弾突バトル!フリックス・アレイ トリニティ 第22話「義なる戦い!江東館VSインビンシブルソウル!!」

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第22話「義なる戦い!江東館VSインビンシブルソウル!!」

 

 二年前。第二回赤壁杯会場。

『決まりました!第二回赤壁杯優勝は江東館!!宿敵トライビーストにリベンジを果たしました!!』

 大規模、とはまだ呼べないがそれなりに大きな会場の中で浴びる最高の名誉と羨望の眼差しにタイシは酔いしれていた。

「ついに、天下を取ったのか……」
「あぁ、俺達の勝利だ!」
 念願を果たし、その隣には激戦を共にした最高の仲間達がいる。
 まさに、これ以上望むものがない至福の瞬間だった。

 果たして、そうか?
(俺達の……)
 心がざわつく。
 勝利の喜びを分かち合う仲間達の姿を見れば見るほど、得体の知れないモヤモヤが広がっていく。

(俺は、本当に……天下を取ったと言えるのか?)
 会場では、江東館を称える声がいつまでも響いており。
 タイシは空を、どこか冷めた気持ちで聞いていた。

 それからしばらく経って、タイシは江東館を去る事を告げた。

「ほ、本当に行っちゃうんですか!?」
「せっかく優勝チームになれたのに……」
「俺達、タイシさんがいなくなったらどうすれば……!」
 メンバー達の別れを惜しむ声に後ろ髪を引かれてしまう。そんなメンバー達をサクヤが嗜めた。
「よせ皆。タイシなりに考えての選択なんだ、仲間なら快く送り出してやろう」
「悪いな、サクヤ。チームとして大事な時期に」
「何言ってるんだ。俺もタイシも元々は個人畑のフリッカーだ。いずれはそっちで名を上げたいと思う気持ちは分かる。江東館としても、優勝に甘んじずに新しい刺激は必要だからな。更なる発展のために良いきっかけになるさ」

 ……あぁ、この男はいちいち正しい。
 強くて、正しくて、統率力があって、居心地が良くて、嫌いになれない。
 だからこそ、こんな奴と一緒にいてはどれだけ勝っても、勝つ事は出来ない。

「ありがとよ。サクヤ、次会う時は優勝を争うライバルとしてだ」
「あぁ。その時はどちらが上か、決着を付けよう」
 タイシとサクヤはグッと突き出した拳を合わせた。

 ……。
 ………。
「はっ!」
 気がつくと、目の前には見知らぬクリーム色の天井があり、そして次々と見知った顔が覗き込んできた。

「あ、良かった!目が覚めたんだ!」
「シャシャッ、ホッとしたぜ〜」
「……俺は」
 上半身を起こして辺りを見回す。
 清潔感のあるベッドに、消毒薬の匂い……どうやら、医務室のようだった。ぼんやりとした意識が少しずつはっきりしていく。
「そうか、俺はあのあと……」
「あにきーーーー!!!!」
 ガバッとシュウヘイが鼻水を撒き散らしながらタイシへ抱きついてきた。
「おわ、シュウヘイやめっ……!」
「兄貴!無事で良かった!良かったっす、兄貴ィィ……いでででで!!!」
 抱きついているシュウヘイがいきなり肩を押さえて蹲った。
「あ、ほらシュウヘイくんも怪我が酷いんですから無理をしないでください」
 救急箱を持ったユミがシュウヘイを嗜める。
「タイシ、具合はどうだ?」
「……良くはないが、まぁ大丈夫だ。ありがとな、それとすまん。お前との約束、果たせなかった……!」
 タイシは悔し涙を流すまいと俯いてギュッと拳を握る。
「タイシ……」
「ったく、情けねぇぜ!大口叩いておきながらあんな無様に負けちまうなんてよ……!」

