爆・爆ストーリー ZERO スペシャル 前篇

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スペシャル『ZEROへの復讐』
 それは、B-伝説や爆ZEROでヤマトやクロウ達が活躍している頃から7年ほど前の事じゃった・・・。
 とある町のとある広場。
 ここでは、いつものように人々で賑わっていた。
 この小さな町で唯一の広場と言う事もあり、連日のように子連れや子供達でごった返している。
子供達「いっけー!負けるな~!!」
 子供達が細長い筒のようなものを持って遊んでいるようだ。
 広場ではさまざまな遊びに興じている子供達がいるのだが、その中でももっとも多い遊びがこれだ。
 バシュッ!バシュッ!
 細長い筒の後ろの部分を押すとビー玉が発射され、そのビー玉でターゲットを倒す。
 そう、言わずとしれたビーダマンだ。ビーダマンとはホールドパーツと言うビー玉を弾く軟質素材のパーツを内蔵した筒状のおもちゃで、後ろに着いているトリガーを押す事でビー玉を発射して遊ぶものだ。ビー玉を発射するしか能がないので、競技云々は人間が決めなければならない。
子供A「よっしゃー!俺のかち~!!」
 ターゲットを撃破した子供がガッツポーズを取る。
子供B「ちぇ、やっぱカズマにはかなわねぇや。」
 子供Aの名前はカズマと言うらしい。
カズマ「へっへっへ、ビーダマンなら俺様は無敵だな!」
 自分のビーダマンを掲げ、踊りだす。どうやら調子に乗り易いようだ。
子供C「勉強や運動はからっきしだけどな。」
 子供Cの一言にその踊りはぴたっと止まる。
カズマ「う、うるせー!人間誰にでも取り柄ってのは必要だろうがよ!」
子供B「まぁ、その取り柄が役に立つものだったら・・・の話だが。」
 子供達のツッコミは微妙に的を射ているので、言い返せない。
カズマ「ぐぐぐ・・・!」
???「やぁ、盛り上がってるようだね。」
 その時、黒と紫の服を着た赤毛の少年が広場にやってきて、皆に近づいてきた。
カズマ「お前は・・?」
 どうやら、この子供達とは顔見知りではないらしい。
???「僕も仲間に入れてくれないかな?」
 ???は屈託の無い笑顔で言ってくる。
カズマ「ああ!別に構わないぜ!ビーダーなら誰でも大歓迎だ!」
???「ありがとう。」
 そして、???はビーダマンを取りだす。
 しかし、そのビーダマンは他の子供達の持つ筒型ではなく、人型の全く新しいものだ。
カズマ「な、なんだ・・・そのビーダマンは!?」
???「これは新型ビーダマン・・・ビーダマンゼロだ!」
カズマ「ビーダマン・・・ゼロ?」
 ???はビーダマンゼロにパーツを取り付けていく。
カズマ「なんだ!?形が変わっていくぞ!?」
???「このビーダマンゼロにはヘッド、腕、足、ホールドパーツの前後それぞれにジョイント部が
設けられており、互換性のあるアーマーを装着出来るのさ。それによって、全く新しい、そして
特徴のある機能を持ったビーダマンを簡単に生み出す事が出来る!これがゼロシステムだ!」
子供B「ゼロシステム・・・!」
 今まで見た事の無いビーダマンに、ビー魂が高ぶる。
カズマ「お、面白そうだな。で、バトルのルールは・・・?」
???「デスマッチ・・・でどうだ?」
カズマ「デスマッチだと!?まさか、お前、シャドウの・・・!?」
 そう言ったあと、???の態度が急に変わった。
???「ふはははは!その通りさ、俺はシャドウのビーダーさ!お前らの持ってるビーダマン、
一つ残らずぶっ潰してやるよ!」
カズマ「くっ!負けてたまるか!」
 ・・・・。
 ・・・。
 バトルは一方的だった。シャドウの持つビーダマンゼロにカズマ達は全く敵わなかったのだ。
カズマ「ぐぐ、三人がかりだってのに!」
 既に子供B、Cのビーダマンは破壊されている。
 カズマもボロボロだ。
???「ふふふふ!」
 ???はビーダマンのホールドパーツをシメだしはじめた。
カズマ「なんだ、あの構えは?」
???「喰らえ!」
 バシュッ!!!
