爆・爆ストーリー ZERO 第39話

Pocket

第39話「犯人の手掛かり」



セシル「き、きもちわる・・・!」
 セシルは今、ゴルドー市長の家のベランダにいた。
ゴルドー「ちゅっ!ちゅちゅちゅ、ちゅっ!」
 ゴルドーは延々と人魚の涙にキスをしてる。
 マジできもいきしょい。それを見た日には、河原に行って小石でも投げたくなるだろう。
セシル「う~・・・。」
 ちょっと気分が悪くなり、その場を離れる。
セシル「で、でも、あの男の人が持ってたの・・・クロウが持ってたものと同じ宝石だった。なんで、あの男の人が?」
 もう一度部屋をのぞいてみる。が、そこには既にゴルドーの姿はなく、宝石は机の上においてあった。
セシル「と、とにかく確かめてみなくちゃ。」
 運良く窓には鍵がかかっていなかった。セシルは十分回りに注意しながらそっと部屋の中に入る。
セシル「・・・やっぱり、あの宝石だ。」
 机に上においてある宝石を手にとった。
セシル「それにしても、ここは誰の家なんだろう?随分、お金持ちの家っぽいけど・・・。」
 セシルはあたりを見回してみる。この部屋はどうやら書斎のようで、本棚の中には難しそうな本がたくさんならんでいる。
 そして、机の上には、いろんなトロフィーやら賞状やらがおいてあった。
セシル「あ・・・。」
 何気なく上を見上げて、セシルは唖然とした。
 本棚の上の方に、『私が市長じゃ~!!』とでっかく書かれた習字が飾ってあったのだ。まぁ、あの市長ならやりかねないという方針で。
セシル「し、市長だったんだ・・・あの人(汗」
 宝石にちゅちゅやってた奴が市長だとは、とても信じられないが、事実なのだから仕方ない。
セシル「・・・あの宝石って市長のものだったんだ。あれ、でも美術館の美術品って言ってなかったっけ?」
 美術品なら、本来美術館に置くべきなのに、何故市長の家にあるのか。
 疑問に思いつつも、セシルは部屋の中を探索する。
セシル「あ、これって・・・。」
 次にセシルが見つけたのは、『×』と書いてある看板だった。しかもいくつもある。
セシル「どこかで見たことあるような気がするんだけど・・・。それにしても、なんでこんなものがこんなところに?」
 キィ・・。
 そのとき、部屋の扉がゆっくりと開く。
セシル「あっ!」
 セシルは慌ててその場を去り、ベランダへと身を潜める。
ゴルドー「ふんふんふふ~ん♪やっぱり人魚の涙ちゃんには、紅茶で乾杯が一番でぇすねぇ~♪」
 ゴルドーが、湯気の立つコップを持って鼻歌を歌いながら部屋に入ってきた。
ゴルドー「それじゃぁ、人魚の涙ちゃんにかんぱ~い!」
 その後も、ゴルドーは夜遅くになるまで人魚の涙を見続けていた。
セシル「(うぅ、私ずっとこのままなの・・・?(泣)」
 結局セシルはベランダで夜を過ごす事になってしまった。

 そして翌日、セシルはなんとかゴルドーの家を抜け出し、ヒスイを探していた。
セシル「はぁ・・・疲れた・・・。なんなのあの屋敷・・・。それにしても、ヒスイはどこに・・?」
ヒスイ「セシルちゃ~ん!」
 タッタッタ!
 言ってるそばから、ヒスイが前方から走ってやってきた。
セシル「ヒスイ!もう、今までどこ行ってたのよ!」
ヒスイ「それはこっちのセリフですよ!あの後元の場所に戻っても誰もいないし・・・。勝手にどこかにいかれたら困るじゃないですか!」
 まぁ、えてして迷子って言うのは、そうやってなるものなのだ。
セシル「・・・・・はぁ、もういいよ。なんか、物凄く不毛な気がしてきた・・・。」
ヒスイ「・・・・・確かに。」
 二人はどちらかともなく歩き出す。
セシル「あ、そんな事より。」
 セシルは、ヒスイに昨日のことを話した。
ヒスイ「えぇ、本当なんですか、それ!」
セシル「うん、間違いないよ!」
ヒスイ「だとしたら、その市長が怪しいですね。でも、まだ明確な証拠があるわけじゃないし・・・。とにかく、もっと情報を集めないといけませんね。」
セシル「情報かぁ・・・。でも、二人だけじゃ、ちょっと心もとないね。」
ヒスイ「大丈夫!それなら、いい方法があるんです!」
セシル「いい方法?」
 