「そんな事ないっっ!!」
 タイシの言葉に対して強く否定したのはケンタだった。
「タイシ君は、凄く立派だった!どんなに劣勢でも最後まで戦い抜いて、チームメンバーと協力して相手を撃沈したじゃないか!」
「ケンタ……」
「情けないのはあいつの方だよ!無意味に相手を痛めつけて、笑いながら機体を壊すなんて、あんな奴……あんな奴……!!」
 拳を握りしめて肩を震わせるケンタの頭を、タイシは優しく撫でた。
「ありがとな、ケンタ。でも負けは負けだ。立派だとしたら、それは俺じゃなくアイアンキャンサーが戦い抜いてくれたおかげだ。……そういえば、キャンサーは?」
 タイシは自分の手元にも見える範囲にも愛機がない事に気づいて不安げな表情をする。
「その、キャンサーは破損が酷くて、今は修理中です」
「なに!?じゃあ今すぐ直してやらねぇと……グッ!」
 慌ててベッドから出ようとするが、肩の痛みを感じて踏みとどまった。
「お、落ち着いてください!今は自分の身体を治すのが先決です」
「俺の身体なんかよりキャンサーの方が大事だ!それに、スチールロブスターも俺を庇って破壊されたんだ!!」
「タイシ、今のお前がキャンサーに何ができる?キャンサーのためにも今は療養するんだ」
「……」
 サクヤの正論。しかし何故かタイシは素直に頷けなかった。
「それに安心してください。破壊されたキャンサーもロブスターも、私がちゃんと直しますから」
「い、いや、それは悪いだろ。今の俺は江東館のメンバーじゃない。これ以上敵チームの世話になるわけには……」
「何水臭い事言ってるのよ」
「例えチームから離れても、タイシ君はずっと江東館の仲間ですよ」
「敵チームなんて、そんな寂しい事言うなよ」
「そうそう!」
「だが、それを言うならロブスターは江東館とは何も関係ない」
「私達の仲間を命懸けで守ってくれたシュウヘイ君達だって大切な恩人で仲間なんです。これくらいさせてください」
「昨日の敵は今日の友、友の友は友達だ」
 皆の言葉にシュウヘイ達は涙する。
「うぅ、ありがとうっすぅぅ……」
 そんな姿を見て、タイシは意味深に呟いた。
「仲間、か……」
「タイシ?」
「……ほんと、お前らは強ぇよ」
 タイシは自虐の籠った表情でサクヤを見上げた。
 淀みの無い真っ直ぐな瞳、何があっても強く正しくあろうとする決意の込められた輝きがそこにあった。
「サクヤ、俺はお前が……お前らが大好きで……嫌いだったのかもしれねぇ」
「え、なんだよいきなり」
「悪い。本当に嫌いってわけじゃねぇんだ。ただ、なんて言ったら良いのか分からねぇんだが……お前らを好きになればなるほど、良い所が見え過ぎて、自分が呑み込まれていくみたいでな。それが嫌だったのかもしれねぇ」
「何言ってんだよ」
 タイシの懺悔とも取れる告白に、サクヤは笑顔で返す。
「そんなの、俺だって同じさ」
「は?」
 てっきり否定か肯定されるのかと思ったが、まさか同意されるとは思わなかった。
「タイシと一緒に戦えば戦うほど、どれだけ勝っても『これは俺の力じゃない』って気持ちにさせられるんだ。まぁ、それだけ頼もしいって事なんだけどさ」
「……」
「だからまぁ、タイシが江東館を辞めるって言い出した時は、寂しくもあったが『ようやく俺の力でタイシと戦える』って嬉しくもあった」
「サクヤ……」
「でもさ。江東館のメンバーと一緒に頑張って、強くなっていって、気付いたんだ。『誰とチームを組もうが、自分1人だけの力で勝つなんて不可能だ』ってな。タイシがいなくなっても、俺にはケンタにシメイにシズキにリンに、そしてユミや他の所属メンバー達がいて、支え合って戦ってるんだ。例え個人戦だったとしても、その支えがなければ俺は強くなれないし勝つ事は出来ない」
 サクヤの言葉に江東館メンバーは誇らしげに笑みを見せる。
「だから、誰が味方でも敵でも、自分が身を置いた場所で正々堂々と精一杯戦う。結局、それしかできないんだよな」
「……」
 まったく、本当にこの男は気に入らない。いつも自分と同じ思いを抱き、そして正確な答えを導き出す。抱いた思いがバカバカしくなる程に清々しい正解を。
「……そうだな。全くその通りだ。誰が味方とか、関係ないよな」
 タイシはフゥと息を吐いて天井を見て、そしてシュウヘイ達子分へ視線を向けた。
「シュウヘイ、皆……今からお前らは俺の子分を辞めろ」
「「「えええ!?」」」
 病室に悲鳴にも近い声が上がった。
「そ、そんな!そりゃ兄貴の命令を破ったのは悪かったっすけど……!」
「ちょっと!いきなりそれは酷いんじゃない!?」
 子分達の悲鳴、そしてリンの叱責を聞き流しながらタイシは続けた。
「お前らは子分なんかじゃねぇ。俺の立派なパートナー達だ」
「「「へ?」」」

「俺は、お前らをサクヤ達江東館と戦うための頭数としか考えてなかった。チーム戦でも俺一人の力で戦うためにな。だが、あの時シェルロードの攻撃から庇ってくれたお前らを見て江東館で戦ってた時の事を思い出しちまった」
「兄貴……」
「お前らは、ただ命令を訊いて大人しくしてるだけの子分じゃねぇ。ピンチになったら助け合う、頼もしい俺の仲間なんだってな」

「「うぅ、兄貴ーーー!!!」」
 シュウヘイ達は感激で涙を流しながらタイシへ抱きついた。タイシはシュウヘイ達を宥めながらサクヤへ視線を向けた。
「サクヤ、俺はこいつらとチームを組んで今度こそお前ら江東館をぶっ倒す。覚悟しとけよ」
「あぁ、望む所だ」

