弾突バトル!フリックスアレイ ゼノ 第23話「突入!フリップキャッスル」

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第23話「突入!フリップキャッスル」

 

 暗雲立ち込める世界の果て……そこに、禍々しく聳え立つ巨大な城があった。
 奈落へと続かんとする崖から一本の大きな石橋で繋がれており、何人足りと寄せ付けない雰囲気があった。
 その橋の前に弾介達を先頭に親愛軍などの多数の人々が集まっていた。

「ここが、魔王城か……いかにもって感じだなぁ」

 魔王城を眺めながら、弾介は間抜けな感想を漏らす。

「いよいよ、決戦の日が来てしまいましたね……残念ながらレイズは見つかりませんでしたが」
「まぁ、見つからなかったものはしょうがないでしょ。あたし達だけで戦うしかないわよ」

 魔王から猶予をもらった三日間、弾介達はレイズを必死で探したのだがその消息は掴めず。結局伝説のフリックスは四つ揃わない状態でタイムリミットが来てしまった。

「……伝説の力無しに、勝てるでしょうか」
「大丈夫だよ!僕は1人だって、絶対に魔王を倒すんだ!!」
「我々も出来る限り手を尽くして戦力を集めてきました!足りない分を補う自信はあります!」

 親衛軍の隊長がそう言うと、連れられてきた戦士達は大きく頷いた。
 その中には、科学軍のダグラスやストラ、そして洗濯バサミ人もいた。

「そうそう、そういうこった!」
「この日のためにフリックスもチューンナップしてきましたからね」
「そのとーり!平和を愛する洗濯バサミ人の名にかけて!」
「必ず魔王を倒し、世界を救うのです!!」

 なんとも頼もしい戦力だ。

「あちきは戦いだと役には立てないでありますが。あちきの調べによると、これが魔王城のマップであります」

 イブが一枚の紙を弾介へ渡す。

「イブさん、ありがとう!」
「ここまでの道のりも案内してもらいましたし、十分力になりましたよ」
「そう言ってもらえると、資料屋冥利に尽きるでありますよ!では、足手まといにならないうちに、ここで失礼するであります!」

 イブはそそくさとその場を離れる。

「帰りも気をつけてくださいね!」
「心配どうもであります〜!!」

 手を振りながら遠ざかっていくイブを見送ったのち、弾介達は再び魔王城の方へ向き直った。

「さぁ、準備も万端だし、行こう!!」

 弾介達が魔王城へと続く石橋へ足を踏み入れた時、城の扉が開かれ、中からジュリエ、シダーチャン、スリマの3人が大勢のモンスターやメカ、雑兵フリッカー達を引き連れて現れた。

「お、お前らは……!」
「うふふ、予定通り来たのね。お姉さん、時間を守る子は好きよ」
「だけどちぃっとばかし応援呼び過ぎなのはチャイルドだねぇ」
「あはは、用があるのは伝説のフリッカーだけだし、ここで食い止めさせてもらうよ〜!」

 そう言って、3人は引き連れた部下達へ命じてこちらへ向かわせてきた。

「行きなさい、私の可愛いモンスター達!!」
「お前ら、陣形を崩さずに攻めろヨォ!俺様は軍師も出来るんだぜぇ、ワイルドだろう?」
「戦闘プログラム送信!メカ軍団発進だ〜!!」

 ジュリエはモンスター軍団、シダーチャンは雑兵フリッカー達、スリマはロボやメカ兵器を使役しているようだ。

「お、お前らは戦わないのか!?」
「この前の大会で、機体はボロボロなのよ!誰かさんのおかげでね!」
「まっ、これだけ戦力がありゃ俺達がわざわざ戦う必要はねぇって事よ!」
「新しく開発したメカのテストもしたかったしね〜!」

 弾介の質問に答えつつ、3人はそれぞれの部下達を使役して攻め立ててくる。

「ちょっとヤバいわね、これ。数が半端じゃないわよ」
「魔王と戦うまで、なるべく体力は温存したいところですが」
「ここは我々に任せて、シエルさん達は先へ進んでください!!」

 親衛軍達が必死に敵を押さえ込み、城への道を作る。

「わ、分かりました!お願いします!!」
「頼んだわよ!!」
「よし、いくぞ!!」

 3人はフリックスをシュートすることも無くどうにか走ってその場を駆け抜けて城の中へ入っていった。

「さぁ、ここは我々で食い止めますよ!!フィールドジェネレート!!」

 3人が城の中に入った事を確認した親衛軍隊長は、フィールドジェネレートを使用。生み出されたフィールドは橋全体を覆うほどの大きなものだった。

「これであの3人は追わせませんよ!」
「別に、僕らの目的は君ら雑魚達の掃除だから関係ないけどね」
「ふふ、フィールドジェネレートしたって事は自分たちも逃げ場がなくなったって事忘れないでよね。じっくり痛ぶってあげるわぁ!」
「そんじゃ、総力戦といくぜぇ!!」

 親衛軍と魔王軍の数と数のぶつかり合い!

