第38話「地獄から蘇りし聖なる翼」
ゴルドンの町中、ヒスイとセシルは、謎の二人組に・・・。
ヒスイ「あなた達は・・・!」
ジュウ「前触れもないまま~♪おとづれる、凶悪な犯罪 見逃さずに犯人を捕らえて~ 牢屋越しに笑うよ その罪は決して消えない 大きな過ち 誰もまだ知り得ない真実の答えを welcome deep piece 無限の光に一番遠い場所 この罪を償えばいつかは出られるの?リングのように繰り返した~・・・。」
ヒスイ「ストーップ!!」
またも何かの替え歌を歌い始めたジュウをヒスイは慌てて止める。
ジュウ「な、なんだよ。折角気持ちよく歌ってたのに。」
ヒスイ「歌とか別にいいので・・・。」
ジュウ「それより、話は聞いたぜ。まさか、お前が犯罪を犯してしまうとは・・・。」
と、ヒスイとセシルの間にいるであろう人を指差す。が、そこには誰もいない。
ジュウ「あれ?もう一人は?」
ジャベンス「いないでごわすな。」
ヒスイ「クロウならもう、既に・・・。」
ジュウ「なに~?!もう自警団に捕まったって!?」
ジャベンス「先を越されたでごわすな。」
ヒスイ「(まだ途中までしか言ってないのに・・・。)」
ジュウ「だが、共犯者であるお前ら二人がまだ捕まっていない!正義の味方としてこれは見逃せない!」
ヒスイ「え、いや、ちょっと・・・!」
ジュウ「問答無用!いくぞ、スパイラルビースト!!」
ジュウが取り出したビーダマン。それは以前のビーストウェーブとは違っていた。
ヒスイ「そ、そのビーダマンは・・・!」
更に鋼の砦に行く前に見た新ビーストとも違っている。
ジュウ「おいらはこのスパイラルビーストで、更に自分の正義に磨きをかける事を誓ったんだ!」
数日前。
ズゴー!バゴー!!
とある山奥でビー玉が岩を砕く音が聞こえる。
ジュウ「うおおお!!」
ジャベンス「ごわすごわ~す!!」
ジュウとジャベンスが特訓しているようだ。
ジュウ「ジャスティスタイフーン!!!」
ジュウの放った二発の横回転玉が共鳴し、嵐を生み出す。
ジュウ「う~ん・・・・。」
巻き起こった嵐を見ながら、ジュウは思案しているようだ。
ジャベンス「どうしたでごわすか?ジュウあんちゃん。」
ジュウ「もっと強くならないとなぁ。」
ジャベンス「ジュウあんちゃんは今でも十分強いでごわすよ!」
ジュウ「それでも鋼の烏には敵わなかった・・・。」
敵わなくて当然である。
ジャベンス「それは・・・。」
ジュウ「このままじゃ、正義を貫く事なんて出来ない!もっと磨きをかけないと!」
ジャベンス「ごわす!」
ジュウ「決めポーズに!」
ジャベンス「ごわ・・・・え?」
ジュウは、拳を握り締め、叫ぶ。
ジュウ「決めポーズ・・・それはヒーローたるもの必要不可欠の儀式!いわば、おいらの心が風に乗って飛んでいくために必要悪なもの!」
ジャベンス「言ってる意味が良く分からないでごわすが・・・。」
ジュウ「決めポーズ・・・あぁ、なんて魅惑な響きなんだ・・・決めポーズ・・・あぁ、決めポーズ・・・決めポォ~ズ♪」
ついには歌い出してしまう始末。もう手の付けようがない。
ジャベンス「(ジュウあんちゃん・・・なんてかっこいいんだ!わしもいつか、ジュウあんちゃんのように・・・!)」
この兄弟を止める事が出来るものは現れるのだろうか。
???「楽しそうですね。」
と、ジュウ達の前に現れたのは、緑色の髪にメガネをかけたちょっと背の低い少年だ。
ジュウ「ん、ヒスイ・・・?(いや、違うか)」
パッとみヒスイと見間違えたが、まったくの別人だ。
???「?」
ジュウ「あぁ、えっと・・・。」
???「君もビーダーなんですか?」
ジュウ「ああ、まぁ・・・。」
???「じゃあ僕と勝負しましょう!僕、いろいろなビーダーと戦って、いろいろなビーダマンを見てみたいんです!」
目的までヒスイとそっくりだ。
ジュウ「(こいつ一体・・・?)まぁ、おいらももっと強くなりたかったし、いいよ!」
???「よし、じゃあバトルはターゲットバグシューティングです。」
???はどこから取り出したのか、大量のターゲットバグを放出した。
ジュウ「!?」
???「それぞれ、10個ずつターゲットバグを自分の陣地に置き、先に相手のバグを全てヒットさせた方の勝ちです。」
ジュウ「分かった。じゃあ始めよう!」
ジャベンス「じゃあいくでごわすよ!ビー、ファイア!」
???「いきますよ・・・エメラルドガンナー!!」
???が取り出したビーダマンは緑色で、巨大なゴムローラーが特徴的なビーダマンだ。
ジュウ「(・・・ジェイドガンナーと似てる・・・でも、どこか違う・・・。)」
???「いけー!!」
巨大ローラーの力による超速連射。???はどんどんバグをヒットしていく。
ジュウ「しまった!」
いつの間にか三つもゲットされているジュウ。
ジュウ「負けるもんか!!」
ジュウも得意のドライブショットで???のショットを弾き、相手のバグをヒットする。
ジュウ「どうだ!」
???「やりますね!」
飛び交うビー玉。しのぎを削る二人。バトルはほぼ互角で、激しさを増していく。
ジュウ「いっけー!!」
???「エメラルドガンナー!!」
そして、いつの間にか、残ったターゲットは、ジュウは4つ。???は2つだ。
ジュウ「よし、あと二つ!絶対にゲットしてやる!!」
???「さすがにちょっとまずいかな・・・。」
???はそう呟き、ポケットからバネのようなものを取り出し、トリガーにつける。
ジュウ「(なんだ?」
???「ハーフスプリング装着!ハーフストロークショット!!」
ズドドドド!!!
