爆・爆ストーリー ZERO 第37話

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第37話「アリバイと濡れ衣」
警備員A「ローレン美術館美術品窃盗罪で、お前を逮捕する!」
クロウ「なに・・・!」
 突如言い渡された宣告。正直訳が分からない。
 だが、ここで呆然としているわけにはいかない。訳も分からずに捕まるわけには行かないのだ。
クロウ「ちぃ!」
 クロウは素早くデスサイズを取り出すと地面に向かって撃った。
 ドーンッ!!
 巻き起こる砂煙。
警備員A「うわっ!なんだぁ!?」
警備員B「ゲホッ!ゲホッ!!」
 突如起こった砂煙に警備員達は動揺する。その隙にクロウ達は地面を蹴り、走り出す。
セシル「ちょ、ちょっとなんなのよいきなり!?」
ヒスイ「なんで、クロウが窃盗犯だなんて・・・!」
クロウ「この宝石・・・なるほど、そう言う事か。」
ヒスイ「え?」
クロウ「とにかく別れるぞ!俺と一緒にいたら、お前らまで犯人扱いだ!」
セシル「だ、だけど・・!」
クロウ「いいから!俺についてくるな!」
 そう言って、クロウは分岐点でヒスイ達と別れる。

クロウ「はぁ・・・はぁ・・!」
 案の定、警備員達はヒスイとセシルは無視し、クロウを執拗に追いかける。
警備員達「待て―!!」
クロウ「(ちっ、このまま逃げてもラチがあかないな。それに、この町にいる以上、逃げ道はどこにもない・・・。)」
 そう思ったクロウは立ち止まった。
 そして、警備員達へ向かってビー玉を撃つ。
警備員達「うわっ!!」
 それに、少しひるむ。
クロウ「はぁ!!」
 再びショット。しかし、それは警備員の集団の中から飛んできた連射により防がれる。
クロウ「なに・・・!」
???「おい、貴様・・・。」
 一人の男が一歩前に出てきた。
クロウ「!?」
 ゴツイ、岩のような男だった。
警備員C「り、リカルド隊長!」
 その男の名はリカルドと言うようだ。
リカルド「いい加減、大人しくしねぇと・・・俺のシャドーリボルバーが火を吹くぜ?」
 リカルドはシャドーリボルバーと言うビーダマンの銃口をフッと軽く吹く。
クロウ「面白い、やれるものなら、やってみろ。」
リカルド「・・・いい目をしているな。窃盗犯であるのがもったいないくらいだ・・・。いいだろう、一斉射撃だ!!」
警備員達「はい!」
 警備員達は一斉にビーダマンを構える。
警備員A「いくぞ、シャドーバスター!!」
 ズドドドドド!!
 シャドーバスターは、自警団員に支給される量産ビーダマンのようだ。ミドルバレル等の市販品にはない機能を持つが、所詮は量産型。
クロウ「パワーのない連射がどれだけ攻めようが、圧倒的パワーの前には無力だ。」
 クロウの言った通り、ドライブダブルバーストがすべての玉をふっ飛ばす。
警備員B「くそっ!強すぎる!」
警備員A「ぐわ!」
 クロウのショットが警備員Aにヒットしたようだ。
警備員H「アキラ!大丈夫か!?」
 警備員Aの名前はアキラと言うようだ。
アキラ「あ、ああ・・・なんとかな。」
リカルド「こいつぁ、ちっと・・・厄介かもな・・・。まさかあのショットを使わせるとは・・・。」
クロウ「?」
 チャキ・・・!
 リカルドはシャドーリボルバーのブースターを後ろに下げる。すると、ホルパーも後ろに下がる。
クロウ「(なんだあれは・・・?)」
リカルド「このショットを使わせたのは、数年前の連続殺人犯、ジャック・ギルドーだけだぜ・・・。」
 ドンッ!!!
 そして放たれるショットはとんでもない威力を持っていた。
クロウ「なに!?」
リカルド「リボルバーショット!!」
 リボルバーショットのパワーに守られ、後ろから警備員達のショットが無数に襲ってくる。
クロウ「くっ!!」
 ギリギリのところでリボルバーショットは撃ち落せたが、その後から来る無数のショットまでは防ぎ切れない。
クロウ「ぐわああ!!」
 無数の玉がデスサイズにヒットし、クロウは吹っ飛んでしまう。
