爆・爆ストーリー ZERO 第35話

Pocket

第35話「鋼の烏 密かな企み」
 バーミンとの熱きバトルを終えたクロウ達は、長い長い螺旋階段に差し掛かっていた。
セシル「まだ続くの~?」
ヒスイ「あるけどあるけど階段階段・・・。随分長いですね。」
 例えるなら、スーパーマリオ64の最終ステージに行くまでの無限階段のようだ。まぁパワースターを集めれば無限ではないのだが。
クロウ「グダグダ言うな。上へ上がっているという事は、それだけ最上階に近づいて来ていると言う事。そんなに文句を言うほどでも無いだろう。」
セシル「だけどぉ・・・。」
フローネ「皆さん、注意してください。ここから先は、どんな危険が待っているか分かりません。」
クロウ「どういう事だ?」
フローネ「ボスに近づいていると言う事は、その道のりはボスを守るためのものになっているはず・・・。どんな罠が仕掛けてあるか分かりません。」
セシル「わ、罠って・・・。」
 ポチッ。
 その時、セシルが階段に備えられた何かのボタンを踏んだ。
 ドシュッ!ドシュッ!!
 その瞬間、両側の壁から無数の槍が飛び出してきた。
セシル「きゃ、キャアアア!!!」
 間一髪、なんとかそれを交わす。
セシル「は、ははは・・・。」
 目に涙を浮かべながら、ただ笑う事しか出来ない。
フローネ「大丈夫ですか?!」
セシル「う、うん・・・。」
ヒスイ「き、気を付けてくださいよ!」
セシル「そんな事言われても。」
クロウ「何をモタモタしている?」
 見ると、さっきの罠で立ち止まった三人を置いて、クロウは先に進んでいた。
セシル「あぁもう待ってよ!」
 セシルは立ち上がろうと、壁に手をかけ・・・。
 ポチッ!
 壁にあるボタンを押してしまったようだ。
セシル「あ・・・。」
 ゴゴゴゴゴ・・・!!
 突如起こる地鳴り。
ヒスイ「地震・・・ですかね?」
クロウ「それだけならいいが・・・。」
 徐々に近づいてくる音。
セシル「あ・・・あ・・・ああ・・・!!」
 そしてその音の正体がついに明らかになる。
 巨大な岩が何故か階段を勢い良く上ってきているのだ。
全員「なにぃ~~!?」
 その瞬間、四人は走り出した。
セシル「な、なななななんで岩が階段を上ってくるのよ~!!」
ヒスイ「知りませんよ!」
クロウ「まぁ、上から転がってくるより遥かにマシだけどな。」
セシル「逃げるなら上るより下るほうがいいに決まってるでしょ~!」
クロウ「どうせ上らなくちゃいけなかったんだから、いいだろ。」
セシル「なんであんたはこんなときも冷静に・・・はあ・・・はあ・・・!」
 さすがに息が切れてきた。
 セシルだけが若干遅れだす。
 しかし、岩は容赦なく迫ってくる。
セシル「も、もうだめ・・・。」
ヒスイ「諦めちゃダメですよ!」
セシル「そんな事言われても・・・。」
 ドキュンッ!バシュッ!!
 その時、どこからともなくビー玉が飛んできて、岩を弾き飛ばした。
クロウ「なに!?」
 弾かれた岩を見た後、反射的に前を見るクロウ。
クロウ「誰だ・・・?」
 そこに立っていたのは・・・!
レシアス「ふ、随分とてこずっていたようですね。」
ジュウ「サガシンジャーがいなければ、どうなっていた事か。」
ジャベンス「ごわす。」
ヒスイ「みんな・・・どうしてここに?」
レシアス「これですよ。」
 レシアスは、懐からピストルのようなものを取り出す。
レシアス「レーダーレーザー。これを撃ったものには、超小型発信機が取り付けられるんです。」
ヒスイ「それで僕らの居場所が・・・。」
セシル「でも、なんで私達の前にいるの?普通後ろにいるんじゃ・・・?」
レシアス「その辺については省略させて貰います。」
ジュウ「何故なら、そのほうがロマンチックだからだ。」
セシル「はぁ!?」
ジュウ「論理的に説明出来ない事象があったら、ロマンチックなほうを選ぶ。これ常識!」
ヒスイ「そ、そうですか・・・。」
クロウ「・・・・。」
 クロウは、そんなやり取りをしている輩を無視し、歩き出す。
ジュウ「おいちょっと待てよ。」
 ささっと、クロウの前に出るジュウ。
クロウ「なんだ?」