エメラルドガンナーからさっきとは比べ物にならないほどの連射の嵐が吹き荒れる。
ジュウ「な、なにぃ!!」
その連射の嵐にターゲットバグは愚か、ジュウまでも吹っ飛んでしまった。
ドサッ!!
飛ばされ、仰向けになるジュウ。
ジュウ「・・・み・・・見えた・・・新たなる正義の力の形が・・・!」
ジュウ「・・・と、いうわけで完成したのがこの・・・スパイラルビーストだ!」
スパイラルビーストを掲げて自慢げに語る。
セシル「つまり、コピーしたってこと?」
ジュウ「そゆこと。」
セシル「久しぶりに出たわね、その設定・・・。」
ジャベンス「多分、多くの人たちには忘れ去れてると思うでごわす・・・。」
セシル「だよね・・・。」
ヒスイ「(今のこいつの話・・・まさか・・・!)」
ヒスイはジュウのコピー能力云々よりもジュウが出会った少年の方が気になっていた。
ヒスイ「(廃棄処分した例のサンプルが・・・?まさかな、ゾンビじゃあるまいし・・・。だが、一応確認しておいたほうがいいかもな・・・。)」
ジュウ「んなことより勝負だ!絶対にお前らの悪事を・・・!」
ヒスイ「すいません!僕ちょっと用事ができました!」
ジュウ「は?」
ヒスイ「セシルちゃん、あとお願いします!」
そういって、ヒスイはその場を去っていった。
ジュウ「お、おい!逃げるのか!」
セシル「待ってよヒスイ!」
ヒスイを追いかけようとするセシルだが、ジュウに捕まってしまう。
ジュウ「お前まで逃がすか!こうなったらお前だけでも逮捕してやるぅ!」
セシル「えぇ・・・!?」
ジュウ「いくぞスパイラルビースト!!」
スパイラルビーストを構えるジュウ。
そして、片方のローラーを固定して地面に向かってショットを放つ。
セシル「?!」
地面にめり込んだジュウのショットはキュルキュルと横回転する。
ジュウ「どうだ!このスパイラルビーストは、片方のローラーを固定して撃つ事で横回転を与えることができるんだ!」
ジュウはもう片方のローラーを固定してまだ横回転している玉に向かって撃つ。
ギュワアアアアア!!!
ジュウ「これにより左右の回転がよりしやすくなった!食らえ!ジャスティスタイフーン!!」
ゴオオオオオオオ!!
久しぶりにジャスティスタイフーン炸裂!
セシル「キャアアア!!!」
その衝撃波に、セシルはあっけなく吹っ飛ばされてしまった。
ジュウ「正義は勝つ!」
ジュウは新しいへんてこな決めポーズをとる。
ジャベンス「やったでごわすな!・・・でも、吹っ飛ばしたら逮捕できないんじゃ・・・。」
ジュウ「あ゛・・・。」
クロウが押し込められた牢屋。
クロウ「お前は・・・!」
ツバサ「やぁ、久しぶりだね。」
クロウと同じ牢屋にいた少年、それはあの神鷹ツバサだった。
クロウ「何故、お前がこんなところに・・・。」
ツバサ「色々あってね。それより、君はどうして?」
クロウ「俺も、ちょっとあってな。」
ツバサ「ふ~ん、まぁいいや。そんな事より、久しぶりに会えただから、バトルでもしない?」
クロウ「ふん、相変わらずビーダマン壊して楽しんでるのか。」
ツバサ「違う違う。僕は純粋に君と勝負してみたいって思っただけだよ。」
クロウ「・・・だが、今ここにビーダマンはない。ここに放り込まれたとき、所持品は全て押収されてしまったからな。」
ツバサ「それは僕も同じ。だけどね、ここでは自由時間っていうのが与えられてて、その時間はこの自警団にある運動場を使えるんだ。そこでは自分が所持してたビーダマンも返して貰えるんだよ。」
クロウ「なるほど。」
そして自由時間。クロウとツバサは運動場へと向かった。
クロウ「・・・・・。」
クロウは返して貰ったデスサイズを手にとった。
ツバサ「さぁ、行くよ。これが僕の生まれ変わった聖なる翼、セイクリッドガルダだ!」
ツバサの持っているビーダマンは新型のようだ。
クロウ「新型か・・・。」
ツバサ「うん、セイクリッドウィングに更なる磨きをかけた僕の新しい相棒さ!」
クロウ「・・・・。」
ツバサ「そういう君も、新型みたいだね。」
クロウ「デスサイズだ。」
ツバサ「ふ~ん、面白そうだ・・・。ここにはDHBの設備が揃ってるけど、せっかくの新型なのに、DHBで性能を束縛したらもったいないよね。」
クロウ「まぁ。」
ツバサ「かといって、ここでデスマッチをするのはちょっとまずいかな・・・。」
クロウ「早く決めろ。」
ツバサ「あぁ、ごめんごめん。じゃあお互いパワー型同士だし、ダブルホッケーでもしようか?」
パワー型同士だからというのは理由にはならないと思うが。
クロウ「まぁいいだろう。」
フィールドにつく二人。
ツバサ「ビー、ファイア!!」
バシュッ!