 そのショットは今までの物とは桁違いに強い!
カズマ「なに!?」
 バーンッ!!
 そのショットにあたり、よろめくが、なんとかビーダマンは手放さなかった。
???「ビーダマンのホールドパーツをしめ付ければ締め付けるほど、威力が増す・・・これぞ
ゼロビーダマン特有のシメ撃ちだ!!」
 ドンッ!!
 再び強力なシメ撃ちが襲い掛かる。
カズマ「くそっ、俺もシメ撃ちを・・・!」
???「無駄だ!従来のビーダマンの構造では、シメ撃ちは撃てない!」
カズマ「ぐっ!」
 バーンッ!!
 ???のショットが当たり、カズマのビーダマンが砕け、そしてカズマ自身も吹っ飛ばされる。
カズマ「うわあああ!!!」
 ドサッ!!
 地面に叩き付けられ、そのまま気を失う。
???「けっ、ザコだらけだな。」
 そう言って、???は去って行った。
 それから、数分後、デブ猫が広場にやってきて、その地獄絵図のような光景に驚く。
デブ猫「これは・・・!やはり、わしはとんでもない物を奪われてしまったようじゃ・・・!
このまま奴らを野放しにするわけにいかん!一刻も早く、ゼロを市販化せねば!そして・・・
例のビーダマンの開発も急がねばな・・!」
 そう呟いた後、倒れた少年達を病院へと連れて行った。
カズマ「シャドウ・・・・ビーダマンゼロ・・・許さない・・・絶対に、許さない・・・!」
 病院に担ぎ込まれる時、カズマは渾身状態のまま、シャドウへの憎しみを掻き立てていた。
 それから数ヵ月後、ビーダマンゼロが市販化されたのだが、カズマはなかなか馴染めなかった。
カズマ「ビーダマンゼロか・・・。」
 一応買ったのだが、それを使う気にはなれない。
カズマ「くっ!これを持ってるだけで、あの忌々しい記憶が蘇ってくる!」
 耐え切れなくjなり、ビーダマンゼロを床の上に放る。
カズマ「ぐ・・!」
 見ているだけで吐き気がする。そのヘッド、その腕、その足、そのコア・・・何もかもが、あの悪夢を思い出させる材料となる。
カズマ「は・・・あ・・・。」
 憎かった。その形の全てが憎い。
カズマ「形・・・が・・・。」
 形が・・・その形でなければ・・・自分を苦しめたあの忌々しい形じゃなくなれば・・・。
カズマ「そうだ・・・だったら変えてしまえばいい。俺を地獄へ追いやったこのビーダマンゼロなど、
変えてしまえば・・!」
 そして、カズマは自分の部屋に閉じこもり、何やらビーダマンの開発に取り組んだ。
 それから数ヵ月後。
カズマ「ついに完成だ・・・!改良型・・・素体ZERO・・・!」
 カズマの開発したビーダマンはホールドパーツ部にかなりの改良が加えられたものだった。
カズマ「ふぅ。」
 一息つくカズマ。もうあの時のような吐き気はない。むしろ、愛着すら湧いてくる。
カズマ「苦労して作ったからかな?」
 早速試し撃ちしようと、外に出ようとする。
テツ「あ、兄ちゃん。」
 と、玄関で、カズマと良く似た小さい少年と八合わせになる。
カズマ「テツ。あ、そうだ、お前も来るか?新型ビーダマンの試し撃ちだ!」
テツ「うん!」
 テツは元気良くうなづいた。
 あの事件があった広場。
カズマ「いけー!!」
 ドンッ!!
