爆・爆ストーリー ZERO 第32話

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第32話「現れる刺客達」
 鋼の砦。
 最初にクロウ達が入ったのは、草原のような部屋だった。そして現れたビーダーは・・・・。
クロウ「な・・・っ!」
 クロウは驚愕の表情を隠せないでいる。
少女「うみゃあ。」
 それもそのはずだ。
 クロウ達の前に現れたのは、猫耳、しっぽ、そして肉球のついた手を装着している、なんともオ○クが喜びそうな感じの少女だったからだ。
クロウ「こいつも・・・刺客なのか?」
フローネ「え、ええ。恐らく。」
 フローネもまさかこんな奴が現れるとは思って無かったのか、少し動揺している様子だ。
少女「うみぃ、ところであなた達は何しに来たのぉ?」
ヒスイ「え、えっと、僕達は、君を倒しにきたんですよ。この砦の最上階へいくために。」
少女「そうなのぉ?じゃぁメグの挑戦者だね。」
セシル「メグ?」
メグ「メグの名前。メグ・イマサカっていうのぉ。」
 一人称が自分の名前のようだ。
ヒスイ「は、はは・・・。と、とにかく勝負です!」
 ヒスイは、困惑しながらもビーダマンを取り出す。
メグ「メグもぉ!」
 メグもビーダマンを取り出す。そのビーダマンはふわふわした綿毛に包まれている。
メグ「ニンニンネコピョ~ン!」
 と、そのビーダマンを掲げながら訳の分からない事を叫ぶ。
ヒスイ&セシル「ニンニンネコピョン~!?」
クロウ「(ニンニンネコピョン・・・忍々猫ピョンだろうか・・・?まぁ、カメの忍者がいるくらいだから、猫の忍者がいてもおかしくはないが。しかし・・・。)」
 メグの持っているビーダマンは、とてもフワフワと言うか、太ってるというか・・・ともかく、素早く動くには不向きな感じだ。
クロウ「それは、忍々猫ピョンと言うより、単なるデブ猫だな。」
 思わず口に出してしまったらしい。見ると、メグはクロウの言葉を聞き、不満そうに口を尖らせる。
メグ「違うのぉ!ニンニンネコピョンなのぉ!」
ヒスイ「な、何が何やら・・・。」
メグ「この子のお腹にはぁ、赤ちゃんがいるの。」
 と言い、メグは自分のビーダマンを撫でる。
四人「・・・・・・。」
 メグのセリフに完全に言葉を失う。
メグ「妊娠してる人は、妊婦さんって言うでしょ?だったら、妊娠してる猫は妊猫さんって事になるよね?でも、妊猫さんじゃ、可愛くないのぉ。」
クロウ「(確かに、御嶽山みたいな響きだしな。)」
メグ「だから、愛着を込めてニンニンネコピョンなのぉ。」
 意味が分からない。まず、ビーダマンに妊娠と言う概念を取り込んでる時点で何かが間違っている。
セシル「も、もういいから早く始めようよ。頭痛くなってきた。」
 額を押え、ため息をつく。
ヒスイ「そ、そうですね。それで、ルールは?」
メグ「ん~、デスマッチでいいよぉ。」
 姿に似合わず、一番えげつない競技を選んでくる。
ヒスイ「いいですよ。」
セシル「じゃ、始めるよ~、ビーファイア!!」
 さっさと終わらせたかったセシルは唐突に、問答無用にバトルの合図をする。
ヒスイ「うわ、いきなりですか!」
 多少慌てたものの、すぐに気を引き締め、ニンニンネコピョン目掛けてショットを放つ。
 ボムッ・・!
 そのショットはあっさりヒットするのだが、ニンニンネコピョンの体にめり込み、そのまま弾かれてしまった。
ヒスイ「あ、あれ?(結構強く撃ったはずなのに・・・。)」
クロウ「ちょっと待て。」
 その時、クロウが何か気づいたようだ。ジッとメグの手を見ている。
クロウ「あいつ、肉球のついた手でなんであんなに安定してビーダマンを持ってられるんだ?」
セシル「そ、そういえば・・・!」
ヒスイ「そうか・・・。あのフワフワなボディ・・・あれが、どんな手にもフィットするようになってるんです。しかも、相手の攻撃の衝撃を吸収できる・・・。持ち易いどころのレベルじゃないですよ、あのビーダマンは!」
