爆・爆ストーリー ZERO 第28話

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第28話「戦う決意」
レシアス「さぁ、お話の時間は終わりです。一気にかたをつけますか!」
 レシアス、チルド、シルバが一斉にビーダマンを構える。
クロウ「ふん・・・誰だろうと、何人で来ようと、関係ない。」
 クロウもレクイエムを構える。
クロウ「だが・・・本当に好都合だ。」
 口元を吊り上げ、微笑するクロウ。
レシアス「いきますよ!」
 ドンッ!!
 パワードスナイパーのショットが真っ直ぐクロウへ向かう。
クロウ「ふん、遅いな。」
 あっさりかわしてしまう。
シルバ「はああぁぁ!!」
 ホーリープリンスのショートストロークトリガーによる超速連射が襲い掛かる。
シルバ「ショートストロークショットじゃ~!!」
クロウ「はぁ!」
 ドンッ!!バーンッ!!
 シルバの超速連射をパワーショット一発で全部弾き飛ばしてしまった。
シルバ「なっ!?」
チルド「・・・・。」
 チルドはその様子を面白そうに見ている。
チルド「(ふふふ、見ていたほうが面白いや。)」
クロウ「どうした、もう終わりか?」
シルバ「くっ!」
 二人相手に全然余裕のクロウ。
ヒスイ「(ふふふ・・・さすがだ・・・!)」
 ニヤリと笑みをこぼすヒスイ。
レシアス「ふん、あの時よりは強くなったと言う事ですか。」
クロウ「違うな。」
 レシアスのセリフをあっさり否定する。
レシアス「なに・・・!?」
クロウ「強くなったのではない。これが、俺の元々の力だ。そして、その強さはこのバトルで更に磨きがかかる。」
 ドンッ!!
 レシアスへ向かってパワーショットを放つ。
レシアス「はぁ!」
 迎えうつパワードスナイパーだが、あっさり弾かれてしまう。
レシアス「!?」
 カンッ!!
 そのままパワードスナイパーにショットがヒットする。
 しかし、迎撃によりある程度威力が減っていたため、耐えられた。
レシアス「・・・・・。」
 しかし、レシアスは、そのままうつむき、呆然と立ちすくんでいた。パワードスナイパーを持っている手が小刻みに震えている。
シルバ「大丈夫か!?」
レシアス「シルバ・・・悪いですが、手を出さないでください。チルドも、いいですね?」
チルド「うん。」
 レシアスの顔半分上が黒い影に隠れる。
シルバ「(こ、この雰囲気は・・・!?まさか、過去に二度しか見せていないあの技を・・・・!?)」
クロウ「ようやく、面白いものが見れそうだな。」
 この期に及んでまだ余裕のクロウ。
レシアス「えぇ、見せてあげますよ・・・。最高に面白い物をね。」
 ダッ!
 パワードスナイパーを逆さに持ち、飛び上がる。
ヒスイ「跳んだ!?」
レシアス「メテオスマッシャー!!」
 ビー玉を発射した瞬間、思いっきりちょうどブレードショットみたいにパワードスナイパーを振り下ろす。
 すると、物凄い勢いでビー玉が振ってくる。
クロウ「くっ!」
 間一髪でそれをかわす。
 ズゴーン!!
 そのショットにより、地面がえぐれてしまった。
クロウ「・・・・・。」
ヒスイ「な、なんて威力ですか・・・!」
レシアス「ふふ。」
 着地するレシアス。
ヒスイ「なるほど・・・アンダーレールによってビー玉を地面に向かって叩きつけたんですね・・・。」
レシアス「さぁ、どうします?」
 余裕の笑みを浮かべるレシアス。
ヒスイ「ま、まずいですよクロウ!」
セシル「頑張って、負けないでクロウ!」
 一瞬、クロウはセシルをにらみつけたが、すぐにレシアスに向きなおす。
セシル「?」
クロウ「その技を使った時点で、お前の負けだ。」
レシアス「なにぃ・・・!?」
 ビクッとレシアスの足が動く。
クロウ「辛いだろう?立ってるのが。」
レシアス「ぐっ・・・!」
クロウ「俺をビビらせるために敢えてリスクの大きい技を使ったんだろうが、残念だったな。最後の切り札が通用しなくて。」
レシアス「まだ・・・まだですよ!」
 レシアスが銃口をクロウに向ける。
クロウ「無駄だ、諦めろ。パワーはこっちの方が上。動けなくなった相手など、俺の敵ではない。」
 ドキュンッ!バキィ!!
 パワードスナイパーに向かって飛んで来たビー玉がパワードスナイパーを撃破する。
レシアス「うっ!」
クロウ「なに!?」
 しかし、玉を撃ったのはクロウではない。
チルド「なぁんだ。その程度か。レシアスもたいした事無いんだね・・・。」
レシアス「チルド・・・!」
シルバ「・・・・。」
 シルバもチルドに怯えているようだ。
チルド「シルバも邪魔だよ。」
 バキィ!