クロウ「くっ!」
 仰向けに倒れるクロウ。そこへ、リカルドがゆっくり近づいてきて・・・・。
リカルド「惜しかったな?」
 カチャ・・・。
 手錠をかけた。
 クロウは、もはや抵抗は無駄だと悟り、無言で立ち上がり、大人しく連行される。
リカルド「さぁ、大人しく例のものを渡して貰おうか。」
クロウ「・・・・。」
 片手は手錠をかけられているので、もう方方の手で宝石を取り出し、それを渡す。
 と同時にもう片方の手にも手錠をかけられる。
???「おぉ~犯人が捕まったのでぇすねぇ~!!」
 と、そこに金ぴかの服を来た小太りの男の人が現れる。
リカルド「ゴルドー市長。」
ゴルドー「さすがは我が町の自警団隊長!私は信じていましたよぉ。」
リカルド「少々てこずりましたが、なんとか。」
 リカルドは取り返したばかりの宝石をゴルドーに渡す。
ゴルドー「おお~!!我が愛しの人魚の涙ちゅわぁ~ん!」
 その宝石は人魚の涙と言う名前らしい。その人魚の涙にゴルドーは何度も何度もいとおしそうに口付けする。
ゴルドー「それにしても・・・。」
 ゴルドーは口付けをやめ、リカルドの方を向く。
ゴルドー「だから言ったではあぁりませんかぁ!こんな大事な宝石は、あんな警備の薄いローレン美術館に展示せず、私の元へ置いたほうが良いと!」
リカルド「し、しかし、この宝石は市のものですし・・・市宝は市の指定した美術館に展示すると言う決まりが・・・。」
ゴルドー「うるちゃーい!市のものは市長である私のもの!とにかく、こんな事件が起こってしまった以上、もうあの美術館には預けておけないのでぇす!と言うわけで、この人魚の涙は私の手元に置いておくでぇす!文句はあぁりませねぇ?」
 人魚の涙を大事そうに抱え、横目でリカルドを睨むゴルドー。
リカルド「まぁ、市長の意見なら・・・。」
 従わざるを得ないのだろう。それ以上リカルドは何も言わなかった。
ゴルドー「ふふふふんふふ~ん♪」
 ゴルドーは人魚の涙を自分の手元に置ける事が嬉しかったのだろう。そのままスキップして去って行った。
 その後、本部への道のりを無言で歩き続けるクロウとリカルド。
 そこへ・・・・。
ツバキ「あれ、クロウじゃねぇか。」
クロウ「・・・・。」
リカルド「神鷹か。事件は解決した。すぐに本部へ戻れ。」
ツバキ「はっ!リカルド隊長!」
 ツバキは、姿勢を正し、敬礼する。
 しかし、すぐに姿勢を崩し、クロウへ話し掛ける。
ツバキ「お前・・その手錠・・・まさか、あの窃盗犯は・・・。」
リカルド「こいつの仕業だ。」
 クロウの代わりにリカルドが答える。
ツバキ「そんなっ!何かの間違いじゃ・・っ!」
リカルド「証拠はある。こいつはあの宝石を持っていた。・・・しかも、聞き込みによれば、事件当時、こいつと似たような奴が美術館近くで挙動不審にうろついてるのを見た奴がいると・・・お前も聞いただろ?」
ツバキ「それは、そうですが・・・しかし、こいつはそんな事する奴じゃ・・・!」
リカルド「神鷹!・・・仕事に私情を挟むな!」
ツバキ「・・・はい。」
 リカルドの一喝でツバキは口を閉じた。
 そして、本部へたどり着き、クロウは薄暗い牢屋へ閉じ込められる事になった。
リカルド「一週間後に裁判が行なわれ、お前の刑が決まる。・・・5億ビーロもする人魚の涙を盗み、更に公務執行妨害、ビーダマン障害罪と、罪を重ねてきたんだ。簡単に出られるとは思わないほうが良いぞ。」
 リカルドはそれだけ言って、牢屋の扉を閉め、鍵をかけた。
クロウ「・・・・・。」
 クロウは、特に何をするでもなく、ただボーっと突っ立ってた。
クロウ「また、逆戻りか。」
 前にも経験がある。クロウは幼い頃、閉じ込められた事があるのだ。それに比べれば、今回の牢屋はたいした事はないのかもしれない。
 その時、牢屋の隅で、何かが動く気配がした。
クロウ「?」
 振り向くと、そこには人影が・・・。
???「やぁ、久しぶりだね。」
クロウ「お前は・・・。」
 

