爆・爆ストーリー ZERO 第42話

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第42話「夢の中の闇」
クロウ&ビアス「ビーファイア!!」
 伝説のビーダマン、デスサイズVS凶悪な力を持つメガディアブロスの戦いがついに始まってしまった。
リカルド「ビアス様が・・・ビーダマンを手に取った・・・・。」
 リカルドは震える声で言う。
ツバキ「隊長?」
バンザ「あのクロウって奴。地獄を見ることになるぜ。」
ツバサ「地獄を?」
ジョン「ビアス様の挑戦を受けたあいつはバカだっつーの。」
ツバサ「でも、クロウだって強い!」
ヒスイ「そうですよ!それにデスサイズは伝説のビーダマンですよ!」
リカルド「そんなことは関係ない。」
ヒスイ「?」
リカルド「このバトルに、俺たちの言う『強さ』は全く意味を持たないんだ。」
ツバサ「それってどういう・・・。」


クロウ「(あのビーダマンがどれほどの力か、まずは様子見だな。)」
 ビー玉を撃たず避けることを重視する事にしたクロウ。
ビアス「ふふふ。」
 だが、ビアスもビー玉を撃とうとしない。
クロウ「・・っ!撃たないのか?」
ビアス「・・・・・。」
 ビアスはただ笑うだけだ。
クロウ「ちっ。」
 このままじゃラチが空かないので撃つ事にする。
 パワーダブルバーストが勢い良くビアスに迫る。
ビアス「遅いな。」
クロウ「なんだと・・・!」
 ビアスは物凄いスピードで迫るクロウのショットをすんでのところでかわしてしまった。
クロウ「かわした!?」
ビアス「ふっ。」
 バシュッ!!
 驚愕するクロウの隙をつき、ショットをはなつ。
クロウ「っ!」
 とっさにかわすが、そのせいでバランスを崩してしまう。今撃たれたら確実にやられてしまう。
ビアス「・・・・。」
 ドンッ!!
 ビアスはバランスを崩したクロウにとどめの一撃を放つ。
クロウ「くそっ!」
 カンッ!!
 しかし、そのショットはデスサイズをかすめ、壁に激突する。
クロウ「・・・・貴様・・・ずらしたな・・・!」
ビアス「ふっ。」
クロウ「正直、貴様なんかに本気を出すつもりはなかった・・・だが、今のはむかついた!俺は、舐められるのが、見下されるのが一番嫌いなんだ!」
 ビアスを思いっきり睨みつけるクロウ。
クロウ「俺を本気にさせた、お前が悪いんだからな。」
ビアス「面白い。」
ヒスイ「(す、すごい・・・クロウ、今までに見たことのない気力です・・・・。)」
リカルド「無駄だな。どんなに気力をあげようと・・・。」
ツバサ「えっ?」
ツバキ「どういうことですか、隊長!?」
リカルド「ビアス様は・・・あのビーダマンは俺たちとは次元が違う・・・。いかにビーダーとしての腕を極めようと、1次元上の世界へ行く事は不可能だ。」
ツバキ「・・・・。」
ツバサ「そんな。」
クロウ「はぁ!!!」
 クロウは渾身の気合いを込め、ダブルバーストを放つ。
ビアス「ふんっ。」
 ビアスは余裕の表情でそれをかわす。
クロウ「うおおおお!!!」
 だが、クロウはひるまず、ダブルバーストを連射する。隙を与えないように。
 しかし、ビアスはそれをもかわしてしまう。
クロウ「(なんだ、あの動きは・・・!)」
ツバサ「あんな重厚そうなビーダマンなのに、あんなに動けるなんて・・・。」
ヒスイ「まるで、クロウのショットの軌道を予測しているようです。」
ビアス「予測などする必要はない。」
 ヒスイの一言に答えるビアス。
ビアス「単に向かってくる玉が遅いだけだ。遅い玉をかわす事など、誰にでもできる。」
クロウ「これでもまだ、そんな事がいえるのかぁ!!」
 ドンッ!!!
 さらに強力なショットを放つクロウ。そのショットは空気を切り裂きながら突進する。
ビアス「さぁ、そろそろやるか。」
 ギュイイイイイイン!!!!
 メガディアブロスのうねりが大きくなる。
セシル「な、なに?このおと・・・!」
ヒスイ「今まで聞いたことのない音です!」
ツバキ「あのビーダマンから出てるのか!?」
アキラ「く・・・来る・・!」
ブレン「あれが・・・!」
 突然、ブレン達が怯えだす。