メグ「うみぃ、今度はこっちから行くのぉ!」
 ドンッ!!
 ニンニンネコピョンから放たれるショット。しかし、その威力は通常のビーダマンゼロとほぼ変わらない。
ヒスイ「(なるほど、防御はさすがですが、他は大した事無いようですね。多少持久戦になりそうですが、勝つ事自体はそう難しくなさそうですね。」
 ヒスイの思った通り、多少時間はかかったものの、あっさりヒスイが勝利した。
メグ「うみぃ、負けちゃったのぉ・・・。」
 地面にペタンと座り、悔しそうにうつむく。
ヒスイ「悪いですね。僕もこんなところで躓くわけには行かないんです。」
メグ「仕方ないのぉ・・・次の部屋、言ってもいいよ。」
 と言ってメグが指差す方向には、扉があった。こんな大草原の真っ只中にぽつんと存在する扉は、何やら違和感がバリバリである。
クロウ「まずは、第一関門突破・・だな。」
ヒスイ「ええ。」
 四人は、その扉へ向かい、そして、次の部屋へと進む。
 四人がたどり着いた次の部屋。そこには・・・!
 沼があった。
ヒスイ「草原の次は沼ですか・・・。」
セシル「もう驚けないわね。」
 バシャッ!!
 その時、水面が勢い良く跳ねた。
セシル「え?!」
???「フィーッシュ!!」
 謎の少年がランカーをフッキングしたようだ。
 しかし、ランカーは結構抵抗するようで、右へ左へと動き回る。
???「おっ、これはなかなかいいファイトが楽しめそうだ。」
 謎の少年は、なれた手つきでランカーを操る。
 そして、ランカーの疲労が増してきたところで一気に引き寄せ、ランディング。
???「グッサイズ!!」
 ランカーのアゴを持ち、元気良く叫ぶ。
クロウ「なぁ・・・?」
 その様子を黙って見ていたクロウは、隣にいるフローネに話し掛ける。
フローネ「え?」
クロウ「これは、『ビーダマン』のフィールドなんだよな?」
フローネ「え、えぇ、まぁ・・その・・・・。」
 さすがにここまで場違いな連中が出てくると、ちょっと自信が無くなってくるようだ。
???「そこの君達!」
 さっき釣ったバスを優しくリリースし、クロウ達を指差す釣り少年。
ヒスイ「あ、はい。」
???「目的は聞かずとも分かっている!さぁ、俺と勝負だ!」
 と言って、緑色のビーダマンを取り出す。
セシル「(一応、約束は守ってくれるようね・・・。)」
グラムサ「俺の名前はグラムサ!愛機は命中精度とパワーが自慢の『グランダースケール』だ!」
 グランダースケールは、ブラックバスをモチーフにしているようだ。ブラックバスの模様をしたバレルが特徴的だ。
グラムサ「今回のバトルのルールを説明しよう。ルールはいたって簡単、ビーダマンを使って、より大きなブラックバスをゲットした方の勝ちだ!」
ヒスイ「(どこが簡単ですか・・・?)」
クロウ「バトルの特性から考えると、命中精度が重要だな。」
セシル「てことは、私の出番ね!」
 レーザーホーネットを取り出し、前に出るセシル。
ヒスイ「あ、待って!」
 それを制するヒスイ。
セシル「なに?」
 出鼻をくじかれ、ちょっと不満そうに振り向く。
ヒスイ「レーザーホーネットを、セシルちゃん用に改良してきましたよ。」
 と言って、新たなビーダマンをセシルに渡す。
セシル「これは?」
ヒスイ「セラフィックホーネット。ヘッドのスコープによって狙いを定め易くしたビーダマンです!」
セシル「うわ~、かわい~!」
 セシルは、性能よりもデザインが気に入ったようだ。
 ヒスイはセシルからレーザーホーネットを受け取り、そしてヘッドに着いているレーザーを外す。
ヒスイ「こんなものは、無いほうがいいんです。」
 そう言って、池の中に放り投げる。もう二度と、あの悪夢が繰り返される事は無いだろう。
グラムサ「さて、始めようか。」
セシル「ええ。」
グラムサ「ビー、ファイア!!」
 スタートと同時にグラムサは、池の中央にあるストラクチャー目掛けて撃つ。
 そのショットはストラクチャーまでは届かず、手前で落ちてしまう。
ヒスイ「外した?」
グラムサ「ふっ。」