 タイシは決意を新たに、本当の意味でアトランティスとして江東館へ挑戦状を叩きつけた。

「それよりも」
 雰囲気が和やかになった所で、ユミが口を挟む。
「な、なんだ?」
「タイシ君、機体のメンテナンスはちゃんとやってますか?」
「そんなの、やってるに決まってるだろ」
 優しげだが、どこか恐ろしげな雰囲気を纏ったユミにタイシはたじろぐ。
「では、江東館を離れてから専門の整備士を雇った事は?」
「……無いが?」
「と言う事は、この数年間素人の整備しかしていないと?」
「まぁ、俺ら以外でしかやってないって意味ならそうなるが……」
 しどろもどろに答えると、ユミは大袈裟にため息をついた。
「はぁぁぁぁぁ、どおりで……」
「な、なんだよ?」
「おかしいと思ったんですよ。あの試合、アイアンキャンサーは本来のポテンシャルの半分も出てませんでした。明らかな整備不足です」
「そ、そんなバカな!確かに俺らはメカニックってわけじゃ無いが、それでも毎日念入りにメンテしてるつもりだぜ!?」
「キャンサーもロブスターもそこまで複雑じゃないから、わざわざ整備士を雇うのは大袈裟っすよ」
 タイシとシュウヘイの弁解を聞いて、ユミは声を荒げた。
「そこが甘いんです!例え単純な造形機であっても、いえ造形機だからこそ些細な変化が大きく性能に影響するんです!その変化は素人目には分かりません!ましてや、アイアンキャンサーは江東館の技術の粋を集めた高性能機体なんですよ!?見た目以上にデリケートなんです!!」

「「は、はい!すみませんでした!!!」」
 タイシとシュウヘイは慌てて謝った。

「はぁ、江東館と対立するのは構いませんけど。時々は戻って機体を見せに来てくださいね?私にとって開発した機体は、どこに所属していても大切な子供のようなものですから」
 怒りから一転して聖母のような笑顔を見せるユミに、タイシとシュウヘイ達は気まずそうに頭を下げた。
「「「よ、よろしくお願いします……」」」

 可愛らしい女子に大柄な男が首を垂れている姿が妙にギャップがあって可笑しかったのか、室内は笑いに包まれた。

 ……。
 ………。

 そろそろ江東館とインビンシブルソウルの試合時間が迫ってきた。
 江東館メンバーは医務室から会場へ向かう廊下を歩いている。

「やぁ、調子はどうかな?」
 そこへ、諸星コウが現れて友好的に声をかけてきた。
「諸星コウ……」
「いよいよ、四聖獣フリックスのうち白虎と玄武がぶつかる事になる。僕にとってはここからが大会本番だ。しっかりやってくれたまえよ」
「言われるまでもない。例え誰が相手だろうと俺達は全力で戦うまで」
「それじゃ困る、必ず勝ってもらわなければ。全力かどうかはこの際二の次さ」
「……負けるつもりで試合には出ないさ」
「まぁ、それもそうだ」
「僕は……!」
 サクヤとコウの会話に間が生まれたタイミングでケンタが声を上げた。
「僕は、絶対にバイフーを、皆を守る……!」
 言葉足らずだったが、普段のケンタからは想像出来ないほどの強い眼差しにコウは満足気に頷いた。
「その決意があれば十分だ。健闘を祈る」

 ……。
 ………。
 そして試合時間になり、両チームがステージに上がって対峙する。

『それでは第二回戦最後の試合、江東館VSインビンシブルソウルの対戦です!』

「よぉ、逃げずによく出て来られたな?まぁ、逃げたら逃げたで白虎のフリックスを頂く事に変わりはねぇがな」
「誰が……!お前みたいな奴にバイフーは絶対に渡さないし、これ以上皆を傷付けさせない!!」
「へっ、少しは楽しめそうだな」
「ホウセン、楽しむのは良いが白虎のフリックスを手に入れる事を最優先にするんだぞ」
「わぁってるわぁってる!」
 タツヤがホウセンへ釘を刺すと、ホウセンは鬱陶しそうに生返事した。

『今回のルールは【キングディフェンダー】!各チーム、1人を王様に指名し5VS5でバトル!先に王様を撃沈されたチームの負けとなります!なお、誰が王様かは相手チームにも開示します』

 江東館、作戦タイム。
「で、キングは誰が務める?」
「やっぱりリーダーのサクヤ?」
「いや、俺は積極的に攻めた方が良い。ここはディフェンダーのケンタにしよう」
「順当な判断だな」
「ケンタ、いけるな?」
「うん」
 サクヤの確認にケンタは力強く頷いた。

