第88話「超強化!新生ウェイバー改造大作戦!!」
ダントツウィナーズは絶好調だ。
バンは新型のストライクビートヴィクターを手に入れ、ザキもダークネスディバウア改にパワーアップ。
これによって、一気に二連勝。優勝争い加わる事が出来た。
そして、リサは……。
「……」
「いっけぇ!ストライクビートヴィクター!!」
練習場でバンがリサのウェイバーを弾き飛ばした。
「あっ」
愛機が飛ばされるのを見て、リサは我に返った。
「何ボーっとしてんだよリサ。練習中だぜ、集中しろよ」
「う、うん。ごめん……」
ウェイバーを拾うリサは更に思いに耽る。
(バンのストライクビートヴィクターは更に強くなってる。そしてザキも……私のウェイバーじゃ、もう太刀打ち出来ない)
「へっへーん!絶好調だぜ!!ダークネスディバウア改もすげぇ強ぇし、これで鬼に金棒!優勝は決まったも同然だぜ!」
「けっ、足元掬われそうになった奴がよく言う」
「うるせぇ!」
(この二人がいれば、優勝出来る可能性は間違いなく高い……それは事実なんだろうけど……)
リサは複雑な表情で唇を噛んだ。
(でも、他のチームだってもっと強くなってる。二人が強くなっても、私が足を引っ張ってたら……)
「リサ、いつまでボーッとしてんだよ。早く次やろうぜ」
バンが急かす。リサは立ち上がると申し訳なさそうに言った。
「ごめん、ちょっと急用思い出したから、早退するね」
「へ?あ、あぁ……」
リサは力無く笑うとトボトボと歩いて行った。
「なんだ、あいつ……」
「さぁ?まぁいいや。ザキ、今度はお前が相手だ!」
「お前に俺の練習相手が務まるか?」
「言ってろ!ダントツでぶっ飛ばしてやる」
リサは段田家に帰ると、部屋に篭ってウェイバーの調整をしていた。
「チームのためにも、私も二人に追い付かなきゃ……!頑張ろう、プロミネンスウェイバー……!」
カチャカチャと、ウェイバーを分解し、様々なパーツを取り付けてチューンナップする。
「プロミネンスウェイバーにはパワーが足りない。二人がパワーアップしたなら、私もそれに合わさなきゃ……チームとして連携するためには……!」
……。
………。
そして、試合当日。
『さぁ、本日このダチョウ王国で行われる試合はダントツウィナーズVSデザートハンターズの最終試合だ!』
「へい、バン!今日のバトル、楽しみまショウ!」
「おう!良いバトルしようぜ!!」
「……」
「ん、どうしたんだよリサ?」
「ううん、なんでもない」
『それでは両チーム準備はOKかな?いくぜ!3.2.1.アクティブシュート!!』
「いっけぇ!ストライクビートヴィクター!!」
バキィ!!
ストライクビートヴィクターがデープクラーケンを弾き飛ばす。
「あぁ!」
「へっへーんどうだ!!」
「おらぁ!!」
バキィ!!
ザキもダークネスディバウア改でティラノデストロイヤーを場外させる。
「くっ!」
「へっ!」
さすがはストライクビートヴィクターとダークネスディバウア改……と感心していると、別の場所でも破裂音が聞こえてきた。
「プロミネンスウェイバー!!」
プロミネンスウェイバーが、これまででは考えられない火力でパイライトファングを弾き飛ばた。
「ワオッ!」
「やった」
「す、すげぇじゃねぇかリサ!一体どんな改造したんだ?」
「これで、バン達にだって負けないよ!」
「おう!三人でブッ飛ばそうぜ!」
勢いづくダントツウィナーズ。
そこへ、伊江羅博士から通信が入る。
「次の仕切り直しアクティブは無理に場外を狙わない方がいい。先手を取る事だけを考えるんだ」
「おう!分かったぜ!」
「それとリサ。もう今の技は使うな」
何故か名指しでリサが責められた。
「え?」
「な、なんでだよ?良い技だったじゃねぇか」
「付け焼き刃は身を滅ぼす」
それだけ言って通信を切った。
「ちぇ、なんだよ!監督ならもっとはっきり言えっての!!」
「ゴチャゴチャうるせぇぞ、とっとと構えろ」
「あ、あぁ……」
(どうして……?せっかくバン達と並び立てたと思ったのに……)
『それでは仕切り直しだ!3.2.1.アクティブシュート!!』
「いけっ!!」
バシュッ!!
