弾突バトル!フリックス・アレイ 第23話

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第23話「執念のバトル!バンVSレイジ!!」
 

遠山カップ会場。
「そっち持って!」
「落とすなよ!」
先ほどの剛志とザキの対戦で、負傷した剛志を二人のスタッフが担架で運び出す。
「剛志!しっかりしてよ、剛志~!!」
その横にぴったりと、涙目のレイジが寄り添うように着いていっていた。
が、救護室までは一般人は通れないようで、レイジはスタッフに止められ、剛志はそのまま奥へと運び出されてしまった。
「剛志~!剛志~~~!!!」
レイジは、数人の男性スタッフに押さえつけられながらも、奥へと消えた剛志へ向かって泣き叫んでいた。

「レイジ……」
バンとリサは遠目でそれを痛々しげに眺めた。
「許せないぜ、ザキ……!何もあんな風にボコボコにする事なかったじゃねぇか!」
バンは拳を握りしめて、ザキへと視線を移した。
ザキは、相変わらず疎ましそうな顔でマスコミに囲まれている。
「くそっ、ちやほやされやがって!今に見てろぉ……!絶対に俺が倒してやる!!」
「でも、変だよね」
バンがエキサイトしている横で、リサは疑問を呟いた。
「え、なにが?」
バンには、リサが何に疑問を抱いているのかが理解できなかった。
「だって、普通ケガ人がでるような試合をしたら、一般には悪印象を与えるものなのに。マスコミはまだザキをヒーローみたいに扱ってる」
「……」
そういえば。
マスコミがザキに向けているものは、対戦相手を怪我させたヒールではなく、見事に勝利したヒーローと言うものだ。
「スクールが情報操作してるのかな」
「ちぇ、汚い奴らだぜ」
都合の悪いものは映さずに編集し、都合のいいものだけしっかりと映す。所謂マスゴミと言うやつなのだろう。

そして、しばらく経ち。
次の試合の開始時間となった。

『さぁ、多少トラブルがあったようだが、大会を進行していくぞぉ!!』
バトルフリッカーコウのマイク音が響く。

『大会もいよいよ準決勝!これに勝ち上がったものが決勝へとコマを進めるぞぉ!
その準決勝を最初に戦うのは……バン君VSレイジ君だ!!』

モニターに、バンとレイジの顔が映し出された。
「いぃ!?」
それを見た瞬間、バンは面食らった。
「バン……」
「くぅ、あの状態のレイジと戦うのかよ……」
バンはチラッとレイジの方を見た。
レイジも同時にバンへと視線を向けたらしく、鋭く、涙で赤く染まった瞳がバンの瞳を貫いた。
「レイジ……!」
バンは、若干身震いしながらも気を引き締めた。
「大丈夫、バン?」
「あぁ!俺だって負けるわけにはいかねぇんだ!とにかく、ヴィクター信じてブッ飛ばすだけだぜ!!」

そして、バンとレイジがバトルステージについた。

『今回のバトルステージには、フェンスに加えて低い円柱状の障害物が用意される!
中央、そして四隅の系5か所だ!これによって、位置取りがかなり重要になってくるぞ!!』

「こりゃ、単純にブッ飛ばすだけじゃ、障害物とかが邪魔になってフリップアウト狙えないな……!」
バンの言うとおり、単純なフリップアウト戦術は通用しそうにない。
つまり、ディシジョンが有効なレイジが有利と思われるが……。

「バン……僕は、剛志をあんな目に合わせたあいつを許さない」
レイジが、据わった目でバンを見ながら話しかけてきた。
「だから、あいつは必ず僕が倒す……そのために、僕の前に現れる奴は容赦しない!」
「レイジ……!」
いつにない気迫のレイジ。バンはたじろぎながらも、頷いた。
「ああっ!俺だって、ザキには借りがあるんだ!そう簡単には負けないぜ!!」

『それでは、バトルを始めるぞ!アクティブシュート!!』

バンがヴィクターをセットする。
「真ん中に障害物があるから、いつもみたいに全力で打ち辛いな…!」

 バシュッ!
 バンは障害物の手前までヴィクターを弾いた。

『バン君、いつもと違うステージという事で初手は様子見か?対するレイジ君はすごい気迫だ!』

「なに!?」

「なに!?」
「うおおおおおおおおお!!!!!」
レイジはいつにない気合いでミラージュレイダーをシュートしていた。

バシュウウウウウ!!!
『レイジ君、物凄いシュートだぁ!しかし、その勢いでは障害物に激突してしまうぞぉ!!』
 ミラージュレイダーは、真っ直ぐドライブヴィクターへ向かって突進する。
しかし、ドライブヴィクターとミラージュレイダーの間には障害物がある。このまま突進しても障害物に弾かれるだけのはずだ……!

