爆・爆ストーリー ZERO 第26話

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      第26話「禁じられた過去」

“あなたが渡す気が無いと言うのなら、この話は保留と言う事で。セシルもこちらで預からせていただきます。”
 レシアスの言葉が頭の中に響く。
旦那「くっ・・・!」
 旦那は屋敷の自分の部屋で苦悩していた。
旦那「ようやく・・・捕らえたと言うのに・・・!」
 “6年前、あなたが見せてくれたあれですよ。”
旦那「(確かに6年前・・・私は、偶然あれを見つけた・・・。)」
 ・・・・。
 ・・・。
 6年前、旦那はビーダ魔人が祭られている神社へと足を運んだ。
 その日は、正月で、初詣にやってきたのだ。
 幼い愛娘を連れて・・・。
旦那「さぁ、お参りもすんだし、帰ろうか?」
娘「お父さん~、綿菓子買って~。」
旦那「ははは、分かった分かった。」
 と、その時、旦那の目に、祭壇の上に置いてある青いビーダマンが目に入った。
旦那「(あれは・・・?)」
 他にも大勢の人がいるのだが、気づいていないのか、皆素通りしている。
旦那「・・・・。」
 何かに導かれるように、そのビーダマンを手に取っていた。
 それから数日後。
 旦那は一人で町へ出かけていた。青いビーダマンを持って。
旦那「そうか・・・これはビーダマンと言うものなのか。」
 店で売られている、自分と同じような形の玩具を見つけて、それがなんなのかを理解したようだ。
 バッ!
旦那「?!」
 その時、人相の悪い男に、青いビーダマンを取ってかれてしまった。俗に言う引ったくりと言うものである。
男「こいつはもらったぁ!」
旦那「くそっ!待て!」
 慌てて追いかけるが、全然追いつかない。
ポイジャン「ふはははは!マラソン選手である最強の引ったくり男、ポイジャン様においつけるわけないんじゃ!」
旦那「ぐぐ・・・!」
少年「どうしたの、おじさん?」
 その時、ビーダマンを持った少年が旦那に声をかける。
旦那「あの男に、ビーダマンを取られてしまったんだ!」
少年「そう、じゃあ僕が取り返してきてあげるよ!」
 そして、少年はポイジャンを追いかけ、そしてビー玉を発射した。
 ドンッ!
ポイジャン「なんじゃ!?」
 そのビー玉はポイジャンの持っている青いビーダマンにヒットし、ポイジャンはビーダマンを落としてしまった。
ポイジャン「くそっ!覚えてろ!」
 そう言い捨てて、去って行った。
少年「よかったね、おじさん。」
 青いビーダマンを拾う旦那。
旦那「あ、ああ、ありがとう。」
少年「ところで、それ、なんなの?」
旦那「これは、神社で拾ったビーダマンなんだ。」
少年「へぇ~、凄い強そうだね~!」
 ・・・・・。
 ・・・。
 回想シーン終わり。
旦那「(まさか、あの時の事をレシアスが覚えているとはな・・・。)」
 旦那は金庫から青いビーダマンを取り出した。
旦那「一応念のためにレプリカは作って置いたんだが・・・これで納得するかどうか・・・。」