「いくぞストラ!」
「えぇ!」
「「超自律兵器起動!!」」

 ストライクヴァルキリーとGヴァルキルがロボに変形する。

「ほぉ、君達も使えるのか!」
「なら我々も!」
「「バサミスト自律兵器!!」」

 洗濯バサミ人の2人も超自律兵器を起動した。

「よし、あの四機を守るぞ!」
「おー!」

 超自律兵器は強力だが、転倒させられると無効になるので親衛軍のみんなは四機のロボットの周りで敵機の攻撃から守る。

「サンキューみんな!いっくぜぇぇ!!

「「「「クワトロフルバースト!!!」」」」

 四機のロボフリックスが一斉射撃!威力はそこまで高くないが、広範囲の敵にダメージを与えていく。

「こう言う集団戦だと超自律兵器は有効ですね」
「しかも、倒かされないよう守ってくれる味方もいる。頼もしい限りだぜ!」

 互いに拮抗しながらの消耗戦となったが、時間稼ぎには十分だ。

 そして、弾介達は薄暗い魔王城の通路を駆けていた。

「えっと、イブさんにもらった地図によると魔王がいるのは最上階だから、まずはこの先にある階段を登らないとな」
「戦力のほとんどが外に集中してるおかげですんなりいけそうなのはラッキーね」
「親衛軍の皆さんのおかげですね」
「早いとこ進んで、魔王を倒そう!」

 順風満帆。すんなりと魔王の元へ辿り着けると思われたが……ボォとうすらぼんやりと弾介達の前に水晶を手に持った占い師風の女が現れた。

「そうはいきませんわ」
「どわわっと!」

 弾介達は急ブレーキしてその女と対峙する。

「初めまして、私は魔王様に仕える占い師フリッカー、クリスと申します」
「魔王軍のフリッカー……まだいたのか」
「やっぱり全戦力を外に出してるわけないわよね」
「当然。外に出ているのはただの雑兵。中には私をはじめとした魔王様の側近たるエリートフリッカーがあなた達のお相手をいたします」
「魔王は僕達と戦いたいんだろ?だったら素直に通してくれればいいのに」
「ふふふ、あなた方が本当に魔王様と戦うにふさわしいか試させてもらいますわ。誰か1人、お相手を願いますわ」
「よし、だったら僕が相手になってやる!」

 弾介は早速ドラグカリバーをシュートしてスケールアップした。

「さぁ来い!お前のフリックスはどこだ!?」
「ふふふ、それはそこにありますわ」

 クリスは水晶をかざすと、そこから緑色の光が飛び出して弾介の額に当たった。

「な、なんだ!?」
「私の固有魔法は、相手の考える『絶対に勝てない敵』の姿を読み取り具現化するのですわ」

 弾介の思考を読み取ったのか、クリスの水晶がボコボコと変化して、フリックスの形になっていく。

「そ、その機体は……!」

 そのフォルムは、弾介にとっても馴染みの深いものだった。

「ド、ドライブヴィクター……!」

 生物チックにアレンジされているし、カラーリングも全然違うが、紛れもなくドライブヴィクターを思わせる機体だった。

「あなたの目標たる人物、段田バンの使うフリックスだったようですわね……さしづめ、ドライブヴィクターオルタナティブと言った所でしょうか」
「お、お前なんかにドライブヴィクターを使えるもんか!!」
「それはどうかしら?」

 クリスもドライブヴィクターオルタナティブをシュートし、スケールアップする。

「フィールドジェネレート!!」

 まずは弾介がフィールド生成し、有利な状況を作る。

「ふふ、確かにドライブヴィクターは私には使いこなせない。ですが、これはドライブヴィクターオルタナティブ!」

 クリスはドラグカリバーへ狙いを定めてドライブヴィクターオルタナティブをシュートした。

「っ!」

 バーーーーン!!
 弾介のフィールドなのでバリケードでしっかりガードできたが、思ってた以上のパワーに、かなり消耗してしまった。

「こ、このパワーは……!」
「私の魔法は、ただ記憶から機体をコピーするだけではありませんの。私に合うようしっかりアレンジを加えているのですわ」
「そうか、それでドライブヴィクターの形そのまんまじゃないのか……!」

 生物的で流線型な形状なのは、バンよりも力で劣るであろうクリスがドライブヴィクターを使いこなせるように抵抗を低くするためだろう。

「ふふ、あなたは一度も勝てたことの無いドライブヴィクターに勝てますかしら?」
「っ!絶対に勝ってやる!!」

 バシュッ!ガキン!!
 ドラグカリバーの攻撃は見事クリーンヒットし、ドライブヴィクターオルタナティブへダメージを与えるが決定的ではない。

「勢いの割に大したことありませんわ」
「くっそー!!」

 クリスはシュートせずにマインをセットした。さすがに力押しは通用しないと感じたのだろう。

「もう一度だ!!」
「みえみえですわ」

 バシュッ!シュン!
 力の入った弾介のシュートは簡単に見切られてしまい、ステップで躱された。

「うっ!」
「隙だらけですわよ」

 バチン!!
 クリスは反撃でマインヒットを決めた。

「く、くそぉ……!」

 その後も何度も攻防を繰り返すが、弾介が劣勢だ。思わぬ苦戦を強いられている弾介をシエルとフィランはハラハラしながら見ている。

「何やってんのよ弾介……!なんかいつもと様子が違わない?」
「恐らく、あの機体は弾介さんの憧れの人の機体だから、それで気持ちが乱れてるんです」
「だったら弾介が戦うのは不利ね。加勢するわよ!」