 ガッ!バシッ!!
ミラージュレイダーは障害物を乗り越えて大きくジャンプした。
「いぃ!?」

『な、なんとぉぉ!!ミラージュレイダー、障害物を乗り越えたぁ!そして、そのままドライブヴィクターへジャンプアタック!!』

 ガッ!!
上空からミラージュレイダーのアタックがドライブヴィクターにヒットした。
思いがけぬ攻撃だったが、さすがに威力が足りず、ドライブヴィクターはフィールド内に留まる。

「な、なんだよ、今の……!」

驚くバンの姿を客席の方で見ていたリサは分析をした。
「ミラージュレイダーは相手フリックスを乗り越える形状をしている。だから障害物も乗り越えられたんだ……」
このフィールド。ミラージュレイダーにとって障害物は無いに等しいのだ。
「でも、それよりもミラージュレイダーのあのシュート、いつもの戦い方じゃない……」
以前レイジと戦った事のあるリサは、今の初手攻撃に違和感を覚えていた。
「マインヒットを与えられないアクティブシュートで攻撃するのはミラージュレイダーにとって得策じゃないはずなのに……」
リサが感じた違和感を、バンも感じていた。
(やっぱり、剛志の事で頭に血が上って いつもの戦い方が出来てねぇんだ)
バンはそう思いながらレイジを見据えた。
レイジの目は鋭く、全ての思考を『剛志の敵討ち』の一点に集中させているようだった。

『さぁ、ミラージュレイダーのトリッキーな攻撃が炸裂した所で、レイジ君が先手だ!この状態でどんな攻撃を見せてくれるのか!?』

「うわああああ!!」

レイジは咆哮をあげながら攻撃するも、ミラージュレイダーの攻撃力は高が知れている。

「さぁ、続いてはバン君のターンだ!獣のようなレイジ君に対してどう仕掛ける!?」

「仕掛けるったって……!」
ドライブヴィクターからミラージュレイダーの延長線上には障害物が存在する。
どんなに強くアタックしても、障害物に阻まれてフリップアウトは狙えない。
(あ、そうだ……!)
バンは、腕を引いて構えた。

「うおおおおお!!ブースターインパクトォォォ!!!」
 腕を伸ばしながら撃つ必殺のブースターインパクトを繰り出した。
ドライブヴィクターが空気を切り裂きながら猛スピードで突っ込んだ。

『なんとぉ!早くも勝負に出たか!必殺技の炸裂だぁぁ!!しかし、この角度でぶつかっても障害物に阻まれてしまうが……!』
 実況の言うとおり、ミラージュレイダーをフッ飛ばした所でその先には障害物がある。それにぶつかってはフリップアウトは狙えないはずだが……。
しかし、ドライブヴィクターはそんな事気にしてないかのようにミラージュレイダーに迫る。
「こんな技!!エアリアルパリィ!!」
レイジは、いなし技を発動してドライブヴィクターの体当たりを身を翻してかわした。

『しかもぉ!!ミラージュレイダーはドライブヴィクターの攻撃をかわしてしまった!ドライブヴィクターはそのまま目の前の障害物に激突!!』
ガンッ!!

「まだだぁぁ!!!」
障害物にぶつかったドライブヴィクターはその反動で、後ろ向きでミラージュレイダーへ突っ込んでいった。
「なっ!」
「ドライブヴィクターのリアは面積が大きいからな!いなし技を使った直後のミラージュレイダーなら十分に攻撃が通じる!!」
エアリアルパリィを使用した直後のミラージュレイダーには隙が生まれている。これならば、いなせないはずだ。

 バキィィ!!
ドライブヴィクターのケツがヒットしたミラージュレイダー。
そのまま場外へと飛ばされてしまった。

『決まった!!ミラージュレイダーフリップアウト序盤を制したのは、段田バン君だ!!』

「よしっ!」
バンはドライブヴィクターを拾ってガッツポーズをした。
「ぐぅぅぅ……!」
レイジは顔を歪めながらミラージュレイダーを拾った。
「負けられないのに!負けられないのにぃぃぃぃ!!!!」
まるで喉を潰したかのような苦い声で叫ぶようにつぶやき続ける。
「レイジ……」
その姿はあまりにも痛々しかった。

『さぁ、仕切り直しだ!!』

アクティブシュート!

