弾突バトル!フリックス・アレイ 第20話

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第20話「リサとの対立?!TFSからの招待状!!」
 
 
 
 とある放課後の公園。
 いつものようにバン達四人がバトルをしていた。
 
 新たな必殺シュート『ブースターインパクト』を会得したバンは絶好調だった。
「さぁ、バン!この陣形を崩せるかなぁ!?」
 ドライブヴィクターの前に、プロトアレイの二体が縦一列に並んでいる。二機分の防御力があるのだろう。
「けっ!甘いぜ!」
「どうかな!こっちには二人分の防御力があるんだぜ!!」
「その二人分をブッ飛ばすパワーが、こっちにはあるんだよ!!」
 言って、バンは構えた。
「来るか……!」
 オサムとマナブは身構えて、フリックスに自分たちのパワーを送って防御力を上げる。
「いっけぇ!ブースターインパクトォ!!」
 バンのブースターインパクトが炸裂。
 一気に二機のフリックスをフッ飛ばす。
 
 バーーーーーン!!!

 
「おっしゃあ!やっぱり俺がダントツ一番!」
 バンがガッツポーズをとった。
「ちぇ、一気に2体フリップアウトかぁ。そんな技されたらどうしようもねぇよ」
「どんなに防御しても貫通されちゃうもんね」
「なっはっは!ブースターインパクトは無敵だからな!」
 調子に乗って馬鹿笑いするバン。
「ブースターインパクトは、フリックスを撃つ瞬間に腕を伸ばして、威力を倍増させる技……。並大抵の防御じゃ太刀打ちできないね」
「おう!なんだったら、3人まとめてかかってきてもいいんだぜ!なーっはっはっは!」
 さすがにちょっと調子乗りすぎだろう。
「……」
 リサは、そんなバンを複雑な顔で見ていた。
 
 そして、夕方になったのでバン達は帰宅した。
「いやぁ、気持ちよかったぁ!やっぱバンバンブッとばせるって最高だぜ~!」
 バンはいい気分になりながら、リサと一緒に家の門をくぐる。
「あ、バン。郵便が来てるよ」
 リサは郵便受けにハガキが入ってることに気づいた。
「ほんとだ。誰からだろう?」
 ハガキを見ると、宛名が段田バン宛てになっていた。
 バンは家に入ってからハガキを見ることにした。
 
 リビングのソファに座り、バンとリサはハガキを見ることにした。
「これは、遠山フリッカーズスクールからだ!」
「えっ?!」
 送り主は、なんとフリッカーズスクールだったのだ。
「どうして、スクールがバンに……?」
 スクールがバンにハガキを送る事が信じられないリサ。
「と、とにかく読んでみるぜ!」
 信じられないのはバンも同じだ。とにかく内容を見てみることにした。
「なになに……」
 
 『誇り高きフリッカー諸君、最強の座を賭けて我がスクールが主催する大会に招待しよう。
 腕に自信のある者は是非参加してくれたまえ。
 この招待状は、全ての腕に覚えのあるフリッカーたちに送られておる。
 ハイレベルな戦いを期待しているよ……』
 
 こう書いてあった。
 
「大会の招待状……?!」
「スクールが主催してるの……?」
「みたいだな」
「……」
 二人はしばらく黙りこんだが、状況を頭で整理できたバンがふいに立ち上がった。
「へっ、面白れぇ!スクールの主催だろうがなんだろうが、乗り込んで優勝してやるぜ!!」
 バンはハガキをギュッと握りしめて意気込んだ。
「待ってバン。迂闊に参加するのは危険だよ」
「なんでだよ?向こうから挑戦してきたってのに、逃げるわけにはいかないだろ!」
「でも、スクールの罠かもしれないよ……?」
 リサの警戒はもっともだ。しかし、バンは全く聞く耳を持たない。
「大丈夫だって!なんたって俺には、ブースターインパクトがあるんだぜ!どんな奴が相手だろうと、どんな罠があろうと、ダントツで優勝だ!」
「バン……」
「なっはっはっは!」
 バンはまた馬鹿笑いする。
「そういう時が一番危険だと思う。油断してると痛い目に合うよ」
「大丈夫だって!リサだって知ってるだろ、ブースターインパクトの強さ!」
「でも……!」
 リサのしつこい警告に、バンは少しイラッとした。
「なんだよなんだよ、さっきから俺が負けるような事ばっかり言って。そんなに俺の強さが信用できないのか?」
「そういうわけじゃないけど」
「あ、そうか分かったぞ!リサ、自分に招待状が来なかったからって、ヤキモチ焼いてんな?」
「え……?」
「そうだよなぁ、なんたってこの招待状は『腕に覚えのあるフリッカー』に送られてるんだもんなぁ」
「む……」
 バンが何を言いたいのかを理解し、リサはムッとした。
「まっ、でもしょうがねぇって!俺は今ダントツだから!そう気にする事ないぜ!!」
 バンが超上から目線でリサの肩をたたいた。
「……」
 リサは何も言わずにその手を払うと、とことこと玄関へと歩いて行った。
「お、おい、どこ行くんだよ?」
 が、リサは何も答えずにそのまま外に出て行った。
「え、ちょ、おい!!」
 バンは慌てて後を追って外に出る。が、もうリサの姿は見えない。
「リサー!!」
 大声で呼びかけるのだが、返事はない。
「ったくもう、こんな夜に一人で出かけたら危ないだろうが……!」
 バンはぶつくさ言いながら、リサを探すために駆けだした。
 
