弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第93話「決戦へ向けて!最後の猛特訓!!」

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第93話「決戦へ向けて!最後の猛特訓!!」

 

 いよいよ、優勝を争う二チームが決定し、世界一への道が目に見えてきた今日この頃。
 学校ではその話題で持ちきりだし、バンの父もプロテイン入りの特製味噌汁ぶっかけご飯を毎日ご馳走してくれるようになった。

 そして、決戦の時は刻一刻と近づいてくる。
 そんなある日、ダントツウィナーズは遠山段治郎へ呼び出され、フリックス迎賓館と呼ばれる施設へ足を運んだ。

「なぁ、じいさん。こんなとこに呼び出して何の用だよ?」
「フォッフォッフォッ、まずは決勝進出おめでとう。世界一まであと一歩じゃな」
「……まぁな」
「その朗報を聞きつけた特別ゲストが、おぬしらに会いたいとわざわざ海を超えてやってきたんじゃ」
「海を?」
「入ってきてええぞ」
 段治郎が言うと、扉が開き数人の少年達が入ってきた。
 その姿を見てバンは目を丸くする。

「あ、お前ら!」
「フリックスヨガのアルヤンイシャーンに……!」
「フリックス太極拳の拳弾倶楽部……!」

 そう、アジア大会で深く交流し、鎬を削った二チームだった。

「お久しぶりでございます」
「決勝進出と聞いて、いてもたってもいられなくなって日本に来たったい!」
「うわぁ、懐かしいなぁ!思い出すぜ、アジア大陸予選の激闘をよ……」

 バンは数ヶ月前のインドでの激闘に思いを馳せた。

 シュン!!
 その時、突如黒い閃光が後ろからバンの頬を掠めて飛んでいき、ハオランとヴィハーンの間を通り抜け、壁に当たって戻ってきた。

 パシッ!
 どうやらザキのダークネスディバウアだったらしい。
「何だよザキ、いきなり危ねぇじゃねぇか!」

「へっ、わざわざ日本まで来て、応援だけして帰る。なんて生温い事考えてるわけじゃねぇんだろ?」
 ザキが言うと、ハオランとヴィハーンはまるで悪戯のバレた子供のように笑った。

「ははは、やっぱり分かるったい?」
「応援するだけだったら皆さんを呼び出したりしないでございますよ」
「……って事は!?」

「アジア予選が終わって、テレビでFICS本戦を見てたら、なんだかウズウズしてくるったいよ」
「そこで久しぶりにダントツウィナーズの皆さんと戦うために遠山氏に問い合わせてみたら、快く案内してもらえたのでございます」

「フォッフォッフォッ!決勝を前に、良い練習相手になるじゃろうと思ってのぅ!!」

「練習相手、か……へっ、これ以上ないぜ!」
「理由はどうでも良い、バトルしたいなら受けてやる。ハオラン、俺と勝負しろ!」
 やはりザキ的にはハオラン相手にリベンジしたいようだ。
「えぇ!?チーム戦じゃないの??」

「せっかくの練習試合じゃ!形式に拘らずガンガンやったらええじゃろ!フィールドはこっちにある、ついて来い」

 段治郎に案内されてフィールドのある部屋へたどり着いた。
 そこで早速ザキとハオランが対峙する。

「どうせなら上級でやる方が盛り上がるじゃろ!」
 段治郎が合図をするとどこからともなくドローンが飛んできてこの場のフリッカー達に光学アーマーを照射した。

「んじゃ、俺が合図するぜ。3.2.1.アクティブシュート!!」

「やれぇ、ダークネスディバウア改!!」
「走!砕破!!」

 ガッ!!
 二機はフィールド中央でぶつかってお互いに弾かれて同時場外する。

「っ!急所を突いたはずなのに、なんてパワーったい……!」
「今のは小手調べだ」

 仕切り直し。
「3.2.1.アクティブシュート!!」

 バーーーン!!!
 今度はダークネスディバウアのアタックがクリティカルヒット。砕破はアクティブアウトで4ダメージ受けてしまう。

「更に破壊力が上がったったい……!?」
「まだまだこんなもんじゃないぜ」
「それならこっちは……!」

 再びアクティブシュート。
 ガッ、バシュッ!!
 今度は砕破は重心をズラしてダークネスディバウアと接触、衝撃を受け流すが、その結果ダークネスディバウアの方が奥へ進んでしまい先手を取られる。

