弾突バトル!フリックスアレイ」カテゴリーアーカイブ

弾突バトル!フリックス・アレイ 第24話

第24話「悪夢の決勝戦!ドライブヴィクター魂のシュート!!」
  

 遠山カップ会場。
 バンとレイジの試合が終わり、Bブロックの準決勝の試合が行われていた。

『さぁ、白熱の遠山カップもあと2試合を残すのみとなった!
次に行われるのは、準決勝第二試合!ザキ君VS川田史郎君だ!!ザキ君はスクールが誇る最強のフリッカー、そして川田史郎君はスクール最高クラスに所属しているフリッカーだ!これは、スクール生同士の頂上決戦となる屈指の好カードだ!!』

 ザキと史郎がフィールドの前に立った。
「スクールの切り札だかなんだかしらないけど。Sクラスの誇りにかけて、僕は君を倒す!」
 史郎は凛とした表情でザキと対峙した。
「けっ、次元が違うんだよ」
 ザキは、そんな史郎を鼻で笑うようにして吐き捨てた。
 
 そしてバトルが始まる。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第23話

第23話「執念のバトル!バンVSレイジ!!」
 

 遠山カップ会場。
「そっち持って!」
「落とすなよ!」
 先ほどの剛志とザキの対戦で、負傷した剛志を二人のスタッフが担架で運び出す。
「剛志!しっかりしてよ、剛志~!!」
 その横にぴったりと、涙目のレイジが寄り添うように着いていっていた。
 が、救護室までは一般人は通れないようで、レイジはスタッフに止められ、剛志はそのまま奥へと運び出されてしまった。
「剛志~!剛志~~~!!!」
 レイジは、数人の男性スタッフに押さえつけられながらも、奥へと消えた剛志へ向かって泣き叫んでいた。

「レイジ……」
 バンとリサは遠目でそれを痛々しげに眺めた。
「許せないぜ、ザキ……!何もあんな風にボコボコにする事なかったじゃねぇか!」
 バンは拳を握りしめて、ザキへと視線を移した。
 ザキは、相変わらず疎ましそうな顔でマスコミに囲まれている。
「くそっ、ちやほやされやがって!今に見てろぉ……!絶対に俺が倒してやる!!」
「でも、変だよね」
 バンがエキサイトしている横で、リサは疑問を呟いた。
「え、なにが?」
 バンには、リサが何に疑問を抱いているのかが理解できなかった。
「だって、普通ケガ人がでるような試合をしたら、一般には悪印象を与えるものなのに。マスコミはまだザキをヒーローみたいに扱ってる」
「……」
 そういえば。
 マスコミがザキに向けているものは、対戦相手を怪我させたヒールではなく、見事に勝利したヒーローと言うものだ。
「スクールが情報操作してるのかな」
「ちぇ、汚い奴らだぜ」
 都合の悪いものは映さずに編集し、都合のいいものだけしっかりと映す。所謂マスゴミと言うやつなのだろう。

 そして、しばらく経ち。
 次の試合の開始時間となった。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第22話

第22話「圧倒的パワー!脅威のシェイドスピナー!!」

 

 バンVS操の好バトルの後も、遠山カップは恙無く進行していった。

『ゲンタ君VSレイジ君のバトルもいよいよ終盤戦だ!二人ともなかなかフリップアウトを狙えず、かなりの長期戦で互いにHPは1のみ!次のゲンタ君のターンで決まってしまうのか!?』

 ゲンタとレイジの試合のようだ。

「へっへっへ、運よく先攻でダメージレース続けられたけど、これも実力のうちだ!悪く思うなよ!!それにしてもこのドライブヴィクターフレームとか言う機体、すげぇ性能だぜ!」
 バシュッ!
 ゲンタは買ったばかりの量産型ドライブヴィクターをレイジのミラージュレイダーに向かってシュートする。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第21話

第21話「強敵大集合!遠山カップ開催!!」

 

 千葉ポートアリーナ。
 フリックス遠山カップが開催されるこの会場は、選手や参加者たちの熱気に溢れていた。

「ついたついたー!」
 京成千葉中央駅から歩いてやってきたバンとリサも会場に到着する。
「すっごい人だなぁ。今まで何回か大会に出た事あるけど、一番凄いぜ!」

 会場の建物前にごった返す人ゴミを見ながらバンは感嘆を漏らした。
「うん。スクールを広めるために、この大会をかなり宣伝したみたい」
 周りを見ると、でっかいカメラにマイクを持った人もいる。
 マスコミにも宣伝済みのようだ。

「あ、見てバン」
 マスコミ達が騒めき、数名の人物を取り囲んでいる。
 そこにいたのは段治郎と伊江羅博士、そしてザキだった。
「ザキ……!」
 マスコミ達は忙しなく撮影し、カメラを向けて何かしらインタビューしている。
「やっぱりこの大会って、そう言う事だよね」
 リサが神妙な口調で言う。詳しい目的は分からないが、ザキが大会の中心選手である事は間違いないだろう。
「へへっ、ますますわくわくしてきたぜ!今度こそあいつをぶっ倒す!!」
「バン、気を付けてね。スクールは自分の生徒を勝たせるためなら、何をしてくるか分からないから」
「分かってるって!どんな手を使われたって俺は絶対に勝つ!」
 気合いを入れ直すバンの前によく見知った男が現れた。
「お前も招待されていたか、バン」
「操!」
 鷺沢操だった。彼も腕に覚えのあるフリッカーだ。スクールが放っておくわけがない。
「得体のしれない招待状だったが、これは楽しみになりそうだ」
「俺もだぜ!そういや、前のバトルでは負けちまったからな。次は勝たせてもらうぜ」
「そう簡単にはいかないがな」
 二人はしばらく目線で火花を飛ばしあった。
「バン、そろそろ受付にいかないと」
 しばらく動かなかった二人に、リサが声をかけた。
「おおっと、そうだった。じゃな、操!フィールドで会おうぜ!」
「ああ」
 操と別れて、バンは受付へと走った。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第20話

