第7話「激闘再び!夏武闘祭り」
壮絶な戦いの末、初出場のコータとライデンが勝利した前回の夏武闘祭り。
そしてその一年後、今年もまたカブトで熱い夏がやってきた・・・!
司会「今年もやってまいりました!カブトボーグの熱き祭典、夏武闘祭り!」
会場に響く司会の聲。
司会「今回は、エントリー者全員による予選で絞られた16名によるトーナメント方式で進められます。
予選は、16箇所に設置された巨大リング上でのバトルロイヤル!各ブロックで最後の一人になった人だけが決勝へ進めます!」
既に予選はスタートしているようだ。
会場のあちこちで、カブトボーグの走行音や激突音が聞こえてくる。
「いけぇ!」
「やれぇ!!」
ガガガガガ!!
16組に分けられているとはいえ、一つのリングに集まったカブトボーガーの数は尋常じゃなく、密集されたリングでは激しくぶつかり合う事になる。
コータ「いけぇ!ニューライデン!!」
その中で、コータとライデンは大健闘。
向かってくる敵は返り討ち。自分からもどんどん動いて相手のカブトボーグを撃破していく。
司会「これはすごい!第7ブロックにいる、エントリーナンバー168番、コータ選手のライデンは大進撃!他のカブトボーグをどんどん蹴散らしていく!!」
「いい気になるなよぉ!!」
旧ゴホンヅノカブトがライデンへ迫ってくる。
コータ「負けるもんか!」
ガッ!
正面からの激突。
お互いにつばぜり合い、そして、ゴホンヅノの角がライデンのボディに引っかかった。
コータ「っ!」
「よっしゃ!このままキャリードロップだ!」
決まり手、キャリードロップ:自分の角や顎を引っ掛けたり、はさんだりして相手を掴み、自由を奪った状態でリング外へ押し出す。
相撲で言うところの寄り切り。
コータ「ライデン!!」
ギャギャギャッ!!
しかし、ライデンは自慢のパワーでゴホンヅノを振り切った。
「げぇ!」
コータ「いっけぇ!」
そして、そのまま角を振り、正面から相手を倒す。
決まり手 シザーオーバー:真正面から、相手を持ち上げ、そのまま自分の体重に任せて相手を倒す。
司会「きまったぁ!さすがは前回の優勝者!まさに、王者の風格!・・・と、第14ブロックもすごいぞぉ!」
リュート「ニュードルカス!」
赤いミヤマクワガタ・・・ニュードルカスが旧オオクワガタと対戦していた。
「いけ!オオクワガタ!」
リュート「ふっ、まさかオレ相手にオオクワガタで挑むとは・・・敬意を表して、全力で挑む!」
ギュワアアアア!!
気合でドルカスを加速させ、オオクワガタへと突っ込む。
ガッ!
「うっ!」
そのままつばぜり合い・・・どころか、圧倒的パワーでニュードルカスがオオクワガタを押す。
オオクワガタのタイヤはしっかりと地面についている。にも関わらず、ニュードルカスのパワーは圧倒的だった。
決まり手 パワードロップ:小細工無し。相手に突っ込み、そのまま力だけで押し出す技。
司会「前々回の優勝者、リュート選手!巧みなテクニックが得意な彼だが、パワーも段違いだ!」
ダイチ「僕らも行くぞ!ネオリッキー!」
ガガガガ!!
ネオリッキーは複数の敵に囲まれ攻撃を受けている。
が、その全ての攻撃に耐えている。
「ちくしょう!なんて硬いんだ!」
「これだけ攻撃してるのに、全然ダメージを与えられない!」
ダイチ「無駄さ、ネオリッキーの耐久力は半端じゃないんだ。」
プシュウ・・・・。
ネオリッキーを攻撃し続けていたボーグが、停止する。
「げぇ!」
ダイチ「攻め疲れだね。常に自分のカブトボーグの状態を見極めなかった君たちの負けだよ。」
主人公三人組は大活躍しているようだ。
コータ「よし、大分数が減ってきたな・・・。」
コータの大健闘により、第7ブロックはあと5人といったところになった。
???「やれ!ネプチューン!!」
と、そこにGシリーズのネプチューンがライデンに攻撃を仕掛けてきた。
コータ「っ!」
寸ででかわすライデンだが、ネプチューンはすぐに体制を整える。
???「油断したな、優勝者!このバトルロイヤルで、気を抜くのは命取りなんだよぉ!!」
ものすごい気合で、コータに挑戦するこの少年。
コータ「き、君は・・・!」
タツヤ「オレの名はタツヤ!この顔を忘れたとは言わせねぇ・・・前回お前に予選で敗れたカブトボーガーだ!」
コータ「え・・?」
忘れていた。
タツヤ「て、てめぇ・・・!お前を倒すために、オレは猛特訓したんだぞ!この、ネプチューンとな!」
コータ「ぐ、グローアップモデル!?」
タツヤ「そうさ、Gシリーズを持ってるのはてめぇらだけじゃねぇんだよぉ!!」
ガガガガガ!!
ネプチューンがライデンへ迫る。
コータ「猛特訓したのはこっちだって同じさ!いけぇライデン!!」
ライデンも加速しながらネプチューンへ迫る。
ガッ!
