
 体を振るわせるセシル。
ヒスイ「た、確かに、少し冷えてきましたね。」
クロウ「ああ。今の時期にしては珍しいな。」
 と、その時、クロウ達の目の前に白い綿の様な物がふわふわと降りてきた。
ヒスイ「これは・・・。」
セシル「雪?」
 それは紛れも無く雪だった。
クロウ「忘れ雪・・・とか言う奴か?」
ヒスイ「いや、それにしても時期はずれすぎますよ!」
 その時・・!
セシル「きゃっ!」
 突如吹雪きが起きた。
 その吹雪はすぐに止んだが、辺り一面が銀世界になってしまった。
ヒスイ「な、なんなんですか、一体!!」
 と、クロウの方を見る。
ヒスイ「クロウ?」
 クロウは、何かに怯えているように見える。
クロウ「(これは・・・!この・・・吐き気がするほどの激しい想いは・・!)」
 顔をしかめ、辺りを見回すクロウ。
クロウ「(奴か・・・奴が・・・また・・・!)」
 そして、前方から雪を踏みしめる足音がどんどん近づいてきた。
クロウ「!?」
ヒスイ「あ、あなたは!」
 そう、かつてクロウに脅威を与えた、あのロンだった。
ロン「見つ・・・けた・・・。」
 クロウの姿を確認したロンは、ニヤリと笑う。
クロウ「くっ・・・!」
 そして、ビーダマンを構えるロン。
ヒスイ「そ、そのビーダマンは、ライジングヘイロンじゃない!?」
 ロンの持っているビーダマンは、血にまみれたバイザー、そしてどす黒いボディが印象的な・・・。
ロン「ブリザード・・・ヘイロン・・・!」
 ドンッ!!
 ブリザードヘイロンから放たれた強力なショットがクロウに向かって飛んで来る。
クロウ「ちぃ!」
 間一髪でそれを交わす。そして、そのショットは雪の地面を舞い上がらせた。
ロン「お前に避ける資格は無い・・・。大人しく、死ね!」
 ドンッ!!
 更に強力なショットが放たれる。
クロウ「貴様・・!」
 ガキンッ!!
 素早くレクイエムを取り出し、迎撃。なんとかロンのショットを止める。
クロウ「何故だ!何故俺をつけねらう!」
ロン「憎い・・・!」
 クロウの問いには答えず、それだけつぶやく。
 ドンッ!!
 またもヘイロンから放たれるショット。
クロウ「くっ!」
 バーンッ!!
 今度は見事レクイエムに命中。何メートルか吹っ飛ばされるが、ビーダマンは手放さなかった。まぁ、今回はルールも何も無いから手放した所で勝ち負け云々は影響ないんだけど。
クロウ「貴様・・・!!」
 ここでようやくクロウも戦闘体制に入る。
セシル「クロウ!話しなんか通じる相手じゃないよ!」
ヒスイ「そ、そうですよ!とにかくバトルに集中してください!」
クロウ「分かっている!」
 今度はクロウがロンに向かってショットを放つ。
ロン「・・・・・。」
 しかし、ロンはなんなくそれを撃ち落す。
ヒスイ「い、以前より遥かにパワーアップしてます!」
クロウ「(こ、この力・・・!一発一発に込められた憎しみが、骨が軋むような激しい憎悪が伝わってくる・・・!)」
 震える手を握りなおし、再び構えるクロウ。
クロウ「(だが、何故奴は俺を憎む・・・?俺は、奴を知らない・・・奴は、俺を知っているのか?)」
ロン「ユルサナイ・・・・ユルセナイヤツハオレノヒョウテキダ。」
 まるで機械のように何回も同じセリフを繰り返しだすロン。
セシル「な、なんなの!?」
ヒスイ「彼は一体・・・。」
クロウ「誰だって構わないさ。立ち塞がる奴は倒すだけだ。相手にどんな都合があろうが、俺には関係ない。俺にとっては単なる糧に過ぎないんだからな。」
ロン「オマエガイナケレバオレハ・・・オマエサエ・・・!!」
 更に激しく憎悪を剥き出しにした顔でクロウを睨むロン。
クロウ「・・・!」
 一瞬ひるむが、すぐに体勢を立て直し、レクイエムの銃口をロンに向けるクロウ。
クロウ「すぐに、終わらせてやるよ。」
 そのレクイエムの素体は、さっきのロンのショットによってヒビがはいっていると言う事にも気づかずに・・・。
             つづく
 次回予告
クロウ「俺は、いつも一人だった・・・まわりには何も無い・・・そう、暗闇しかない・・・感じられるものは、ただ一つ・・・・ただ・・・寒かった・・・。それでも俺は・・・生きて・・・いたかった・・・。」
ヒスイ「次回!『クロウの告白』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」



 

 



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