第20話「リサとの対立?!TFSからの招待状!!」
 
 
 
 とある放課後の公園。
 いつものようにバン達四人がバトルをしていた。
 
 新たな必殺シュート『ブースターインパクト』を会得したバンは絶好調だった。
「さぁ、バン!この陣形を崩せるかなぁ!?」
 ドライブヴィクターの前に、プロトアレイの二体が縦一列に並んでいる。二機分の防御力があるのだろう。
「けっ!甘いぜ!」
「どうかな!こっちには二人分の防御力があるんだぜ!!」
「その二人分をブッ飛ばすパワーが、こっちにはあるんだよ!!」
 言って、バンは構えた。
「来るか……!」
 オサムとマナブは身構えて、フリックスに自分たちのパワーを送って防御力を上げる。
「いっけぇ!ブースターインパクトォ!!」
 バンのブースターインパクトが炸裂。
 一気に二機のフリックスをフッ飛ばす。
 
 バーーーーーン!!!

 
「おっしゃあ!やっぱり俺がダントツ一番!」
 バンがガッツポーズをとった。
「ちぇ、一気に2体フリップアウトかぁ。そんな技されたらどうしようもねぇよ」
「どんなに防御しても貫通されちゃうもんね」
「なっはっは!ブースターインパクトは無敵だからな!」
 調子に乗って馬鹿笑いするバン。
「ブースターインパクトは、フリックスを撃つ瞬間に腕を伸ばして、威力を倍増させる技……。並大抵の防御じゃ太刀打ちできないね」
「おう!なんだったら、3人まとめてかかってきてもいいんだぜ!なーっはっはっは!」
 さすがにちょっと調子乗りすぎだろう。
「……」
 リサは、そんなバンを複雑な顔で見ていた。
 
 そして、夕方になったのでバン達は帰宅した。
「いやぁ、気持ちよかったぁ!やっぱバンバンブッとばせるって最高だぜ~!」
 バンはいい気分になりながら、リサと一緒に家の門をくぐる。
「あ、バン。郵便が来てるよ」
 リサは郵便受けにハガキが入ってることに気づいた。
「ほんとだ。誰からだろう?」
 ハガキを見ると、宛名が段田バン宛てになっていた。
 バンは家に入ってからハガキを見ることにした。
 
 リビングのソファに座り、バンとリサはハガキを見ることにした。
「これは、遠山フリッカーズスクールからだ!」
「えっ?!」
 送り主は、なんとフリッカーズスクールだったのだ。
「どうして、スクールがバンに……?」
 スクールがバンにハガキを送る事が信じられないリサ。
「と、とにかく読んでみるぜ!」
 信じられないのはバンも同じだ。とにかく内容を見てみることにした。
「なになに……」
 
 『誇り高きフリッカー諸君、最強の座を賭けて我がスクールが主催する大会に招待しよう。
 腕に自信のある者は是非参加してくれたまえ。
 この招待状は、全ての腕に覚えのあるフリッカーたちに送られておる。
 ハイレベルな戦いを期待しているよ……』
 
 こう書いてあった。
 
「大会の招待状……?!」
「スクールが主催してるの……?」
「みたいだな」
「……」
 二人はしばらく黙りこんだが、状況を頭で整理できたバンがふいに立ち上がった。
「へっ、面白れぇ!スクールの主催だろうがなんだろうが、乗り込んで優勝してやるぜ!!」
 バンはハガキをギュッと握りしめて意気込んだ。
「待ってバン。迂闊に参加するのは危険だよ」
「なんでだよ?向こうから挑戦してきたってのに、逃げるわけにはいかないだろ!」
「でも、スクールの罠かもしれないよ……?」
 リサの警戒はもっともだ。しかし、バンは全く聞く耳を持たない。
「大丈夫だって!なんたって俺には、ブースターインパクトがあるんだぜ!どんな奴が相手だろうと、どんな罠があろうと、ダントツで優勝だ!」
「バン……」
「なっはっはっは!」
 バンはまた馬鹿笑いする。
「そういう時が一番危険だと思う。油断してると痛い目に合うよ」
「大丈夫だって!リサだって知ってるだろ、ブースターインパクトの強さ!」
「でも……!」
 リサのしつこい警告に、バンは少しイラッとした。
「なんだよなんだよ、さっきから俺が負けるような事ばっかり言って。そんなに俺の強さが信用できないのか?」
「そういうわけじゃないけど」
「あ、そうか分かったぞ!リサ、自分に招待状が来なかったからって、ヤキモチ焼いてんな?」
「え……?」
「そうだよなぁ、なんたってこの招待状は『腕に覚えのあるフリッカー』に送られてるんだもんなぁ」
「む……」
 バンが何を言いたいのかを理解し、リサはムッとした。
「まっ、でもしょうがねぇって!俺は今ダントツだから!そう気にする事ないぜ!!」
 バンが超上から目線でリサの肩をたたいた。
「……」
 リサは何も言わずにその手を払うと、とことこと玄関へと歩いて行った。
「お、おい、どこ行くんだよ?」
 が、リサは何も答えずにそのまま外に出て行った。
「え、ちょ、おい!!」
 バンは慌てて後を追って外に出る。が、もうリサの姿は見えない。
「リサー!!」
 大声で呼びかけるのだが、返事はない。
「ったくもう、こんな夜に一人で出かけたら危ないだろうが……!」
 バンはぶつくさ言いながら、リサを探すために駆けだした。
 
 街灯に照らされた夜道を、バンは当てもなく駆け巡る。
「リサー!リサー!!」
 リサの名を呼びながら。
 だが、当然返事はない。
「ったく、どこいっちまったんだよ」
 