 街灯に照らされた夜道を、バンは当てもなく駆け巡る。
「リサー!リサー!!」
 リサの名を呼びながら。
 だが、当然返事はない。
「ったく、どこいっちまったんだよ」
 
 散々探し回ったあげく、バンは中央公園にたどり着いた。
 夜の中央公園は、四隅にある灯りに照らされて、なんだか不気味だった。
「リサー……」
 バンの声も弱弱しい。
 もしかしたら、もう帰ったのかもしれないと、家路につこうとした時だった。
「誰かお探しか」
 後ろから、高圧的な男の声が降ってきた。
「うわぁ!!」
 びっくりして振り返ると、そこには、マスクをした男、Mr.アレイとその隣に同じくマスクをした小さな少女がいた。
「って、み、Mr.アレイかよ……!ほんと、神出鬼没だよな……」
 バンはどくどくと波打つ胸を抑えた。
「ってか、隣にいるのって……リサか!?」
 Mr.アレイの隣にいる覆面少女は、どう見てもリサだった。
「今までどこ行ってんだよ!そんなMr.アレイみたいな格好して……さ、帰るぞ」
 と、バンが手を差し伸べたのだが、少女はその手をさっと払う。
「え?」
「リサではない」
 と、Mr.アレイは言う。
「なに?」
 バンはわけがわからない。
「わ、私は……」
 と、リサ(?)は少し遠慮がちに口を開いた。
「ふ、覆面フリッカー。Ms.アレイ……です」
 恥ずかしいのか、最後の方はうつむき加減で、声も小さくなっていた。
「は……?」
 バンはあっけにとられた。
「だ、段田バン!あなたに、フリックスのなんたるかを教えてあげる!さ、さぁ、私と勝負よ!」
 Ms.アレイはしどろもどろになりながら、勝負を挑んできた。
「な、何わけのわからない事言ってんだよ。そんな事より早く帰るぞ」
 バンはMs.アレイの言葉を無視して帰ろうとするのだが
「ほう、挑まれた勝負から逃げるのか?フリッカーの風上にもおけん奴だな」
 Mr.アレイが挑発してきた。
「なんだと!?」
 単純なバンはその挑発にあっさり乗ってしまう。
「けっ!俺はどんな奴の挑戦だって受けてやるぜ!今の俺は誰にも負けねぇんだからな!!」
 言って、ドライブヴィクターを構えた。
「決まりだな」
 そして、バトルが成立。
 二人は、備え付けのフィールドを介して対峙した。
 
 アクティブシュートして先攻後攻を決める。
 先攻はバンだ。
「まずは俺のターン、すぐに決めてやるぜ!ブースター……!」
 しかし、リサのフレイムウェイバーがつけている位置を見てバンはブースターインパクトの構えを解いた。
「くっ!このまま撃ったら場外しちまう……!ここは様子見だ!」
 バンはマイン再セットした。
 Ms.アレイのターン。
「いけっ!」
 バシュッ!
 フレイムウェイバーをシュートする。
 カシュッ!
 フレイムウェイバーはドライブヴィクターを掠めてマインヒットしつつ、反対側のフィールドの角につけた。
「よし」
「くっ!またあんな位置に……!」
 これはリサ得意の戦法だ。
「ちぃ!」
 バンは再びマイン再セットだ。
「でも、俺だってあの時のままじゃないぜ!そっちがその気なら、こっちはその戦法を崩してやる!」
 Ms.アレイのターン。
「いけっ!」
 バシュッ!
 フレイムウェイバーが再びドライブヴィクターを掠めようとする。
 ガキンッ!
 しかし、ドライブヴィクターが強固に防御し、フレイムウェイバーの反射角度を変えた。
「っ!」
「おっしゃ!」
 マインには当たらず、フレイムウェイバーがフィールドの端から少し離れたところで止まった。
「こっちの防御しだいで、ある程度はリサの戦法を防げるんだ!」
「……やっぱり、もう通じないか」
 Ms.アレイは意味深につぶやいた。
「さぁ、この位置ならぶちかませるぜ!」
 バンのターン。
 バンは、ブースターインパクトの構えをとった。
「うおおおおおおおおおお!!!!!!」
 気合いを込め、指に力を入れる。
「いっけえぇぇぇえ!!!!!」
 グッ!と腕を曲げる。
「ブースターインパクトオオオオオオ!!!!」
 
 バシュウウウウウウウウウウ!!!!
 
