弾突バトル!フリックス・アレイ 第16話

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第16話「絆で繋がれたシュート!!」
 
 
 
 フリックスタッグバトル大会。
 二人一組で戦い抜くこの大会に、バンはリサと組んで参加した。
 打倒剛志&レイジを目指して特訓した二人は大健闘!
 見事なコンビネーションで勝ち進んでいった。
 
「いっけぇ!ドライブヴィクター!!」
 
 バゴオオオオオオオオオオ!!!
 
 ドライブヴィクターの超攻撃が相手フリックスをフッ飛ばす。
「ああっ!」
「おっしゃ!!」
 
『フリップアウト!勝者、バン&リサコンビ!!』
 
 次の試合。
「フレイムウェイバー!!」
 バキィ!!!
 
『マインヒットが見事炸裂!!これで、松岡君のHPは残り1だ!』
 
「バン、お願い!」
「おう!!」
 
 バシュッ、バキィ!!
 ドライブヴィクターの攻撃がマインヒットする。
『松岡君撃沈!!リサ君とバン君の見事な連携プレイだ!!』
 
「やったね、バン!」
「リサのおかげだぜ!!」
 
 バンとリサのコンビネーションは確実に向上していた。
 
 だが、それ以上に脅威なのは、剛志とレイジだった。
「く、喰らえ!!」
 モブキャラフリッカーが、ハンマーギガにアタックする。
 が、ビクともしない。
「うぅ、なんて重いんだ!?」
「がっはっは!そんな蚊みたいな攻撃がハンマーギガに通用するかぁ!!」
 そして、剛志のターン。
「うおりゃあああ!ハンマーギガ!!」
 
 バチコオオオオオン!!!
 ハンマーギガの重い一撃により、二体同時にフッ飛ぶ。
「「うわああああ!!」」
 
『フリップアウト!!脅威のパワーだハンマーギガ!同時に二体ものフリックスを場外させたぁ!!』
 
 剛志だけでなくレイジとミラージュレイダーも凄い。
 次の試合では、レイジのミラージュレイダーがフィールドの端においやられていた。
「よし、追い詰めたぞ!喰らえ!!」
 モブキャラフリッカーの攻撃!
「ミラージュレイダー!!」
 フッ!
 モブキャラのフリックスは、ミラージュレイダーへアタックしたにも関わらず、すり抜けるように場外してしまった。
 攻撃を受けたはずのミラージュレイダーはその場から全く動いていない。
「えぇ!?追い詰めたはずなのに……!なんだよあのフリックス!?」
「まるで、幽霊か幻を攻撃したみたいだ……」
 
「フフフ、僕のフリックスにそんなアタックは通用しないのさっ!ね、剛志☆」
「そうじゃな!ミラージュレイダーのいなしも磨きがかかってきたなっ!がっはっは!!」
 
『ミラージュレイダー!見事ないなし技で相手の自滅を誘ったぁ!!』
 
 そのバトルをバンとリサも観戦していた。
「相変わらず凄いな、あの二人は」
「うん、間違いなく決勝で当たるね」
「ああ、俺たちも絶対に決勝まで勝ち進んでやる!そして、今度こそブッ倒すぞ!!」
「うん!!」
 
 そして……。
『さぁ、フリックスタッグバトル大会もいよいよ決勝戦だ!!勝ち進んだコンビは……ご存じディフェンディングチャンピオンの剛志&レイジコンビ!
そして、彼らからベルトを奪還すべく挑戦するのは、バン&リサコンビだ!!
どちらも強豪コンビだ!果たして、剛志&レイジコンビが連覇を達成するのか?!はたまた、チャレンジャーが意地を見せるのか!?これは、楽しみなバトルだぞ!!』
 
「さぁ、ここまでたどり着いたぜ!剛志、レイジ!!今度こそお前らに、目にもの見せてやるからなぁ!!!」
 バンが剛志とレイジを指さして啖呵を切った。
「がっはっは!楽しみにしとるぞ!!」
「でも、僕と剛志のコンビネーションは最強だけどねっ!!」
 
『さて、軽く言葉のジャブを交わしたところで、決勝のルール説明だ!!
決勝戦は、今までとは違うルールだ!
まず、個人戦で各タッグ一人ずつが戦ってもらう!!
どちらかのタッグが、二人とも勝利した場合は、そこで決着がつく!!
しかし、一人が勝ち、一人が負けるという、イーブンになった場合は、2vs2のタッグ選を1ラウンド行い、その勝敗で決着がつくぞ!
コンビネーションだけでなく、一人一人の実力も重要なポイントになる!タッグとしての総合力が問われるぞ!!』
 