 散々探し回ったあげく、バンは中央公園にたどり着いた。
 夜の中央公園は、四隅にある灯りに照らされて、なんだか不気味だった。
「リサー……」
 バンの声も弱弱しい。
 もしかしたら、もう帰ったのかもしれないと、家路につこうとした時だった。
「誰かお探しか」
 後ろから、高圧的な男の声が降ってきた。
「うわぁ!!」
 びっくりして振り返ると、そこには、マスクをした男、Mr.アレイとその隣に同じくマスクをした小さな少女がいた。
「って、み、Mr.アレイかよ……!ほんと、神出鬼没だよな……」
 バンはどくどくと波打つ胸を抑えた。
「ってか、隣にいるのって……リサか!?」
 Mr.アレイの隣にいる覆面少女は、どう見てもリサだった。
「今までどこ行ってんだよ!そんなMr.アレイみたいな格好して……さ、帰るぞ」
 と、バンが手を差し伸べたのだが、少女はその手をさっと払う。
「え?」
「リサではない」
 と、Mr.アレイは言う。
「なに?」
 バンはわけがわからない。
「わ、私は……」
 と、リサ(?)は少し遠慮がちに口を開いた。
「ふ、覆面フリッカー。Ms.アレイ……です」
 恥ずかしいのか、最後の方はうつむき加減で、声も小さくなっていた。
「は……?」
 バンはあっけにとられた。
「だ、段田バン!あなたに、フリックスのなんたるかを教えてあげる!さ、さぁ、私と勝負よ!」
 Ms.アレイはしどろもどろになりながら、勝負を挑んできた。
「な、何わけのわからない事言ってんだよ。そんな事より早く帰るぞ」
 バンはMs.アレイの言葉を無視して帰ろうとするのだが
「ほう、挑まれた勝負から逃げるのか?フリッカーの風上にもおけん奴だな」
 Mr.アレイが挑発してきた。
「なんだと!?」
 単純なバンはその挑発にあっさり乗ってしまう。
「けっ!俺はどんな奴の挑戦だって受けてやるぜ!今の俺は誰にも負けねぇんだからな!!」
 言って、ドライブヴィクターを構えた。
「決まりだな」
 そして、バトルが成立。
 二人は、備え付けのフィールドを介して対峙した。
 
 アクティブシュートして先攻後攻を決める。
 先攻はバンだ。
「まずは俺のターン、すぐに決めてやるぜ!ブースター……!」
 しかし、リサのフレイムウェイバーがつけている位置を見てバンはブースターインパクトの構えを解いた。
「くっ!このまま撃ったら場外しちまう……!ここは様子見だ!」
 バンはマイン再セットした。
 Ms.アレイのターン。
「いけっ!」
 バシュッ!
 フレイムウェイバーをシュートする。
 カシュッ!
 フレイムウェイバーはドライブヴィクターを掠めてマインヒットしつつ、反対側のフィールドの角につけた。
「よし」
「くっ!またあんな位置に……!」
 これはリサ得意の戦法だ。
「ちぃ!」
 バンは再びマイン再セットだ。
「でも、俺だってあの時のままじゃないぜ!そっちがその気なら、こっちはその戦法を崩してやる!」
 Ms.アレイのターン。
「いけっ!」
 バシュッ!
 フレイムウェイバーが再びドライブヴィクターを掠めようとする。
 ガキンッ!
 しかし、バンはステップでドライブヴィクターの向きを変え、フレイムウェイバーの反射角度を変えた。
「っ!」
「おっしゃ!」
 マインには当たらず、フレイムウェイバーがフィールドの端から少し離れたところで止まった。
「ドライブヴィクターだって、ステップで向き変えるくらいは出来るんだぜ!」
「……やっぱり、もう通じないか」
 Ms.アレイは意味深につぶやいた。
「さぁ、この位置ならぶちかませるぜ!」
 バンのターン。
 バンは、ブースターインパクトの構えをとった。
「うおおおおおおおおおお!!!!!!」
 気合いを込め、指に力を入れる。
「いっけえぇぇぇえ!!!!!」
 グッ!と腕を曲げる。
「ブースターインパクトオオオオオオ!!!!」
 
 バシュウウウウウウウウウウ!!!!
 
 ドライブヴィクターが必殺の勢いでフレイムウェイバーへとカッ飛び、弾き飛ばした。ドライブヴィクターは上手く重心を捉えたおかげかすぐに停止した。
「ブッ飛ばしてやるぜ!!」 
 このままではフレイムウェイバーはたまらずフリップアウトしてしまうだろう。
 だが……!
「フレイムウェイバー!!」
 フレイムウェイバーがフィールド端でバリケードにぶつかる瞬間、リサはバリケードをややズラした。
 ガッ!!
 フレイムウェイバーは勢いはそのままに飛ばされる方向が変わり、フィールド端の一辺を滑っていった。
 そして、ギリギリ角で踏み止まる。
「なにっ!?ばっちり決まったはずなのに……!」
 
「なるほど、いなし技か」
 Mr.アレイが言う。
「え?」
「ドライブヴィクターの攻撃を受けてフィールド端まで飛ばされた瞬間に、バリケードを使ってフレイムウェイバーの角度を変えていなしたのだ」
「っ!」
 バンは驚愕してリサを見た。
「いなしって、レイジみたいな奴か……!」
「エアリアルパリィほどの効果はないけど、フリップアウトを防ぐくらいは出来る……!」
「くそっ!」
 Ms.アレイのターン。
 バシュッ!
 再びドライブヴィクターを掠めてマインヒットし、距離を取った。
 そして、バンのターン。
「さっきは防がれたけど、今度こそ決めてやるぜ……!」
 バンは再びブースターインパクトの構えをとった。
「いっくぜぇぇぇ!!」
 グッ!と力を込める。
「ブースター……うっ!」
 ピキィ!!
 その時、バンの右腕に鋭い痛みが走った。
「くっ、そおおおお!!」
 が、構わずに技を発動する。
「インパクトォ!!」
 腕を突き出してドライブヴィクターをシュートする。
 しかし、その勢いは……。
 
 ヒョロヒョロヒョロ~、パシッ!
 
