弾突バトル!フリックス・アレイ ゼノ 第12話「魔王軍主催!?武闘大会開催!!」


第12話「魔王軍主催!?武闘大会開催!!」

 

 バンと弾介の新旧主人公対決の翌日。
 弾介とシエルがそろそろ次の伝説のフリックスを探すための目星をつけるため、ジンへ相談しに来ていた。

「王様、そろそろ次の伝説のフリックスを探すための旅に出たいのですが」
「レイズの居場所か、他の手がかりか、何かないですかね?」

 弾介とシエルが尋ねると、ジンは神妙な顔で首を振った。

「いや、暫く旅は中断だ」
「え、何故ですか?」
「……ついにこの時期が来た」

 ジンは一枚の紙を二人に見せた。どうやらポスターのようだが……。

「もう、そんな時期なんですね……」

 その紙を見るや、シエルもジンと同じく神妙顔になった。
 不思議に思った弾介はそこに書かれている文字を読み上げた。

「『第三回魔王軍主催武闘大会』……って、大会!?」
「そうだ。魔王が復活してから半年に一回、奴ら主催で無差別級の武闘大会が開かれるようになってな。それが1週間後にまた開かれるんだ」
「あいつらもそんな粋な事するんだなぁ……でも一体何が目的で」
「それは分からん。だが、これが悩みの種の一つになってるのは確かだ」
「え?大会なんだから、普通に楽しめばいいんじゃ」
「楽しめるもんかよ。ルールをよく見てみろ」

 弾介がポスターを受け取って内容に目を通すとそれに続くようにジンからも説明された。

「出場するのは、武力を持った者ならなんでもあり。格闘家も、剣士も、ガンマンも、魔法使いも、戦車やロボットの操縦士、モンスター使いなんかもありだ。そしてもちろん……」
「フリッカーも、ですか」
「そうだ。それらが二人一組で出場し、相手を戦闘不能にすれば勝ちだ。舞台上は常に運営がフィールドジェネレートを起動している」
「無差別級かぁ。それだけ聞くと楽しそうだけど」
「問題は優勝賞品なんですよ」
「賞品?」
「正確に言うと特典だな。優勝したら、二人のうちどちらかの出身地を次の大会まで襲わないと言う保障を得られるんだ」
「え、ってことは……!」
「皆故郷を守るために死に物狂いで勝ちに行く……しかも、大会には魔王軍の戦士も出場する。即ち、死屍累々の地獄絵図だ」

 あまりにも真剣なジンの口調に、弾介は思わず唾を飲み込んだ。

「つまり、相当厳しい戦いになるって事ですね」
「うん?」
「新たな戦いに備えて、ドラグカリバーもしっかりチューンナップしないと。シエル、早速街へ行ってパーツを調達しよう!」
「ちょちょちょ待てい!!」

 今にも駆け出しそうな弾介をジンは慌てて止めた。

「な、なんですか?」
「いや、お前さ……まさかとは思うが出場する気じゃないよな?」
「へ?だって魔王軍と戦える大会ですよね?僕とシエルで出場してそいつらをやっつけるって流れじゃないんですか?」
「アホ!!言っただろ!大会に出ても得られるものはない!魔王軍に襲われなくなると言う信用の無い約束だけだ!それでも、民達は死に物狂いでそれを欲している……!もしもその枠を不必要に奪うような真似をしてみろ?救世主から一気に反逆者扱いされるぞ!」

 いつに無い真剣な迫力のジンにたじろいでしまう。

「だ、だけど、そもそも魔王軍を倒せば皆襲われなくなるわけで……」
「大会に優勝した所で魔王軍を倒せるわけじゃない!例え弾介がいずれ魔王を討伐出来る力を手に入れるとしても、それまでの間に何千何万という民が、村が、国が犠牲になる可能性がある!民達にとっては、例え束の間でも自分たちの身を守る事で精一杯なんだぞ!!」
「す、すみません、無神経でした……!」

 戦々恐々としながら謝る弾介を見て我に返ったのか、ジンも落ち着きを取り戻した。

「あ、いや、俺の方こそキツく言いすぎた。まぁこんな感じで大会が終わるまでは世界中がひりついている。旅に出た所でまともな情報は得られない」
「私もこの期間は医療班の方へ派遣されてしまうので、弾介さんに同行出来ませんしね……」
「え、そなの?」
「はい。先ほど説明があった通り、大会は過酷を極めます。いえ、大会だけじゃなくこの準備期間も無茶な特訓をして怪我をする人が続出で……人手がいくらあっても足りないんですよ」
「そっか……」

