第100話「ダントツウィナーズ解散!?本当の戦いはこれからだ!!」
朝830。
段田家、バンの部屋。
ベッドの上で布団を乱しながらバンは大いびきをかいて眠っている。
「ぐか〜!ぐご〜!!」
ピピピ!ピピピ!!
突如鳴り響くけたたましい目覚まし音にも反応せず、眠りコケる。
ドドドド!ハゴンッ!!!
父が乱暴に部屋の扉を開けて怒鳴る。
「コラー!バン!!いつまで寝てんだ!!!今日は9時には出掛けるって言ってただろうが!!!」
バッサァァ!!
布団をひっぺがし、バンはベッドから落ちた。
「いっててて……あんだよ、ここまで乱暴に起こす事ないだろ」
「良いから早く朝飯食え!リサちゃんはとっくに準備出来てるぞ!!」
「へ〜い!!」
……。
………。
そして、バンは顔洗って朝飯食べて歯を磨いて着替えて、出掛ける準備を完了させた。
「あ、バン寝癖ついてるよ」
「いいよこれくらい」
「ダメ。今日は晴れの舞台なんだからちゃんとしないと」
そう言って、リサは櫛で強引にバンの髪型を整える。
「ちぇ、めんどくせぇな」
FICS決勝戦に勝利し、見事優勝したダントツウィナーズは世界一のフリッカーへと輝いた。
その功績を讃えて、千葉市ではダントツウィナーズの優勝パレードが実施されたのだった。
「あ、もう時間!バン、急がないと!!」
「分かってるよ!」
バンとリサは慌てて家を飛び出した。
……。
………。
派手に飾りつけられたオープンカーにダントツウィナーズは乗り込み、数々のファンたちの声援を受けながら手を振っている。
「いやー、どうもどうも!みんなのおかげで優勝出来たぜ〜!!」
ワーーーーーーーー!!!
バンたちを見送るのは懐かしの面々の姿もある。
彼らの姿を確認しながら、バンたちは少しずつ自分達の立場を実感していくのだった。
「私達、本当に優勝しちゃったんだね」
「あったりまえだろ。ダントツだぜ」
「へっ、ギリギリだったがな」
「勝ちは勝ちでい!」
そんなバンたちの勇姿を見ながら、ヒソヒソと話している一般人の声が聞こえてきた。
「やっぱすげぇよなぁ、ダントツウィナーズ!」
「でも、あの三人の中で誰が一番強いんだろ?」
「そりゃあ伊江羅ザキだろ!なんたって、一人で二体撃破したんだぜ!」
「それ言ったら、最後まで生き残った遠山リサの方が一番だろ!」
「いやいや、同時場外とは言え、最終的に段田バンがジークボルグを仕留めたから勝てたんじゃん!」
口々に言い合う声を聞きながら、バンは何か複雑な顔をした。
そして、パレードも終盤に差し掛かり、千葉駅に特設された会場へたどり着くと、ダントツウィナーズはオープンカーを降りてステージに上がった。
『さぁ、世界一のフリッカーダントツウィナーズの登場だ!!!』
「ははは、どーもどーも!!」
『FICSの激闘を見事勝ち抜いて優勝の栄冠を手にした三人の勇士たち!段田バン君、遠山リサ君、そして伊江羅ザキ君!!早速この三人のミラクルなシュートを披露していただきましょう!!』
余興として、三人それぞれのテクニックシュートを披露するアトラクションが始まる。
「ぶっ飛ばせ!!ストライクビートヴィクター!!!!」
ドゴォォォ!!!
バンは150gの錘を10m以上ぶっ飛ばすシュートを披露。
「駆けろ!ソルプロミネンスウェイバー!!」
シュンッ、シュンッ!!
リサは一度のシュートでフィールドを縦横無尽に駆け巡る技を披露。
「ブチのめせ!ダークネスディバウア改!!」
バゴォォォォ!!!
ザキは2kgのペットボトルをブチ倒すパワーを披露し、会場を沸かせた。
『素晴らしい!!パワーとテクニック、そして戦術とメカニック!これが世界トップフリッカーの実力なのか!』
そして、今度はバトルフリッカーコウによるインタビューが始まる。
最初は無難なものから、会場の観客の質問コーナーなど、筒がなく進行していたのだが……。
『では、世界一となったダントツウィナーズですが、今後は追われる立場となり世界中のフリッカー達から挑戦を受ける事になるでしょう!今後もダントツウィナーズとして戦う上での決意をお願いします!!』
そう言いながらバンへとマイクを向ける。
それに対し、バンはリサとザキへ目で合図して答えた。
「その事、なんだけどさ」
『はい!熱い一言を!』
「いや、もっと大事な決意があるんだ」
『はい!では、お願いします!!』
「俺たち、ダントツウィナーズは……」
会場のみんながバンへ注目し、そして期待する。
世界中のフリッカーのヒーローとして、今後もその立場に相応しい戦いをするものとしての言葉を。
しかし、バンの言葉は、その期待を大きく裏切るものだった。
「今日をもって、解散を宣言するぜ!!!」
「「「なにぃぃぃ!!!!!????」」」
世界中のフリッカー達が悲鳴を上げた。
つづく
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