 インビンシブルソウル、作戦タイム。
「キングか。そりゃもちろんこの俺様しかいないだろ!」
「ホウセン、キングって響きだけで言ってない?」
「んなわけねぇだろ。絶対に撃沈出来ないって役目なら、一番強い奴がなった方が良いに決まってる」
「それならホウセンは不適格だな。タカトラ、君がキングを務めなさい」
「承知した」
「ちょ、タツヤてめ!俺のどこが不適格なんだよ!!」
「前回の試合で格下相手に無様に撃破された事、忘れたとは言わせないぞ」
「なっ、あれは油断しただけで……!」
「ダウト。このルールでキングに油断は許されない」
「ぐっ!」
「しかし、キング以外なら好きなように暴れられる。この方が君にピッタリじゃないか?」
「……ちっ、仕方ねぇ!だったら暴れてやろうじゃねぇか!!」

 小竜隊、観戦席。
「いよいよケンタ達の試合か……!」
「これで負けたら白虎のフリックスが敵の手に渡るんだよね」
「くぁぁぁ、絶対に負けられないやん!江東館の皆、大丈夫かいな!?」
「前回の試合であれだけの実力を見せつけれたからな……!」
「江東館もかなりの強豪チームだ。そう易々とはいかないさ」

 両チームともに準備完了し、スタート位置に着く。

『準備完了したようです!江東館のキングは西嶋ケンタ君、インビンシブルソウルのキングは順藤タカトラ君!両チームともにディフェンダーがキングを務めるようです!
それでは、はじめましょう!3.2.1.アクティブシュート!!』

 バシュウウウウウ!!!
 計10体のフリックスが同時シュートする。
 当然、キングであるケンタとタカトラはあまり進まず、他のメンバー達が先手を取るために突き進む。

「いけっ!コメットケラトプス!!」
 その中でトップを走っているのがサクヤのケラトプスだが……。
「迎え撃て!レジリエンスオーディン!!」
 遠近リョウマのオーディンが立ちはだかる。
 ガッ!とがっぷり四つになる二機だが、パワーで勝るコメットケラトプスが押し込む。
「パワーならこっちが上だ!」
「パワーの意味、分かっているのか?」
 ググ……!
 ケラトプスのフロントがオーディンの二つの剣によって掬い上げられ、更にその先にある一本角によって受け止められ、そこを支点にしてケラトプスのリアが持ち上がる。
「なに!?」
「神裁二連戟!!」
 ブォン!!!
 掬い上げとスマッシュの合わせ技によってケラトプスは持ち上げてぶん投げられてしまい場外してしまう。
「サクヤ!?」
「よそ見してて良いのか?」
 バキィ!
 シェルロードの一撃がウェイバーオルカにヒットするが、受け流して耐える。
「やるじゃねぇか」
「運よく受け流せたけど、あんなのまともに喰らったら……!」

 混戦の結果……。

『アクティブシュートは大混戦!これを制したのは神宮タツヤ君の駆るセイバーです!さすが、レースでも無類の強さを見せたこの機体はアクティブでも強かった!!』

「チッ、先手を取られたか!」
「でもキングは攻撃を受けない位置にいるわ!あたし達で耐えましょ!」
「シャシャッ!矢でも鉄砲でも来いってんだ!!」
 インビンシブルソウルで最も厄介なアタッカー、ホウセンから攻撃を受けるであろう位置にいるのはシメイ、リン、シズキの三人だ。
 果たして、誰を狙うのか……。

「んじゃ、遠慮なく暴れてやるぜぇ。アスカ!」
「はいはい。やるよ、ヴァーテンケツァルトル!」
 アスカはヴァーテンケツァルトルを変形させてフロント延長する。

「な、なんだあの変形は!?」
「長い……エメラルドエイグル以上に!」
「一体どんな攻撃を!?」
 大型変形したケツァルトルに警戒する江東館だが。
 バシュッ!
 ケツァルトルは攻撃せずに、三体の目の前で止まった。
「何も仕掛けない……?」
「見掛け倒しか?」
「さて、それはどうかしらっ」
 バッ!
「おっしゃいくぜぇ!!」
 江東館三体の目の前で止まったケツァルトル目掛けて、ホウセンがシュートする。
「ブロッケンボンバー!!!」
 バゴォォォォ!!!
 大型化したケツァルトルをシェルロードの高火力で押し出し、三体纏めてぶっ飛ばしてしまった。

「「「なにぃ!?」」」

『おおっと!これは驚きです!!アスカ君とホウセン君の見事な連携プレイで江東館のフリックスを三体まとめてフリップアウト!!キングは無傷とは言え、これは江東館大ピンチです!!』

「おいリョウマ、あれは使うなよ。楽しみが減るからな」
「元より使う気はない」
 ホウセンに釘を刺されたリョウマはそのままチョン押し。タツヤとタカトラもほぼ動かずにターン終了。