「おおおおおお!!!」
 バシュッ!!
再びレイジから凄い勢いのシュートが放たれた。
ミラージュレイダーは真ん中の障害物を乗り越えて、バンのスタート位置手前についた。

『ミラージュレイダーに障害物の概念は無いのか!?フィールド特性を完全に無視してバン君の行く手を遮る!』

「いっけぇぇぇぇ!!!」

しかし、気迫が凄いだけで空回りしている。肝心の攻撃が通じない。

バンのターン。

「いっけぇ!ヴィクター!!」
バンは、ミラージュレイダーから若干斜めにヴィクターを撃った。
ミラージュレイダーはくるくると回転しながらヴィクターの攻撃を受け流し、ヴィクターはそのまままっすぐ突き進む。
「とにかく、体制を整えないとこのフィールドじゃまともに攻撃できねぇ!」
「逃がさない……!」
レイジのターン。
レイジはドライブヴィクター目掛けて再び強烈なシュートを放った。

 ガッ!!
 ドライブヴィクターは若干飛ばされてマインヒットするものの、ミラージュレイダー程度の攻撃ではさほど変位はしない。
そしてミラージュレイダーはドライブヴィクターを乗り越え、更にその先の障害物を乗り越えた時点でストップする。

『ミラージュレイダー、今度はトリッキーなヒットアンドアウェイ戦術か?障害物を盾に、ドライブヴィクターの攻撃を阻んでいる!』

「くそっ!」
次のターン。バンはまともに攻撃が出来ない。一旦体制を立て直さなければならないが、その分隙を与えてしまう事になる。

その頃、剛志が運び込まれた医療室では……。
「うぅ……」
体中に包帯を巻かれ、ベッドで寝かされていた剛志が唸りながら目を覚ました。
「おっ、気が付いたかい?」
剛志の顔を、医師らしき白衣の男が覗き込んだ。
「ここは……」
「医務室だよ。全身打撲だが、大した傷じゃない。すぐに痛みも引くよ」
「……そうか、ザキのバトルでやられたんじゃったな」
剛志は悔しげに呟いた。
その時、剛志の耳にバトルフリッカーコウの声が聞こえてきた。

『レイジ君!相変わらず荒々しいバトルだ!!一体、今までのレイジ君はどこへ行ってしまったのか?!』
 医務室備え付けのテレビに会場でのバトルの様子が映されていた。
「うおおおおお!!ミラージュレイダー!!!」
「負けるな、ドライブヴィクター!!」
鬼のような形相でミラージュレイダーを撃つレイジの顔がアップで映されている。

「レイジ……!」
その姿を見た剛志は慌てて起き上がろうとするのだが、すぐに顔をしかめた。
「ぐぅ……!」
「ま、まだ無理は禁物だよ」
医師がやさしく剛志の体を押えてベッドに寝かせた。
「くぅぅ……あのバカが……」
剛志のその口調は、どこか保護者めいたものが含まれていた。

そしてバンとレイジの第二ラウンドも進み、いよいよ終盤戦となっていた。

『さぁ、バン君のターンだ!両者ともに激しいアタックを繰り返すが決め手にはならず、体力だけがジリジリと減っている状態だ!
現在、バン君のHPは2!レイジ君のHPは1だ!このまま消耗戦が続けば、レイジ君には圧倒的不利な状況だぞぉ!!』

「不利…このままじゃ、僕の、負け……」
つまり、剛志の仇は撃てない。
あの憎いザキと、戦う事すらできないのか……!
「う、うわあああああ!!!!」
ミラージュレイダーが場外した瞬間、レイジは狂ったように頭をかきむしりながら叫んだ。
「な、なんだぁ……?!」
「負けない!負けられないぃぃ!!」
バーーン!!
必死に攻撃を仕掛けるレイジだがどうしようもない。
「行くぜ、ヴィクター!!」
 バシュッ!!
バンはドライブヴィクターを障害物の手前までシュートした。
「ミラージュレイダー!!」
 ドンッ!!
再びレイジは凄まじいシュートでミラージュレイダーを飛ばした。
 ガッ!!
しかし、狙いが定まらなかったのか、今度は障害物に弾かれて何処へとフッ飛んでしまった。
「ううう!!!」
「た、助かったぁ……!けど」
この位置では障害物に阻まれてドライブヴィクターも狙いづらい位置だった。
「くそっ!」
とりあえず、狙いやすい位置までドライブヴィクターを移動させた。
「勝つ!勝つ勝つ勝つ!!!!」
バシュウウウウウ!!!