 チルドのショットがホーリープリンスを弾く。
シルバ「くっ!」
ヒスイ「な、仲間のビーダマンを・・・!?」
チルド「さぁ、今度は僕と遊ぶ番だよ。」
 そして、ジェネラルワンを地面に叩きつけ、踏み潰す。
セシル「ビーダマンを・・・!?」
ヒスイ「(やはりあのビーダマンはフェイクか・・・。)」
チルド「ふふふ。」
 そして、懐から見た事の無い紫色をしたゴツいビーダマンを取り出す。
チルド「さぁ行こうか。ジェノサイドメフィスト。」

セシル「ジェノサイドメフィスト!?」
ヒスイ「な、なんて威圧感のあるビーダマンだ・・・!」
クロウ「(ジェネラルワンであれだけの力を出した奴のビーダマンだ・・・どれくらいのものか、探りを入れてみるか。)」
 手始めに二発ほどビーダマンを放つクロウ。
チルド「ふんっ!」
 チルドはたった一発で撃ち落してしまった。
クロウ「(なるほど。思った通り、パワー型か。)」
チルド「どうしたの?もっと遊ぼうよ。」
クロウ「・・・・。」
 クロウは、一旦チルドから離れた。そして、離れざまに一発撃ち込む。
 しかし、チルドはまたもそれを撃ち落す。
チルド「違うよ・・・遊ぼうって言ってるんだ・・・!」
クロウ「(ドライブか・・・?)」
ヒスイ「あのショット、ドライブに見えますが、でも素体はノーマルですね・・・どういう構造なんでしょう?」
セシル「分析してる場合じゃないよ!このままじゃ、クロウが!」
 その声を聞き、一瞬セシルを睨むクロウ。
クロウ「何の心配をしてるんだ?」
 振り向きもせず、セシルにそう問い掛ける。
セシル「え?」
クロウ「はぁ!」
ガキンッ!!
 再びぶつかり合うクロウとチルドのショット。
チルド「やっと遊んでくれた・・・。」
クロウ「いや、遊びはもう終わりだ。良い子はもう帰る時間だろ。」
 ドンッ!!
 ホールドパーツを思いっきりシメてショットを放つ。
チルド「っ!」
 バーンッ!!
 見事にヒットする。
 そして、そのショットの衝撃で辺りに砂煙が立ちこめる。
クロウ「むっ!」
 砂煙が晴れ、チルドの姿が露になる。が、チルドはビーダマンをしっかりもっていた。
チルド「ふふ。」
 しかし、よほどクロウのショットが強力だったのか、ジェノサイドメフィストは破損しており、所々パーツが外れていた。
セシル「お、惜しい!」
ヒスイ「でも、大分追い詰めましたよ!」
クロウ「(違うな・・・。)」
チルド「リミッター・・・パージ!」
 ドンッ!!!
 ジェノサイドメフィストからとんでもない強力なショットが放たれる。
クロウ「ちっ!」
 咄嗟にそれをよけるクロウ。
セシル「ど、どうなってるの!?」
ヒスイ「破損したビーダマンは普通、バランスが崩れて、パワーが上がらないはずなのに・・・!」
クロウ「コレが、奴の本当の姿なんだろう。破損したのではなく、邪魔になるパーツを取っ払っただけ。そうだろ?」
チルド「うん、そうだよ。」
セシル「え!?」
ヒスイ「ジュウが言っていた、『二つの姿』とは、こう言う事でしたか・・・。」
チルド「さぁ、お遊びを始めよう。」
 クロウに銃口を向けるチルド。
クロウ「仕方ない、まぁいいだろう。」
 クロウも構える。
ヒスイ「これは、長期戦になりそうですね・・・!」
 しかし、旦那としては、早く決着がついてほしいわけで。
旦那「(やはり、あいつらだけでは心もとないな。)」
 旦那は指をパチンッと鳴らす。
旦那「バトルを盛り上げてやろう。」
クロウ「なに!?」
 突如、クロウのまわりに複数の黒服の男達が現れた。
クロウ「貴様・・・!」
旦那「これで、終わりだな。」
 まわりの黒服達が一斉にクロウに銃口を向ける。
クロウ「(まぁ、こんなザコが何人集まろうが・・・。)」
セシル「お願いクロウ!負けないで!」
 見た目不利なクロウを必死で応援するセシル。
クロウ「(ちっ!)」
 そんなセシルに対し、心の中で舌打ちするクロウ。
セシル「お願い・・・・私は・・・自分の夢を叶えたいの・・・・!」
 涙を流しながら叫び続けるセシル。
クロウ「・・・・・・お前!」
 そんなセシルに突如怒鳴るクロウ。
セシル「え?」
クロウ「本当に夢を叶えたいと思ってるのか?」
セシル「!?」
 そして、懐からレーザーホーネットを取り出し、セシルに投げつける。
 セシルはレーザーホーネットを受け取らず、レーザーホーネットはセシルの足元に落ちる。
クロウ「お前に、それを持つ勇気があるか?それを持つと言う事は、ビーダーとして、戦う事を意味する。そして、今この場で戦うと言う事は、自分の父親と戦う事になるんだ。」
セシル「・・・・。」
 クロウの言葉を聞き、一歩退くセシル。
クロウ「お前はただ、逃げてただけだ。ロクに父親を説得しようともせず、家出したのも、いつまでも俺達の後をついてきたのも・・・お前は、自分の父親に勝つ自信がないんだ。自分の夢に自信がないんだ。だから逃げたんだろ?」
セシル「ち、ちがっ・・!私は・・・。」
クロウ「俺には夢は無いが・・・求めなければならないものがある。だから戦ってるんだ。夢のために戦う勇気も無い奴が、夢なんか語るんじゃない。虫唾が走るんだよ!」
セシル「・・・・・。」
 そして、チルドと大勢の黒服達との戦いに身を投じていくクロウ。
 そのクロウの姿を見て、セシルは思案する。
セシル「(私は・・・逃げてただけ・・・。家出したのは、お父様に訴えるのに一番有効だと思ったから・・・だけど、本当は、ただ怖かっただけなのかも・・・。)」
 足元のレーザーホーネットに視線を落とす。
 “お前に、それを持つ勇気があるか?それを持つと言う事は、ビーダーとして、戦う事を意味する。そして、今この場で戦うと言う事は、自分の父親と戦う事になるんだ。”
 “夢のために戦う勇気も無い奴が、夢なんか語るんじゃない。虫唾が走るんだよ!”