「最初は個人戦からか……けっ、上等だぜ!!元々俺達はそっちの方が慣れてんだ!!」
「がっはっは!!ワシらも、個人戦だって強いぞぅ!!」
 
『それでは、各チーム順番を決めてくれ!決まったら、試合を開始するぞ!!』
 
 順番を決め、バトルフリッカーコウに報告する。
 
『順番が決まったようだな。最初の対戦カードは、レイジ君VSリサ君だ!!』
 リサとレイジがフィールドにつく。
「レイジ!ガツーンといくんじゃぞ!ガツーンと!!」
「リサ!カッ飛ばしていけ!!」
 セコンドに回ったバンと剛志が二人に声援を送る。
 
「絶対に勝って次につなぐよ、剛志~!!」
 レイジは振り向いて剛志に手を振る。
「……」
 それに対してリサは、警戒しながらレイジを見据えた。
(前回のバトルで、私はミラージュレイダーに何もできなかった。結局、この大会でもミラージュレイダーの性能はいまだに分からないまま。なんとか見極めないと、勝てない……!)
 
『そんじゃ、まずは順番を決めるアクティブシュートだ!』
 
 アクティブによって、順番が決まる。
 先攻はリサだ!
(先攻は、マインヒット戦術には有利!)

『さぁ、まずはリサ君のターンだ!!』
 コウの合図でバトルがスタートする。
 リサが狙いを定める。
(単純なダメージレースで優位には立てるけど、ただシュートするだけじゃダメ。ここは……!)
 
 バシュッ!
 フレイムウェイバーは目の前にあるマインを遠くへ弾きとばしつつミラージュレイダーへ接触した。
『おおっと!これは上手い!!リサ君、かなり良い位置にフレイムウェイバーを付けたぞ!これで、次のターンレイジ君は反撃しづらくなった!!』
 
「フフフ、無駄だよ」
「えっ?!」
 レイジがミラージュレイダーを置いて、目の前のフレイムウェイバーに狙いを定める。
「いっけぇ!!」
 バシュッ!!
 ミラージュレイダーを思いっきり弾く。
 ガッ!
 ミラージュレイダーはフレイムウェイバーをすり抜けるように通過し、まっすぐ突き進んでマインにヒットした。
 フレイムウェイバーはアタックを受けたにも関わらずあまり動いていない。
「え!?」
 
『のおっと!これはどうした事か!?身動きが取れないと思われたミラージュレイダーだが、フレイムウェイバーを、まるで透過するように通り抜け、マインヒット成功!』
 
「……」
 再び見せられたミラージュレイダーの直線的なヒットアンドアウェイ。
 が、その一撃を見て、リサはついにミラージュレイダーの機能気づいた。
「あのボディ形状……。船みたいに、正面と側面が斜めになってるから、相手を乗り上げて通過できる……」
「そういう事」
(どうしよう、機能は分かったけど、攻略法が分からない……私の攻撃は通じないし、相手は着実にダメージを与えてくる……どうすれば……!)
 リサは考えに詰まって、動きが止まってしまう。
 
『おおっと、どうした事だ?リサ君の動きが止まってしまった!カウント30秒以内に撃たないと、ターンが入れ替わるぞ!!』
 自分のターンで無駄に時間稼ぎして体力を回復したりできないように、試合には1ターンごとに時間制限があるようだ。
「な、何やってんだよリサ……!」
 
(撃たなきゃ、とにかく、撃たなきゃ負ける……!)
 バシュッ!
 リサのアタックがミラージュレイダーに当たる。しかし、すり抜けてしまいマインに当たらない。
『リサ君の攻撃がヒット!しかしマインには当たらず!!』
 
 バシュッ!バシュッ!!バキィ!!!
 
 試合は、両者ともフリップアウト出来るほどの攻撃力がなく、更にマインヒットを警戒して動いているのでなかなかダメージが通らない。
 そして、数ターン後。
 
『さぁ、第1バトルは長期戦となった!しかし、両者とも残りHPは2だが、なかなかダメージが通らない!!』
 そして、リサのターンだ。しかもマインはフレイムウェイバーの目の前にある。
(今度こそ決めなきゃ……!)
 リサのアタック。
 見事マインを弾きとばしながら真っ直ぐ進む。

