弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第91話「ダントツウィナーズの向かう先 俺達の目指すもの」

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第91話「ダントツウィナーズの向かう先 俺達の目指すもの」

 

 研究所。
 ダントツウィナーズはいつものようにミーティングを行なっていた。

「現在、我がダントツウィナーズは7勝4敗で暫定トップ。そしてFICSは残り一戦のみ。確実に優勝を争うトップツーに入っている」

「これでもダントツトップってわけじゃねぇのか」
「暫定2位はどのチームなんですか?」

「ユーロフリッカー騎士団とTSインテリジェンスだ。彼らは6勝で並んでいる。そして次の試合はこの2チームが直接対決する」

「つまりそのバトルで勝った方が」

「我々と優勝を争う事になる」
 優勝……これまでは実感湧かなかったが、こうして目の前に届きそうな位置にあると、身が引き締まる想いである。

「ユーロフリッカー騎士団もTSインテリジェンスも、どちらが勝ったとしても強敵となるだろう。気を引き締めていくぞ」

「「はい!」」

「……と言いたいところだが、根を詰めても良くはない。明日はちょうど休みだ。それぞれ十分に休息を取れ」

 ……。
 ………。
 決戦に向けた厳しい練習の日々がこれから始まる。
 その前に根を詰めすぎてもいけないので、この日は練習も休みとなった。
 三人はそれぞれ別行動で休みを満喫する。

 バンはオサムやマナブと一緒に千葉に来ていた。

「うおおおお!!!負けるかあああ!!!」
「10年はええんだよおおおお!!!」

 千葉のゲームセンターでバンとオサムが格闘ゲームの対戦をしている。
 チュドーン!と言う音とともにバンの使っていたキャラがKOされた。

「ガッ!」
「へっへっへっ、俺の勝ち〜!」
「だぁーくそっ!ゲームじゃ勝てねぇや」
「じゃあなんだったら勝てるんだよ?」
「そんなの決まってるだろ」
 言いながらヴィクターをチラつかせる。
「おっ、言うじゃねぇか!よしマナブ!二人がかりでこいつボコそうせ!」
 そう言いながら、バンとオサムは駆け出した。
「お、おい待てって」
 マナブもその後を追う。

 千葉市中央公園。
「「いくぜぇ!3.2.1.アクティブシュート!!」」

「ブッ飛ばせ!ストライクビートヴィクター!!」

 バキィィ!!!
 ストライクビートヴィクターがブーストファルコンとマイティリアクターを弾き飛ばす。
「ぐあああ!!!」
「さすが、FICS出場フリッカー。全然敵わないや」
「なーっはっはっは!!」
「ちぇ。まぁ、もうすぐバンも世界一のフリッカーだもんな。俺達とは次元が違うか」
「……。まぁな!」
 オサムの言葉に何か引っ掛かりを覚えたのか、バンは歯切れの悪い返事をした。
「?」
「んな事よりもっとやろうぜ!FICSフリッカー以外とやるの久々なんだ」
 と、その時、ヌッと現れたガタイのいい男に声をかけられた。
「そう言う事なら、俺とも一戦やらないか?」
「へ、お前……」

「「鷺沢操!?」」

 ……。
 ………。
 一方リサは、船橋のショッピングモールで一人ウィンドショッピングを楽しんでいた。
 バンと離れて単独で休日を過ごすのも久しぶりである。

「お久しぶりです。先輩」
「ゆう、君……」
 そんな時、バッタリとスクールの元後輩、ゆうと遭遇した。

 二人はショッピングモールを出て船橋港親水公園で腰を下ろす。

「大活躍ですね、ダントツウィナーズ。さすがです」
「うん、バンやザキも頑張ってるから」
「そうですね。リサ先輩やザキ様、そしてGFCチャンピオンの三人がいれば、世界一も夢ではないと思います」
「世界一……」
 ゆうの言葉が引っかかったのか、リサの返事が途絶える。
「リサ先輩?」
「ううん……なんでもない」
「……そうだ。久しぶりにバトルしませんか?僕だってあれから強くなったんです」
 様子の変わったリサへ気を遣ったのか、気分転換にそんな提案をした。
「うん!」
 リサもそれに快く乗るのだった。

 ……。
 ………。
 一方のザキは。

「行くんだな!ベノムエロシオン!!」
「いっけぇ!タイダルボア!!」
「フロードダズラー!!」
 かつてのスクール三銃士を相手にトレーニングしていた。

「ダークホールジェノサイド!!!」
 ダークネスディバウアが三機を同時に吹っ飛ばす。

「さすがですザキ様」
「オデ達じゃもう歯が立たないんだな」
「そりゃそうだよ。なんたってザキ様はもうすぐ世界一になるんだから」
「FICS優勝まで後一歩ですからね」
「世界一か……けっ、あんなもの、世界一でもなんでもねぇよ」
「え、でも世界大会で優勝したら世界一なんじゃないの?」
 ユウタの疑問には答えず、ザキはフィールドについた。
「んな事より、次行くぞ!」

「「「は、はい!!」」」

 ……。
 ………。
 場面は変わってリサVSゆうのバトル。

「いけっ!ソルプロミネンスウェイバー!」
「耐えろ!シュレッドサタン!!」

「ゆう君、強くなったね」
「僕だって遊んでたわけではないんです!でも、リサ先輩にはまだまだ及ばない。さすがは世界トップクラスのフリッカーだ」
「……」
 その言葉を聞いて集中が途切れたのか、リサはシュートミスして自滅した。

「先輩……」
「あ、あはは、こんな単純なミスしちゃうなんて、世界一までもうすぐなのに恥ずかしいな」
「本当に、そう思っていますか?」
「えっ……」

 ……。
 ………。
 一方のバン。

「やれぇ!カラミティデスガラン!!」
「カッ翔べ!ストライクビートヴィクター!!」
 ガッ、ガガ!!!
 ギリギリのところでストライクビートヴィクターは耐えて、カラミティデスガランが場外する。

「やられたか」
「っぶねぇー!ギリギリだった……!」
「この分なら堂々と胸を張って、世界一を目指す戦いに挑めるな」
「え……」

「……どうやら、そういう顔ではないようだが」
「あ、あぁ、なんかさ、引っかかるんだよな……このままダントツウィナーズとして勝ったとしても」

 その瞬間別の場所にいるリサとバンの言葉がシンクロした。

「「それって、本当にダントツ一番って言えるのかな?」」

 

   つづく

 

 

CM

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