 クロウのセリフが脳裏に浮かぶ。
セシル「(クロウならきっと・・・ここにいる全員をあっさりと倒してしまうに決まってる・・・だけど、それじゃ何も解決しない・・・。逃げるのは簡単だけど・・・戦うのは怖いけど・・・!)」
 意を決して、レーザーホーネットを拾うセシル。
セシル「(私は・・・夢を叶えたい!)」
 一方クロウは、大方の予想通り、黒服達に圧勝していた。
クロウ「ザコが何人集まろうが、同じだ。」
 あれだけ多かった黒服達だが、もう3人にまで減っている。
旦那「な、なんてビーダーだ・・・!」
チルド「ふふ。」
 ドンッ!!
 クロウが黒服達に集中している隙にチルドがクロウの背中に向かってショットを放つ。
クロウ「甘いな。」
 素早く振り向き、それを迎撃しようとする。が、その時!
 ガキンッ!
クロウ「ん?」
 クロウがビー玉を撃つ前に、そのショットに一発のビー玉がヒットした。
クロウ「ほう・・・。」
 しかし、そのショットだけではチルドのショットを止められなかったので、クロウが一発撃ち、完全に撃ち落した。
 そして、チルドのショットに向けた一撃を放ったのは・・・!
クロウ「ようやく、腹を括った様だな。」
セシル「うん・・・私に出来るかどうか分からないけど、でも、今出来る事をやりたいの!それが、私の本当の夢。」
旦那「なっ・・・・!」
 セシルの登場に、かなり動揺する旦那さん。
旦那「そんな・・・・せ、セシルよ・・・パパと戦おうと言うのか?あぁ、私の可愛い娘よ・・・・!」
セシル「私は、お父様の言いなりにはならない。私の人生は私が決めるの!私が決めたいの!」
旦那「ガーン・・・・!」
 セシルの言葉にかなりショックを受けた旦那さんは、そのまんま放心状態のまま、公園の外へ出て行ってしまった。
ヒスイ「あ、あれ?」
黒服A「あぁ、旦那様!」
 黒服達も慌ててその後を追う。
 しばらく呆然とする一同。
レシアス「これは、依頼主が依頼を破棄した・・・と言う事ですかね。」
シルバ「となると、俺達はもう用無しじゃな。」
レシアス「仕方ありませんね。報酬はまだもらってませんし、後でキャンセル料を請求しておきますか。では、帰りますよ。」
チルド「えぇ~、つまんないよ~。」
 ダダをこねるチルド。
レシアス「私達は仕事をしにきたんですよ。その仕事がないのなら、もうここにいても仕方が無いでしょう。」
チルド「はあ~あ・・・・。」
 チルドはがっくりと肩を落とし、アジトへと帰っていくレシアスとシルバの後をついていく。
クロウ「終わったな、これで。」
ヒスイ「ええ。」
セシル「(初めて、本当にお父様と戦えた・・・・自分のために戦えた・・・・。)」
 セシルはこのバトルで、何かを得る事が出来たようだ。
              つづく
 次回予告
セシル「はぁ~、やっとB-フォースやお父様から解放された~!よーし、じゃあ早速グラビトンビレッジでお買い物よ!」
ヒスイ「って、これはちょっと買いすぎじゃないですか!?」
セシル「いいのいいの!元々このために村に来たんだから!」
ヒスイ「うぅ~・・重い~!」
クロウ「なっ、貴様は!」
ヒスイ「どうしたんですか、クロウ?」
クロウ「ちっ、また現れたか・・・!」
ヒスイ「あ、あいつはまさか!?」
クロウ「次回!『ロン襲来!吹雪から現れた憎悪』極めろ、強さへの道!」
 

 



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