『フレイムウェイバー爆進!これはマインヒット確実か!?』
「今度こそ!」
 しかし、ウェイバーがミラージュへ接触する瞬間だった。
「今だ、エアリアルパリィ!」 
 ふわ……!
 レイジの目が急に見開いたかと思うと、まるで風に浮いたように、ミラージュレイダーがボディを捻ってフレイムウェイバーの攻撃をかわした。
「えっ!?」
「よしっ!」
 
『な、なんだー!?ミラージュレイダーが、手も触れていないのにひとりでに動き、フレイムウェイバーのシュートをかわしてしまったぁぁあ!!』
 
「そんな……まさか、フレイムウェイバーの起こした風圧で!?」
「そう、ミラージュレイダーのボディ形状は、風を受けるとアッパーフォースを生み出すようになっているんだ。それによって地面との摩擦が低くなって、相手に触れる前に風圧によって機体が動いて、かわす事ができる」

『ミラージュレイダーは見事な回避技で攻撃を躱した!!』
 
「しまったっ!」
 ウェイバーは勢い余って自滅してしまった。
 
『なんとフレイムウェイバー自滅!これで残りHPは1になってしまった!』
 
 失意の表情で、リサはフレイムウェイバーを回収する。
 仕切り直しアクティブの準備をしないといけないのにリサは動かない。
(そんな、これじゃあの時と同じ……)
「リサ、惜しかったな!でも、次があるぜ!」
「……」
 バンの必死の慰めにも、リサはまともな反応ができなかった。
(どうしよう、分からない。勝てる方法が、見つからない……どうしよう……!)
 頭の中は、敗北感でいっぱいだった。
「リサ……どうしちまったんだよ!リサ!!」
 
『さぁ、レイジ君の脅威のいなし技!エアリアルパリィによって、フレイムウェイバーのアタックが文字通り無効化されてしまった!!数値だけでなく、物理攻撃までも無効化してしまうレイジ君とミラージュレイダーは、まさしく幻影そのものだ!!』
 
「どうしよう……勝てない。このままじゃ、勝てない!ねぇ、バン!私、どうしよう!!」
 控えにいるバンに縋り付くような視線を送り、リサは動揺する。
「あのいなし技の前じゃ、どんな攻撃をしてもどんな戦術をとっても無効化されちゃう!!どんなに頑張っても、マインヒットが出来ない……!」
「リサ!」
「勝てない、勝てないよぉ!!」
「リサ!!!」
 バンは、リサの肩をつかんで強く名前を呼ぶ。
「バン……」
「落ち着けって。リサには俺がついてる。例えこのバトルがどんな結果になっても、まだ俺がいる!それがタッグバトルだろ!?」
「……」
「それに、マインヒットが出来ないなら、フリップアウトすればいいじゃねぇか」
「え……?」
 リサがフリップアウト。そんな事……。
「大丈夫だ。俺がついてる!ドーンと行けばいいんだ!!俺たちが絶対に、ダントツ一番だ!!」
 バンの力強い瞳を見ると、リサの心も落ち着いてきた。
「バン……」
 
 そして、リサはようやくアクティブシュートの構えをとった。
 
『さぁリサ君、準備はOKかな?いくぜ、アクティブシュート!!』
「いくよ、フレイムウェイバー」
 リサが精悍な顔つきで、フレイムウェイバーをシュートした。
「ふ~ん」
「あの顔、何か吹っ切れたようじゃな」
「でも、僕だって負けないよ!」

 シュンッ!
 ウェイバーはフィールドの中央より奥まで進んだ。一方のミラージュはわざと弱く打ったのか、中央より手前までしか進まなかった。リサの先手だ。

「私は、ピットインしてターン終了!」

 リサはピットインしてパーツを交換した。

『おおっと、ここでまさかのピットイン!レギュレーションチェックするぞ……問題なしだ!』

 ササッとチェックが終わり、次はレイジのターンだ。
「いけっ!」
 ミラージュレイダーの
「いっけぇ!!」
 リサのターン。
 フレイムウェイバーをミラージュレイダーに向けてシュートする。ウェイバーを乗り越えて奥のマインに当てる作戦だ。
 ガッ、ズザァァァァ!!
 しかし、レイダーは乗り越えられず、ウェイバーに密着したまま滑ってしまった。

