弾突バトル!フリックス・アレイ 第17話

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第17話「限界を打ち破れ!打倒ハンマーギガ!!」
 

 フリックスタッグ大会決勝戦は、個人戦と団体戦を合わせたような試合内容だった。
 まずは一人ずつ3ラウンド2本先取の個人戦を行い、その結果イーブンになったら、最後に2VS2のタッグ戦をやるというものだ。
 コンビネーションだけでなく、個人個人の能力が重要な。まさにタッグチームそのものの総合力が重要となるこのルール。
 最初は、リサとレイジの対戦。
 リサはレイジのいなし技に苦戦するも、バンのエレメントを借りて辛くも勝利を決めた。
 タッグ戦でなくてもパートナーと力を合わせて戦う事が出来る。それを証明した瞬間だった。
 そして、次はバンと剛志の対戦だ!

 フィールドを挟んでバンと剛志が対峙する。
「剛志!せっかくコンビネーションの練習したのに勿体ないけど、このままお前に勝って、ストレート勝ちしてやるぜ!」
「がっはっは!そう上手く行くかのぅ!!」

 軽く言い合いをしたのちに二人は試合の準備をする。

『では、第二試合のバン君vs剛志君のバトルを始めるぞ!おおっと、二人ともマインをフィールドの端に置いた!マインヒットには頼らないと言う意思表示か!?』

「お前にはガチンコで勝たねぇと意味ねぇからな!」
「好きじゃぞ、そう言う闘い方!」

『では行くぞ!3.2.1.アクティブシュート!!』

 両者同時シュート!二機はすれ違い、ドライブヴィクターがより遠くへ進んだ

『先攻はバン君だぞ!!』

「よし、一気に決めてやろうぜ、ドライブヴィクター!」
 ハンマーギガに照準を合わせてシュートする。

 バシュッ!ガキンッ!!
 強い当たりだ。しかし、ハンマーギガはあまり動かない。

「ぐっ!」
「かゆい攻撃じゃのぅ!!」

『ハンマーギガ堅い!!ドライブヴィクターの攻撃を受けても、ビクともしないぞぉ!!』
 次は剛志のターンだ。

「いくぞぃ……!」
 剛志がハンマーギガの向きを変え、狙いを定める。
「はあああああ!!」

 バーーーーン!!!
 ハンマーギガの重い一撃がドライブヴィクターをフッ飛ばす。
「ぐっ!」
『ハンマーギガの重い一撃!ドライブヴィクターたまらず木の葉のように吹き飛んだ!!』

「堪えろ!!」
 バリケードを構えてドライブヴィクターは持ちこたえた。しかし、バリケードが1枚破壊されてしまう。

『持ち堪えたバン君!しかしバリケードが1枚ブレイク!ブレイクされたバリケードはターン消費して回収しないと使えないぞ!どのタイミングで回収するか、それとも回収せずに1枚のみで戦うかの戦略が重要だ!』

「くそっ、やっぱ攻撃も防御も重いぜ……!」
「がっはっは!どうした、その程度か?」
「んなわきゃねぇだろ!!」
 ドライブヴィクターを構え、ハンマーギガに向かって撃つ。
「いっけぇぇぇ!!!」

 バーーーーン!!!
 だが、先ほどと同様、あまり弾き飛ばせない。

「くっ!」

『バン君、バリケードを回収せずに果敢に攻めるが効果無し!次のターン、バリケード1枚でハンマーギガの攻撃を受け切れるのか!?』

「バン!がむしゃらに攻めてもダメ!ちゃんと対策を立てないと!!」
「これ以外に、俺に出来ることはねぇんだ!あいつに通じるまで、何度だってぶつかってやる!!」
「バン……」
 それを聞いて、剛志は嬉しそうに笑った。
「がっはっはっは!なかなか嬉しい事を言ってくれる!お前みたいなフリッカーは大好きじゃぞ!」
「へっ、サンキュ!」
「じゃが、ぶつかる事ならワシの方が上手じゃぞ……!」
 剛志のターン。
 再びハンマーギガの重厚なシュートが放たれる。