 その頃、ヒスイとセシルは・・・。
ヒスイ「ふぅ・・・。追ってが来なくなりましたね。」
セシル「クロウ、大丈夫かな?」
ヒスイ「心配ですね・・・。」
???「おーい!!」
 その時、どこからか声が聞こえてきた。
ヒスイ「?」
 その声の主は走ってきているようだ。荒い息遣いが聞こえてくる。
ヒスイ「って、神鷹さんじゃないですか。」
ツバキ「はぁ、はぁ・・・・!お前ら、何のんびりしてんだ!?」
セシル「え?」
 さっきまで必死で逃げてたものにたいしてのんびりしてるとは失礼極まりない発言だ。
ヒスイ「どうしたんですか?」
ツバキ「大変だ、クロウの奴が窃盗犯として捕まっちまったんだよ!」
ヒスイ「えぇ!?」
セシル「逃げ切れなかったの・・・?!」
ツバキ「ん・・・てことは、お前らも知ってるのか、クロウが窃盗犯って疑われてるの。」
ヒスイ「ええ、まぁ・・・。」
セシル「それで私達、さっきまで逃げてたんだけど。」
ツバキ「まさか、クロウが窃盗犯ってのは、本当に・・・!?」
ヒスイ「いえ、そんなはずはないです!僕らがこの町に来たのは、ついさっきですよ。ものを盗む余裕なんて・・・。」
ツバキ「だよな・・・。でも、聞き込みによれば、クロウと似たような奴を事件当時ローレン美術館で見たって証言もあるし・・・。」
ヒスイ「そんなバカな・・・。その事件っていつ起こったんですか?」
ツバキ「1、2週間前くらいだったかな?」
ヒスイ「丁度僕らが鋼の砦を出て、ゴルドンへ向かっている途中ですね・・・。」
セシル「なんだ、アリバイは十分じゃない。」
ツバキ「いや、それを証明するための証拠、または証言がなければアリバイは成立しない・・・。」
セシル「えっ?!」
ヒスイ「まぁ、そうですよね・・・。」
ツバキ「一週間後に、裁判がある・・。そこでなんとか無実を証明しなければ、クロウは一生牢屋から出られないな。」
セシル「そ、そんなっ!」
ヒスイ「(なんだと・・・!)」
ツバキ「・・・悪いな、俺もそろそろ仕事に戻らないといけないんだ。俺が言えるのはこれだけだ。」
 そう言ってツバキは歩いて言ってしまう。
ヒスイ「ど、どうしましょう・・・このままじゃ・・・。」
セシル「・・・よし!こうなったら・・・!」
 セシルは、何かを決意したようだ。
ヒスイ「どうしたんですか?」
セシル「聞きこみよ聞きこみ!このまま手をこまねいていてもしょうがないもん!私達も事件をいろいろ調査して、クロウの無実を証明するの!そして、クロウに濡れ衣を着せた真犯人を見つけてやる!」
ヒスイ「そうですね、今僕らに出来る事をしないと!」
???「おい、お前ら!」
 その時、いきなり頭上からけたたましい声が聞こえてきた。
???「非道な悪事を重ねる旅人よ!今日こそおいらの鉄拳が唸りをあげるぜ!」
???「ごわすごわす!」
セシル「あなた達は・・・。」
ヒスイ「まさか・・・!」
 突如ヒスイ達の前に現れた謎の人物は一体・・・!
        




      つづく

 次回予告


クロウ「俺の前に久しぶりに現れた少年。」
ツバサ「やぁ、久しぶりだね。また会えて嬉しいよ。」
クロウ「何故お前が牢屋にいるのか?そんな疑問をぶつける間のなく、奴は俺に勝負を挑んできた。」
ツバサ「生まれ変わった僕の羽ばたきを見せてあげるよ!」
クロウ「次回!『地獄から蘇りし聖なる翼』極めろ、強さへの道!」


 

 

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