レイジのシュート。わざわざ狙いやすい位置まで移動してくれたドライブヴィクター目掛けて強烈なシュートを放った。
「くっ!!」
 バーーーン!!
ミラージュレイダーらしからぬ強烈な一撃がドライブヴィクターを襲った。
互いにもつれ込むように大きく動き、フェンスに激突した。
「はぁ、はぁ……!くそっ、舐めるなよぉぉ!!」
バンも負けじと強攻撃を繰り出した。
「ぐうううう!!!」
レイジは、いつもとは違いステップいなしではなくバリケード防御をした。
防御力の低いミラージュレイダーだが、今のレイジの気迫によってドライブヴィクターの攻撃は耐えきれた。
「ちぃ!!」

『激しいぶつかり合い!これは凄まじい対決だ!やられたらやりかえす、二人の気迫がビンビン伝わってくるぞぉ!』
 次はレイジのターンだ。
「勝つぞ……!剛志のためにも、剛志のためにもおおおおお!!!」
剛志への想いを込めてミラージュレイダーを構えた……その時だった。

「くぉらぁぁぁ!レイジぃぃぃぃ!!!」
通路への入り口の方から、剛志の叫び声が会場に響いた。
「つ、つよし~!!!」
剛志の姿を確認すると、レイジは顔を綻ばせた。
「待っててね、剛志!今すぐこいつをフリップアウトして、剛志の仇を……!」
「このドアホが!!!」
剛志は、レイジを叱責した。
「え?」
なぜ叱責されたのか分からず、レイジは面食らった。
「何を力んどるんじゃ!!そんな力任せな戦い方は、お前の戦いじゃないじゃろが!!」
「僕の……」
「ワシは、仇討ちなぞ望んどらん!お前は、藤堂レイジとしてのバトルをすればええんじゃ!!!」
「僕としてのバトル……」
「そうじゃ!ワシは、何よりもそれを望んどるぞ!!」
「……」
レイジは剛志に言われた事を、頭の中で噛みしめ、何度か頷いた。
「そっか……そうだよね。剛志は、そうだったんだ」
「……レイジ」
レイジの瞳に正気が戻り始めた。
「段田バン!!」
剛志は、今度はバンに対して叫んだ。
「え、なんだよ?」
「全力でバトルするんじゃぞ!!」
剛志にそう言われ、バンは口元を緩ませて答えた。
「おう!あったりまえだぜ!!なんたって俺は、ダントツ一番だからなっ!!」
バンは剛志に対して堂々とサムズアップしてみせた。
剛志はそれを見ると満足気に笑った。
「がっはっは!その意気じゃい!!」

『さぁ、ギャラリーからの熱い応援が入ったところで試合は続行するぞ!次はレイジ君のターンだ!!』

「ミラージュレイダー……」
レイジは深呼吸してミラージュレイダーを構え、狙いを定めた。
「これが、僕達の戦い方だよね!」
バシュッ!
ミラージュレイダーはドライブヴィクターを乗り越えるようにマインヒットした。これでHPはお互いに1。
そして、乗り越えたミラージュレイダーはフィールド端のフェンスに密着して止まった。
「だったら俺はっ!」
バンのターン。
バンは、直接ミラージュレイダーは狙わず、ミラージュレイダーの隣につけて同じようにフェンスに密着した。
「どうだ!この位置なら、乗り越えても無駄だぜ!」
ここから乗り越えてヒット&アウェイをしたところで、その先はフリップアウトが出来る角が待ち構えている。
が、それはレイジも承知だったようだ。
「だったら!」
 バシュッ!
レイジは一旦その場から離れるようにミラージュレイダーを撃った。
ミラージュレイダーはその先の障害物を乗り越えて、向こう側に着地した。
「この位置なら攻撃できないよね!」
「くっ!」