 非常に弱かった。
 わずかにフレイムウェイバーを数ミリ動かしただけだった。
「う、ぐ……なんで……!」
 信じられないバン。
 
「ブースターインパクトは、強大な威力と引き換えに使用者にかかる負担も大きい。連発すれば腕が耐えられなくなるのは当然だ」
 Mr.アレイが解説した。
 
「く、そぉぉ!!」
 Ms.アレイのターン。
 バシュッ!ガキンッ!!
 無難に攻撃をヒットさせる。
 バンのターン。
「俺だって!」
 バシュッ!!
 必殺技が撃てなくても、とフレイムウェイバーをフリップアウトさせようとするのだが、腕を痛めたバンはノーマルシュートでも威力が出せない。
 あっさり耐えられてしまった。
「そんな……!」
 そして、何ターンか同じような展開が続き……。
 
 Ms.アレイのターン。
 見事にマインヒットが決まり、ドライブヴィクターは撃沈した。
 
「ぐ……そんな、俺が、ブースターインパクトが通じないなんて……!」
 バンは腑に落ちない顔をする。
 
「バン……」
 リサは、心配そうな顔になってバンに近づくが、その前にMr.アレイが口を開いた。
「当然だな」
「なにっ?!」
「どんなに強力な技も、人前に晒し過ぎれば対策もされる。力はただ出すものではない。使うものだ」
「……」
 Mr.アレイはそれだけ言うとサッと消えて行った。
 バンはそんなMr.アレイの事を追うことはせずにMs.アレイに向き直った。
「バン」
 Ms.アレイはマスクを脱ぎ、リサとしての素顔を出していた。
「リサ……もしかして、さっきMr.アレイが言っていたことを俺に伝えたくてバトルをしてきたのか?」
「……」
 リサは頷いた。
「そっか、ごめん。俺調子に乗ってた。そうだよな、必殺技が出来たからって、絶対勝てるとは限らないんだもんな」
「バン……」
「今のバトルで分かったぜ。力が強けりゃ勝てるんじゃないんだ。使い方が大事だったんだ」
「うん」
「リサの忠告も、よく分かった。さすがのブースターインパクトも対策されたり、卑怯な手を使われたりしたら、負けちまうかもしれないもんな」
「うん……」
「だけど、俺は出るぜ!」
「え?」
「大会だよ!必殺技があろうがなかろうが関係ねぇ!例えスクールの罠だとしても、招待されたものを逃げるわけにはいかないだろ!」
「バン……」
 リサは、少し不安げな顔になる。
「心配するなって!リサの忠告は全部この胸に届いた!もう必殺技を連発するような事はしない。ここぞって時に使う。だから、安心して行かせてくれ!」
 バンの真剣な瞳を見て、リサは頷いた
「……うん、わかった」
「サンキュ!」
 バンはニッと笑った。
「さっ、早く帰ろうぜ!あんまり遅いと父ちゃんに怒られちまう!」
「あ、うん!」
 バンはリサの手を引いて、急いで家路につくのだった。
 
 遠山フリッカーズスクール、地下練習場。
 フィールド上に、いくつものフリックスがセットしてあり、シェイドスピナー一機でそれを相手にしている。
「うおらああああ!!」
 バキィ!!!
 シェイドスピナースピンアタックが相手のフリックスを破壊する。
「うわあああ!!」
 相手のフリッカーが飛び散るかけらにおびえてうずくまる。
 
「死ねええええ!!」
 バキィ!!
 またもシェイドスピナーの猛攻が相手のフリックスを砕く。
「うわあああ!!!」
 
「まだまだぁぁ!!!」
 バキィ!!!
 シェイドスピナーの猛攻は止まらない。
「ぐおあああ!!」
「おらああああ!!!」
 バキィ!!
 粉々に砕く。
「うぅぅ……!」
 
「これで、最後だ!!!」
 バキィ!!
 最後に残った一機も粉々に砕いた。
「う、ぐうう……!」
 あっという間に、全てのフリックスを破壊してしまった。
「ちっ!これじゃ大会前のウォーミングアップにもならねぇ……!」
 ザキは、あまりにも弱すぎる練習相手にイラついているようだ。
「ザ、ザキ様……もうこれ以上は我々の身が持ちません。我々も大会に向けて休息を……」
 数多くいる練習相手のうちの一人がザキに懇願する。
 が、そいつをザキは睨み付けた。
「あ?何寝ぼけた事言ってんだ。てめぇらの身の安否なんざどうでもいいんだよ!いいから構えろ!!」
「ひぃぃ!!」
 ザキの迫力にビビッたそのフリッカーは思わずフリックスを構えた。
 バシュッ!ガキンッ!!
 が、全くシェイドスピナーは動じない。
「けっ、雑魚の分際で何が『大会に向けての休息』だ!てめぇらなんざ、大会に出れなくなったところでどうでもいいんだよ!」
「そ、そんな……!」
「俺の遊び相手にすらならないフリッカーは、消えてなくなれ!!!」
 
 バキィ!!!
 シェイドスピナーがフリックスを粉々にする。
「う、ぐぅぅ……!」
 その少年は粉々になったフリックスを抱えながら、崩れ落ちる。
「ちっ、歯ごたえのねぇ……この程度の奴が俺の大会に出ようとは反吐が出るぜ!」
 ギンッ!と周りで見ていた大勢のフリッカーを睨み付けた。
「う、うわあああああ!!!!」
 フリッカーたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っていった。
「逃げるな!戦え!!!」
 ザキが叫ぶのだが、それで立ち止まってくれる人などいるはずもなく。
 あっという間に練習場はザキ一人になってしまった。
「……ちっ、どいつもこいつも、弱いだけじゃなく意気地もねぇ」
 
 “そんなに、バトルがしたいってんなら……俺が相手になってやる!!!”
 