「バリケードで耐えてやる!!」
「無駄じゃぁぁ!!」

 バキィ!さすがに、1枚しか構えられないバリケードではアッサリとスルーされてしまい、ドライブヴィクターはあっけなくフリップアウトしてしまった。
「くっ……!」
「がっはっはっは!!まだまだじゃのぅ!!」
 バンは、ベンチの方まで場外したドライブヴィクターを拾いに行く。

「バン……」
 ベンチには、心配そうな顔のリサがドライブヴィクターを拾ってバンへ手渡した。
「へへへ、今の俺じゃまだまだあいつには勝てないみたいだな」
「……」
 バンの言葉に、リサは表情を曇らせる。
「おいおい、そんな顔すんなよ。確かに、今の俺じゃ勝てない。でも……まだ負けたわけじゃないんだ!」
「バン……」
「俺は、今の俺じゃ勝てなくても、まだ負けてない限り絶対に諦めねぇ!!」
 自分よりも相手の方が強いことを素直に認め、でもその上でバンは勝利を捨てていなかった。
 今までの敗北と、それを受け入れてきた事が、バンの心をここまで強くしたのだろう。
「頑張って、バン」
 そんなバンに、慰めも心配も無用だった。だからリサは小さな激励だけを送った。
「サンキュ!じゃ、行ってくるぜ」
 バンは片手をあげて短く礼を言うと、再びフィールドに向かった。

『さぁ、仕切り直しだ!3.2.1.アクティブシュート!!』

 先程と同様アクティブシュートはドライブヴィクターが制した。

『先攻はバン君!!さぁ、バリケードもHPも残り1という絶体絶命なこの状況を覆せるのか!?
 バンがドライブヴィクターの向きを変える。
「頼むぜ、ヴィクター!」
 バシュッ!
 ドライブヴィクターのアタック!ダメージは通らなかったがハンマーギガは先程よりもそこそこ動いた。バンのシュート威力が少しずつ上がっているようだ。
「がっはっは!あれだけ派手にフリップアウトされてもまだまだ気合い十分じゃな!」
「ったりめーだ!勝負がついたわけじゃねぇからな!!」
「がっはっは!面白い奴じゃ!その意気込み、気に入ったぞぃ!!」
 剛志がハンマーギガの向きを変えて狙いを定める。
「うらああ!!!」
 そして、力強いシュートを放つ!

 バキィ!!
 ドライブヴィクターの横腹にハンマーギガの重厚なボディがヒットし、吹き飛ばされる。
「うおおおおお!!!」
 バンは思いっきりバリケードに力を込めてそれを受け止めた。

『うおお!剛志君の重い一撃を、バン君は気合いを込めた1枚バリケードで防いだ!熱い闘志がこっちまでビンビン伝わってくるぞぉ!!』

「やるのぅ!」
「へっ、腕で負けても、気合いを補ってやるぜ!!」
「ますます気に入ったぁ!!」
 バンのターン。
(正直、全然勝てる気しねぇ……でも、諦めたくなんかねぇ!)
 シュートを構えながら、バンはニカッと笑った。
「へへへ、楽しいぜ!楽しすぎるぜ、このバトル!!」

「バン?」
『おおっとどうした事でしょう、バン君はシュートも撃たずに笑っているぞ!』

「剛志、サンキューな!こんなに強くてよ!!」
「がっはっは!よく分からんが、どういたしましてじゃぃ!!」
「俺、すっげぇ楽しいぜ!全然勝てる気しねぇのに、お前っていう、全力で撃てる壁がある事が、たまらなく楽しい!!」
「がっはっは!じゃったら、ワシももっと気合い入れて、楽しませてやらんとな!」
「ああ、頼むぜ!だけど絶対、勝つのは俺だ!!!」
 バンは息を整え、剛志を見据えて構える。
(へへへ、楽しいけど、楽しんでるだけの場合でもねぇな。今の俺じゃ、ガムシャラに撃ってもハンマーギガは飛ばせない。でも、このターンを逃したらあいつにフリップアウトされちまう。なんとか、このターンで決めるんだ)
 グッ!と構える指に力を込めた。
「今の俺じゃ、無理でも……!無理なら……!それ以上の力を、出すだけだ!!」
 そう、単純な話だ。
 今の力では無理でも、シュートを撃つ瞬間は『今の力』ではない『今よりも先に進んだ未来の力』だ。だったら『今から少し先に進んだ未来』にたどり着くまでに、『今の力』以上の力を手に入れればいいだけなのだ。
 その力を手に入れる方法は分かっている。これも簡単な方法だ。
 そう、その方法とは……
「気合いしかねぇぇぇぇ!!!!」
 バンは、今まで以上の気合いを込めた。
 力やテクニックはすぐには上達しない。でも気持ちは一瞬で増加する事が出来る!
「うおおおおおおお!!!!!!」
 気持ちが強くなっているためか、バンの体がシュートを構えたまま前のめりになる。
「いっ、っけええええええええええ!!!!!」
そして、最大限の気合いを込めたシュートを解き放った!

 ズギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
 そのシュートは、今までにバンが放ってきたものとは比べ物にならない迫力をもっていた。
「な、なんじゃこのシュートは!?」
 それは、あの剛志でさえも怯ませるほどのものだ。

『バン君、渾身の気合いを込めたシュートを解き放った!!これは、凄いシュートだ!!!』

 ズギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 バッキィィイイイイ!!!!!!!

 ドライブヴィクターのフロントがハンマーギガのフロントのハンマーに減り込まんばかりに激突し、弾き飛ばす。

「ぐっ!堪えるんじゃ、ハンマーギガ!!」
 バリケード2枚重ねて構える剛志だがそのバリケードは2枚ともブレイクされ、ハンマーギガは凄い勢いで場外してしまった。
「んなっ!」

『こ、これは凄い!あのハンマーギガがバリケードとまとめて一気に場外してしまった!一体、なんなんだこの力は!?バン君のどこにこんな力が隠されていたのか?!』

 しかし、このシュートの勢いはすさまじすぎたらしく、ハンマーギガにぶつかって減速したにも関わらず、ドライブヴィクターの勢いは留まらずにフィールドの外へ飛び出してしまった。
「や、やべっ!!」

『しかーし!ドライブヴィクターも勢い余って共に場外!自滅判定が優先されるため、勝者はハンマーギガの剛志君!!無傷のストレート勝ちだぁ!!』

「……」
 ハンマーギガを拾ってベンチに戻った剛志は、呆然とした表情を浮かべていた。
「やったね、剛志!ストレート勝ちだよ!」
「あ、あぁ……」
 剛志の表情は浮かない。
「どうしたの?」
「今のシュート。ワシのバリケードを一度に2枚破壊しながらハンマーギガを場外させた上に、自滅までしおった……。つまり、それだけ威力が有り余っていたと言うことじゃ……」
「あっ」
「段田バン、侮れんようじゃな」
 剛志が警戒心から顔を強張らせる。
「剛志……」
 しかし、剛志の表情が次第に崩れていく。
「くっ、くくっくっく、がーっはっはっは!面白い!面白いぞ段田バン!!次のバトルが楽しみじゃ!!」
「うん、そうだね、剛志!次は得意のタッグ戦だよ!頑張ろう!!」
「そうじゃな!」
 剛志は本当に裏表のない竹の割ったような性格のようだ。

 一方のバンは、ヴィクターを拾うこともせずに呆然としていた。
「……今の力は?」
 さっきのシュートは、バン本人が一番驚いていた。
 確かに、気合いを入れれば強くなると思っていたのは自分自身だ。
 しかし、あんなにハッキリと、強大な形で現れるとは思ってもみなかった。
「ドライブヴィクター……」
 バンはドライブヴィクターを拾い、そのボディを見つめる。
「お前にも、俺にも、まだまだあんな力が……」
 バンは、ドライブヴィクターをグッと握りしめてベンチに戻る。

「バン、惜しかったね……でも、次があるから」
 ベンチに戻ると、リサがバンを慰めてきた。
 が、今のバンにはその必要はなかった。
「リサ」
「え?」
「次のタッグ戦で、頼みたい事があるんだ」
「頼みたい事?」
「ああ。どうしても、試してみたい事が出来た。でも、正直上手くいくかどうか分からねぇ……俺の賭けに、乗ってくれないか?」
 リサはキョトンとしていたが、すぐにうなずいた。
「うん、バンの事信じるよ。パートナーだから」
「サンキュ」
 バンは礼を言うと、相手に聞こえないように小声で、リサに作戦を話した。

 そして、いよいよ次のバトルだ!
『さぁ!もつれにもつれこんだ決勝戦もいよいよファイナルラウンドだ!!個人戦ではイーブンになり、ラストのタッグ戦をはじめるぞぉ!!』

 それぞれのタッグがフィールドについて対峙する。

「さぁ、泣いても笑ってもこれでラストだ!決着をつけようぜ!」
「望むところじゃ!ワシらの本気を見せてやるぞぃ!!」
「僕と剛志が勝つのは、決まってるけどねっ!」
「私たちも、負けない……!」
「ああ!俺たちがダントツ一番だ!!」

『さぁ、両タッグ準備は出来たかな?そんじゃ、行くぜ、アクティブシュート!!』

 4人同時のアクティブシュート!

