弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第90話「正義を超えた願い」

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第90話「正義を超えた願い」

 

 柏の葉公園総合グラウンド。
 ここではダントツウィナーズVSデウスリベンジャーズの最終戦が行われていた。

『さぁ!ダントツウィナーズVSデウスリベンジャーズの最終戦は激しい鍔迫り合いとなっている!』

「いっけぇ!ストライクビートヴィクター!!」
「やれぇ!イービルリッパー!!」

『両者一歩も引かない攻防戦!しかし、実力は互角なのか、まだダメージは通っていない!!』

「やっぱまともにやってもやるじゃねぇかアルベルト!!」
「あれから、しごかれたからなぁ!絶対に負けないぜ!!」

 すっかり憑き物が取れ、バトルを楽しむデウスリベンジャーズ達。
 観客達の盛り上がりも上々の良い試合になっている。

『さぁ、なかなかダメージの通らないこの戦い!先に先制するのはどちらか!?』

「こいつら、意外と防御が硬いな……!」
「マインとの立ち位置も上手い相当訓練を積んでたみたい……でも、この位置なら!」

 リサがマインヒットを狙う構えを見せた。

「なに!?この位置から狙うのか!?」
「新しくなったウェイバーの力を見せてあげる!いけっ、ソルプロミネンスウェイバー!!」

 バシュッ!
 ソルプロミネンスウェイバーは、バネの強さを調整出来るようになっており、あらゆる反射角でを実現出来る。
 マインヒット成功率が格段に向上しているのだ。
 これによってデウスリベンジャーズの機体全てをマインヒットした。

「す、すげぇ!さすが新型ウェイバーだ!」

『新型機の威力炸裂!!ソルプロミネンスウェイバーの巧みなシュートによって』

「おもしれぇ!こっちも反撃いくぜ!」
「「おう!!」」

 攻撃を受けた事で更に火がついたアルベルト達は力を込めてシュートの構えを取る。
 その時だった。

 ビーーーー!!
 とけたたましいホイッスルが鳴り響いた。

「な、なんだ?」

『試合中断!!申し訳ないが、フリッカーのみんなはそのままフィールドから離れてくれ!!』
 バトルフリッカーコウに言われ、バン達は怪訝な顔をしながらもフィールドを離れる。
 ステージを見ると、お偉いさんと思われるスーツを着た男とバトルフリッカーコウがヒソヒソと話をしていた。

『え、えー、ただいま入った情報によりますと、デウスリベンジャーズは過去の試合で重大な不正を行なっていたと言う事が明らかになりました』

「え!?」
「なっ!」

『つきましては、ペナルティとして今回の試合はダントツウィナーズの勝利とし、デウスリベンジャーズは今後の試合は無条件で不戦敗と言う扱いに……』

「ちょ、ちょちょ!ちょっと待ってくれ!!もしかして、今更TSインテリジェンスのデータが認められたのか!?」
 バンは慌ててステージに近づいてコウヘ訴え掛ける。

『あ、いや、以前TSインテリジェンスから提示されたデータに関してなら、この間インテリジェンス側から取り下げられたのだが……今回はまた別の団体から抗議の文書と不正の証拠データが送られてきたようでね……』

「べ、別の団体って……」

 デウスリベンジャーズがフクベから離反した時点でデイビットは不正の証拠データを取り下げていたらしい。
 しかし、なら何故今更別の人間が……。

『TSインテリジェンスのデータではハッキリとしなかったんだが、その団体から送られたデータはより詳細な情報があってね。運営としても不正が行われていたと認めざるを得ないんだ』

「そんな、一体……」
「ちっ、胸糞悪りぃ」
「まさか……!」
「イタチの最後っ屁って奴か。オーナーならやりかねないな」
 アルベルトは観念するように呟いた。
「ちょ、ちょっと待てよ!なんだよ今更!そりゃ、アルベルト達は汚ねぇ事やってたけど、それは命令されてたからで!今は正々堂々やってんだぜ!!」

『そ、そうは言ってもだね……』

「アルベルト!お前からも言ってやれよ!!」
「……いや、事実は事実だ。潔く受けるしかない」
「なんだよそれ……!せっかくバトル出来るようになったのに、そりゃねぇよ!!」

『バン君の気持ちは分かるが、こればっかりは……』

「冗談じゃねぇ!!」

 バンはフィールドについて機体を構えた。
「さぁ、続きやろうぜ、皆!!あんなめちゃくちゃ野郎達の言う事なんか聞く事ねぇよ!!」
 運営を無視してバトルを続行しようとするバンだが……。
「こら、やめなさい!」
 警備員がバンを羽交い締めにする。
「離せよ!俺は戦いてぇだけなんだよ!!」

『バン君、もうよしてくれ。これ以上やったら君達にもペナルティが課せられるぞ』

「うるせぇ!俺はペナルティを受けないために戦ってるわけじゃねぇんだよ!!」
「やめろ、バン!!」
 駄々をこねるバンを、アルベルトが一喝した。
「アルベルト……」
「俺は、その判決を受け入れる。当然の事だ」
 デウスリベンジャーズ達は機体を回収し、立ち去ろうとする。
「ま、待てよ!」
「じゃあな。少しの間だったが、本気のバトル楽しかったぜ」
 アルベルトはフッと悲しげに笑った。

「まぁ、別に良いんじゃないか?」
 と、ステージから声がした。
 見ると、フリップゴッドがバトルフリッカーコウからマイクを借りて立っていた。
「デウスリベンジャーズの諸君、君達がやった事は確かにケジメをつけなければならない。が、それと今日のバトルは無関係だろ」

「フリップゴッド……」

『し、しかしですね、フリップゴッド……現在、各所からクレームが来てまして、早急に対応しなければ大会が……』
「バトルが始まった以上、主役はフリッカー達だ。そのフリッカー達を守れず、クレーマーに寄り添うのなら、そんな大会存在する価値はないさ」
 そう言って、フリップゴッドはマイクをバトルフリッカーコウヘ返した。

「さすがだぜ、フリップゴッド!」
「だが、この試合だけだぞ。最後に思いっきり戦ってくれ!デウスリベンジャーズ!」

「「「は、はい!!」」」

 こうして、どうにかこの試合だけは最後までやらせてもらうことになった。

「おっしゃぁ!思いっきりやろうぜ、アルベルト!!」
「おう!!」

「いっけぇ!ストライクビートヴィクター!!」
「ダークネスディバウア改!!」
「ソルプロミネンスウェイバー!!」

「全力で行くぞ!イービルリッパー!!」

 最後のバトル。アルベルト達は全身全霊死力を尽くして戦ったのだった……。

 

   つづく

 

CM

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