ジュウ「ここであったのも何かの縁だし、ここからは皆一緒に行こうぜ~。」
クロウ「勝手にしろ。俺はお前らに興味は無い。俺の興味は、唯一つだ。」
 そう言って再び歩き出す。
ジュウ「なぁ、ところで一体何探してるんだ?」
レシアス「そろそろあなた方の目的を教えてくださってもよいのでは?」
セシル「う、うん・・・。」
 セシルはジュウ達に目的を話した。
 壊れたレクイエムの事、鋼の烏の事、鋼のビーダマンの事、などなど・・・。
レシアス「なるほど。要約すれば、この先にいる(と思われる)鋼の烏を倒せば良いのですね?ふ、報酬は期待していますよ。」
 相変わらずお金にがめついレシアス。
セシル「はいはい・・・。」
ヒスイ「・・・。」
フローネ「皆さん、気を引き締めてください。そろそろ最上階へつきます。」
 見ると、何メートルか先に扉が見える。
ヒスイ「この扉の・・・向こうが・・・!」
クロウ「躊躇している暇は無い。行くぞ。」
セシル「ええ。」
 ついに、クロウ達は最後の扉を・・・開いた。
 ビュウウウウ!!!
クロウ「うっ!」
 扉を開いたと同時に、思わず顔を覆いたくなるほどの物凄い突風が吹きつける。
セシル「きゃっ!」
 片手で顔をガードしながらも、なんとか前へ出るクロウ達。
クロウ「・・・・・。」
 上を見上げれば青い空。そしてまわりは、開けはたれた景色が広がっている。そう、まさに屋上だ。
 音がする。何かが羽ばたくような。上を見てみる。そこにいたものは・・・。
ヒスイ「あわわわ・・・!」
 言うまでも無く鋼の烏だ。
 鋼の烏は空中でゆっくり羽根を動かしながらクロウ達の事を見下ろしている。そして、その口元には・・・。
クロウ「鋼のビーダマンか。」
レシアス「あ、あれが・・・我々の求めるもの・・・!」
ジュウ「正義のためにも、あれをゲットしてやるぜ!いくぞ、ジャベンス!」
ジャベンス「おうでごわす!」
 駆け出す二人。もちろん、ジュウとジャベンスだ。レシアスは冷静なので、いきなり駆け出す事はしない。
ヒスイ「あ、いきなり飛び出すのは危険です!まずは出方を・・・。」
 しかし、二人には聞こえていない。
レシアス「ふ、相変わらず単純だ。」
 バーンッ!!
ジュウ&ジャベンス「うわああああ!!」
 案の定、あっさり二人は飛ばされてしまった。
レシアス「全く、愚かな。こう言うときは、じっくり相手を見据え・・・え?」
 いつの間にか、鋼の烏はレシアスの目の前にきていた。
レシアス「・・・・。」
 あまりの出来事に固まってしまう。
烏「きしゃああああ!!!!」
 バシッ!!
 鋼の烏の翼で撃つ攻撃。
レシアス「ぐわああああ!!!」
 レシアスはあっさり吹っ飛ばされてしまい、星になった。
クロウ「(結局何しに出てきたんだ?)」
 尺稼ぎだ。
 いきなり現れた来客者のせいで、暴れまくる烏。
セシル「す、すごい迫力・・・。ていうか、物凄く怒ってない?」
ヒスイ「そ、そりゃあ、いきなり僕らみたいな部外者が縄張りに入ってきたら、誰だって不快に思いますよ。」
クロウ「これじゃあ、奴がくわえているものを奪うのには、少してこずりそうだな。」
 その時、鋼の烏は急上昇し、力を溜め、そのまま急降下する。
クロウ「うっ!」
 地面すれすれで再び上昇するが、その風圧は凄い。
ヒスイ「うわあああ!!」
セシル「きゃあああ!!」
 みんなその風圧に耐えるので精一杯だ。
 しかし、そのせいで鋼の烏は鋼のビーダマンを落としてしまった。
フローネ「(にやり)」
 その時、フローネの口元が緩んだのをクロウは見逃さなかった。
クロウ「(こいつ・・・!)」
 そしてフローネは、迷わず鋼のビーダマンの元へ走っていく。
クロウ「(しまった!)」
 よりによってその時だけ、反応が遅れてしまった。
 いかに俊足のクロウでもスタート位置、スタート時の差が空き過ぎていてはどうしようもない。
ヒスイ「え、どうしたんですか?」
セシル「クロウ?フローネさん?」
 二人はもつれ合うようにして鋼のビーダマンへと向かうが、先に手に取ったのはフローネのほうだ。
クロウ「くそっ!」
 ドンッ!!