『これは面白いバトルだ!互いに良いポジションの奪い合いでフリックスが乱れ飛ぶ!力のぶつかり合いだけじゃない、戦術のぶつかり合いだぁ!!』

「ここからじゃ狙えねぇ!」
バンは、なんとか良い位置につけようとドライブヴィクターをシュートするが、コントロールをミスってしまった。
「しまったっ!」
まだドライブヴィクターの位置はミラージュレイダーから死角だ。
そしてレイジのターン。
「いけっ!」
 バッ!
ミラージュレイダーは障害物を乗り越えてドライブヴィクターにアタックした。
「くぅ……!」

バトルはそんな感じでミラージュレイダーのヒット&アウェイでレイジ有利で進んでいた。

『さぁ、バトルも終盤戦!現在、バン君のターンだが、これは厳しいか?マインヒットもフリップアウトも狙い辛いぞ!』

「くそぉ……そろそろ決めないと」
現在、ドライブヴィクターとミラージュレイダーの間に阻むものはない。
そして、ミラージュレイダーはフェンスに密着した状態になっている。
ドライブヴィクターの位置からミラージュレイダーを攻撃してもフェンスに支えられてフリップアウトは難しい。
「どんな攻撃しても無駄だよ!ミラージュレイダーは全てを乗り越えるように受け流してしまうんだ!これが僕とミラージュレイダーの必勝法さ!」
「何やっても受け流される……受け流される……」
ミラージュレイダーは船のようなボディ形状によって、相手を乗り越える。
乗り越えるという事は上に上がるという事……。
「だったら、思う存分乗り越えられてもらうぜ!!」
 グッ!
 バンは腕を引いて力を込めた。
「ブースターインパクトォォォォ!!!」
 ブースターインパクト炸裂!ドライブヴィクターが勢いよく飛んでいく。
『出たー!決め技のブースターインパクトだ!!しかし、ミラージュレイダーはフェンスに支えられてフリップアウトは狙えないぞぉ!!』

「いっけぇぇ!!!」
よく見ると、ドライブヴィクターは猛回転していた。
『なんだぁ?!ドライブヴィクターはいつものストレートではない!ブースターインパクトでスピンシュートを撃っていた!!』

「回転をかけた……?!」
しかし、スピンによって機動力を失ったドライブヴィクターはミラージュレイダーに接触する前に手前でスピードが落ちてしまった。
「回転力は凄いけど、届かないよ!」
「それはどうかな!!」
 ブワッ!!
 猛回転するドライブヴィクターから強烈な旋風が生まれた。
「っ!」
その風が、ミラージュレイダーを浮かしフェンスを乗り越えてフッ飛ばしてしまった。
「そんなっ!」

『決まったぁぁ!!ドライブヴィクター、直接攻撃ではなく、スピンで起こした風でミラージュレイダーを吹き飛ばした!!
よって、勝者はバン君だ!!』

客席で見ていたリサは、ホッと一息ついていた。
「バン、良かった……」

「やったぜぇぇぇ!!!」
バンはドライブヴィクターを拾ってガッツポーズをとった。
「……ミラージュレイダーは全てを乗り越える。まさか、支えにしていたフェンスを乗り越えさせられるなんて……」
レイジは呆然としながらも敗因を分析し、納得していた。
「レイジ!」
そんなレイジの前にバンは歩いていた。
「……僕の負けだよ。凄いな、絶対勝てると思ったのに」
「俺も、負けるかと思った。けど、すっげぇ楽しいバトルだったぜ」
屈託なく笑うバンを見て、レイジは意を決したように顔を上げた。
「決勝、良いバトルしてよね」
「当ったり前だぜ!決勝も俺が、ダントツ一番だ!!」
レイジは、仇討ちは望まなかった。ただ、フリッカーとしての良いバトルを望んだだけだった。
蟠りの無くなった二人は、しばらく笑いあったのだった。

 

       つづく

次回予告

 

 

 

 

炎のアタッカーユージンの競技玩具道場!フリックスの特別編

 

 

うっす、ユージンだ!

剛志の仇を撃とうと猛攻撃をしかけるレイジに辛くも勝利したバンは、いよいよ決勝戦へとコマを進める。

前回、完全敗北してしまったザキへのリベンジマッチだ!

バン君は基本リベンジマッチばかりしてるような気がするよね!!←

 

そんじゃ、今回はここまで!最後にこの言葉で締めくくろう!

本日の格言!

『戦いは、自分を貫いたものが勝つ!』

 

この言葉を胸に、皆もキープオンファイティンッ!また次回!!

 

 

 

 

 




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