 そして、そのまた翌日・・・。
 クロウが閉じ込められている牢屋の扉がゆっくりと開く。
クロウ「?」
 そして、そこに現れたのは、リカルドだった。
リカルド「おい、出ろ!」
クロウ「は・・?」
 正直、訳がわからない。
リカルド「何をしている。釈放だ。」
クロウ「なんだ?俺の無実が認められたのか?」
リカルド「バカか?・・・保釈金が払われたんだよ。」
クロウ「保釈金・・・。」
リカルド「分かったら、さっさと出ろ!」
 言われるままに、クロウは自警団事務所から出る。
 久しぶりの日の光のまぶしさに目を細めながらも、クロウは目の前にいる二人の姿を確認した。
クロウ「お前ら・・・。」
ヒスイ「ね、出てこれたでしょ?」
セシル「あ~、こんな簡単な事だったんだ。」
クロウ「やはり、お前が保釈金を?」
セシル「うん。10万ビーロくらいだったら、お小遣いのほんの一部だし。」
クロウ「そうか・・・。」
ヒスイ「でも、釈放と言っても一時的なものなんです。一週間後の裁判で無罪を勝ち得ないと、意味がありません!」
セシル「あと、4日しかない。なんとしてでも真犯人を見つけないと!そのために、クロウに保釈金を払ったんだから!」
クロウ「そうだな。」
ヒスイ「犯人の手掛かりは、ある程度掴んだんです。あとは、確証さえあれば・・・!」
クロウ「何、手掛かりだと!?」
ヒスイ「えぇ、恐らく、あの市長が怪しいです。」
 ヒスイは、一昨日セシルが見たものをクロウに伝えた。
クロウ「なるほど、確かに、あいつは胡散臭すぎるからな。」
 クロウは一回ゴルドー市長を見たことがあるのだ。
クロウ「そうと決まれば、聞き込みだな。事件当時のことを、もっと詳しく聞いてみるんだ。」
ヒスイ「はい!」
 こうして、クロウ達は、街中の人たちに聞きにまわった。
 ・・・・・。
 ・・・。
ヒスイ「えぇ!?見たんですか!!」
 そして、ついに事件当時、犯行現場で犯人の姿を見たという少年を見つけた。
少年A「うん。」
セシル「それで、どんな人だったの!?」
少年A「えっと、丁度、そこにいる人みたいな服装だったよ。」
クロウ「・・!」
少年A「でも、ちょっと体系が違ってたかな・・・?」
セシル「そ、それってもしかして、ちょっと背が低くて小太りで・・・。」
少年A「ううん、背は高かった。それで、体系もがっちりしてた・・・ような・・・。」
クロウ「はっきりしないな。」
少年A「だって、しょうがないだろ。暗かったし、それに一瞬の事だったから。」
ヒスイ「そうですか・・・。とにかく、ありがとうございます。」
 なかなか良い情報をくれた少年に礼を言い、その場を去るクロウ達。
セシル「う~ん、やっぱりむずかしいね、犯人を探すのって・・・。」
ヒスイ「犯人は、そのゴルドー市長に間違いないと思うんですよ。」
クロウ「ああ。」
セシル「うん、でもその確証は得られなかったし・・・。」
クロウ「さっきの話だと、俺が犯人である確証から遠ざかるが、市長が犯人であるという確証からの遠ざかる・・・。」
セシル「犯人は、全く別にいるのかなあ・・・?」
 その頃・・・ツバキは、自警団の訓練所で特訓していた。
ツバキ「はぁぁ!!!」
 ドンッ!ドンッ!!
 床に並べられたターゲットをどんどん倒していくツバキ。
ツバキ「はぁ・・・はぁ・・・!」
 構えを解き、一息つくツバキ。
 そのとき、強力なショットがツバキの頬をかすめ、倒れているターゲットにヒット。ターゲットは宙を舞う。
ツバキ「!?」
 反射的に後ろを振り向くツバキ。
ツバキ「た、隊長・・・!」
リカルド「なかなか調子いいようだな。」
ツバキ「はい!」
リカルド「どうだ?久しぶりに、俺とやらないか?」