 場外した機体を拾う三人。かなりの勢いで飛ばされて地面にぶつかったためか、所々ひび割れている。

「俺達三体を同時に……なんて馬鹿力……!」
「あたしのウェイバーオルカが受け流せなかったなんて」
「あのケツァルトルと言う機体、シェルロードにとっては鬼に金棒だったのか」
 場外した機体をスタート位置に置いて江東館のターン。

「捲土重来だ!行くぞ!!」
 シメイはエイグルの翼を広げて近くにいたセイバーへヒットしながら進み、その先のケツァルトルへ接触したのちに更にマインにも接触。ダブルマインヒットだ。
「あたしだって!」
 リンは遠距離シュートでシェルロードへマインヒットしながら突き進み、フェンスにぶつかって停止。次のターン、これで反撃は受けない。
「今度は俺だ!」
 シズキは分離機を目の前に置いてからスピンシュートして分離機を飛ばし、奥にいるレジリエンスオーディンへマインヒットする。
「げっ、しまった!」
 が、弾かれた分離パーツはシェルロードの前で停止。これでは次のターンフリップアウトで負けてしまう。
 どうにかサポートしようと距離を詰めるケラトプスだが、どうにもならずにターン終了。

 インビンシブルソウルのターン。
「へっ」
 ホウセンは目の前にある簡単に倒せるスリヴァーシャークのパーツを無視して壁に沿って反撃出来ずにいるウェイバーオルカへ狙いを定めた。
「シャッ!?俺を狙わないのか!?」
「バカか?こんな小物ぶっ飛ばして何が面白ぇんだよ!」
「そ、そんな、まさか……!」
 ウェイバーオルカはどんな攻撃を受けても、ルール上のダメージは受けづらい立ち位置にいる。逆に言えば、最も物理的に痛ぶりやすい位置と言えるのだ。
「あ、いや、やめて……!」
「大人しくしてりゃ一瞬で終わる」
 ホウセンはじっくりと狙いを定めて、ウェイバーオルカに向かってシュートした。
 破壊の化身とも言えるシェルロードが轟音を立てながらウェイバーオルカへと迫る。
「い、いやああああああ!!!」
 リンの悲鳴。しかし、それをかき消すかの如く一人の漢の雄叫びが轟いだ。
「ッシャアアアアアアア!!!!!」

 バゴォォーーーン!!!
 咄嗟に、スリヴァーシャークが間に入り、オルカを庇った。
 スリヴァーシャークはその名の通り粉々の欠片化したが、そのおかげでウェイバーオルカへの衝撃は大分緩和されて転倒するだけに留まった。

「はぁ、はぁ……!」
「し、シズキ、どうして……!」
「さ、さっき分離パーツ外して軽くしたから素早く動けたんだ!」
「そうじゃない!なんであたしなんか助けたのよ!!そのせいで、あんたのシャークが……!」
「なんかじゃない!大事な仲間だ!!」
 いつになく真剣な表情で言われ、リンは目を逸らし頬を染め、ポショリと呟いた。
「……バカ」
「けっ、本当にバカな奴だ!ぶっ壊れる順番がズレただけなのによ」
「っ!」
「あいつ……!」
 ウェイバーオルカは転倒してしまい動けない。次で仕留められてしまう。
 しかも、トータスとケツァルトルがシェルロードを守るような陣形で移動し、サポートにも向かえない。

「こ、こいつら……!」
 シェルロードはどうにも届かないので、苦し紛れにシメイがケツァルトルをマインヒットする。

「突破しろ!ケラトプス!!」
「行かせはしない」
 ゴッ!
 ケラトプスは得意の突進でトータスを退かそうとするも、思わぬ防御力にビクともしない。
「くっ、距離があったとは言え、ケラトプスの突進を受け止めた!?」
「に、兄ちゃん、リンさん!!」
 ケンタがバイフーをシュートしようとするが。
「待てケンタ!キングのお前は下手に動くな!!」
「だ、だけど、このままじゃ……!」
「このままだろうが、なかろうが関係ねぇよ」

 ドゴォォォ!!!
 シェルロードの容赦ない一撃が襲いかかる。

「や、やめてえええええ!!!」
 涙ながらに叫ぶリン、そして響く断末魔。
「そ、そんな、そんな……!」
 リンは崩れ落ち、意気消沈。床にポタポタと雫が落ちる。
「はっはっはっは!!残りは3匹か!すぐ同じ所に連れてってやるよ!!」
「な、なんて奴だ」
「血も涙もないのか……!」

 江東館のターン。
「シメイ、一旦体勢を立て直すんだ!奴は危険だが、勝利より破壊に執着してるなら戦いようがある!」
「分かった!」
 シメイは羽根を閉じてシェルロードから距離を取るようにシュートする。
「逃すかよ。アスカ!」
「はいはい」
 ケツァルトルがステップ移動でエイグルの道を塞ぎ受け止める。
「なに!?」
「受け止めろ、タカトラ」
「了解。フリップスペル【ストームグライド】」
 シュン!
 トータスがケツァルトルを支えるような位置へ移動。
「オラァ!!!」
 ケツァルトルの巨体とトータスのグリップが合わさる事で壁のようになり、そこへシェルロードの一撃が襲いかかり、エイグルを押し潰すように破壊した。
「ぐあああああ!!!」
「シメイ!!」
「ひゃーはっはっはっ!!やっぱ面白ぇなぁ!フリックスバトルはよぉぉ!!」
「このっ!」