 弾介はガックリと肩を落とした。

「悪いがしばらくは自粛要請だ。何もしないのも戦いだ」
「はい……でも、当日は大会観に行ってもいいですか?」
「そうだな、奴らの悪趣味っぷりを実際に観ておくのもいいだろう」
「分かりました」

 弾介は一先ず大会観戦だけを楽しみにこの一週間を大人しく過ごす事にした。

 そして一週間後。武闘大会の開かれる街『コロッセオタウン』へ弾介は足を運んだ。
 コロッセオタウンは、イベント業などで収益を得ていた街で中央にある巨大闘技場が名所なのだが。
 現在は魔王軍の襲撃で陥落しており、奴らの拠点となっている。
 しかし、半年に一度の大会の日だけは部外者が自由に入る事ができ、魔王軍も試合以外で一般人達を襲ったりしないと言う公約が結ばれている。

「ふぅ、着いた。ここがコロッセオタウンかぁ」

 シエルらは医療班の活動で別行動してるため、弾介は場所だけ教わって一人で来ている。

「それにしても……賑やかだなぁ」

 街の中はそこかしこに屋台が開かれており、魔王軍、一般人、モンスター関係なく活気立っている。

「普段からこうしてればいいのに」

 今平和なのは、試合での残虐性を高めるためなのだろうが、それを承知の上で弾介はそう思わずにはいられなかった。
 屋台が立ち並ぶ道を抜けると、闘技場が見えてくる。その道中、弾介は見知った顔を見つけた。

「あ、イブさん!」
「おぉ、弾介どの!久しぶりでありますなぁ!」

 ライブラヴィレッジ資料館の館長、イブは弾介に声をかけられると顔を綻ばせた。

「お久しぶりです!その節はお世話になりました!」
「いえいえ、あちきも良いデータをもらったでありますからな!それより、聞いたでありますよぉ!あの後伝説のフリックスを手に入れたとか!」
「はい、それは今シエルが持っていて……」
「うぅ〜ん!そのフリックスも気になるでありますが、なかなかシエルと会う機会が……大会中は医療班で忙しそうですからなぁ」
「そうなんですよね。イブさんは、大会に出場するんですか?」
「まさか!ただのデータ収集でありますよ。この大会は様々な戦いが見られるでありますからなぁ、デュフフ……!そういう弾介殿は?まさか出場するでありますか!?」
「いや、しようと思ったんですが、王様に怒られちゃって……」
「まぁ、そうでありましょうなぁ。この大会はいろいろとナイーブな事情がありますからなぁ」
「そういうわけなんで、僕もイブさんと同じく見学です」
「ふむ、だったらご一緒したいとこでありますが、生憎あちきも仕事として来てるのでそろそろ……」
「あ、すみません!時間とらせてしまって!」
「いえいえ、またじっくりお話しするであります!ではでは〜」

 大きく手を振って、イブは去っていった。

「イブさんも仕事かぁ。大会に出なくても皆忙しいのかなぁ」
「そりゃ、憎っくき魔王軍の主催する大会となりゃ王国も黙ってみてるわけにはいかねぇだろ」

 今度は後ろから声をかけられた。
 振り向くと、そこにらダグラとストラが立っていた。

「あ、ダグラス!ストラ!」
「よっ!」
「久しぶりですね」
「もしかして、二人も組んで出場……はしないよね」
「そりゃな。仮にも軍隊にいる奴がこんな大会に出たら非難轟々だろ」
「僕らは警備に来たんですよ、軍の人間として」
「警備って……大会の?」
「んなけねぇだろ。優勝者のだよ」

 魔王主催の大会を軍がわざわざ警備するわけがないのは確かなのだが、かと言って優勝者を警備する意味も分からない。

「この大会の優勝者及びその出身地は、他者からの嫉妬やヘイトを集めますからね」
「第1回大会の優勝者の故郷は、魔王軍に襲われなくなった代わりに、嫉妬に駆られた他の地区の人間達の手で滅茶苦茶にされたからな……」
「そんなっ!同じ人間同士で……!」
「本当に怖いのは、魔王軍よりも人間なのかもしれません……」

