理想の競技バランスについて考える 複数の勝利方法編

Pocket

前回、『競技バランスを整えるためには、複数の勝利方法を用意するのが手っ取り早い』と言いましたが
その事についてもうちょっと掘り下げてみます
 
・複数の勝利方法を用意した場合、それぞれに密接な関係を持たせる

例えば、AとBと言う二つの勝利条件があったとします
この二つのおかげで、さまざまな性能や戦術が役に立つようになったとしても、これらを達成するための行動が全く関係しないものだったら、一つの競技をしている意味がなくなります

前回でも語った『対戦感の有無』とも似ているのですが、あれはあくまで『相手との干渉』
今回は『異なる勝利方法同士の干渉』についてです

例えばベイブレードの場合は、場外と持久勝ち、二つの勝利方法があり、この二つは達成するために必要な能力や行動が全く違うものですが
一つだけ、共通している要素があります
それは『相手よりも回転力で勝っていた方が有利(=相手の回転力は削った方が良い)』と言う点です
持久勝ちは元より、場外狙いにしても、相手の回転力は少ない方が弾き飛ばしやすくなります(ジャイロ効果が減って安定性を失うため)

つまり、持久勝ちを狙うために相手よりも回転力で優位に立っていれば、場外する上でも有利になり
場外狙いの攻撃をして、場外に失敗したとしてもその結果相手の回転力を大きく削って持久勝ちしたり
別の目的のための行動が、他の目的にも有効に繋がる
だからこそ、互いに狙っているものが違っていても、競技をしていて噛み合わなくなる事がなくなります

とは言え、玩具の特性上それが難しいものがほとんどです
そもそも『物理的にダメージを蓄積させて弱らせる』と言うのは現実的には不可能に近いです

となれば、勝利に近づくためのダメージやポイントは物理ではなく数値等でカウントする方法が有効です。しかし、それはそれで気を付けなければいけない問題点が……

・複数の勝利行動を一つの目的に集束させる

勝利のために必要な行動が複数あったとしても、それらが全て一つの目的に向かい、尚且つ複数回必要で、それぞれを組み合わせる事が出来るのであれば、別ベクトルの行動でも密接に関係させる事が出来ます

例えば爆丸

複数の勝利行動が存在しますが、どんな行動を取ろうと目的は「ゲートカードを三枚手に入れる」と言うものに落ち着きます
勝利するための行動を三回繰り返さなければならず、その三回はどんな組み合わせで行ってもよいのです

複数の行動をどんな組み合わせで行っても良いが、必ず複数回こなさなければ勝利できないという事は

ダブルスタンドしても、K.O.しても即勝利とはならず、勝利に近づくための『ゲートカードが三枚中一枚手に入る』と言う成果に変わりはなく
その後に別の行動をしても良いので
ダブルスタンド、K.O.、数値バトル、一つの競技内で全ての行動が密接に繋がっています

これはフリックスのアクティブバトルにも同じ事が言えますね

ここで、やっちゃいけないのが
「どんな状況になっても一発で勝負が決まる行動」を用意する事

例えばバトロボーグ
5発相手の顔に攻撃を当てれば勝利となる競技ですが
このほかに、相手を転倒させたり場外させれば、その時点で勝利となります

一発逆転と言えば聞こえがいいですが
勝つにしても負けるにしても、転倒か場外させた攻撃以外の全ての攻撃が無意味になってしまい、正直肩透かしになります

ユージンはこれに不満を抱いたので
「転倒や場外した場合は1ダメージ与えたのちに両者スタート位置に戻して仕切り直す」と言うローカルルール数年前に作りました
今思えば、アクティブバトルの原型なのかもしれない……

総括

何故、勝利に関わる複数の要素に密接な関係性を持たせないといけないのかと言うのは
「試合中の行動を無意味なものにしないため」と言うのが大きいです
どんな試合内容になっても、勝利に直接つながる行動しか意味のないものになったら、勝っても負けても面白くありません

そして、勝利に関わる複数の要素に密接な関係性を持たせる方法は大きく分けて二つ

複数の勝利方法に対して、達成するための行動に何か一つでも共通点を持たせる

複数の勝利行動を一つの目的に集束させ、尚且つ複数回必要にする

この事を意識するだけで競技性がグンと上がるはずです

 




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

JPEG,PNG,GIF形式の画像を投稿できます(投稿時はコメント入力必須)