 ドンッ!!
 ケラトプスのアタック。ダメージは入らなかったが、そこそこシェルロードを遠くへ飛ばせた。この距離なら反撃されても耐えられるはず。
「ほぅ。次はお前だな」
 ホウセンの反撃。距離があったのに加えて、当たったのがリア部分だったためにギミックが発動せずケラトプスはスピンしながら緩く飛ばされてマインヒットするだけだった。
「フロント重心か」
「そのギミックは軽い部分に当たっても発動しないらしいな」
「……気に入ったぜ!じっくりぶっ壊してやる!」

 ドゴォ!!バキィィィ!!!
 そこからは暫くサクヤとホウセンの一騎打ちの様相となった。
 撃沈されるわけにはいかないケンタは下手に動けず、余裕のあるインビンシブルソウルメンバーは傍観している。
 お互い一進一退の激しい撃ち合いをしているが、決め手にはならずこう着状態が続いた。
 しかし……。

 ガッ!
「しまった!!」
 何度目かのシュートでケラトプスはフィールドのギャップに躓いて転倒。無防備となってしまう。
「ようやくか」
「こいつっ、撃ち合いしながらこの状況を狙ってたのか……!」
「これで終わりだ!!!」

 バキィィィ!!!!
 シェルロードのアタックで爆煙が巻き上がり、フィールドに破片が飛び散る。
「ぐああああああ!!!!」

「兄ちゃぁぁぁぁん!!」

『な、なんとなんと!!ついに江東館リーダーのサクヤ君もシェルロードの毒牙にやられてしまいました!!!このままインビンシブルソウルの圧勝となってしまうのでしょうか!?』

 小竜隊、観戦席。
「嘘だろ!?あのサクヤが……!」
「うちとゲンジが二人がかりでようやっと倒せた奴やのに、なんって、パワーや……!」
「はっ!ゲンジくん、ケンタくんの様子が……!」
「っ!まさかあいつ!」

 ステージでは
「レースでぶっ飛ばした時もそうだったが、大物ぶってる割にあっけねぇなぁ!!はっはっは!!!」
「うわあああああああ!!!!」
 兄が倒された事でケンタの中で何かがキレてしまい、慟哭が響き渡る。
「よくも……お前、よくもおおおお!!!」
 喉が潰れんばかりの大声を上げ、ケンタはフルパワーでシェルロードにシュートをぶちかます。
「お前だけは、お前だけは絶対に許さない!!」
 しかし、その勢いでは自滅どころか、自壊してしまう。

「まずい、落ち着けケンタ!!」
 ゲンジの叫びも虚しく、暴走したケンタのシュートは止まりそうにない。
 その時。

「コメットブレイカー!!」
 倒されたと思っていたケラトプスが向かってきて、バイフーに激突。バイフーはその場で止まったが、ケラトプスは場外してしまった。

「兄ちゃん!?」
「て、てめっ!なんで生き残ってやがる!?」
「残念だったな、お前が破壊したのはバリケードだ」
 爆煙が上がったせいでよく見えなかったが、あの欠片はバリケードの欠片だったらしい。
 しかし、これでサクヤは撃沈だ。

「ちっ、ふざけやがって!!!」
 予想外の展開に頭に血が上ったホウセンは力任せにバイフーへ向かってシュートを放つ。
 しかし、横からセイバーが現れてバイフーを弾き飛ばして回避。シェルロードは勢い余って自滅した。
「な、何しやがる!?」
「落ち着けホウセン。我々の目的を忘れたか?」
「少しくらいぶっ壊しても良いっつったじゃねぇか!!」
「今のお前の攻撃は少しでは済まないだろう」
「ちっ」