 その頃クロウ達は・・・。
ヒスイ「はぁ・・・これからどうしましょう・・・?」
クロウ「さぁな。」
 当ての無い道をただ歩いていた。
ヒスイ「セシルちゃんは捕まったまま、助けようにもB-フォースのアジトが分からない・・・はあぁ・・・・。」
 大きくため息をつくヒスイ。
クロウ「あ、あれは・・・!?」
 と、クロウは何かを見つけたようだ。
ヒスイ「どうしたんですか?」
 ヒスイはクロウの視線を追いかける。
 すると、そこにいたのは・・・!
ヒスイ「ああ!」
 ジュウとジャベンスがボロボロになって倒れていた。
ヒスイ「だ、大丈夫ですか、二人とも!」
 駆け寄る二人。
クロウ「一体・・・誰にやられたんだ・・・?」
 その時、ジュウの口がゆっくり開く・・・。
ジュウ「気を・・・つけろ・・・。」
ヒスイ「え・・?」
ジュウ「俺達・・・にとって・・・・一番厄介な敵は・・・二つの姿を持つビーダマン・・・だ・・・。」
 そう言ってジュウはそのまま気を失った。
クロウ「・・・・。」
ヒスイ「二つの姿・・・?」
???「まさかあなた方がいるとは・・・。」
 突如、後ろから聞き覚えのある忌々しい声が・・・。
クロウ&ヒスイ「!?」
 振り向く二人。
 そこに立っていたのは、レシアスだった。
クロウ「お前は・・・!」
ヒスイ「(レシアス!)」
 ヒスイの表情が厳しくなる。が、他の二人はそれに気づかない。
レシアス「ふ、まさか生きているとはね・・・。」
クロウ「あのまま、やられるわけにはいかなかったからな。」
レシアス「そうですか。しかし、意外と普通の人間と言うものも生命力は強いんですね。あそこから生き残れる人間など、私位なものかと思ってましたが・・・。」
ヒスイ「そんな事より、あの二人をやったのはあなたなんですか!?」

 ヒスイが言っているのはジュウとジャベンスの事だ。
レシアス「違いますね。まぁ、命じたのは私ですが・・・。私はただ、どんな状況か様子を見にきただけですよ。」
クロウ「まぁ、丁度いい機会だ。セシルを返してもらおう。俺は・・・俺達はあいつを失うわけにはいかない。」
 大事な食費源だしね。
レシアス「そういうわけにはいきません。こっちも商売ですからね。・・・と言って、納得してくれる訳は無いか。」
ヒスイ「当たり前ですよ。」
レシアス「そうですね。仕方ない。バトルといきますか。」
 ビーダマンを取り出すレシアス。
クロウ「・・・本来なら、俺がリベンジと行きたいところなんだが・・・。ヒスイ、お前に任せる。」
ヒスイ「な・・・!?」
 クロウのセリフに、必要以上に驚愕するヒスイ。
クロウ「?」