 ザキは不意に、自分の姿を見てもビビらずに果敢に勝負を挑んできたバンを思い出した。
「ザコには変わりないが、度胸だけはある奴だったな」
 いつしかザキは、練習に退屈するとバンとのバトルを思い出すようになっていた。
「けっ、くだらねぇ」
 ザキはすぐにそう吐き捨てて、個人練習に没頭した。
 
 ザキ一人しかいない空間で、シェイドスピナーの激突音だけが激しく響いていた。
 
 
 
       つづく
 
 次回予告
 


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弾突バトル!フリックス・アレイ 第19話

第19話「必殺!ブースターインパクト!!」


バンは猛特訓の末、ようやく必殺技のコツを会得した。
その翌日の放課後。
HRが終わり、児童達が帰り支度をする教室で、バンはオサムとマナブに声をかけた。

「オサム、マナブ!この後公園でバトルしようぜ!」
「ん、あぁ……。なんだよ、もう一人でやる事は良いのか?」
 バンはここ最近、特訓するためにずっとオサム達の誘いを断ってきた。
 そんなバンにいきなり誘われたものだから、オサムは意外そうな顔になる。
「ああ!もうばっちり!あとは、皆とのバトルで試したいんだ!!」
「そっか、そういう事なら僕たちは構わないよ」
「仕方ねぇな、付き合ってやるよ」
 と、言いつつオサムもマナブも少しうれしそうだ。
 ずっとバンがいなくて、バトルが盛り上がらなかったのだろう。

 バンは家に帰り、リサを誘う。
「リサ、今から公園行こうぜ!」
「うん!」
 リサは心底嬉しそうに頷いた。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第18話

第18話「秘められた力を求めて!」
 
 
 
 
 タッグバトル大会の翌日。
 登校したバンは、さっそくクラスの皆に取り囲まれての人気者状態だった。
「おわぁ!なんだよお前ら!?」
 思わずのけぞるバンだが、クラスメイト達は構わずにバンに迫った。
「テレビで見たぜ、段田!!」
「すげぇな!優勝しちゃうなんてよ!!」
 
「えへへ、まぁね~!」
 迫られるのは物理的に辛いが、こういう迫られ方は悪い気がしない。
 クラスメイト達の賛辞を受けてバンは、後頭部を掻いた。
「ただの優勝じゃねぇもんな!ディフェンディングチャンピオンに勝っての優勝だもんな!」
「ハンマーギガにミラージュレイダー、どっちもむちゃくちゃ強そうだったのに!!」
「まっ、実力だよ実力!なっはっは!」
 次々と送られる賛辞に、バンの鼻も高々だ。
「最後に勝負を決めたシュート、あれっていったいなんなんだ!?」
「そうだよ、どうやってあんなシュート打つんだよ!」
「え……」
 あのシュートの話を出されると、バンの表情が変わった。戸惑い交じりの表情だ。
「今度俺達にも教えてくれよな!」
「あ、あぁ、今度な!」
 バンは、適当に茶を濁しつつも、あのシュートの話題を逸らした。
「……」
 正直言って、ハンマーギガを倒せたあのシュートの正体はいまだにわかっていない。
 偶然の産物なのだ。
 剛志とレイジに勝てたのは嬉しいが、それ以上にバンはあのシュートが気になっていた。
 あれを完全に自分のものにしない限り、それは剛志とレイジに勝ったとは言えないのではないのか?
 そんな思いにもとらわれていたのだ。
 
 今日一日、そのことばかり考えて、授業なんてまるで頭に入らなかった。
 まぁ、いつも頭に入ってないんだけどね。
 
 そして、放課後。
「おーい、バン!今日も家帰ったら公園行くだろ?」
 オサムとマナブがバンを誘いにやってきた。
「ああもちろん!リサも連れてくよ!!」
 と言うわけでバンは家に帰り、リサを連れて公園へと向かった。
 
 公園で、いつものように四人でフリックスバトルをする。
「うりゃ、いけっ!」
 オサムのシュート。
 普通にフィールドの真ん中につける。
「いけぇ!」
 マナブのシュート。
 フィールドの真ん中につけたオサムのプロトアレイにアタックするものの、そこそこしか弾けない。
 
「フレイムウェイバー!」
 リサのシュート。
 オサムとマナブのフリックスの間をすり抜けて、フィールドの中央で二機の間につけた。
 これで、次のターン、二人のうちどちらかに攻撃されても、どっちかがクッションになって弾き飛ばされない。うまい位置取りだ。
「さ、次はバンのターンだぞ」
 オサムが促す。が、バンは一人考え事をしていた。
(う~ん、あのシュート、日ごろから好きなタイミングで使えないとダメだよなぁ。決勝ではたまたま上手く行ったけど、まだどうやって発動するか分からないしなぁ)
「バン!」
 いつまでたってもシュートしないバンにオサムはしびれを切らした。
「あぁ、わり!」
 バンはあわててドライブヴィクターをセットした。
(えっと、あの時はものすごい気合い入れてたから、今も!)
 バンは思いっきり息を吸い込んで、そして叫んだ。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」
 別に単に気合いを入れたから発動できたわけではないのだろうが、それでもこれしか分かっている事がないので、これをするしかないのだ。
「なっ、ちょバン!?」
「トチ狂ったか!?」
 たかだか公園の草バトルでそんな異常な気合いを入れられたものだから、オサムとマナブはあわててしまう。
「いっけえええええええええ!!!」
 バンはそんなことを気にもせずに、渾身の気合いでドライブヴィクターをシュートする……のだが。
 
 スカッ!
 バンの指は見事に空振りしてしまい、ドライブヴィクターはわずかに動いただけだった。
「あらっ?」
 どうやら、力み過ぎたようだ。
「ぷっ、ぎゃーっはっはっは!なんだよ、見かけ倒しもいいとこじゃないか!!」
「バン、何そんな力んでるんだい?」
「う、うっせ!次はお前らのターンだろ!さっさと撃て!」
「はっはっは!……へいへい」
 オサムは腹筋を抑えつつも、シュートする。
 バシュッ!
 
 マナブもシュートする。
 バシュッ!
 