「オラァ!!」
 ザキの攻撃。
 フリップアウトは免れるがマインヒットを喰らう。
 ハオラン残り6。

「砕破!!」
 ガッ!
 砕破の攻撃はビートヒットで終わる
 ザキ残り12。

「はぁぁぁ!!」
 カッ!
 ザキのストレート攻撃。しかし受け止められてしまいダメージ無効。
「チャンスったい!」
 難なくマインヒットを決める。
 ザキ残り9。

「甘いっ!」
 ザキの反撃。これはマインヒットが決まった。
 ハオラン残り3。
「くっ!」
 バシュッ!
 ハオランの反撃。ビートヒットが決まり、ザキは残り8。この差は圧倒的だ。

「つ、強い……!これがFICSを勝ち抜いたフリッカーの力……けど、オイラも負けてられないったい」
 そしてザキのターン。
 あとはマインヒット以上を決めれば勝てるが……。

「カウンターブローったい!!」

 カウンターブロー、相手ターン時にバリケードを一枚消費して強制的にアクティブシュートをする。
 ただし、シュート後は再び相手ターンになる。

「ここでカウンターブロー?」
「何か秘策があるのか」
「もちろんったい。こうなったら秘技を惜しみなく使うったい」
「そう来なくっちゃな」

「3.2.1.アクティブシュート!!」

「オラァァ!!」
「奥義!閃通背!!」
 ドゥン!!!
 砕破は、フロントのバネをよりしならせ、まるで鞭のようにうねらせながら突っ込んだ。

「なにっ!?」
 ッパーーーーン!!!
 弾力の増した一撃でダークネスディバウアを弾き飛ばす。
「堪えろ!ディバウア!!」
 ダークネスディバウアはフィールド端でギリギリ耐えた。
 場外が発生しなかったのでそのままザキのターンだ。

「大した技だったぜ……今度は俺が見せてやる」
「っ!」
「ダークホールジェノサイド!!」
 今度はザキの必殺奥義が炸裂。
 バリケードを一枚失っているハオランはあっさりとフリップアウトされてしまった。

「借りは返したぜ」
「まいったったい……まさかここまで強くなってるとは、FICSでの戦いは凄いったいね」
「てめぇも、最後の奥義は悪くなかったぜ」
 さすがのザキも、たまたま耐え切れただけだったので、ハオランの必殺奥義は認めざるを得ないようだ。

「ふふふ、良いバトルでございました。次は私の番でございますね」
「おっ、じゃあ久しぶりにやろうぜ、ヴィハーン!」
「あ、でも、私もヴィハーンと戦ってみたいかも」
「そうでございますね。まだリサさんとは戦ってないでございますし……」
「えぇー!ズルいぞ!あ、そうだ!ここから公平にリーグ戦にしようぜ!その方が盛り上がるし!」
「バン……」
「良いじゃん良いじゃん!な、じいさん!リーグ戦の方が良いよな!?」

「フォッフォッフォッ!まぁ、FICS本戦と似たようなルールにした方がやる気も出るじゃろう!リーグ戦の準備を即時進めようではないか」

「おっしゃぁ!とことん戦うぞー!!」

 総当たり戦ならこの場にいる全てのフリッカー達と戦える。
 バン達はとことん戦い、フリックスバトルを楽しんだのだった。
 そしてこの楽しむ心こそが強くなるための一番の練習なのだ。

 

   つづく

 

CM

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