 その驚愕の意味をクロウは理解出来なかった。
レシアス「ヒスイ・・・・?」
 だが、レシアスはヒスイと言う名前に反応を示しているようだ。
レシアス「そうか・・・なるほど、以前と髪型が違っていたから気づきませんでしたよ。もしかしたらとは思ってたんですが。しかし、まさか、まだこんな事を続けていたとは・・・。」
 ドキュンッ!
 レシアスが何か言う前に、ヒスイはビー玉を発射し、その玉はレシアスの頬をかすめた。
ヒスイ「黙れ・・・!」
レシアス「ふ、別に言うつもりはありませんよ。言って得するわけでもないし・・・。」
ヒスイ「・・・・。」
レシアス「それより始めましょう。ルールはデスマッチでいいですね?」
ヒスイ「構わない・・・!」
 ヒスイは何か切羽詰ったような、そんな雰囲気を漂わせている。
ヒスイ「(こんな事で・・・・終わりにするわけにはいかないんだ!)」
レシアス「いきますよ、パワードスナイパー!」
 パワードスナイパーは、長いレールのようなバレルが特徴的なビーダマンだ。
クロウ「(あのバレル・・・サンダースピアの時と同じで、摩擦によってパワーダウンするはずだな。)」
 ドンッ!
 先手はレシアスがとった。
 パワードスナイパーと呼ばれたビーダマンからビー玉が発射される。
ヒスイ「くっ!?」
 間一髪でそれをよけたが、玉の威力は凄まじかった。
クロウ「なんだ、あのショットは・・・!」
ヒスイ「そうか・・・!あのバレルは摩擦力を極限まで押えた素材を使っているんです!」
レシアス「しかも、バレルが土台になり、ビー玉の威力を上げているんですよ!」
クロウ「(なるほど・・・通常発射されたビー玉は、重力との摩擦により威力が下がる・・・だが、摩擦の低いレールが土台になれば、飛距離を上げる事が出来るという事か。)」
ヒスイ「(しかも・・・素体は相変わらずドライブタイプ・・・徹底したパワータイプって所か・・・あれを使わないとまずいかも!)」
 その時。
 ドンッ!
クロウ「!?」
 どこからともなくビー玉が飛んできて、ジェイドガンナーにぶつかった。
ヒスイ「なに!?」
 とっさの事で、ジェイドを落としてしまうヒスイ。
クロウ「誰だ!」
 ビー玉を撃ったのは、数人の黒服達だった。
黒服A「ふっふっふ・・・。」
クロウ「お前らは・・・!」
黒服B「今度こそ、お前達を倒して、昇給してやるぜ!」
ヒスイ「ちっ!厄介な奴らだ!」
 ヒスイは咄嗟にレーザーホーネットを取り出し、黒服の男達へビー玉を放つ。
 ガンッ!!
 一瞬で数人の黒服達を倒してしまった。
レシアス「っほう、さすがレーザーホーネット。パワーはないが、一撃ですか。」
ヒスイ「・・・・。」
 そして、ヒスイはレーザーホーネットをしまう。
レシアス「ふ、やはりジェイドの方が扱い易いと言う事ですか。」
 レシアスはジェイドガンナーブリッツを拾い、ヒスイに投げる。
 無言でそれをキャッチするヒスイ。
レシアス「では、始めますか・・・!」
ヒスイ「すぐに決めてやる・・・!」
 ヒスイは、手首のスナップをきかせて、ジェイドガンナーブリッツを宙へ放り出す。
レシアス「?」
 そして、手のひらをかえして、ジェイドガンナーブリッツをキャッチ。
ヒスイ「いくぞ・・・リバースハンドミッション!!」
 ズドドドドド!!
 突如、ジェイドガンナーブリッツから怒涛の連射が発射される。
レシアス「なに・・・!?なんだ、この連射は!」
ヒスイ「逆手に持つ事で、手が、ビー玉を補充する妨害にならないですむ!それにより、補充スピードが上がるんです!」
レシアス「なるほど・・・相変わらずの連射型か。」
 ドンッ!ドキュンッ!!
 パワーのレシアス、連射のヒスイの激しいショットがぶつかりあう。
 互いに一歩も動かず、ビー玉のショットだけで決着をつけようとしているのだ。
ヒスイ「いっけー!!!」
 バキィ!!
 ヒスイの執念のショットがついにレシアスのパワードスナイパーを弾き飛ばした。
ヒスイ「はぁ・・はぁ・・!」
レシアス「ふっ、負けてしまいましたか・・・。」
 レシアスはパワードスナイパーを拾い、きびすを返し、歩き出す。。
クロウ「あ、おい!セシルはどうした?」
 クロウの呼びかけに、レシアスは立ち止まる。
レシアス「誰もバトルに負けたら返すとは言ってませんよ。」
ヒスイ「なに・・!?」
レシアス「ですが・・・明日の正午、グラビトンパークである依頼主と取引をする事になってます。興味があれば、覗いてみては?」
ヒスイ「・・・明日の・・・正午・・・。」
レシアス「それから君・・・クロウって言ったっけ?」
クロウ「なんだ?」
レシアス「おせっかいかもしれませんが、一つ忠告しておいてあげます。」
クロウ「忠告だと?」
レシアス「えぇ。・・・今のままの状態を続けているのなら、いずれ・・・後悔する事になりますよ。」
クロウ「後悔?どういう事だ!」
レシアス「・・・言いたい事は、それだけです。」
 そう言って、レシアスは去って行った。
クロウ「・・・・。」
ヒスイ「(あいつ・・・・!)」
 一体、ヒスイとレシアスは、過去に何があったのか・・・。
 その、禁じられた過去に隠された秘密とは・・・?

           つづく

 次回予告

クロウ「Bーフォースと依頼主の取り引き現場に踏み込んだ俺達は、ついにセシルと再会した。」
ヒスイ「そして、その依頼主とは・・・!?」
クロウ「次回!『その花は夢見る』極めろ、強さへの道!」



 

 



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