 クロウは取られまいと、鋼のビーダマンへショットを放つ。
フローネ「なに!?」
 数メートル飛ばされる鋼のビーダマン。
フローネ「ちぃ!」
ヒスイ「ど、どうしたんですか!?」
フローネ「伝説のビーダマン・・・ようやく、手に入ると思ったのに・・・!」
クロウ「貴様になど渡しはしない。」
セシル「え、どういう事?」
ヒスイ「あなたの目的はこの砦を取り戻す事で、鋼のビーダマンではないはず・・・。」
クロウ「鈍い奴らだな。全ては、あいつの虚言だったんだよ。あいつが預言者だと言う事、この砦の家主だと言う事も。」
ヒスイ「そんな!・・・じゃあ、あなたは・・・!」
フローネ「そう。私もあなた達と同じ。この鋼のビーダマンに魅せられたビーダーなのよ!」
 そしてフローネは懐からビーダマンを取り出す。
フローネ「スプレッドサークル!」
 スプレッドサークルから片手撃ちによる連射が放たれる。
ヒスイ「くっ!連射タイプか?!」
 その連射に阻まれ、前に出れないヒスイ達。
フローネ「誰にも邪魔はさせない!」
烏「きしゃあああ!!」
 鋼の烏もビーダマンを取られまいとフローネに向かって突っ込む。
フローネ「はぁ!!」
 ドンッ!!
 片手うちにもかかわらず、スプレッドサークルから強力なショットが放たれる。
ヒスイ「な、パワーリンクシステム・・・!?」
セシル「パワーリンク?」
ヒスイ「作用反作用を利用し、ブースターを引く事でカウンターレバーを広げる事が出来る・・・つまり、片手うちでシメ撃ちが出来るシステムなんです!」
 その強力なショットに烏は一瞬ひるんだ。いや、一瞬しかひるまなかった。だが、その一瞬だけでフローネには十分だった。
フローネ「っ!」
 フローネはすばやく鋼のビーダマンを手に取った。
フローネ「ふふ・・・ついに・・・ついに、手に入れたぞ・・・!ふふ・・・はは・・・はーっはっはっは!!!」
 鋼のビーダマンを掲げ、高笑いするフローネ。
 その時、鋼のビーダマンが怪しく光り、アーマーが装着されていく。
クロウ「なに!?」
ヒスイ「あれが、伝説のビーダマンの力・・・!」
 コバルトブレードが、ヤマトのビー魂に反応して炎の模様が出たように、このビーダマンも持ったもののビー魂に反応し、アーマーが装着されるようだ。
 その姿は、現実世界で言うところの、デスサイズノーマルモードと同じ感じだ。
フローネ「これが・・・コバルトブレードと対を成す伝説のビーダマン『デスサイズ』・・!」
クロウ「デスサイズ?」
ヒスイ「コバルトブレードと対を成す・・・?」
フローネ「そう、この世には、男と女、光と影、表と裏、夜明けと晩、鶴とカメ、後ろと正面・・・二つの対を成すものによって成り立っている。そしてビーダマンの世界も同じ。対を成す二つの伝説のビーダマンによってビーダマンの世界は成り立っているの。陰と陽の伝説のビーダマン。陽の力、コバルトブレードは、ビーダマンを生み出す力。つまり、ゼロビーダマンの一号機を意味する。そして陰の力、デスサイズは、破滅の力。つまり、定石を崩し、更に発展させる事。最強の改良型素体を意味するの。」
ヒスイ「なるほど、正統派の素体のコバルトブレード・・・邪道である改良型素体最強のデスサイズ・・・。」
クロウ「(だが・・・並のビーダーに使いこなせるものでもない。)」
フローネ「今更生み出す力など必要ではない。私に必要なのは、最強の力。最強であるのなら、正当であろうが邪道であろうが、なんだって構わない!」
 チャキ・・・!
 クロウにその銃口を向けるフローネ。
フローネ「まずはその力・・・ためさせて貰う!」
クロウ「おもしろい、撃てるものなら撃って見ろ?」
 クロウは、両手を広げ、見下すように笑う。
フローネ「っ!なめるな!!」
 ドンッ!!
 デスサイズのトリガーを押すフローネ。しかし・・。
フローネ「きゃぁ!!」
 その反動で、よろけてしまい、弾道がそれる。
 バーンッ!!
 それた弾は、そのままフェンスに当たり、フェンスは粉々になる。
フローネ「はぁ・・・あ・・・あああ!!!」
 ドンッ!ドンッ!!
 突如、暴走しだすデスサイズ。縦横無尽に連射しまくる。