 コメットケラトプスを拾うサクヤ。ボロボロではあるが破損は少ない。
「……無茶をさせたな、ケラトプス」
「兄ちゃん、ごめん。僕、また……」
 暴走してしまった挙句兄まで手をかけてしまい、ケンタは罪悪感で俯いてしまう。サクヤはそんなケンタの肩に手を置いて優しく語り掛けた。
「ケンタ。お前の怒りは正しい!」
「え?」
「だが、怒りは出すものじゃない。相手へ伝えるものだ。お前は何故あいつへ怒った?その理由を見極めるんだ」
「怒りの、理由……」
 ケンタの脳裏に破壊されていった仲間達が浮かぶ。
「義に反する戦いが許せなかったんだろう?傷付く仲間を見てられなかったんだろう?そんなのは当然の感情だ。だが、その怒りは伝わらなければ義のない力になってしまう。そんなものは、あいつらと変わらない」
 ケンタは暴走した自分の姿を思い浮かべる、いかに正しい理由でそうなったにせよ、その行いは結局力で相手を傷付けるだけのホウセンと変わらない。ならば、怒りによって成すべき行動は……!
「兄ちゃん、僕……!」
 精悍な顔つきになるケンタ。それを見て確信を得たサクヤは、ケンタに想いを託した。
「ケンタ、義のある戦いをするんだ!」
「うん!」
 完全に冷静さを取り戻したケンタはフィールドにつく。
 そして、ジッとシェルロードを見据える。
「おっ、やる気かてめぇ?」
「……」
 しかし、すぐに機体の向きを変えて狙いをケツァルトルへ向けた。
「なに!?」
「え、あたし!?」
「いけっ!バイフー!!」
 バキィ!!
 バイフーの攻撃によってケツァルトルは穴の上で停止してフリップアウト。撃沈だ。
「うそぉ……!」
「このやろう……!!」
 ドンッ!!
 ホウセンの攻撃、シェルロードの一撃がバイフーに襲いかかる。
「耐えろ!バイフー!!」
 ガッ!!
 バイフーはボディ上部のダンパーで衝撃を緩和させるが、それでもある程度吹っ飛ばされてしまう。しかし、その先にいたトータスにぶつかる事で停止した。

「こいつ……!」
「いけぇ!!」
 バシュゥゥ!!!
 ケンタの力強いシュート、既にトータスに触れた状態でマインにぶつかる事でトータスへ1ダメージ。更にそのままマイン運んだままレジリエンスオーディンへぶつかり、弾き飛ばした。
「むっ!」
 オーディンはマインヒットの1ダメージは受けたものの、咄嗟にバリケードを構えてフリップアウトは防いだ。
「小癪な……!」
 ドンッ!!
 リョウマの反撃。スピンで目の前のマインを弾き飛ばしてバイフーにぶつける。
「あ、リョウマてめっ!そいつは俺の獲物だぞ!手ぇ出してんじゃねぇよ!!」
「さっさと仕留めないほうが悪い」
「だったら仕留めてやるよ!」
 ホウセンの攻撃。バイフーの目の前にはマインがあり、シェルロードのギミックはマインにぶつかった瞬間に発動。
 マインは大きく弾き飛ばすものの、バイフーへ衝撃が伝わらない。マインヒットダメージは先程オーディンの攻撃で受けていたため、まだHPは残り2だ。
「こいつ、マインを盾に……!」
「気をつけろホウセン。そいつは思った以上に冷静だ」
タツヤの忠告にホウセンはうざそうに返事する。

「うっせぇ!わぁってるよ!!」
 そして、ケンタはトータスへ向けて撃つ。その近くには先程シェルロードが弾き飛ばしたマインがあり、マインヒット。これでトータスの残りHPは1だ。
「こいつ……ここまで読んだのか?」
 しかも、バイフーはこのシュートで反射して破壊された味方機体の欠片が散らばっているエリアまで移動した。これだけ細かい破片がある場所ではバネギミックは発動しない。
「ぐっ、あそこじゃ攻撃が通じねぇ……!」
「無闇矢鱈に暴れたのが裏目に出たな、ホウセン」
「ちっ!おいてめぇ、お仲間をやった仇はこの俺だぜ?無視して良いのかよ」
「……」
 ケンタはホウセンの呼びかけを無視する。
「はっ!仲間の敵討ちよりも自分が勝つ方が大事ってのか?しかも仲間の死体を肉壁に使ってまで勝とうとするたぁ、とんでもねぇ奴だな、お前はよぉ」
「……許さないよ」
「なに?」
「僕は絶対に君を許さないよ。だからこそ、この怒りをぶつけるために、どんな事をしても試合に勝つ!それが僕の怒りだ!!」
 バイフーの周りの、江東館フリックスの欠片からまるでオーラのようなモヤが浮かぶ。
「これは死体なんかじゃない!一緒に戦ってくれる仲間達の魂なんだ!!だから戦えるんだ!!!だから、勝てるんだ!!!」
 そう、そもそもこの3機は破壊されてシュートが出来なくなったと言うだけでHP的には撃沈されていない。だからこそフィールドにとどまり、味方する事が出来るのだ。
「この、野郎!!!」
 頭に血が上ったホウセンはバイフーを守るその魂のオーラへ向かってシェルロードを放つ。
「ちぃぃ!退きやがれぇぇ!!」
 しかし、細かい欠片に阻まれてしまいギミック発動せずに止まる。
「ば、バカな……!」