 ドライブヴィクターが必殺の勢いでフレイムウェイバーへとカッ飛ぶ。
「ブッ飛ばしてやるぜ!!」
 この勢いなら、フレイムウェイバーはたまらずフリップアウトしてしまうだろう。
 だが……!
「フレイムウェイバー!!」
 ドライブヴィクターがフレイムウェイバーにぶつかる瞬間、リサはバリケードをややズラした。
 ガッ!!
 必殺技が直撃!
 二機ともにフィールド端へと吹っ飛んだ!
 が、ギリギリのところで二機とも踏み止まってしまった。
「なにっ!?ばっちり決まったはずなのに……!」
 
「なるほど、いなし技か」
 Mr.アレイが言う。
「え?」
「ドライブヴィクターの攻撃を受けてフィールド端まで飛ばされた瞬間に、バリケードを使ってフレイムウェイバーの角度を変えていなしたのだ」
「っ!」
 バンは驚愕してリサを見た。
「レイジの、あの技を……!」
「エアリアルパリィほどの効果はないけど、フリップアウトを防ぐくらいは出来る……!」
「くそっ!」
 Ms.アレイのターン。
 バシュッ!
 再びドライブヴィクターを掠めてマインヒットし、距離を取った。
 そして、バンのターン。
「さっきはミスったけど、ようは重心を打ち抜けばいいんだ。よく狙って……!」
 バンは再びブースターインパクトの構えをとった。
「いっくぜぇぇぇ!!」
 グッ!と力を込める。
「ブースター……うっ!」
 ピキィ!!
 その時、バンの右腕に鋭い痛みが走った。
「くっ、そおおおお!!」
 が、構わずに技を発動する。
「インパクトォ!!」
 腕を突き出してドライブヴィクターをシュートする。
 しかし、その勢いは……。
 
 ヒョロヒョロヒョロ~、パシッ!
 
 非常に弱かった。
 わずかにフレイムウェイバーを数ミリ動かしただけだった。
「う、ぐ……なんで……!」
 信じられないバン。
 
「ブースターインパクトは、強大な威力と引き換えに使用者にかかる負担も大きい。連発すれば腕が耐えられなくなるのは当然だ」
 Mr.アレイが解説した。
 
「く、そぉぉ!!」
 Ms.アレイのターン。
 バシュッ!ガキンッ!!
 無難に攻撃をヒットさせる。
 バンのターン。
「俺だって!」
 バシュッ!!
 必殺技が撃てなくても、とフレイムウェイバーをフリップアウトさせようとするのだが、腕を痛めたバンはノーマルシュートでも威力が出せない。
 あっさり耐えられてしまった。
「そんな……!」
 そして、何ターンか同じような展開が続き……。
 
 Ms.アレイのターン。
 見事にマインヒットが決まり、ドライブヴィクターは撃沈する。
「うわああああ!!!」
 ドライブヴィクターと一緒になぜかバンはフッ飛んだ。
 
「ぐ……そんな、俺が、ブースターインパクトが通じないなんて……!」
 立ち上がりながら、バンは腑に落ちない顔をする。
 
「バン……」
 リサは、心配そうな顔になってバンに近づくが、その前にMr.アレイが口を開いた。
「当然だな」
「なにっ?!」
「どんなに強力な技も、人前に晒し過ぎれば対策もされる。力はただ出すものではない。使うものだ」
「……」
 Mr.アレイはそれだけ言うとサッと消えて行った。
 バンはそんなMr.アレイの事を追うことはせずにMs.アレイに向き直った。
「バン」
 Ms.アレイはマスクを脱ぎ、リサとしての素顔を出していた。
「リサ……もしかして、さっきMr.アレイが言っていたことを俺に伝えたくてバトルをしてきたのか?」
「……」
 リサは頷いた。
「そっか、ごめん。俺調子に乗ってた。そうだよな、必殺技が出来たからって、絶対勝てるとは限らないんだもんな」
「バン……」
「今のバトルで分かったぜ。力は強ければ勝てるんじゃないんだ。使い方が大事だったんだ」
「うん」
「リサの忠告も、よく分かった。さすがのブースターインパクトも対策されたり、卑怯な手を使われたりしたら、負けちまうかもしれないもんな」
「うん……」
「だけど、俺は出るぜ!」
「え?」
「大会だよ!必殺技があろうがなかろうが関係ねぇ!例えスクールの罠だとしても、招待されたものを、逃げるわけにはいかないだろ!」
「バン……」
 リサは、少し不安げな顔になる。
「心配するなって!リサの忠告は、全部この胸に届いた!もう、必殺技を連発するような事はしない。ここぞって時に使う。だから、安心して行かせてくれ!」
 バンの真剣な瞳を見て、リサは頷いた
「……うん、わかった」
「サンキュ!」
 バンはニッと笑った。
「さっ、早く帰ろうぜ!あんまり遅いと父ちゃんに怒られちまう!」
「あ、うん!」
 バンはリサの手を引いて、急いで家路につくのだった。
 