 カズマの開発したビーダマンから発射されたビー玉は強力な回転を得て、凄いスピードでぶっ飛んでいく。
テツ「すっげぇ~!!」
カズマ「よし・・・!」
 テストは上々だった。予想以上に力を発揮したそのオリジナルビーダマンに満足するカズマ。
テツ「凄いね!これ本当に兄ちゃんが作ったの!?」
カズマ「もちろんさ。」
テツ「すごいなぁ~!すごいなぁ~!!」
 さっきからすごいすごいと連呼している。物凄く感動しているのだが、ボキャブラリーが乏しくてうまく言葉に出来ないのだろう。
 こいつはそう言う奴だ。兄であるカズマをすごく尊敬しているのだが、他の人にカズマについて話そうとするといつも「すごいすごい」しか言えなくなる。
 まぁ、そんなところが可愛かったりするのだが。
カズマ「・・・。」
 カズマは、目を輝かせながら改良型素体ZEROを眺めているテツを見ながら、心地よさを感じていた。
???「ふふふ、なかなかいいビーダマンね。」
 その時、黒い服を着た小さいピンク色の猫がやってきた。
カズマ「?!」
 突然声を駆けられ、驚く二人。
 そして、猫は不気味に笑う。
???「申し遅れました。私はシャドウのボス、アババです。」
 シャドウと言う言葉に敏感に反応するカズマ。
カズマ「シャドウだと!?」
 憎しみに満ちた目でアババを睨むカズマ。
アババ「改良型素体ZERO・・・なかなか面白いわね。その技術・・・私に頂戴。」
カズマ「誰が!シャドウなんかに・・・!?」
アババ「ふふふ。」
 その時、アババの額から目が開いた。
カズマ「第三視点!?」
 物語が違うっつーの!
アババ「はぁ!」
 その額の目から光線が発せられ、カズマを呪縛する。
カズマ「ぐわあああああ!!!」
 強力な呪縛に苦しむカズマ。
テツ「に、兄ちゃん!」
カズマ「(ぐっ・・・このまま、奴の術にかかったら・・・!)」
 カズマは辛うじて残っている意識をフル総員させ、改良型素体ZEROをテツに渡す。
カズマ「テツ・・兄ちゃんはもう駄目だ・・・だが、これを・・・奴らに渡すわけにはいかない・・・!」
テツ「兄ちゃん!」
 そして、カズマの顔に黒い筋が入る。
カズマ「逃げろ・・テツ・・・に・・・げ・・・があああ!!!」
 カズマの断末魔が響き渡る。
テツ「兄ちゃん・・・!」
 カズマに触れようとするテツに、カズマは怒鳴った。
カズマ「は・・・やく・・・逃げ・・・ろっつってんだろ!!!」
テツ「・・・!」
 テツは意を決してその場から走り去った。
アババ「ふふふ、改良型素体ZEROの試作はあの少年に渡ってしまいましたか。でも、開発者さえいればいくらでも作り出せる・・・。いや、シャドウが総力を結集すればより素晴らしい作品が出来るでしょう。おほほほほほ!」
 数年後。
 バトルビーダマンゼロ。それは、この世界、ビーダワールドおける高尚なアイテムである。
 あるものは武器として扱い。あるものは娯楽として興じ。
 またあるものは野望の道具として扱い。そしてまたあるものはそれを極めようとする・・・。
 ここにも、そんなビーダマンを扱うビー玉戦士・・・ビーダーが激しいバトルを繰り広げていた。
ヤマト「バーニングマグナム!!」
炎呪「ブレイジングマグナム!!」
 『表世界で』ナンバーワンのビーダーを決定する大会、ウィナーズの会場では熱きビー魂を持つ少年ヤマトと悪しきビー魂を持つ炎呪の放つビー玉が飛び交っていた。
 しかし、これはあくまでビーダマンの世界のごく一部。甘っちょろい甘っちょろい、まるでバナ納豆パンみたいに甘っちょろい世界なのである。
 あ、バナ納豆パンって言うのは、パンの中に納豆とバナナクリームが満遍なくトッピングされている非常に栄養価の高いパンである。もちろん、味の保証はしません!(ぇ
 ちなみに、どこの購買に行っても売ってないと思われるので、食いたければ自分で作れ!