 シャドーリボルバーをちらつかせるリカルド。
ツバキ「た、隊長とですか!?」
リカルド「たまには、俺も真剣にバトルがしたくなってな。」
ツバキ「は、はい!じゃあお手合わせ願います!」
リカルド「ルールはデスマッチだ。実戦を想定としたバトルで行くぞ!」
 距離をとり、ビーダマンを構える二人。
リカルド「いくぞ!」
 ドンッドンッドンッ!!
 片手撃ちによる連射を放つリカルド。パワーは低いが玉数は多い。
ツバキ「っ!」
 大きく動き、それを全て交わす。
ツバキ「はぁ!」
 カシャッ!
 素早くビー玉を一個装填し、ホールドについているパッドを思いっきりシメる。
 ドキュンッ!!
 強力な玉がリカルドへ向かう。
リカルド「リボルバーショット!!」
 カンッ!!
 さらに強力なショットで迎え撃つリカルド。その玉はツバキのショットをあっさり撃ち落し、そのままツバキへ向かっていく。
ツバキ「(あの技を使うとは・・・隊長、本気みたいだ。だったら、こっちも本気で行かないと失礼だな。)」
 ツバキは、アームをホルパーのパッドに干渉させ、固定する。
ツバキ「ジャッジメントショット!!」
 ジャッジメントショットが火を吹く。勢いよくリカルドへ向かっていく。
リカルド「リボルバーショット!!」
 再びリカルドのリボルバーショットが放たれる。
 バーンッ!!!
 二つのショットの威力はほぼ互角のようだ。お互いに相殺しあってしまった。
ツバキ「はぁ・・・はぁ・・・!」
リカルド「腕を上げたな、神鷹。」
ツバキ「(あんな強力な必殺ショットを連続で使っても、まだ息が切れてないなんて・・・さすが隊長だ。)」
リカルド「気を抜くんじゃない。実戦はこんなに甘いものではないぞ!」
ツバキ「はい!」
 二人は再び強力なショットを撃ちあう。
 ・・・・。
 ・・・。
ツバキ「はぁ・・・はぁ・・・・。」
 それから数十分。ツバキは床の上で仰向けになり、息を乱している。
リカルド「だらしないぞ神鷹。」
ツバキ「すいませ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
 リカルドの本気のパワーは半端ではない。
 こっちもそれに対抗するためには、毎回ジャッジメントショットを撃つしかない。しかし、必殺ショットは消耗が激しいのだ。
ツバキ「はぁ・・はぁ・・・ふぅ・・・。」
 ようやく息も整ったのか、ツバキは立ち上がる。
ツバキ「さすがです、隊長。自分はまだまだです。」
 と、リカルドに敬意を表する。
リカルド「まぁ、そう卑下するな。お前も筋は良い。」
ツバキ「ありがとうございます。」
リカルド「それより、お前にこのあと頼みたい事があるんだが・・・いいか?」
ツバキ「なんでしょう?」
 1時間後。
 ツバキは、クロウ達の後をつけていた。
ツバキ「・・・・・。」
 一時間前。(なんだこの書き方は(汗))
ツバキ「尾行?」
リカルド「あぁ。クロウアスカードが釈放された事は知っているな?」
ツバキ「はい、保釈金が支払われたとかで・・・。」
リカルド「そこでだ。前科者の奴がなんの罰も受けずに外に出て・・・何もしないわけがないだろう?」
ツバキ「しかし・・!」
リカルド「前にも言ったはずだ。仕事に私情を挟むなと。」
ツバキ「・・・。」
リカルド「それと、これを持っていけ。」
 リカルドは小さな機器をツバキに渡す。
ツバキ「これは?」
リカルド「トランシーバーだ。奴らが何かしようとしていた場合、これで俺に連絡を取れるようにな。」
ツバキ「・・・分かりました。」
 ヒスイ達は、片っ端から町の人に何かを聞いている。
ツバキ「(何を聞いているんだ・・・?まさか、事件のことか?)」