 リサもシュートして、ようやくバンのターンだ。
「やっと、俺のターンだ。よしっ!」
 再び、バンは大きく深呼吸して叫びだす。
「うおおおおおおおおお!!!」
「またかよ……」
「うるさいなぁ……」
 オサムとマナブは露骨に耳を塞いだ。
「いっけええええええ!!!!!」
 渾身のシュート!
 今度は見事成功!ドライブヴィクターは凄い勢いでブッ飛んでいく!
「成功か!?」
 が、凄い勢いではあるが、あの時の常識はずれのパワーには程遠い。
「……」
 しかも、狙いが全くそれていたため、ドライブヴィクターはあっさり場外してしまった。
「はい、ドライブヴィクター場外」
「だっせー、自滅かよ!!」
「え……俺、もう終わり?」
「うん」
「がーーん……!」
 バンはショボーンとしながらドライブヴィクターを拾い、フィールドから少し離れて見学する事になった。
 
「いっけー!フレイムウェイバー!!」
「負けるな!プロトアレイ!!」
 バンの離れたフィールドでは、三人が楽しそうにバトルしているのが見える。
「……」
 バンはその様子をつまらなそうに眺めていた。
(みんなでバトルするのは、楽しいけど。でも、今の俺にとっては、あのシュートの事の方が……)
 今のバンは、あのシュートの事で頭がいっぱいで、とにかくあのシュートを会得したかった。
(やっぱ、しばらく一人で練習した方がいいかなぁ)
 複数人でバトルする場合、どうしても自分のターンが来るまでに時間がかかって、シュートできる回数が減ってしまう。
 単にシュートの練習がしたいのであれば、実戦練習するよりも一人で黙々とやった方が効率が良いだろう。
 
 そして、次の日の放課後。
「バン!今日も公園行こうぜ!」
「リサちゃんも一緒にね」
 オサムとマナブがいつものようにバンを誘いに来た。
「いや、ごめん。俺ちょっとやりたい事があるんだ」
「やりたい事?」
「ああ。秘密の特訓」
「秘密の特訓って……」
 怪訝な顔をする二人を置いて、バンは歩き出した。
「って事だから、俺先帰るわ!」
 
 帰路につき、家にたどり着いたバン。
 玄関を開けてリビングに入ると、リサが迎えてくれた。
「あ、おかえりバン」
「ああ、ただいま」
 軽く挨拶を交わし、バンは鞄を置いた。
「ねぇ、今日も公園に行くの?」
 リサは楽しそうな、期待するような声で聞いてきた。
「いや、今日はちょっと、俺一人で特訓したいんだ」
「え?」
「リサも見ただろ?タッグバトル大会決勝でのあのシュート」
「う、うん……」
「まだ、どうしてできたのか、どうやったら出来るのかは分からない。でも、俺とドライブヴィクターは間違いなくあの力が使えるんだ!だから、意識して使えるようになりたいんだ!」
「そっか……」
 リサはさみしげな表情のままだったが、納得はしてくれたようだ。
 バンは、リサを置いて家を出た。
 
 そして、小学校の校庭に向かった。
 校庭の端には、人工林がある人呼んで『冒険の森』だ。
 バンはそこに生えている一本の太い木の前に、簡易テーブルを置いた。
「これで、よし!」
 そして、テーブルの上にドライブヴィクターを置いて、大木を狙う構えを取った。
「いっくぜぇぇぇ!!!」
 
 バシュッ!!!
 バンは大木に向かってドライブヴィクターをシュートした。
 
 バゴオオオオオン!!!
 ドライブヴィクターのシュートを受け、大木は大きく振動した。
 すさまじい威力だ。しかし……。
「ダメだ!剛志とハンマーギガは、大木をなぎ倒したんだ。その剛志を倒したシュートなんだから、このくらい倒せなきゃ話にならない!」
 再び、バンはドライブヴィクターをテーブルにセットして構える。
「うおおおおおおお!!!!」
 
 バゴオオオオオン!!!
 再び木にすさまじい衝撃が走るが、倒れるまでにはいたらなかった。
「まだまだ!!!」
 バンの特訓は続いた。
 
 それから、毎日。
 バンは放課後になると、オサムやマナブ達の誘いを断り、リサを家に置いて、シュート練習に明け暮れた。
「うおおおお!!!」
 
 バゴオオオオオン!!!
 
「いっけええええええ!!!!」
 
 バゴオオオオオン!!!!!
 
 日々の特訓でシュート力は上がってるものの、あのシュートにはたどり着けない。
「はぁ……はぁ……くそっ!でも、諦めねぇぞ!!」
 ボロボロになりながらも、バンは特訓を続けるのだった。
 
 数日後。
 リサはずっと家に取り残され、テレビを眺めるだけの退屈な時間を過ごしていた。
「……退屈」
 テレビでは、大して面白くもないバラエティ番組が映されている。
  
 その時、玄関が開く音がした。
 バンが学校から帰ってきたのだ。
「ただいま~」
「おかえり、バン」
 バンは、鞄を置いて、すぐに外に出ようとする。
「今日も一人で特訓?」
「ああ!あともうちょっとなんだけど、もうちょっとなんだよなぁ~!」
 手ごたえはつかみつつはあるが、まだまだのようだ。
「……そっか」
「って事だから、悪いな。留守番よろしく」
 言って、バンは外に飛び出していった。
 またも取り残されたリサは、不満げに口をとがらせた。
「……夢中になるとすぐ一人で勝手に動くんだから」
 それがバンの良いところでもあるのだが、振り回される方はたまったものじゃない。
 特にリサは、バンの行動次第で自分の行動が制限されてしまうのだ。不満に思うのも無理はない。
 リサはため息をつくとテレビに目を移した。
 
 テレビでは、派手な格好をした女の子がキャピキャピした声で何か喋っていた。
 
『今日は、つれない彼に振り向いてもらう方法を皆に伝授しちゃうぞっ☆』
 
「……」
 なんとなく、リサはその内容に興味を惹かれた。
 
 その頃、遠山フリッカーズスクール。
 地下に設置された闘技場では、無数のフリッカーたちがあふれかえっていた。
 そのフリッカーたちは、皆、ただ一人の少年に対して鋭い視線を送っている。
 その視線を一身に浴びているのは……。
 
「けっ、くだらねぇぜ」
 ザキだった。ザキは無数のフリッカーたちの敵対する視線にも臆さず、舌打ちした。
 
『それでは、テストを始めるぞ、ザキ!準備は良いな!!』
 天井にマイクから段治郎の声が響いた。
「ああ、とっとと始めてくれ」
 ザキが乱暴に返事をする。
『では、テストスタートじゃ!』
 段治郎が言うと、ザキの前に立つ無数のフリッカーたちが一斉にフリックスを構えた。
 
「うおおおおお!!!」
「いっけぇ!!」
「おりゃあああああ!!!!」
 
 それぞれのフリッカーが思い思いの方法でザキに向かってフリックスをシュートする。
 無数のフリックスがザキに襲いかかってきた!
 