 遠山フリッカーズスクール、地下練習場。
 フィールド上に、いくつものフリックスがセットしてあり、シェイドスピナー一機でそれを相手にしている。
「うおらああああ!!」
 バキィ!!!
 シェイドスピナースピンアタックが相手のフリックスを破壊する。
「うわあああ!!」
 相手のフリッカーが飛び散るかけらにおびえてうずくまる。
 
「死ねええええ!!」
 バキィ!!
 またもシェイドスピナーの猛攻が相手のフリックスを砕く。
「うわあああ!!!」
 
「まだまだぁぁ!!!」
 バキィ!!!
 シェイドスピナーの猛攻は止まらない。
「ぐおあああ!!」
「おらああああ!!!」
 バキィ!!
 粉々に砕く。
「うぅぅ……!」
 
「これで、最後だ!!!」
 バキィ!!
 最後に残った一機も粉々に砕いた。
「う、ぐうう……!」
 あっという間に、全てのフリックスを破壊してしまった。
「ちっ!これじゃ大会前のウォーミングアップにもならねぇ……!」
 ザキは、あまりにも弱すぎる練習相手にイラついているようだ。
「ザ、ザキ様……もうこれ以上は我々の身が持ちません。我々も大会に向けて休息を……」
 数多くいる練習相手のうちの一人がザキに懇願する。
 が、そいつをザキは睨み付けた。
「あ?何寝ぼけた事言ってんだ。てめぇらの身の安否なんざどうでもいいんだよ!いいから構えろ!!」
「ひぃぃ!!」
 ザキの迫力にビビッたそのフリッカーは思わずフリックスを構えた。
 バシュッ!ガキンッ!!
 が、全くシェイドスピナーは動じない。
「けっ、雑魚の分際で何が『大会に向けての休息』だ!てめぇらなんざ、大会に出れなくなったところでどうでもいいんだよ!」
「そ、そんな……!」
「俺の遊び相手にすらならないフリッカーは、消えてなくなれ!!!」
 
 バキィ!!!
 シェイドスピナーがフリックスを粉々にする。
「う、ぐぅぅ……!」
 その少年は粉々になったフリックスを抱えながら、崩れ落ちる。
「ちっ、歯ごたえのねぇ……この程度の奴が俺の大会に出ようとは反吐が出るぜ!」
 ギンッ!と周りで見ていた大勢のフリッカーを睨み付けた。
「う、うわあああああ!!!!」
 フリッカーたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ惑っていった。
「逃げるな!戦え!!!」
 ザキが叫ぶのだが、それで立ち止まってくれる人などいるはずもなく。
 あっという間に練習場はザキ一人になってしまった。
「……ちっ、どいつもこいつも、弱いだけじゃなく意気地もねぇ」
 
 “そんなに、バトルがしたいってんなら……俺が相手になってやる!!!”
 
 ザキは不意に、自分の姿を見てもビビらずに果敢に勝負を挑んできたバンを思い出した。
「ザコには変わりないが、度胸だけはある奴だったな」
 いつしかザキは、練習に退屈するとバンとのバトルを思い出すようになっていた。
「けっ、くだらねぇ」
 ザキはすぐにそう吐き捨てて、個人練習に没頭した。
 
 ザキ一人しかいない空間で、シェイドスピナーの激突音だけが激しく響いていた。
 
 
 
       つづく
 
 次回予告
 




BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit



炎のアタッカーユージンの競技玩具道場!フリックスの特別編



うっす、ユージンだ!

今回は、必殺技を覚えて調子に乗っちゃったバンが、リサにお灸を据えられるってお話だったね。

どんなに強い力を手に入れても、結局は使い手の気持ち次第!

傲慢な気持ちでは、必殺技は活かせないぞ!!


それじゃ、今回はここまで!最後にこの言葉で締めくくろう!

本日の格言!

『どんなに強くなっても、謙虚な気持ちを忘れるな!』


この言葉を胸に、皆もキープオンファイティンッ!また次回!!







 

 




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