 ツバキは早速、町の人にヒスイ達が何を聞いていたのかを聞いてみた。
 やはり、事件当時のことだった。
ツバキ「(真犯人を探してるってわけか・・・。)」
 ジジ・・・!
 そのとき、ツバキの持っていたトランシーバーから声が聞こえる。
リカルド「どうだ、ツバキ。奴らの様子は・・・。」
ツバキ「えぇ、彼ら、真犯人を探すために町の人に聞き込みをしているようです。」
リカルド「ふん、犯人が聞き込みとは、笑い話にもならないな。」
ツバキ「と、とにかく、もう少し様子を見てみます。」
 そのとき、ふいにクロウ達の声が届いた。
クロウ「やはり、犯人はあの市長に間違いないはずだ。」
セシル「そ、そうよね。動機もはっきりしているし。」
ヒスイ「確証なら、元々ありますしね。」
クロウ「だったら、やるべきことは一つだ。」
 クロウ達の言葉を聞き、ツバキは、リカルドに連絡する。
ツバキ「隊長、クロウ達が真犯人の目星をつけたようです。」
リカルド「なに・・・?」
 そのとき、リカルドは必要以上に驚いているようだったが、ツバキは特に気にしなかった。
ツバキ「彼らは、ゴルドー市長が怪しいと睨んでいるようです。」
リカルド「ゴルドー市長が・・・。」
 その言葉を聞いた途端、リカルドが少し沈黙する。
リカルド「・・・そうか、なるほど・・・確かにその方が・・・。」
 と、独り言のようなものが聞こえた。
ツバキ「隊長・・?」
リカルド「あぁ、いや、確かにわずかな可能性を完全否定するのもなんだな・・・。よし、ツバキ。お前も奴らに協力しろ。捜査令状がなければ、何も出来ないだろうからな。俺もすぐにそっちに向かう。」
ツバキ「えっ、は、はぁ・・・(どうしたんだ、いきなり・・・?)」
クロウ「奴の家に乗り込むんだ。セシルの言った事が本当なら、証拠となる品はあるだろうからな。言い逃れは出来ないはずだ。」
ヒスイ「そうですね!」
セシル「でも、勝手に入ったらこっちが悪者になるんじゃ・・・。」
クロウ「既に悪者にされてるんだ。大して変わらないだろう。」
セシル「それはそうだけど・・・。」
クロウ「奴の犯行をはっきりと提示すれば、俺たちの罪など、薄れるはずだ。」
セシル「う~ん・・・。」
ツバキ「いや、それはさすがにまずいんじゃないか?」
 ツバキは、偶然を装い、クロウ達に話し掛けた。
クロウ「お前は。」
ツバキ「よっ、釈放おめでとう。それより、市長の家に乗り込みたいんなら、手を貸すぜ。」
ヒスイ「ほ、ほんとですか!?」
ツバキ「ああ、俺もお前が犯人だとは思ってないからさ。」
クロウ「・・・・・。」
 しかしクロウは、ツバキの腰についているトランシーバーを見逃さなかった。
クロウ「(・・・なるほど、そう言うことか。)」
 こうして、クロウ達とツバキはゴルドー市長の家へと赴くのであった。


           つづく
 

 次回予告

ヒスイ「さぁ、ついに追い詰めましたよ真犯人!」
ゴルドー「なんだ、私が何をしたというんだ・・・!?」
ツバキ「とぼけるな!」
リカルド「残念ですが・・・あなたを逮捕します。」
クロウ「さて・・・それはどうかな?」
リカルド「なに・・!?」
クロウ「次回!『仕組まれたミスリード』極めろ、強さへの道!」
 

 

 

この記事は楽しんでいただけましたか?
ブログランキング参加中!足跡代わりにクリックお願いいたします

ミニ四駆 ブログランキングへ



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

JPEG,PNG,GIF形式の画像を投稿できます(投稿時はコメント入力必須)