フローネ「そ、そんな、指が・・・指が止まらない!!」
 その連射は更に勢いを増し、まわりを破壊し尽くす。
クロウ「くっ!まさか、ここまで暴走するとは・・・!」
ヒスイ「ここは、危険です、下へ降りましょう!」
セシル「う、うん!」
 ダッ!!
 階段へと走るクロウ達。しかし・・・。
 ゴゴゴゴゴ!!
クロウ「うっ!」
 突如揺れ出す建物。
クロウ「く、崩れるぞ!」
 言い切る前に、建物は巨大な音をたてて、崩れていく。
三人「うわああああ!!!」
 ・・・・・。
 ・・・・。
 気づいたときには、瓦礫の中にいた。
 3人はなんとか立ち上がり、辺りを見回す。
ヒスイ「な、なんとか助かったみたいですね・・・。」
クロウ「いや、そうでもない。」
 言ったクロウの目線の先には、デスサイズに支配され、完全に自分を見失っているフローネの姿があった。
セシル「フローネ・・・さん・・・。」
鋼の烏「ぎゃああああ!!!」
 自分の城を壊され、怒り狂う烏はそのままフローネへ突っ込む。
フローネ「はぁあああ!!!」
 バババババ!!!
 烏へ向かい、容赦なく連射するフローネ。
烏「がああああ!!!」
 烏は、断末魔を上げ、そのまま地面へ落ちる。
 しかし、フローネは攻撃の手を緩めず、攻撃し続ける。
セシル「ひ、酷い・・・。もう動けないのに・・・。」
ヒスイ「狂気・・・まさに狂気です・・・。あのビーダマンは、悪魔・・・。」
クロウ「強い力は、半端な強さを持つものを支配する。強いビーダマンは、ただ手に入れればいいと言うものではないんだ。」
セシル「え?」
クロウ「何故、あの砦にあんなにたくさんの刺客達がいたと思う?ビーダマンを守るためだけが目的なら、強力な罠を仕掛けるだけの方が、能力的にも経済的にも、効率が良い。」
ヒスイ「そういえば・・・。」
クロウ「あの刺客達は、デスサイズを使いこなすための力を得るための特訓相手のようなものだったんだ。しかし、フローネはあいつらと戦わなかった。デスサイズを扱うための力は得ていない。」
ヒスイ「じゃ、じゃあこの砦の本当の主は、デスサイズを扱えるビーダーを探して・・・・。」
クロウ「ああ、恐らく・・・っと、そんな事を言ってる場合じゃないな。」
 クロウは、今だ暴走を続けているフローネに銃口を向ける。
クロウ「ようは、あのデスサイズを撃ち落せばいいんだ。」
 ドンッ!!
 ショットを放つ。クロウのショットは完璧な正確さを見せ、フローネの持つデスサイズにヒット。
フローネ「!?」
 簡単に撃ち落されるデスサイズ。
 その瞬間、フローネは意識を失ったかのように倒れてしまう。
 クロウは、フローネの事を無視し、フローネが落としたデスサイズを拾う。
クロウ「これが・・・伝説のビーダマン・・・。」
 クロウが手にした瞬間、デスサイズの形状が変化する。
クロウ「!?」
 その姿は、現実で言うデスサイズパーフェクトモードだ。
クロウ「これが・・・こいつの本当の姿か・・・。」
 ちなみに、バックグラウンドではセシルがフローネを介抱してたりするのだが、そこら辺は省略させて貰う。

ヒスイ「クロウ。」
 ヒスイは、クロウにレクイエムの欠片である緑色の球を渡す。
クロウ「ああ。」
 クロウはそれを受け取り、デスサイズの肩に埋め付ける。
ヒスイ「これで、レクイエム復活ですね!」
クロウ「ふっ。」



           つづく

 次回予告

クロウ「次の俺達が辿りついた町、ゴルドン。」
ヒスイ「その町に入った途端、僕らはおびただしい数の自警団に囲まれてしまいました!!」
セシル「一体、私達が何したって言うの!?」
クロウ「次回!『ローレン美術館窃盗事件!』極めろ、強さへの道!」

 

 

 

この記事は楽しんでいただけましたか?
ブログランキング参加中!足跡代わりにクリックお願いいたします

ミニ四駆 ブログランキングへ



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

JPEG,PNG,GIF形式の画像を投稿できます(投稿時はコメント入力必須)