Mr.ビーダ「決まったぁ!優勝はヤマト選手!!」
ヤマト「やったでぇ!!」
 ついに勝負が決まったようだ。ガッツポーズを決めるヤマト、それにかけよる仲間達。湧き上がる歓声。
 ウィナーズ会場は今、最高のテンションに達していた。
 しかし、今回のお話は、これよりも少しだけ過去になる。そう、ほんの少しだけ。そして舞台は、誰も、誰も知らない。公になっていない所・・・。
 そこは・・・・闇の世界だ。
 特に当ても無く、荒野を歩いている三人組。
 先頭を歩いている黒い服を来た少年はクロウ・アスカード。訳あって強さを求めている少年だ。
 その少し後ろを歩いている二人の男女。メガネをかけた少年の名はヒスイ。メカニック面で旅の仲間をサポートする頼もしい奴だ。
 紅一点の少女は、セシル。活発そうな見た目とは逆に、お金持ちのお嬢様だ。金銭面でサポートしている。彼女がいなければ、命に関わるのである。
セシル「あのさぁ、前々から言いたかったんだけど。」
 セシルが唐突に口を開く。
クロウ「なんだ?」
 振り返りもせず答えるクロウ。
セシル「いい加減さ、何か目的意識みたいなものを決めてから歩こうよ?いつもいつもただ歩くだけって・・・。」
クロウ「ん。」
 クロウの足が止まる。
 ドンッ!
 当然慣性の法則(?)で、後ろを歩いていた二人はクロウの背中にぶつかる。
ヒスイ「いたた・・・急に止まらないでくださいよ。」
セシル「なんなのよ、まったく。」
 ぶつかった鼻を押えながら文句を言う二人。
クロウ「目的。」
 一言呟き、前方を指差すクロウ。
 その先には、巨大なドームが特徴的な町が見えた。
ヒスイ「あ、街ですね!」
 結構大きい町なのか、B-コロシアムもあるようだ。
クロウ「なまらないうちに、腕慣らしと行くか。」
 とりあえず一時的な目的を決めた三人は、それ目指して歩いて行った。
 ドンッ、バシュッ!!
 ド派手にふっ飛ぶターゲット。
クロウ「・・・・・。」
 無言でその飛んで行ったターゲットを眺めているクロウ。
クロウ「やはりつまらないな。」
 そう呟き、ビーダマンをしまう。
ヒスイ「それにしても、伝説のビーダマンだけあって凄いパワーですね、デスサイズ!」
クロウ「どうだかな、こんなくだらない競技じゃ性能を図る事は不可能だ。」
 悪びれる様子も無く、B-コロシアムの競技にケチをつけるクロウ。
 まわりのビーダー達が一瞬凄い顔でクロウを睨む。
セシル「ほらまたすぐそうやって・・・どうしてそういつもいつもまわりにいるビーダー達を敵に回すような事言うかな?」
クロウ「敵に回す?・・・違うな、元々俺のまわりにいるビーダーは全て敵だ。そして、それと同時に、敵ではない。」
セシル「はぁ、もういいよ。」
 ため息をつき、クロウを説得するのをあきらめるセシル。
???「おいお前!」
 と、その時、クロウと同い年くらいの少年が物凄い形相でクロウに詰め寄ってきた。
クロウ「なんだ?」
???「お前の持ってる、そのビーダマン・・・!」
クロウ「あん?」
 とりあえずデスサイズを取り出すクロウ。
???「やっぱり・・・改良型・・・。お前、シャドウのビーダーだな!」
クロウ「・・・バカな事を聞く。もうあんな奴らとは縁は無い。」
???「惚けるな!」
 いきなり大声を出す少年。まわりの皆が一斉に振り返る。
 さすがに気まずくなったのか、少年は声のトーンを落とす。
???「とにかく、表に出ろ。話はそれからだ。」
 少年に強引につれられ、外に出るクロウ達。
 そして、人気の無い場所へと連れられた。
クロウ「で、ここで何をするんだ?挑戦のつもりか?」
 クロウの問いかけには答えず、クロウを睨み付ける少年。
???「もう一度聞く、お前シャドウのビーダーだろ?」
クロウ「何度でも答えてやるさ。あんな奴らとは縁は無い。それに、何故俺がシャドウだと思った。」
???「お前は、改良型素体ZEROを持っている。それが何よりの証拠だ!」
クロウ「こいつか。」
 デスサイズを取り出すクロウ。
クロウ「確かに、俺は昔シャドウにいた。改良型素体ZEROも、その組織から与えられた。もっとも、今持っているものとは別のものだが。」
???「・・・そうか。今は違うのか・・・。悪かったな。」