 フィランがハンターフィーラインを構えるのだが、弾介がそれを制した。

「待ってくれ!」
「え?」
「これは、僕の戦いだ……僕の力で勝たなきゃダメなんだ!」
「そんな事言ったって、負けたらどうしようもないじゃない!」
「そうだけど!フィラン達の力を借りて勝ってもダメなんだ!!」
「ふふ、賢明な判断ですわ。この戦いはテストのようなもの。助っ人がなければ私に勝てないようでは、魔王様と戦う事など不可能」
「勝ってやる!!」

 弾介は渾身の力を込めたつもりで攻撃をするが、大してダメージを与えられない。

「くっそぉ……!」
「ふふ、伝説のフリックスといっても大した事はありませんわ」

 バチン!!
 またもマインヒットを受けてしまう。

「ぐぐ……!あんな奴が使うドライブヴィクターに負けたく無いのに……僕は、ヴィクターに勝てないのか……!」
「弾介さん……!」

 拳を握りしめ、悔しそうに顔を歪める弾介を見たシエルはハッとして声をかける。

「弾介さん!あの時のバンさんの言葉を思い出してください!!」
「え?あの時のバンさんの……?」
「目の前にいるのはドライブヴィクターかもしれませんけど、ドライブヴィクターじゃないんです!初めて戦う相手なんですよ!」
「初めて……」
「弾介さんは、この世界のいろんなフリッカー達と戦いって言ってたじゃないですか!」
「っ!」

 “フリックスバトルは愛機とライバルと、ダントツを目指し合うから楽しいんだぜ!”

「そっか、そうだ……絶対に勝たなきゃいけないとか、バンさんにはまだ勝てないとか……そんなのは、どうでもいいんだ!」

 弾介は精悍な顔つきになってドラグカリバーを構えてクリスを見据える。

「クリス、凄いよ!僕の記憶から機体を作り出して、それを使いこなせるようにアレンジするなんて!」
「お褒めいただき、光栄ですわ」
「こんなワクワクする相手だからこそ、勝ちたいんだ!それが僕のバトルだ!!」

 弾介はドラグカリバーのフロントソードを変形させる。

「これは、こちらも迎え撃った方が良さそうですわね」

 クリスもアクティブフェイズに突入し、構える。

「いっけえええ!!ドラグリーチスティンガー!!」
「はああああ!!!」

 2人は向き合って同時シュートし、正面衝突。
 ズガアアアアア!!!
 凄まじい衝撃波が巻き起こり、ドラグカリバーの剣がしなってドライブヴィクターオルタナティブを大きく弾き飛ばした。

「え!?」

 そのままフリップアウトし、ビートヒットのダメージも合わせて撃沈。弾介の勝利だ。

「やったぁぁぁ!!」
「やりましたね、弾介さん!」
「ヒヤヒヤしたわよ、もう……」

 弾介さんが喜びを分かち合う中、ドライブヴィクターオルタナティブは再び水晶へと姿を変えて割れてしまった。
 その音に気付いた弾介はクリスにも声をかけた。

「クリス、良いバトルだったよ。魔王を倒したらまたバトルしよう」
「……」

 しかし、弾介の言葉にクリスは答えない。

「?」
「う、ぐ……あああああ!!!」

 急に頭を抱えて苦しみ出した。

「ちょ、だ、大丈夫!?」
「あ、ああああ……うぅ……!」

 暫くすると苦しみもおさまったのか、頭を押さえたままゆっくりと顔を上げた。

「あ、あれ、わたく、しは……どうしてここに……?」
「え?」

 それだけ言うと、クリスはフッと気を失って倒れ込んだ。

「……どう言う事だろう?」
「恐らくですが、この方も普通の人間で、魔王の魔力に操られていたのかもしれませんね」
「このままにしとくのは可哀想だけど、のんびりしてられないし先を急ぐわよ」
「うん、そうだね」

 とりあえず、クリスを通路の端に寄せて弾介達は2階へと足を進めた。

 2階は、建物内とは思えないほどに広々とした空間が広がっていた。
 と言うか、まるで屋外のような内装で、西部劇の広野を思わせる光景だった。

「こ、ここは……!」

 思わぬ光景に面食らっていると、砂煙の中から2人の男が姿を表した。

「ようやくお出ましか。伝説のフリッカーさん達よ」
「お前達の命、ここでいただく」

 その姿はまさに西部劇に出てくるようなガンマンスタイルと殺し屋のような男の二人組だった。

 

   つづく

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CM

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