両者ともに激突。
鍔迫り合いを制したのはライデンだ。
ライデンの角がネプチューンを持ち上げ・・・られない。
コータ「どうした、頑張れライデン!」
タツヤ「無駄だぜ!ネプチューンはウェイトをつけてんだ。ちょっとやそっとじゃ持ちあがらねぇ!」
コータ「っ、離れろライデン!」
持ち上げを中断し、その場から離れる。
タツヤ「なんだ?逃げるのか、優勝者さんよぉ!」
コータ「(いや、逃げるんじゃない。チャンスを待つんだ。ネプチューンは、ウェイトのおかげで重量が増して防御力が上がってる。だけど。)」
ギャッ、ガッ!
ライデンがネプチューンの横を付き、アタックする。
それは、相手を倒すためのものではなく、ダメージを与えるためのアタックだ。
ダメージは、与えれば与えるほど相手はエネルギーを消耗するし、倒すのにも有効になる。
タツヤ「それがどうした!そんな攻撃、重量ウェイトにはきかねぇ!」
否、ネプチューンのウェイトは相手に『倒されにくくする』力であり『ダメージを減少させる』力ではない。
何度も攻撃を受けた事で、ネプチューンの体力が減ってくる。
コータ「(今だ!)」
ライデンの動きが、単一になる。まっすぐトロトロと、無駄な力を使わない省エネ走行になる。
タツヤ「もう終わりか?あれだけダメージ与えといて、決めにかからないとは、詰めが甘いなぁ!」
ガッ!
ネプチューンの巨大ヅノがライデンを引っ掛けた。
タツヤ「このまま寄り切りだ!」
しかし・・・!
タツヤ「な、どうしたネプチューン!」
ネプチューンの動きが急激に遅くなった。
コータ「ネプチューンは、元々ウェイトのせいでエネルギーの消耗が激しかった。その上、ライデンを持ち上げたから、もうエネルギーが残り少ないんだ!」
タツヤ「くっ、さっき散々攻撃を仕掛けたのも、エネルギー消耗を助長させるためか・・・!」
悔しがってももう遅い。
その程度の馬力では捕まえたライデンをどうする事もできず、そのまま力尽きた。
と、ほぼ同時に他のカブトボーグも力尽きたようだ。
リング上に残ったのはコータだけになった。
司会「おおっと!ここで第7ブロックの勝者が決まった!決勝進出は、コータ君だ!」
コータ「やったぜ、ライデン!」
リュート「コータの奴・・・さすがだな。だがオレも負けん!」
リュートのブロックも、残りは少ない。
カズヤ「リュート!あの時の決着、つけてやろうぜ!」
リュート「カズヤ・・・!」
司会「なんとぉ!こっちもすごい事になっている!前々回優勝者のリュート選手と、前々回の準々優勝者のカズヤ選手が対峙している!
そう、この二人は、前々回の準決勝で対決していたのだ!」
カズヤ「あの時は負けたが、俺はあの時のままじゃない!いけっ、モーレンカンプ!」
Gシリーズのモーレンカンプを使っていた。
リュート「・・・防御型のアーマーか。」
モーレンカンプには、転倒を防ぐためのフレーム状のスタビライザーが装備されている。
カズヤ「そうさ!あの時はあっさり倒されたが、今度はそうはいかないぜ!」
気合の赴くままに、モーレンカンプがドルカスへアタックする。
ドルカスはあれだけの激戦を繰り広げたというのに無傷だったのだ。
このまま技かけても倒せない。まずはダメージを与える事が先決だ。
リュート「・・・悪いな。」
カズヤ「なにっ。」
リュート「あの時の勝利。あれはオレの本当の力じゃない。」
ガッ!
敵の攻撃を受け流し、そのまま大顎でモーレンカンプをはさむ。
カズヤ「げっ!」
リュート「オレの使うカブトボーグはクワガタ系。つまり、投げや倒しには向いていない。あの時オーバーで勝てたのは、お前が不用意に突っ込んできたからだ。」
カズヤ「っ!」
リュート「それすら見抜けなかったお前に、勝ちは無い!」
ガガガガ!!
モーレンカンプを掴んだまま、ドルカスはリング外へモーレンカンプを押し出した。
リュート「機動力で相手の攻撃をかわし、一瞬の隙で相手を掴んで、押し出す。これがドルカスの本来の戦い方だ。どんなに転倒防止しても意味は無い!」
カズヤ「くそっ!」
決まり手 キャリードロップ。
司会「決まったぁ!ここで、リュート選手が勝ち残った!」
ダイチ「いけ!ネオリッキー!!」
ネオリッキーも、最後の一台を倒す。
司会「ダイチ選手も勝ちも残った!・・・どんどん勝利者が決定していきます!」
コータ「やったな、リュート、ダイチ!」
バトルが終わり、合流する三人。
リュート「あぁ、腕は落ちてなかったみたいだなコータ。」
ダイチ「トーナメントで戦えるのを楽しみにしてますよ。」
コータ「おう!」
司会「カガミ選手、マリノ選手、ドルヴィー選手が勝ち残った!」
コータ「あいつら・・・。」
リュート「うかうかしてられないな。」
ダイチ「今年は、去年以上に激しい戦いになりそうですね。」
コータ「よーし、燃えて来た!今年も絶対優勝するぞ、ライデン!!」
つづく