 が、ザキは全く動じていない。
「けっ、そんだけ集まってこの程度か……シェイドスピナー!!」
 無数のフリックスがザキにぶつかろうとした瞬間、ザキの目がカッと見開き、瞬時にシェイドスピナーを構え、シュートした。
 
 ギュワアアアアアアア、バーーーーーーン!!!!
 シェイドスピナーは猛回転しながら無数のフリックス達に突っ込んでいき、そして、全て弾き飛ばしてしまった。
 
「「「「うわああああああああああ!!!!!」」」」
 その衝撃波により、フリックスをシュートしたフリッカー達も吹っ飛び、倒れる。
 ザキは、その死屍累々をくだらなそうに見下した。
「ちっ、手ごたえのねぇ」
 
『テスト終了じゃ。相変わらず見事じゃぞ、ザキ』
 
「どうでもいいけどな。いつまでこんなザコどもの相手をさせるつもりだぁ!?」
 
『まぁ、そういうな。今日相手をしたフリッカーたちは、このスクールでも上位の成績を……」
 
「成績なんざどうでもいいんだよ!けっ、これならあの騒がしいガキと戦ってた方がまだマシだ……」
 
『ふぉっふぉっふぉ。そう焦るでない。お前に相応しい舞台は、着々と準備中じゃ。その時が来るまで、しばし待て』
 
「ちっ、期待しねぇで待ってるよ」
 
 校長室。
 段次郎は、地下闘技場との通信を一旦切り、ため息をついた。
「ふぅ、実験は成功なようじゃが、跳ねっ返りなのが玉に傷じゃな」
「申し訳ございません。ザキにはあとで言って聞かせます」
 段次郎の前には、伊江羅博士が立っていた。
「まぁよい。大事なのは力じゃ。どのみち、全てワシの手の中じゃからのう、ふぉっふぉっふぉっふぉ!」
 
 一方のバンは……。
「うおおおおぉおお!!!!」
 大木相手にまだ特訓をしていた。
「はぁ……はぁ……!もう少しで掴めそうだぜ……!!」
 大きく深呼吸し、気合いを込める。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
 バンの体が前のめりになって、腹がテーブルにぶつかる。
「んっ?」
 バンは、そのことに気づいて、一旦シュートの構えを解いた。
「今の……そういや、あの決勝の時も……」
 前のめりになっていた。
 そして、腹がフィールドに当たっていた感触も、なんとなく思い出した。
「もしかして、この姿勢が大事だったのか……?」
 バンは、気合いを込めるよりも、前のめりになったこの姿勢を意識してみた。
 フリックスを構えたままの状態で前のめりになると、構えた腕がかなり窮屈になる。
「い、っくぜぇぇぇ!!!」
 その状態で思いっきり、撃ってみた。
 
 ズギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
 ドライブヴィクターが、空気を切り裂き、凄まじい勢いでブッ飛んでいった。
 
 バゴオオオオオオオオオン!!!!!
 そして、目の前にあった大木を、なぎ倒してしまった。
「こ、これだ……!このシュートだ!!出来たっ!出来たぞおおおおおおお!!!!」
 ついに、バンはあのシュートを身に着けたのだった。
 
 特訓も成功し、バンは意気揚々と帰路についた。
「たっだいま~!!」
 発する声も浮き足立っている。
「って、ぎょっ!?」
 が、目の前にある光景を見て、バンの表情は凍りついた。
「……おかえりなさいませ、ご主人様」
 目の前には、フリフリのメイド服を着たリサが、うやうやしく頭を下げていた。
「…………はぁ?」
 バンは、頬を抓ってみた。
 痛かった。
「よかった、夢じゃない」
 夢だったらさっきの特訓もなかった事になっていた所だったからな、よかった。
「って、いや、よかったけど、よくない!リサ!なんだその恰好は!!ここはファミリーレストランか!?」
 バンにとって、メイド服はウェイトレスさんの恰好と大差なく見えるらしい。
「え、いや、メイド……」
「毎度?レストランじゃなくて、出前なのか?」
 ……。
「じゃなくて、テレビで、やってたから」
「何を?」
「振り向かせる方法」
「?」
 バンは、後ろを振り向いてみた。
「何もないぞ?」
「そうだね」
 二人の間に、変な沈黙が流れた。
(あれ?間違ってたかな……?えっと、次はどうするんだっけ?)
 リサは、記憶を掘り返して、次の段取りを考えた。
「まぁいいや。あ~、つっかれた~っと」
 リサが考えている間に、バンは気を取り直して、リビングに入っていった。
「あ。待って!」
 リサは慌てて後を追う。
 