 バシャッ!!
 その瞬間、一匹のバスが勢い良くライズする。
クロウ「なにっ!」
グラムサ「いくぜぇ、フリップショット!!」
 グラムサは、フリップキャストの要領で手首を返し、ショットを放つ。
 バーンッ!
 そのショットは見事バスに命中。
グラムサ「30UPってところかな?」
ヒスイ「そうか。今の沼はマッドウォーター・・・。水がにごってる時は、バスは通常ストラクチャーのそばにいるんです。」
グラムサ「そう、さっきの俺のショットは水面近くをうろつくトンボをイメージしたんだ。そしてそのトンボを捕らえようと、バスがライズしたところを狙ったのさ。」
 グラムサに負けじと、セシルもポイントを探す。
セシル「すとらくちゃー・・・?と、とにかく、あの変な杭みたいなのにバスって魚がついてるのね?」
 丁度いいストラクチャーを見つける。
セシル「あ、あった!よーし・・・。」
 標準を定めるセシル。
セシル「命中精度なら、ホーネットが一番よ・・・。いけっ!」
 ドンッ!・・・・カンッ!!
 セシルの放ったショットは見事ストラクチャーに命中してしまった。
セシル「やった!」
グラムサ「あ~あ。」
 喜ぶセシルに、グラムサは呆れた顔をする。
セシル「え?」
グラムサ「そんな事したら、びっくりしてバスが逃げちゃうよ。」
セシル「そ、そなの?」
 セシルは釣りの経験が全く無いようだ。
クロウ「仕方ない、こうなったら奴がライズさせたバスを狙え。それしか方法は無い。」
セシル「えぇ・・。」
グラムサ「あいにく、俺はもうプレイはしないよ。ある程度のサイズをゲットできたら、それをキープするのも戦術だしね。」
クロウ「ちっ。」
セシル「うぅ・・・どうすれば・・・。」
ヒスイ「・・・・あ、そうだ!」
 その時、ヒスイは何かにひらめいたようだ。頭上に電球のエフェクトが浮かんでいる。
ヒスイ「セシルちゃん!カバーです!カバーを狙うんです!!」
セシル「かばー・・・?あの口のおおきな?」
ヒスイ「違いますよ。えっと・・・枝とかで影になってる部分です。」
クロウ「おい、普通バスがカバーについているのはクリアウォーターの時だけだろ?」
ヒスイ「えぇ、でもそれは普通のバスならです。しかし、頭のいい主が、普通に皆が狙う場所にいるわけがない。」
クロウ「なるほど、カオスの存在にかけるというわけか。」
セシル「わ、分かったわ!」
 セシルは沼にあるカバーを見つけ、狙いを定める。
グラムサ「ふん、そんな所にいるわけがない。」
セシル「いるかどうかはやってみなくちゃ分からないよ!いけー!!」
 バシャッ!バシャッ!!
 セシルのショットは、水面を跳ねながら進んでいく。
グラムサ「スキッピングだと!?」
 そして、ちょうどカバーの下で着水。
 バシャッ!
 それと同時に沼の主であろう巨大なランカーが飛び出してきた。
グラムサ「なにぃ!これは、50UPはあるぞ!?」
セシル「よーし!いけー!!」
 バシュッ!!
 セシルの放ったショットは見事ランカーに命中。
 この勝負、セシルの勝利だ。
グラムサ「くそ・・・世界一のグランダー、Gマスターであるこの俺が・・・・!」
 膝をつき、悔しがるグラムサ。
グラムサ「鬼頭グループをやっつけ、レシェンターも全て集めたほどの腕前のこの俺が・・・!」
 訳の分からない事を言いながら悔しがるグラムサを尻目に、クロウ達は次の部屋へと進んでいく。
                 

つづく


 次回予告

ヒスイ「相変わらず変てこなビーダーばかり現れる鋼の砦。」
セシル「もう、うんざり・・・。早く頂上につかないかな?」
クロウ「しかし、そんな俺達の前に、あの脅威のビーダーが立ち塞がる。」
ヒスイ「次回!『ロン乱入!』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」




 

 



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