 思った以上に闇の深い大会に驚きつつも、弾介は二人と分かれて闘技場へ向かった。

 闘技場内は、観客や選手達の熱気でむせ返っていた。

(複雑な事情があるのはなんとなく分かったけど、そう言うのがなかったら参加したかったな……)

 この期に及んでまだそんな事を考えている弾介を余所に、会場ステージの明かりがついた。そろそろ大会開催が近づいているのだろう、ステージではマイクを持った派手な男がアナウンスを始めた。

『バッドボーイ&バッドボーイ!魔王軍主催武闘大会へようこそ!!今日ばかりは敵も味方も関係ない!力に自信のあるものは存分にその力を奮ってくれよぉ!!』

(バッドボーイしかいないんか!?)

 弾介は司会のマイクパフォーマンスに心の中でツッコミを入れながら、大人しく聞き入る。

『それでは、大会主催者であるフリップ魔王様からのありがたき挨拶だ!耳の穴かっぽじって、よーーく聞くように!!』

 司会者がそう言うと会場が暗くなり、ステージの中央に立体映像が浮かび上がった。
 そこに現れたのは死神を思わせるような黒いフードを深く被って、顔を隠している男だった。

『諸君、我が武闘大会へようこそ。本日は諸君らの健闘を楽しみにしている』

(あれがフリップ魔王?なんだか弱そうだなぁ……)

『大会ルールは事前に伝えた通り、これまでと同様だ。優勝特典も同じ、次の大会が開かれるまで優勝者の望む地区への襲撃は控える事を約束しよう』
「っ!」

 その時、一瞬だが弾介は魔王からの視線を感じた。
 魔王の顔は見えないし、こんな群衆の中から弾介をわざわざ見る理由もない。ただの偶然だろうが、ホログラム越しからとは言えその威圧感は凄まじかった。

『今回は、今までと違いもう一つ優勝賞品を用意している』

 魔王が言うと、ステージ上に一つのフリックスが運び込まれた。
 それは、黄金の巨大な剣を思わせる形状をしている。

『キングスカリバー、強大な力を持つフリックスだ。この大会を勝ち抜いた猛者なら必ず使いこなせるだろう』

「カリバー……」

 ポゥ……!
 聴き馴染みのある単語をなんともなしに呟いたその時だった。キングスカリバーから淡く光が発せられ、その光が線となり弾介の手にあるドラグカリバーの元へと向かってきた。

「な、なんだぁ!?」

 一瞬の出来事で、周りは誰も気付いていないようだったが、確かにキングスカリバーとドラグカリバーは光で繋がれた。

(も、もしかして、あのフリックスは伝説の……!)

『大会の受付はまだ行なっている。飛び入り参加も歓迎だ。奮って参加してくれたまえ』

 魔王の言葉が終わるや否や、弾介はその場を離れ、確かな目的地を見据えて歩き出していた。

「無理ですね」
「そ、そこをなんとか……!」

 弾介が向かった先は大会の受付だった。
 フォーマルな服を着た融通の効かなそうな兄ちゃんが無表情で弾介の対応をしている。

「僕、どうしてもこの大会で優勝しないといけないんです!でも、タッグを組める人が今はいなくて……!」
「タッグで参加と言うのが規則ですので、一人だけではエントリー出来ません」
「うぅ、だったら……!」

 弾介はドラグカリバーを右手に持って、可動剣を指で動かしながら、口を開かないように裏声を発した。

「ヤァ、ボクドラグカリバー!ダンスケノタッグパートナーダヨ!」
「……」
「……」

 さすがに無理があり過ぎたのか、場が凍りつく。

「お引き取りください」
「……はい」

 心が折れた弾介はすごすごとその場を離れたが、それでも納得出来ずに地団駄を踏む。

「うぅ、でもあの優勝賞品は絶対伝説のフリックスなのに……!こうなったら優勝者と交渉して譲ってもらおうかな……いや、でも命がけで手に入れた強いフリックスを簡単には譲ってくれないだろうし……!あああああ!!!」
「あんた、何やってんのよさっきから」
「へ?」