まずは、ツバサのショットが右側のパックを大きく弾く。
クロウ「パワーは上がってるようだな。」
ツバサ「もちろん!」
そして、もう片方のパックも飛ばす。
ツバサ「今回のウィングは、常にホールド側とカウンターレバー側を矯正しているだけでなく、自分でシメることでホールドパーツとカウンターレバー両方をシメることが出来るんだ!」
つまり、パワーとシメ力を強化した機体である。
ツバサ「はぁ!!」
ツバサはフルパワーで二つのパックを偏りなくおしていく。
どんどんクロウの陣地に迫ってくるパック。
クロウ「なるほど。」
ドンッ!!
クロウはダブルバーストを少し横にずらし、一気に二つ同時に弾く。
ツバサ「なに!」
クロウはその調子でどんどん押していく。
ツバサ「くっ!」
カンッカンッ!
ツバサも負けじと押し返す。が、一つずつしか押せないので多少不利だ。
ツバサ「くそっ!」
必死でパックを押すが、押した分の二倍はこっちにくるので、ラチがあかない。
クロウ「どうした?新型といってもたいしたことはないな。」
クロウが大した事ありすぎなだけです。
ツバサ「それはどうかな?」
セイクリッドガルダのラージウィングが動き出す。
クロウ「!?」
ツバサ「見せてあげるよ!新たなる羽ばたきを!」
ラージウィングが前方に出て、スタンドになる。
クロウ「これは・・・!」
ツバサ「セイクリッドガルダの力は、ミドルウィングだけじゃない!外側のラージウィングは、可動式で、前方に倒せばスタンドになるんだ!」
スタンドによりふんばりがきくようになったので、ツバサはおもいっきりシメられる。
ツバサ「いくよ!セイントブリーズ・・・。」
ドンッ!!
ツバサの必殺、ラージウィングによる機体の固定、それによるミドルウィングへのシメの強化弾が放たれる。
その玉は、パックにではなく、斜めにフェンスに向かって飛んでいく。
クロウ「どこへ撃って・・・なにっ!?」
カンッ!!
セイントブリーズは、フェンスに反射し、横に並んでいるパックを一気に二つ同時に弾いた。
クロウ「!?」
弾かれたパックはフェンスにぶつかりながらも勢いよくクロウの方へ向かっていく。
ツバサ「いけー!」
クロウ「ちっ!」
乱雑に飛んでくるパックに狙いを定めるのは至難の業だ。
しかし、それでもクロウは天性の才能で、パックの軌道を見極め、ショットを放つ。
カンッ!!
そのショットは二つともパックに命中。
しかし、そのせいでパックは互いに激突し、フィールド外へ出て行ってしまった。
クロウ「・・・少しずれたか。」
ツバサ「う~ん、この場合はドローになるのかな?」
ポー!ポー!!
突如、場内にサイレンが鳴り響く。
ツバサ「あ、時間だ。戻ろう、クロウ!」
クロウ「ああ。」
その頃、ジャスティスタイフーンにより吹き飛ばされたセシルは・・・。
セシル「きゃああああ!!!!」
ドタッ!!
どこかの大きな家のベランダに落下したらしい。
セシル「いたたた・・・・ここは?」
腰を押えながら立ち上がり、あたりを見渡す。
セシル「ええっと・・・ベランダ・・・?」
と、家の中から声が聞こえてきた。
セシル「まずい!」
セシルは慌てて、物陰に隠れる。そして、そっと中を見ている。
中では、小太りでどことなくリッチそうな格好をした男が、宝石を持ってにやけている。
ゴルドー「むふふ~。今日からはずっと一緒でちゅよ~。」
その男は宝石に何度も何度も口付けしている。
セシル「(な、何なの?あれ・・・。)」
つづく
次回予告
セシル「もぉ!ジュウのせいでとんでもないところに飛ばされちゃった!・・・でも、ここってもしかして・・・!」
ヒスイ「次回!『犯人の手掛かり』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」
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