「いけっ!」
 レイジはミラージュレイダーをフィールドの奥へ行くようにシュート。

「フレイムウェイバー!」
 フレイムウェイバーはミラージュレイダーの横をすり抜けて奥へ進もうとするが、目の前にハンマーギガが向かってきた。

「邪魔じゃぁ!!」
 バキィ!!
 ハンマーギガが目の前のフレイムウェイバーをブロックし弾き飛ばす。フレイムウェイバーはフィールドの真ん中まで戻された。

「……」
 バンは、チョン押しして、その場からあまり動かなかった。

『さぁ、いよいよ始まりましたファイナルバトル!アクティブシュートでハンマーギガがフレイムウェイバーをアタックし、大きく弾き飛ばしました!これによって先攻は剛志&レイジタッグだ!リサ君の機動も二人のコンビネーションによって防がれたようだ。
しかし、気になるのがバン君のドライブヴィクター。チョン押しによってスタート位置からあまり動いていない
!!バン君らしからぬ動きだが、これは何かの作戦なのか?』

 剛志&レイジのターン。
「いけっ!」
 レイジは、一番近くにいるフレイムウェイバーへとアタックする。
 ミラージュレイダーがフレイムウェイバーを飛び越えて、一直線に進む。見事にマインヒットを決めたが、マインの近くで停止してしまった。

「ワシは、マイン再セットじゃ」

 剛志はレイジの近くにあるマインを遠くへと移動させた。

『これは上手いチームプレイだ!マインヒットを決めたものの反撃が喰らいやすい立ち位置になったレイジ君を剛志君がマイン再セットでリカバリー!リサ君、この状況でどう反撃する?』

 そして、リサ&バンのターン。
「マインは一つじゃ無い……マイン再セット!」

 リサは自チームマインを移動させ、フレイムウェイバーの近くに置いた。

『おおっと?リサ君はマインを自分の近くに再セットした!?しかもマインをセットしたせいでバン君は行動できずにターン終了だ!』

「どういうつもりじゃ?」
「何か誘ってるのかな?」
「まぁ、とにかく攻めるしかないじゃろ!」
 剛志は不審に思いながらもマインを機体前に置いているフレイムウェイバーを狙う。

 バーーーン!!

 相変わらずの重い一撃がフレイムウェイバーを襲う。
『剛志君の重い一撃!フレイムウェイバー、たまらず吹っ飛ぶ……いや、違うぞ!飛んだのはマインだ!フレイムウェイバーの目の前に置かれたマインがハンマーギガの攻撃によってすっ飛んだ!!』

「なんじゃと!」
「フリップマインをハンマーギガの攻撃から守るダンパーにしたって事!?」
 真上に飛ばされたマインはそのままフレイムウェイバーの上に着地した。

『これは上手い防御作戦だ!盾にしたフリップマインに衝撃を吸収させる事で重い攻撃を耐え切った!』

「フレイムウェイバーのボディ形状なら飛ばされたマインを上に受け流せる!」
「そう言う事か……!」
「ここは、少しでも逃げないと」
 レイジは反撃マインヒットを喰らわないようにするためにミラージュレイダーを移動させた。