ツバサ「あれって?」
リカルド「あれこそ・・・ビアス様の最強の技・・・!あの技の前には、どんなショットも無力に・・・!」
 ギャアアアア!!!!
ビアス「悪魔の咆哮!デスハウリングキャノン!!!!」
 ズドドドドド!!!!
 メガディアブロスから信じられないほどの連射が放たれる。
クロウ「な、なにぃ?!」
ヒスイ「なんなんです!あの連射スピードは!?」
 パワーもかなり凄まじい。
 クロウは成す術なくそのショットを受けてしまう。
クロウ「ぐわあああああ!!!!!」
 何発も強力なショットを体に受けるクロウ。だが、なんとか持ち堪える。
クロウ「ぐっ・・・!」
 そして、傷ついた体で、ビアスを見る。
 しかし、ビアスは動こうとしない。
 見ると、メガディアブロスのバレルが折れていた。あの時のクロウのショットがアタックポイントに命中したのだ。
ビアス「負けたか・・・。さすがにチャージし切れていない人魚の涙では、十分なエネルギー源にはなりえなかったようだ。・・・仕方がない。メガディアブロスのエネルギーはまた別のところで調達するか。」
 そう言って人魚の涙を放り、去っていった。
クロウ「くっ・・・この勝負・・・完全に俺の・・・!」
 ドサッ!
 さっき受けた衝撃が強かったのか、クロウは意識を失い、倒れてしまった。
ヒスイ「クロウ!」
 ・・・・。
 ・・・。
クロウ「ここは・・・どこだ?」
 気が付くと、クロウは暗闇の中にいた。いや、いたのではない。そこに自分自身の実体はない。あるのは視点だけ。だが、それも一般にいう「みている」とは違う感覚だ。
 視覚に溶け込んでいる?情報を飲み干している?
 それは、人知を超えた感覚だった。
 暗闇の中、一条の光が見えた。
 その光の先にある風景を見た。すると視点はその風景に溶け込まれて・・・・。
 数ヶ月前。クロウはシャドウへと入った。
アババ「あなたが、裏社会でも凄腕という噂の。」
クロウ「クロウ・アスカードだ。」
アババ「ふふふ、いい目をしているわ。いいでしょう、シャドウへの入団を許可します。」
 クロウがシャドウに入った理由。それは、シャドウで密かに開発されたという改良型素体ZEROを手に入れるためだった。
 いろいろと探りを入れてみたが、まったく手がかりは得られなかった。
クロウ「ちっ、どこにもないな。やはりあの噂はデマだったのか・・・?」
 その時、クロウの懐で、何か音がする。
 シャドウに入団したときに渡された通信機だ。アババから呼び出しを喰らったようだ。
 クロウはアババのいる部屋へと赴いた。
アババ「待っていましたよ、クロウさん。」
 そこにいたのは、アババだけではなかった。赤い髪をした目つきの悪い少年も一緒にいた。
 クロウはその少年を一瞥したが、大して気にすることなくアババに話し掛ける。
クロウ「それで、何のようなんだ?」
アババ「先ほど、光の三原色といわれている伝説のビーダマン・・・ガーランドブラスト、エメロードミラージュ、ガーネットウィンド・・・そのうちの一つが、レッドマウンテンにあるという情報を得ました。」
赤い髪「伝説のビーダマン?コバルトブレードじゃねぇのか?」
アババ「それとはまた違った種類のものよ。この世に色彩を与えたといわれる三原色ビーダマン・・・それもシャドウの求めるものの一つ。」
クロウ「で、俺たちにそれを取って来いと?」
アババ「ええ。クロウさんと炎呪さん。あなた方二人で・・・・。」
炎呪「ふざけるな!!」
 赤い髪の少年が怒鳴る。
アババ「どうしました、炎呪さん?」
炎呪「こんな新人と組んだところで、足手まといになるだけだ!」
アババ「ふふ、二人で行けといいましたが、協力しろとは言ってませんよ?」
炎呪「なに・・・?」
 アババはとあるビーダマンを取り出す。
クロウ「こ、これは・・・!」
 それこそ、クロウが求めていた・・・。
アババ「シャドウが総力を結集して作り上げた改良型素体ZEROです。見事原色ビーダマンを手に入れたら、これを差し上げましょう。」
クロウ「・・・!」
アババ「しかし、改良型素体ZEROは一つしかありません。」