 そう言って、少年は踵を返す。
セシル「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
 慌ててその背中に声をかけるセシル。
???「え?」
 少し驚いて振り向く少年。
セシル「いきなりこんなところに連れ出しといて、用がなくなったらさよならするなんて、ちょっと失礼じゃない?」
テツ「あ・・・それもそうだね。えっと・・・とりあえず、名乗っとくよ。僕の名前はテツ。」
 テツと名乗った少年は柔らかく笑った。どうやら、根は温和らしい。
 だが、温和と言うのは逆に弱さを相手に見せる、少しでも自分の敵と思われる相手には神経を貼り詰めるのだろう。
ヒスイ「でも、どうしてシャドウのビーダーに敏感に反応するんですか?」
クロウ「シャドウに喧嘩でも売ってるのか?」
テツ「・・・兄が、囚われてるんだ、シャドウに。」
 言って、拳を握り締めるテツ。
テツ「僕はシャドウを許さない・・・!絶対に兄ちゃんを助け出してやる・・・兄ちゃんが残してくれたビーダマンで・・・!!」
 ビーダマンを取り出すテツ。
テツ「この、トリプルダガーで!」
 そのトリプルダガーと呼ばれたビーダマンのホールドパーツは、三本存在し、上部の爪は斜めになっていた。どっからどうみても普通の素体ではない。
ヒスイ「そのビーダマンは、改良型素体ZERO!?」
テツ「ああ。世界で最初の改良型素体ZEROさ。」
 その言葉に、胸の高鳴りを覚えたヒスイ。
ヒスイ「世界で最初・・・これが・・・。」
 まじまじとトリプルダガーを見つめるヒスイ。
 そして、自分もビーダマンを取り出す。
ヒスイ「テツ君、ちょっと手合わせしませんか?」
テツ「え?」
ヒスイ「君のビーダマン、研究者として非常に興味があります。是非、この目でその力を確かめてみたい!」
セシル「(またヒスイのいつもの病気が始まった・・・。)」
 ヒスイのいきなりの申し出に多少面食らった様子だったが、すぐに顔を引き締めるテツ。
テツ「いいね!兄ちゃんを助けるためにも、いろんなビーダーと戦って、腕を磨いておいた方がいいもんね!」
ヒスイ「決まりですね。」
 ジェイドガンナーブリッツを構えるヒスイ。トリプルダガーを構えるテツ。二人は距離をとり、対峙した。
テツ「ルールは、デスマッチ!シャドウと戦わなくちゃいけないんだ。より実戦に近い形にしてもらうよ!」
ヒスイ「OK!それなら僕としても好都合です!」
テツ「それじゃ、いっくぞ~!」
ヒスイ&テツ「ビー、ファイア!」
 そのバトルと同時に、二人は玉を発射する。
 カキンッ!
 トリプルダガーから放たれた玉がジェイドから放たれた玉を弾いた。
クロウ「威力は向こうが上か。」
ヒスイ「くっ、なら!」
 ズドドドド!!
 片手でビー玉装填、そして片手でトリガーを押す。基本的な連射だ。
 しかし、何発撃ってもトリプルダガーのショットは撃ち落せない。それどころか、全然勢いが衰えない。
ヒスイ「そんなっ!」
 カンッ!!
 ついに、ジェイドのヘッドに玉がヒットする。
ヒスイ「!?」
 ヒットした玉は、ヘッドを伝い、上へと上がって行った。
ヒスイ「(これは・・・。)」
テツ「よし!先手は取った!」
 ヒスイはテツの撃ったショットの正体に気づいたようだ。
ヒスイ「ドライブショット・・・それも、レクイエムやヘイロンを遥かに凌駕しています!」
テツ「これが、デルタシステムの威力さ!」
 トリプルダガーのコアがアップされる。(文章じゃ伝わらないのが残念です(泣)
ヒスイ「なるほど、スリークロウズとは違い、上部の二つの爪を斜め下に、丁度ビー玉を下部のラバーに押し付けるように設置する事で、発射の際により強くラバーに力がかかり、高回転のドライブショットを生み出せるんですね。」
テツ「・・・・・・・。」
 テツはヒスイの解説を、ボケ―っと聞いている。
ヒスイ「??どうしたんですか。」
テツ「い、いや、たった一発受けただけでそれを見抜くなんて、すごいなぁっと思って・・・。」
ヒスイ「そうですか?」
 ちょっと照れる。
テツ「でも、今はバトル中だよ!そんなにのんびりしてる暇は無いんじゃないかな!」
 ドンドンッ!!