このアクティブはシュート力を自重して撃つのだが……。
「あっ!」
何故か、リサは力のセーブが効かずに想定より強いシュートになってしまう。
「どうした!?」
「ちっ」
ガッ、パーーーン!!
ウェイバーはヴィクターをバネギミックで横から小突いて場外させ、反動でダークネスディバウアを穴に落とし、そして自らも場外してしまった。
「なっ、どうしちまったんだ、リサ!?」
「わ、分からない、なんで……?」
『おおっと、どうしたんだ?ダントツウィナーズはリサ君の暴走で全員自滅だ!!』
「ちっ、お前はもう撃つな!俺とバンで決める!」
「ざ、ザキ……」
「……」
『さぁ、仕切り直しだ!3.2.1.アクティブシュート!!』
リサは萎縮してチョン押し。
バンとザキが先手を取った。
「おっしゃぁ!いくぜ!!」
「耐えてみせます!!」
バキィ!!
ストライクビートヴィクターの攻撃。パイライトファングは堪らず吹っ飛ぶが……。
ガッ!
バリケードで上手く反射させてフェンスに激突させて耐え切った。しかし、その道中マインに触れてしまったため1ダメージ受ける。
「くぅぅ〜!やるな!」
「もちろんデス!」
「オラァ!!」
ダークネスディバウアの攻撃。
「ディープクラーケン!!」
ガッ!
デープクラーケンはディバウアに弾き飛ばされながらも触手をティラノデストロイヤーに絡めて二機分の重量で耐え切った。
「そうそうやられまセン!今度はこちらの番です!!」
バシュッ!バチィィン!!
バンとザキはマインヒットを喰らってしまう。
「やるなっ!」
「だが、次で決めるぞ!!」
バシュッ!バーーン!!
バンとザキの連携でディープクラーケンとティラノデストロイヤーをフリップアウトし撃沈させる。
「へっへーん!どうだ!!」
「へっ、楽勝だな」
「むむっ!」
「ごめん、マルコ!」
「後は任せてマース!」
「任せてクダサイ!!二人の仇は僕が取りマース!!」
(あと一人、HPは残り1……ここで私が決めれば、勝てる!)
リサはどうにか汚名返上しようとマインヒットを狙ってシュートする。
「いっけぇ!プロミネンスドリフト!!」
いつも通りの必殺技。普段通りやればミスなどありえない。
しかし、その軌道は想定外のものだった。
「えっ!?」
「な、何やったんだリサ!」
「バカが!!」
シュンッ!シュンッ!!
バネが強すぎるせいか、通常よりも鋭く反射したウェイバーはディバウアとヴィクターを小突き、穴の上に停止させてしまう。
そして、ウェイバーも勢い余って場外してしまった。
『な、なんとなんと!リサ君はまたも大暴投!!どうしたんだ、いつもの精彩が感じられない!!』
「ご、ごめん……」
「なにやってんだてめぇ!」
「ザキ、落ち着けって。ミスくらい俺らにだってあるじゃねぇか」
リサはグッと唇を噛み締めながら機体をセットする。
(絶対に負けられない……ここで勝たなきゃ……!)
『さぁ、仕切り直しいくぞ!』
(相手のHPも残り1……最初みたいに弾き飛ばせば……でも、失敗したらどうしよう、もし負けたら、私は……!)
『3.2.1.アクティブシュート!!』
バシュッ!!
リサのシュートは相手の場外を狙うものだった。しかし、それにしてはややパワーが低い。
それに対して、パイライトファングは真っ直ぐ突っ込んでくる。
ガッ!
真正面から激突。プロミネンスウェイバーのバネギミックで飛ばすと思いきや。
「スタンプスナイパー!!」
パイライトファングはフロントを持ち上げてウェイバーを踏みつけて動きを止めた。
「っ!」
『おおっとこれは上手い!パイライトファングは上からの攻撃で相手のギミックを回避!そのまま押し込んで先手を取った!!』
「やりマシタ!このままフィニッシュデス!!」
上に乗った状態でマルコのターン。難なくマインヒットを決めてウェイバーを撃沈させた。
『決まった!!踏み付けからのマインヒットでプロミネンスウェイバーを撃沈!勝ったのはデザートハンターズだ!!まだまだFICSは分からない!!果たして、優勝チームはどこになるのか!?』
「そんな……」
自分のせいで負けた。自責の念に苛まれて、リサは呆然とする。
「リサ、気にすんなよ。こういう事もあるって」
バンはリサの肩に手を置いて慰めようとするが、リサはその手を振り切って駆け出した。
「リ、リサ!!」
つづく
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