 頭を抱えて叫んでいると、後ろから声をかけられた。振り向くとそこには呆れ顔で腕組みしているフィランが立っていた。

「ふぃ、フィラン!?」

 弾介は以前の事を思い出して反射的にドラグカリバーを後ろに隠した。

「そんな堂々と盗らないわよ……」
「な、なんでフィランがこんな所に」
「何でって、こう言うイベントは稼ぎ時なのよ。皆がバトルに夢中になってる間に財布スリ放題♪」
「えぇー……」
「でも、今回は気が変わったわ。あのキングスカリバーって機体、なかなかのお宝じゃない」
「え、ダメだよ!あれは伝説のフリックスかもしれないんだ!」
「いや、魔王がわざわざ自分を討伐するかもしれない力を賞品にするわけないでしょ……」
「でも、ドラグカリバーが反応したんだ!」
「……まぁそんな事はどっちでもいいわ。それよりも、大会に出たいならあたしと組んで出ない?」
「ぇ……」

 思わぬ申し出に弾介は言葉を詰まらせた。

「何よ、不満だっての?こう見えてあたしだって結構戦えるわよ。実際地下闘技場でバトルしたじゃない」
「それは、確かに……」

 あの時はドラグカリバーを使っていたとは言え……いや、そもそもドラグカリバーをそこそこ使いこなして連勝していたと言う時点で十分な使い手と言える。

「で、でも、優勝してもキングスカリバーは渡さないからな!」
「それは伝説のフリックスだったらって話でしょ。そうじゃなかったらあんたには必要無いじゃない」
「だけど……!」
「伝説のフリックスだったらあんたが手に入れればいい。そうじゃなければあたしのもの。確率は1/2だけど、悪い話じゃないでしょ?」
「う、うぅ〜ん、なんだかそんな気がしてきた……!」
「決まりね、それじゃさっさと受付しましょ」

 と言うわけで弾介とフィランはタッグを組み受付を済ませた。
 そして、選手達が集う控え室へ足を運ぶ。
 控え室はかなりの数が用意されているものの、さすがに一組につき一部屋と言うわけにもいかず、複数組の選手達と共有する事になる。

「それじゃ早速だけど、確かあんた量産型の機体持ってたわよね。それ貸して」
「へ?フィラン、機体持ってないの??」
「そんなお金持ってたらソロで盗賊なんかやってないわよ。実戦レベルの機体なんて、一つあるだけで維持費だってバカにならないんだから」
「まぁ、良いけど……大会終わったらちゃんと返してよ?」

 弾介は渋々インフェリアスタッブゼノをフィランへ渡した。

「分かってるわよ。……って何これ、ガタガタじゃない。メンテサボってたわね」
「うっ……!」
「全く、男ってほんと愛機以外には無頓着なんだから……。ほら、整備するから材料と工具も貸して」
「う、うん」

 弾介はキャリージュエルから工具一式を取り出してフィランに渡した。
 フィランは手際良くインフェリアスタッブゼノを手入れしていった。

「まっ、こんなもんかしらね」
「す、凄い、まるで新品だ……!フィランにこんな特技があるなんて思わなかった」
「手先器用じゃなきゃ女盗賊なんてやってられないわよ。とは言え、修理やチューンナップ、レプリカ作製までが精一杯で開発までは出来ないけどね」
「十分凄いよ!そうか、それでドラグカリバーそっくりな機体を作れたのか……」
「あたしからすれば、強い機体を開発出来るフリッカーの方が羨ましいけどね……っと、そろそろ大会始まるみたいね」