 テツは続けて二発ほど撃った。
ヒスイ「くっ!」
 迎撃は無駄と判断し、咄嗟にかわす。
テツ「まだまだ!!」
 かわした直後は、隙がでるもの。テツはそれを逃さなかった。
ヒスイ「っ!」
 ヒスイに向かってショットを放ち、そのすぐ横に二発目を撃った。
 カカンッ!!
 動けず、ヒットしてしまう。
テツ「よし・・・!」
ヒスイ「(これじゃダメだ。連射型は手数で圧倒するもの、受身になってたら絶対に勝てない。)」
 ザッ!
 ヒスイは、一旦テツから射程外に離れる。
ヒスイ「いっけー!!」
 そして、連射しながらテツに向かって走っていく。
テツ「!?」
 咄嗟の事で反応出来ないテツ。
 カンッ!カンッ!
 ヒスイのショットは、最初は射程外だったので外れていたが、近づくにつれどんどんヒットしていく。
テツ「くそっ!」
 テツは、そのショットの衝撃で上手く発射出来ない。
 ヒスイの連射は留まる事無くヒットしていく。
セシル「ヒスイすごい!」
クロウ「なるほどな。一旦射程外まで離れ、相手の攻撃を受けなくする。当然、このままでは自分も攻撃できなくなるが、相手に近づきながら隙を見せずに連射する事で、射程内に入ったと同時に相手に攻撃が当たる。一回攻撃が当たれば、相手はその反動で一瞬ひるむ。その一瞬を逃さずに立て続けにヒットさせれば、反撃される事無く連続で攻撃できる。まさに、連射型ならではの戦術だな。」
 ヒスイの連続攻撃に体勢が崩れていくテツ。
テツ「ぐっ!挽回しないと!」
 しかし、連射の反動でうまく構えが取れない。構えないとビーダマンは撃てない。
テツ「(いや、構えないと撃てないんじゃない。構えないと狙えないだけだ。だったら・・!)」
 テツはヒスイの連射に耐えながらも、銃口を地面に向ける。
ヒスイ「?」
テツ「はああ!!」
 ドーンッ!!
 地面に向かって思いっきり撃った。
ヒスイ「なに!?」
 砂埃でテツの姿が消える。そのせいでヒスイのショットが外れる。
ヒスイ「目くらましか!?」
テツ「それだけじゃないよ!」
ヒスイ「え!?」
 バシュッ!!
 砂埃の中から一つのビー玉が凄い勢いで向かってきた。
ヒスイ「うっ!」
テツ「強力なドライブ回転の掛かった玉を地面にぶつけたんだ。当然、弾かれるように前へ飛ぶ!」
 カンッ!!
 咄嗟のショットに対処できずヒットしてしまう。
ヒスイ「しまった!」
 体勢が崩れるヒスイ。
テツ「今だ!いっけー!!」
 ダッ!!
 地面を蹴って走るテツ。そして、砂埃を抜け出したと同時にパワーショットを放つ。
 バーンッ!!
 そのショットは見事命中。さすがにその威力には耐えられなかったのか、ヒスイはジェイドを落としてしまった。
ヒスイ「負けた・・・。」
テツ「ふぅ、危なかった。」
 ビーダマンをしまう二人。
テツ「いいバトルだったね!」
ヒスイ「ええ。」
 二人は熱く握手した。
ヒスイ「(素体をただ改造するだけでは、やはりもう限界がきてるかな・・・。これは計画中の例のシステムの完成を急がなければ!)」
 こんな時でも打算的な事を考えているヒスイ。
テツ「あ、じゃあ僕はこの辺で、こう見えても結構忙しいんだ。」
ヒスイ「はい、じゃあまたバトルしましょうね!」
テツ「うん!」
 手を振って、テツはその場を去って行った。
 後編に続く

 

 

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