「え、えっと、バン!」
「ん?」
 キッチンで、冷蔵庫から牛乳を取り出したバンに、リサが声をかける。
「さ、先にお風呂食べますか?それとも、お食事を入りますか!?」
「……とりあえず、牛乳飲みたい」
 バンは、手に持った牛乳に視線を移す。
「じゃ、じゃあ私がつぐね!」
 リサが慌ててバンの手にある牛乳パックに手を伸ばす。
「ちょっ!」
 慌てて突っ込んできたため、バンは手を滑らせ、リサはバンを押し倒す形になってしまった。
「「うわあああ!!」」
 そのうえ、上から牛乳が降ってきて、二人ともビシャビシャの牛乳まみれになってしまった。
「うぅ……」
「あぁ、も、勿体ねぇ……俺の牛乳が……」
 牛乳が大好きなバンは、涙目になった。
「ごめん、なさい」
 バンの上にのしかかったリサは、シュンと項垂れて謝った。
「いや、別にいいけどさ。一体何があったんだよ?」
「テレビで、言ってたから」
「牛乳溢せって?」
 バンは、床に零れている牛乳たまりを見ながら言った。
「そうじゃなくて、えっと……バン、最近ずっと一人で特訓ばっかりしてて、私何もできなかったから……」
「あっ!」
 そうだ。リサは匿っているという名目上、バンと共にしか行動できないのだ。必殺技に夢中になってうっかりしていた。こいつは本当にそういうところが抜けている。
「だから、気づいて欲しくて……」
 少しでも気を惹くためにやったのだろう。テレビのアドバイスは間違いだらけだったのだろうが、リサなりに必死だったのだ。
「そっか、ごめん。俺、また自分の事に夢中になりすぎてて……」
 バンは、素直に自分の非を認めて謝った。
「ううん。私が、いつもバンに守ってもらってるのに、ワガママ言っちゃ、いけないんだよね……」
「バカ!そんな事ねぇよ!俺がリサを匿ってんのは、リサとバトルがしたいからなんだ!リサに退屈な思いさせたいわけじゃねぇ!!」
「バン……」
 と、その時だった。
「たっだいま~!お~い、バーン今帰ったぞ~!」
 玄関から父ちゃんの声が聞こえてきた。
 ドスンドスンと父ちゃんの足音が近づいてくる。
「げっ」
 危機感を覚えるバンだが、もう遅い。
「バン~、今日の晩飯は豪勢に刺身だぞ~!って……」
 父ちゃんがリビングに入って、真っ先に目についた光景。
 それは、白濁の液体に塗れ、床に重なって倒れているリサとバンだった。
 
「お、おかえり、父ちゃん……」
 床に牛乳を溢したことで怒られるのを覚悟し、バンは平静を装って挨拶した。
 が、やはり父ちゃんの目の色が怒りに変わっていく。
「なにやっとんじゃおのれらはああああああああ!!!!!」
 
 
 その後、バンとリサは小一時間ほど父ちゃんに尋問を受ける羽目になってしまった。
 たかだか、牛乳を溢した程度でオーバーな気がしたが、その理由はバンとリサには分からなかったそうな。
 
 
 
 
 
      つづく
 
 次回予告
 

 

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第17話

第17話「限界を打ち破れ!打倒ハンマーギガ!!」
 

 フリックスタッグ大会決勝戦は、個人戦と団体戦を合わせたような試合内容だった。
 まずは一人ずつ3ラウンド2本先取の個人戦を行い、その結果イーブンになったら、最後に2VS2のタッグ戦をやるというものだ。
 コンビネーションだけでなく、個人個人の能力が重要な。まさにタッグチームそのものの総合力が重要となるこのルール。
 最初は、リサとレイジの対戦。
 リサはレイジのいなし技に苦戦するも、バンのエレメントを借りて辛くも勝利を決めた。
 タッグ戦でなくてもパートナーと力を合わせて戦う事が出来る。それを証明した瞬間だった。
 そして、次はバンと剛志の対戦だ!

 フィールドを挟んでバンと剛志が対峙する。
「剛志!せっかくコンビネーションの練習したのに勿体ないけど、このままお前に勝って、ストレート勝ちしてやるぜ!」
「がっはっは!そう上手く行くかのぅ!!」

 軽く言い合いをしたのちに二人は試合の準備をする。

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第16話

第16話「絆で繋がれたシュート!!」
 

 フリックスタッグバトル大会。
 二人一組で戦い抜くこの大会に、バンはリサと組んで参加した。
 打倒剛志&レイジを目指して特訓した二人は大健闘!
 見事なコンビネーションで勝ち進んでいった。

「いっけぇ!ドライブヴィクター!!」

 バゴオオオオオオオオオオ!!!

 ドライブヴィクターの超攻撃が相手フリックスをフッ飛ばす。
「ああっ!」
「おっしゃ!!」

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弾突バトル!フリックス・アレイ 第15話

第15話「開催!タッグバトル大会」
 

 大会前日の中央公園。
 大会を控えているとあって、公園ではいつも以上に子供達の熱気であふれていた。
 その中で、いつもの四人も大会に向けての練習バトルをしていた。

「いっけぇ!!ドライブヴィクター!!」
 バキィ!!
 ドライブヴィクターがマナブのインフェリアタスクを弾き飛ばす。
「つ、強い……!」
「くっそー、逃げろ!インフェリアナックル!!」
 オサムがインフェリアナックルをドライブヴィクターから離れるようにシュートする。
「フレイムウェイバー!!」
 バシュッ!!
 が、フレイムウェイバーの攻撃がオサムのインフェリアナックルにヒットし、バンにとって狙いやすい位置に弾かれる。
「あぁ!」
「サンキュー、リサ!いっけぇ!!!」
 そのおかげで、バンは楽にオサムのインフェリアナックルをブッ飛ばす事が出来た。

 オサム、マナブ、両者ともにフリップアウト。バンとリサの勝利。
「おっしゃぁ、大勝利~!」
「うん!」
 バンとリサは勝利のハイタッチをする。
「なんだよ、急に凄いコンビネーション良くなってないか?」
「うん。二人の息が凄く合ってたから、全然歯がたたなかったよ」
 オサムとマナブは、バンとリサの急な成長っぷりに驚いているようだ。
「へへへ!二人の良い所を活かした結果だぜ」
「うん」
 バンとリサは仲良く顔を見合わせ、頷きあう。
「ちぇっ、なんか差をつけられちまったなぁ」
「僕らも練習しよう、オサム」
「そうだな!負けてられねぇぜ!バン、リサ!もう一度やるぞ!!」
「おう!何度でもやってやるぜ!!」

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