 フィランが控え室に備え付けられているモニターを観るよう促す。
 そこには会場で行われている試合の様子が映し出されていた。

「はぁ!喰らえぇぇ!!」

「死ねえええええ!!!」

「炎の精霊よ、全てを焼き尽くしたまえ!ファイヤー!!」

「殺れ!ビッグウルフ!相手を食いちぎれぇ!!」

「ターゲットロックオン!フルバーストキャノン!てーーー!!」

 魔王軍も戦士も魔法使いも猛獣使いも戦車乗りも、そしてフリッカーも……皆それぞれの戦力を駆使して死闘を繰り広げている。

「す、凄い、なんて激しい戦いなんだ……!」

 弾介は興奮を抑えるように拳を握りしめた。

 しかし、その激しさは弾介の知っている戦いとは別のベクトルへと発展する。

「ぐあああああ!!!う、腕がっ!俺の腕がああああ!!!」
「いくら名高い格闘家でも腕を切り落とされたらどうしようもできまい……!」

「がっ、は……!」
「魔力が尽きるまで耐えれば楽勝だな!オオグチワニ、奴の喉を食いちぎれ!!」

 剣士が格闘家の腕を斬り落としたり。猛獣使いの使役するワニが魔法使いの喉を噛みちぎったり、試合の結果は凄惨なものだった。

「同じ人間同士でそこまでするなんて……!もう勝負はついてたのに」
「今更ビビってんじゃないわよ」
「ビビってなんか…!でも、僕はあくまで勝負に勝つためだけの戦いをする!無意味に相手を傷つけたりしないからね」
「分かってるわよ。あたしだって、優勝以外に興味無いし」

 試合に勝っても負けても選手達の身体は重軽症を負っており、シエルをはじめとした救護班が忙しなく彼らを回復していく様子も映されている。

(シエル、大変そうだな……)

 そしてやはりと言うか、魔王軍フリッカーの力は圧倒的で他の参加者を容赦なく叩き潰している。

「一般戦力と比べると魔王軍ってやっぱり強いんだなぁ」
「と言うか、フリックスアレイが戦力として強過ぎるのよね。強固なボディに高い火力、多種多様な攻撃方法に、多少の破損じゃ機能停止しない動力システム、停止状態から一気にトップスピードまで加速する瞬発力……こんなのチートよチート。欠点と言えば攻撃するたびにウェイトタイムがあるくらいじゃない?」
「へぇ、そんなに強いんだ。だったら皆フリックス使えば良いのに」
「そりゃ、フリックスは安いしお手軽だし、安全だから一般人の護衛武器としても最適なんだけどね。でも、それで実戦で勝てるかどうかは別問題なのよ」
「そなんだ」
「ある程度までなら簡単に強くなれるけど、一定以上の強さを得るのが至難なのよね。しかも、自分に合った愛機を手に入れたり、独自の技や戦術を身につけて磨き上げるってなると……よっぽどフリッカーに向いてない限り、普通に剣術や魔法を身につけた方が早いわね」
「なるほど……」

 フリッチューバーとサラリーマンみたいなものかな、と弾介は思った。
 動画を上げるだけなら誰でも出来るし、そこそこ頑張れば収益を得る事も可能だが、所詮小遣い程度。
 生活費を稼ぐとなると、それこそ自分に合ったコンテンツでよほどの才能があるか、じゃなければかなりの努力を必要とする。
 だったら会社に入って地位を上げるか、一般的な手に職を付けた方が確実に稼げる。
 しかし、才能を発揮して運良く成功すればただのサラリーマンとは比較にならないほど稼ぐ事が出来る。
 結局は何が自分に向いてるか、と言う問題ではあるが
 なまじスタートのハードルが低い分、フリックスアレイの戦力特性は特殊のようだ。

 フリックスの戦力は『アイデンティティ』を重視し過ぎてる面があるため、それを身に付けられれば最強だが、手本となるもの無しに自分の力のみで身につける必要があり、才能がモノを言う。
 しかし他の戦力は伝統として技術が伝わって形式化されているため、努力次第で確実に力を身に付けられるのだ。

「っと、あたし達呼ばれたみたいね。行くわよ」
「え、あぁ、うん!」

 考えているうちにアナウンスがあったらしい、フィランに言われて弾介は慌てて控え室を出た。

 闘技場にある数多のステージのうちの一つに上がる弾介とフィラン。
 その二人の前に対峙しているのは……!

「お前ら、カッコイイ団!?」
「よぉ、久しぶりだなぁ伝説のフリッカーさんよ!…って、フィラン!てめぇ、なんでそいつと組んでんだよ!」
「そんなのあたしの勝手でしょ。強い男をパートナーに選ぶのは当然よ」
「なんだとぉ……そいつより俺の方が劣ってるってのか!」
「優劣なんて、今証明すれば良いだけよ」
「ケッ、後悔させてやるぜ!いくぞ、ブン!!」
「了解なんだよね、兄貴!」

「よーし、こいつら相手ならやりやすいや!いっくぞぉ!!」

「「「「3.2.1.アクティブシュート!!!」」」」

 遂に、弾介の魔王軍主催武闘会での戦いが始まった!

 

     つづく

 

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CM

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