「おっしゃぁ!いけるぜケンタ!!」
 小竜隊の応援にも力が入る。

「いっけえええええ!!バイティングクローーーーー!!!」

 無防備なトータスへケンタがトドメの一撃を放つ。
 バゴォォーーーン!!
 凄まじい衝撃でトータスが宙を舞う、場外するほどは飛ばせなかったが、その着地点にはマインがある。
 トータスの残りHPは1。マインヒットでの撃沈は確実だ。

「よし、勝った!」
 誰もがそう思った。その時だった。

「させるかよおおお!!!!」
 ドンッ!!!
 ステップで移動したシェルロードがバイフーへ激突し、バネギミックで弾き飛ばす。スピードは大した事無かったが、ギミックを発動させるには十分だった。
「え!?」
「破片を踏んづけてたおかげでなぁ!路面摩擦が減ってたんだよ!!!」
 それでステップでもある程度機動力が稼げたらしい。
 大した攻撃力でもないが、それでも攻撃直後で隙が出来たバイフーには致命傷だった。

 飛ばされたトータスはマインにぶつかった。がしかし、バイフーも虚しく地に落ち、その衝撃で両アームが折れてしまった。

『な、なんという事でしょう!ケンタ君の見事な活躍でタイタントータスを撃沈したかに思われた江東館でしたが、ホウセン君のステップ突進にやられて敢えなく場外!自滅扱いなのでマインヒットは無効!
これによって、インビンシブルソウルの勝利です!!』

「そんなっ、そんな……!!!」
 呆然とするケンタ。そこへ、ホウセンがゆっくりと歩いていくのが見えた。その先は、地に落ちているバイフーへ……。
「っ!」
 ケンタは咄嗟に駆け出してバイフーを抱えて蹲る。
「どけ、チビ」
「嫌だ!バイフーは渡さない!!」
「ちっ」
 ドゴッ!
「ぐっ」
 ホウセンはケンタを足で転がす。が、それでもケンタはバイフーを離さなかった。

「ちょっと!小さい子に何すんのよ!!」
「暴力はやめろ!」
「は?約束守らねぇこいつが悪りぃんだろうが!」
 ガッ!
 ホウセンは倒れ込んだケンタの頭を掴んで持ち上げる。
「良い加減手ぇ離せよ。これ以上痛い目見たくねぇだろ?」
「うぅ……!」
「強情な奴だな」
 ギュウウウウウ……!
 ホウセンはバイフーを握りしめたケンタの手首を掴み、握力で締め上げた。
「ああああああああ!!!!」
 凄まじい圧力でついにケンタの手からバイフーが離れ、地に落ちる。
「手間かけさせやがって」
「貴様……!」
 サクヤがホウセンへ向かおうとするが、バイフーを離したケンタにもう用はないと言わんばかりに、ホウセンはケンタをサクヤ達とは逆の方へ投げ飛ばした。

「うわああああ!!!」
「ケンタ!?」

 ガッシ!!
 地面に叩きつけられる寸前、駆け付けたゲンジにケンタは受け止められた。
 その後ろには小竜隊の面々もいる。

「ゲ、ゲンジさん……!」
「良い加減にしろ!もう勝負はついただろ!!」
「それはこっちのセリフだ。勝負ついたのに往生際の悪い事してきたのはそっちだろ」
「そうかもしれないけど、やり過ぎだ!」
「ふん、知るか……タツヤ、ほらよ」
 ホウセンはバイフーを拾い、タツヤへ投げ渡した。

「ふむ、多少破損しているが問題ないな。ご苦労だった」
 タツヤはホウセンからバイフーを受け取るとパチンと指を鳴らした。

 すると、ババババ!とけたたましい音を鳴らして上空からヘリが現れた。

「な、なな……!」
 驚く一同を気にせず、タツヤはヘリから下ろされたロープ梯子に手をかけた。

「おいタツヤ、てめぇどこ行く気だ?」
「せっかく念願の四神フリックスを手に入れたんだ。早く研究したくてウズウズしてね。悪いけど先に事務所に戻らせてもらう。後の事は任せた」
「しゃーねぇな。まっ、別にお前がいてもいなくても残りの機体を手に入れるのなんざ楽勝だしな。のんびり待ってな」
「楽しみにしているよ」

 ババババ!!!
 ヘリはタツヤを乗せて飛び立っていった。

「な、なんだ、あいつ……まだ大会終わってないのに帰っていきやがった」
 ヘリの音が消えた後、抱えられているケンタは、息絶え絶えになりながら手に持った物をゲンジに託した。
「ゲ、ゲンジさん、これを……」
 受け取ったゲンジは目を見開く。
「これは……!」
「お願い……あいつを、倒して……!」
 ケンタの願いを受け、ゲンジは拳を握りしめてホウセンを睨みつけた。

「あぁ、任せろ。俺は、こんな奴には絶対に負けない!!」

 啖呵を切るゲンジへ、ホウセンは不敵な笑みを見せるのだった。

 

    つづく

 

 

CM

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