 アババは意味深に笑う。
炎呪「ふん、なるほど。つまり、俺たち二人で奪い合えと。」
アババ「そうとってもらって構いません。」
炎呪「おもしれぇ。その改良型とやら、俺が手に入れてやるぜ。」
 炎呪とクロウはレッドマウンテンへと足を運んだ。そこまでの道のりはそれほど険しくはなかったので省略させて貰う。
 そして、その山の頂上、クロウと炎呪はついに赤く輝くビーダマンを見つけるのだった。
炎呪「これかぁ?伝説のビーダマンって奴は。」
 炎呪がそれを手にとろうとすると、一つのビー玉が炎呪の手をかすめた。
炎呪「!?」
 振り向くとそこにはビーダマンを構えたクロウが立っていた。
炎呪「貴様・・・!」
クロウ「忘れたのか?俺とお前は協力者ではない。お前に、そのビーダマンは渡さない。」
炎呪「ふん、いいだろう。先輩にたてついた事を、後悔させてやるぜ。」
 コバルトカイザーを取り出す炎呪。
炎呪&クロウ「ビーファイア!!」
 バーンッ!!
 勝負は一瞬でついた。
 ビーダマンを構えたまま笑みを浮かべるクロウとビーダマンを落とし、膝をつく炎呪。
クロウ「俺の勝ちだ。こいつはもらっていく。」
炎呪「バカな・・・!この俺が・・・!バカな・・・バカな・・・バカなあぁぁ!!!!」
 炎呪の咆哮を背に、クロウはシャドウ本部へと帰っていった。
アババ「見事です!これはまさしく、ガーネットウィンド!あなたがとってきたのですね?」
クロウ「ああ。このくらいどうって事ない。」
アババ「さすがは、裏社会随一のトップビーダー・・・。では、約束どおりコレを。」
 アババは改良型素体ZEROをクロウに渡した。
クロウ「こいつが・・・!」
 それからの俺は、どっぷりと闇に漬かっていった。
 あるいは、光を求めていたのか?
 光・・・・光・・・・。
 あそこに・・・この先に・・・かすかに見える・・・。
 かすかだが、目を覆いたくなるほどのまばゆい光が・・・。
 俺は・・・・そこに・・・・そこに・・・・・!!
セシル「クロウ!クロウ!!」
 クロウはうっすらと目をあけた。目の前にはセシルの顔があった。
クロウ「俺は・・・。」
ヒスイ「よかった。目がさめたみたいですね。」
 ヒスイが安堵のため息をつく。
 あたりを見ると、どうやら宿屋の部屋のようだ。
クロウ「メガ・・・ディアブロス・・・・。」
 自分が戦ったビーダマンの名前を口にしてみる。
クロウ「闇だ・・・。」
 クロウが闇につかっていたとするなら、あのビーダマンは、闇そのものだった。
クロウ「俺は勝った・・・だが、あれは勝ちではない。」
 勝ちではない。つまり負けだ。あの勝ち方は負けを意味していた。
クロウ「(光・・・俺が、光を求めたから・・・だから負けたのか?闇に勝てなかったのか?)」
 “お前の中に、弱さが生まれている”
 かつてロンに言われたセリフが思い出される。
クロウ「(俺は、弱くなっているのか?)」
 クロウはうつむき、ただじっと自分の手を見つめた。何かを問い掛けるように。
セシル「大丈夫?」
クロウ「え・・・。」
セシル「どうしたの、さっきからボーっとして。」
クロウ「あぁ・・・いや・・・。」
ヒスイ「やっぱり、まだ傷が痛むんですよ。無理はしないほうが良いです。」
クロウ「そうだな。」
 呟き、横になった。全ての現実を拒絶するには、一番有効な手段だったからだ。
クロウ「(俺は一体・・・どれだけ強くなれば良いんだ・・・?)」
       

つづく

 次回予告

ヒスイ「さぁ、ついに開かれました!ゴルドンの伝統的な祭り、黄金祭!」
セシル「お祭りお祭り~♪たこ焼きに焼きそばにイカ焼きに綿菓子~♪」
ヒスイ「食べる事ばかりですね(汗」
クロウ「確実に太るな。」
セシル「むぅ!」
ヒスイ「そしてなんと!太ってはならないようなイベントも用意されていたんです!食べてばかりいちゃダメですよセシルちゃん!」
セシル「ど、どういう意味よ?」
クロウ「次回!『ゴルドン祭 女の戦い』極めろ、強さへの道!」
 

 

 

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