「無駄だよ!この位置ならどこに逃げても狙える!」
 既にマインが接触してる状態からのシュート。こうなってはどこに逃げても意味がない。

 リサはフレイムウェイバーを強めにシュートしてハンマーギガへぶつかり、その反射でミラージュレイダーへ接触して見事な同時マインヒットを決めた。

『これは上手い!見事な反射シュートでリサ君は一度に二機へマインヒットを決めた!!』

「さすがだぜ、リサ!んじゃ、俺はマイン再セットと」
 バンはマインをフィールド端に移動させてターン終了した。

『大奮闘するリサ君だが、バン君は未だに動かず高みの見物だ!力を温存しているのか!?しかし、このままではフレイムウェイバーは集中砲火だ!!』

「どんな作戦かは知らんが、チーム戦は各個撃破が基本!フレイムウェイバーを倒せばドライブヴィクターはどうとでも料理できる!!」
 剛志はミラージュレイダー付近に停止しているフレイムウェイバーを狙った。残りHPは1だが、近くにマインがないのでフリップアウトさせた方が良い。

「がっはっは!これで終わりじゃ!!」
 ハンマーギガを構え、狙いを定める。
「うらああああ!!」
 ハンマーギガは、ミラージュレイダーの前にいるフレイムウェイバーの横っ腹を叩く形でフッ飛ばした。
 フレイムウェイバーのすぐ後ろにはミラージュレイダーがいるものの、得意の乗り上げによってすり抜けてフレイムウェイバーだけ場外しフリップアウト。
 そしてハンマーギガはミラージュレイダーに干渉してブレーキした。

『フレイムウェイバー場外!!なんということだ!早くもリサ君がやられてしまったぞぉ!!バン&リサタッグ、絶体絶命だ!!』

「さぁ、あと一体じゃ!」
「このまま僕達の勝ちだね!!」
「じゃな!ドライブヴィクターはフリップアウトを狙って来るじゃろう、この陣形でいくぞ」
 マイン狙いなら固まっているのは不利だが、フリップアウトに対しては二機で固まって防御力を上げた方が良い。
「うん。じゃあ僕はマイン再セットだ」
 攻撃も位置移動もする必要がないので、レイジはマインをドライブヴィクターの後ろに置いて反撃準備をした。

『さぁ、隙のない盤石な剛志レイジタッグの戦法に追い詰められたバン君!この二人を相手にどう立ち向かうのか!?』

 バンはまだ無傷とはいえ、2vs1のハンディはあまりにも大きい。ハンマーギガ一体倒す事も出来なかったバンにこの状況を突破出来るのか?
 しかし、バンにもリサにも焦りはなかった。
 それどころか、予定調和とも思える余裕があった。
「バン、これで良いの?」
「ああ、サンキュ!それから、ごめん」
「ううん。バンを信じてるから。絶対に勝ってね、バン」
「おう、リサの犠牲は無駄にはしねぇ!!」
 バンは、倒すべき敵を見据える。
 ハンマーギガもミラージュレイダーもフィールドの端近くで固まっている。
 そして、ハンマーギガはバンから見てミラージュレイダーの前にいる。
(よし、この位置なら、いけるっ……!)
 バンは、ドライブヴィクターの向きを調節して、狙いを定めた。
「うおおおおおおおおおお!!!!」
 そして、さっきと同様に気合いを込め始めた。

『のおっと!最初はチョン押しだったバン君だが、今は打って変わって、凄い気合いだ!!また、さっきのような超絶シュートを放つ気か!?』

「あれをやる気か!?」
「でも、また自滅するよ」

(正直、あのシュートがどうやってできたのかはわからねぇ!でも、むちゃくちゃ気合いを込めてたってのだけは確かなんだ!だったら、また気合い込めるしかねぇ!!)
ハッキリしているのがそれだけな以上、バンはとにかく気合いを込めた。
 気持ちが前に出ると、自然と体が前に出る。
 バンはまたしてもさっきのバトルと同様に前のめりになった。
「いっけええええええええええ!!!!!」
込めた気合いを一気に解き放ち、シュートした。

 ズギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
 先ほどと同等の威力のシュートが放たれる。

『出たーーーー!!さきほどに見せてくれたミラクルシュート炸裂!!ものすごい勢いでハンマーギガとミラージュレイダーに迫るぞぉ!!』

「全力で防御じゃ!!」
「うん!!」
 剛志とレイジがバリケードを構える。
 だが、ドライブヴィクターの勢いはそれすらも吹き飛ばしてしまいそうだ。

『しかし、大丈夫か!?この勢いではまた、自滅してしまうぞぉ!?』

「いっけぇぇ!!!」
 が、バンとヴィクターは自滅を恐れずに突っ込んでいく。
(せっかくリサが作ってくれた陣形なんだ!無駄にはできねぇ!思う存分カッ飛ばせ!!)

