第1話はここ
「なぁ、俺と、チームを組まないか?」
その言葉を口にしてミナタはハッとして口を噤んだ。しかしもう遅い。目の前にいるゲキオは一瞬怪訝な顔をしたが徐々に顔が綻び目を輝かせている。
ミナタは『やっちまった』と言う顔で目を逸らしたが、ゲキオはそんな事を構わずグイっと顔を近づけてきた。
「僕とチーム!?ほんと!?」
「あ、いや、そう言うんじゃなくて」
「うわぁ、感激だなぁ!そんな風に言って貰えるなんて!!」
うわめんどくせぇ、さっさと訂正して退散した方が良さそうだ。
「悪い!今のはナシ!聞かなかった事に」
「僕、チームを組むのずっと憧れだったんだぁ!チーム名どうしようか!?」
「聞けよ!!!」
ミナタの声はもうゲキオには届かず、1人で勝手に盛り上がっている。
「あ、でもさ」
と、ゲキオはいきなりスンと落ち着く。
「なんだよ」
「ミナタってもうチーム組んでるんじゃないの?だって今朝やってた大会に出てたみたいだし」
ゲキオはミナタの手首に付けてある大会整理券リストバンドを指しながら言った。
「……チームは、解散したんだよ」
ミナタは目を逸らしながら言った。そのバツが悪そうな雰囲気に、何かを察したゲキオはこれ以上事情を聞かなかった。
「解散!?なんで!?」
もとい、ゲキオは何も察してなかった。
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