「な、なんじゃとぉ!?」
「こ、この動きは!?」
「へっへーん!さっきのブレイクタイムで、俺の持ってるパーツをリサに貸したのさ!」
「バンの持ってたローグリップシャーシとヘビーウェイトで重量をあげつつ摩擦抵抗を下げれば、乗り越えようとしても密着したまま相手と一緒に滑る事が出来る!」
「そ、そんなぁ!」
「持ってるパーツをパートナーに与えるのも、パートナーとしての役割だぜ!例えフィールドについてるのがリサだけでも、これはタッグ戦なんだ!俺だって一緒に戦ってるんだぜ!!」
 リサはチラっと振り向いてバンを見る。
 バンとリサは顔を合わせると頷き合った。
 そして、レイジに向き直る。
「密着した状態なら、いなし技は出来ないよね!」
「っ!」
 そして、フレイムウェイバーのフロントがミラージュレイダーの横っ腹に密着したままシュートした。
 そのままの状態でフレイムウェイバーとミラージュレイダーが一緒に動く。
 打撃ではなく、運び出し状態だ。
 
『これは上手い!打撃ではいなしてしまうミラージュレイダーを、密着する事で防いでしまった!そしてフレイムウェイバーはミラージュレイダーを運んだままフィールド端へ突き進む!!!』
 
 カッ!
 しかし、いつまでも密着していられないのか、フレイムウェイバーとミラージュレイダーは離れてしまい、二機の軌道はYの字に分岐してしまう。
 
『二機のフリックスは分岐!!ミラージュレイダーはそのまま場外だ!!』
「くぅ!」
 
『だが、フレイムウェイバーの勢いも止まらない!!このまま自滅してしまえば、判定でフレイムウェイバーの負けとなってしまうぞ!!』
 キュルキュルキュル!!
 フレイムウェイバーがフィールド端へと滑っていく。
「お願い!止まって、ウェイバー……!」
 リサの祈りが通じたのか、ウェイバーの勢いが弱まっていく。
 そして……。
『おおっと!ウェイバーのボディ半分が、フィールド外に出てしまった……が、ここでストップ!持ちこたえるかぁ!?』
 自重によって、グラグラと揺れるウェイバー。外に出ている部分が、出ていない部分よりも重ければ、そのまま落ちてしまう……!
「耐えて、ウェイバー……!」
 
 グラグラ……グラグラ……!
『フレイムウェイバーの挙動はまだ止まらない!落ちるか、持ちこたえるか!いったい、どうなるぅ?!』
 
 グラグラ……ピタ……。
 ついに、ウェイバーの動きがとまった。
 
『持ちこたえたぁ!!フレイムウェイバー!土俵際ギリギリ!!なんとか落ちずに済んだぞぉぉ!!!!これによって、勝者はリサ君だ!!!』
 
「や、やったっ!」
「やったぜリサ!!」
 バンは大喜びで駆け出し、フィールドについているリサに駆け寄った。
「ありがとう。バンのおかげだよ」
「へへへ、タッグバトルだろ。パートナーを助けるのは当然だぜ!」
 
 一方の剛志とレイジ。
「ご、ごめん剛志、負けちゃった……」
 ベンチに戻り、剛志の前でレイジはうなだれた。
「がっはっは!まぁ勝負は時の運じゃ!まだバトルが終わったわけじゃない、気にするなぃ!」
「剛志……」
「じゃが、ワシらは少しあやつらを侮っていたようじゃな。ルールは1VS1でも、これはタッグ戦。パートナーに出来ることはある、か。全く、面白い奴らじゃ!」
 剛志は、ニカッと笑い、立ち上がる。
 そして、リサと喜びを分かち合っているバンに視線を送った。
「……剛志」
 それに気づいたバンが剛志を見据える。
 
 二人の視線がぶつかり合い、火花を散らした。
 
「段田バン、面白いバトルを期待しとるぞ!」
「へっ、望むところだ!だけど、絶対俺がダントツ一番だ!!」
 
 
 
       つづく
 
 次回予告
 



BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit



炎のアタッカーユージンの競技玩具道場!フリックスの特別編


うっす、ユージンだ!!

今回のバトルは、リサVSレイジの大接戦だった!

レイジは、ミラージュレイダーの特性でリサのヒット&アウェイ戦術を完全に封じ

さらにシャイニングヒールでフレイムバレットを封じたかに見えた。

が、リサはフレイムバレットを連発することでゴリ押し!ディシジョンを狙うものの

レイジの秘策『エアリアルパリィ』がそれを更に防ぐ!

手詰まりになったリサは、バンからエレメントを託され、いつもとは違った戦術を使ってレイジを撃破するという熱い展開!

これこそ、フリックスバトルって感じだったよね!!ユージンも心が熱くなったぞ!

そんじゃ、今回はここまで!最後にこの言葉で締めくくろう!


本日の格言!

『例えバトルに参加しなくても、出来る事がきっとある!』


この言葉を胸に、皆もキープオンファイティンッ!また次回!!



 

 




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