 バキイイイイイイ!!!!
 ドライブヴィクターの凄まじい運動エネルギーがハンマーギガにぶつかる!!
 そして、そのハンマーギガにミラージュレイダーが押し出される形で、バリケード4枚ブレイクしながら二機ともフリップアウトしてしまった。
『凄いシュートだ!ハンマーギガとミラージュレイダーが一気にフリップアウト!!そして、ドライブヴィクターは……?』

 ドライブヴィクターはギリギリのところで踏みとどまっていた。フリックス二機とバリケード4枚分の負荷があればさすがにブレーキになるようだった。

『ドライブヴィクターはフィールドに残っていた!よって優勝は、バン&リサタッグだ!!!』

 バトルフリッカーコウの実況で、会場が歓声で湧き上がった。

「やったぜええええええ!!!!」
 バンは飛び上がって歓喜した。
「やったね、バン!」
「ああ、リサのおかげだぜ!!」
 二人は喜びを分かち合った。

 一方の剛志とレイジ。
「……負けちゃったね、剛志」
 しょぼんとするレイジ。
「ああ。じゃが、良いバトルじゃった」
「……そうだね!」
 剛志とレイジはすぐに晴れやかな顔になった。
 そして、歓喜するバンとリサのところへと歩み寄る。

「ワシらの完敗じゃ。見事なシュートじゃったぞ」
「お、おう!サンキュ!!」
「一つ聞かせてくれ。フレイムウェイバーの動きは、あのシュートをするための作戦か?」
「あ、あぁ、まぁな。正直、あのシュートは俺にとってもよく分かってないものだったからさ。だから、リサには悪いけど、試してみたくなった!
ハンマーギガ一機だけを飛ばしたんじゃ、勢いが止まらないから、二機一気に飛ばせば、止まるかなぁって。んで、ミラージュレイダーを直接狙うといなされるだろうから、ハンマーギガをミラージュレイダーにぶつけるようにしようって思ったんだ」
「なるほど、そこまで考えておったか」
「考えたの、ほとんど私だけど」
 リサが不満そうな顔をする。
「あ、あはは……」
 バンが頼んだのは、シュートを成功させるための陣形を作ってほしいってだけで、具体的な形はリサが考えたのだった。
「しかし、あの必殺シュートも、偶然から生まれた産物なんじゃだろう?仲間のフリックスを一機犠牲にしてまで、よくその戦術に賭けられたのぅ……」
 その疑問には、リサが答えた。
「それは、バンを信じてたから」
 リサはそれ以上は言わなかった。が、いう必要もなかった。
「……」
 剛志は、一瞬面食らったが、すぐに笑い出す。
「がっはっは!なるほど、それが一番の勝因か!」
「剛志?」
「コンビネーションプレイじゃったら、ワシらの方が一日の長があるように思えたが、パートナーを信じ切る絆は、お前さんらも一流じゃったって事じゃ!!」
 そういって、剛志はバンとリサの腕を掴み、天高々と上げる。
「きゃっ!」
「おわぁ!」

「さぁ、お前さんらがチャンピオンじゃ!!堂々とせぃ!!」
「お、おう!!」

「がっはっは!!最高に楽しいバトルじゃったぞ!!次に戦えるのが楽しみじゃな!!」
「こっちこそ!楽しかったぜ!!でも、次やるときも俺たちがダントツ一番だ!!」

「「がっはっはっはっは!!!」」
バンと剛志は、観客に見守られながら、高らかに笑いあった。

 

        つづく

 

 次回予告

 

 

BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit

 

炎のアタッカーユージンの競技玩具道場!フリックスの特別編

 

うっす、ユージンだ!

ついに!ついに剛志とレイジに勝利できたバンとリサ!しかし、そのバトルで覚醒したバンの力は未だ謎のまま……

ホビーアニメ主人公は必殺技を会得してからが強い!という法則にのっとり、ここからがバンにとっての快進撃の始まりになりそうだよね!

そんじゃ、今回はここまで!最後にこの言葉で締めくくろう!

本日の格言!

『僕達は常に未来へ突き進んでいる!』

 

この言葉を胸に、皆もキープオンファイティンッ!また次回!!

 

 

 

 




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