爆・爆ストーリー ZERO 第25話

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      第25話「ジャベンスの試練」

ツバキ「よし、ついたぜ!」
 ツバキ、クロウ、ヒスイの三人は、グラビトンビレッジから東北へ数キロ先に位置しているネオンシティに到着した。
 昼間だというのに、煌びやかな明かりがまぶしいにぎやかな町だ。
 前回ツバキの協力をしたクロウとヒスイはそのお礼に昼ごはんをごちそうになるのだった。
ツバキ「んじゃ、どこに食いに行こうか?」
クロウ「別に、どこでもいい。」
ヒスイ「そうですね、ここら辺の地理はよく分かりませんし・・・ツバキさんのお勧
めのお店とかがいいんじゃないですか?」
ツバキ「俺のおすすめねぇ・・・。」
 ツバキは、一瞬考えるそぶりをする。
ツバキ「おし、んじゃあそこがいいかな?」
 そうして、三人が入ったお店は、ちょっと高そうなレストランだった。
ヒスイ「・・・・。」
 その店の雰囲気に、ヒスイは少し落ち着かないようだ。
クロウ「ずいぶん高そうだな。大丈夫なのか?」
ツバキ「ガキが金のことで心配すんなよ。俺、働いてんだぜ、お前ら二人にたった一食おごるくらいどうってことねぇよ。」
 ツバキは、ニカッと笑顔で言う。
 と、その時、三人の座っている席にウェイトレスらしき女性が現れる。
ウェイトレス「ご注文はいかがなさいましょうか?」
ツバキ「あぁ、そうだな・・・俺は、ペペロンチーノを。」
クロウ「俺は・・・。」
 メニューを見るクロウ。そのクロウの姿を発見したウェイトレスは・・・。
ウェイトレス「(あ!?こ、この子・・・!!!)」
 ウェイトレスはクロウの事を知っているようだが、クロウに知られたくないのか、顔を少し背けている。
クロウ「(ん・・・この女、どこかで見たことがあるような・・・?)」
 と、クロウも少し気になったが、とりあえず、注文することにする。
クロウ「そうだな・・・シーフードチーズカレー一つ。」
ヒスイ「僕は、鍋焼きうどん。」
ウェイトレス「かしこまりました。」
 ウェイトレスは注文をメモ帳に書き、頭を下げてから厨房に戻る。
 そして数分後。
 料理が入っている『であろう』皿を乗せたお盆を、大きな猫が運んできた。
デブ猫「お待たせしました。」
 そして、猫が皿をみんなの前に並べていく。
ツバキ「うっは~!待ってました~!」
 そして、意気揚々と食事にありつこうとするのだが・・・。
ツバキ「・・・って、なんじゃこりゃ~!!」
 ツバキの皿には、麺が一本しか乗っていなかった。
クロウ「・・・・。」
 クロウの皿には、ご飯粒が5個しか乗っておらず、カレールーが少し皿にこびりつ
いているだけだった。
ヒスイ「フーフー!・・・って、あれ?どうしたんですか?皆さん。」
 鍋焼きうどんを冷ましていたヒスイは、異変に気づく。
ツバキ「なんでお前だけ料理が入ってるんだよ?!」
ヒスイ「いや、ていうか、料理が入ってないほうが不思議なのでは・・・(汗)」
デブ猫「(ふぅ、熱かった~、鍋焼きうどんは猫舌の天敵じゃわい。)」
 タッタッタ!
 クロウたちが楽しくお食事(?)をしているころ、ネオンシティの路地裏では、
ジャベンスが何かに追われているかのように必死で走っていた。
ジャベンス「はぁ・・・はぁ・・・さすがに、きついでごわすな・・・。でも、わし
は後悔はしてないでごわす。これが、わしの選んだ道だから!」
 ジャベンスは走りながら、思いに浸った。
 それは、昨日のことだった・・・。
 ジャベンスは久しぶりにB-フォースのアジトに帰ってきた。
レシアス「ずいぶんと、遅かったですね。何かあったんですか?」
ジャベンス「・・・・。」
 レシアスの問いにジャベンスは答えなかった。いや、答えられなかった、そんな余裕がなかったのだ。
ジャベンス「(ジュウあんちゃん・・・わしは・・・ジュウあんちゃんのように・・
・。)」
レシアス「ふ、まぁ、答える義務はありませんから、別に構いませんが・・・しか
し、仕事はしてもらいますよ。」
ジャベンス「仕事・・・?」
レシアス「えぇ。あなたが何度も失敗したあれですよ。何があったかは知りませんが、自分の失敗は自分で責任を持ってください。」
ジャベンス「・・・・。」
レシアス「先日、一番厄介なあの少年を始末しました。彼らの戦力は半減している。今なら・・・出来ますよね?」
ジャベンス「それは・・・・。」
レシアス「もっとも、それはあなたにやる気があればの話ですが。」
ジャベンス「!?」
レシアス「・・・分かっていますよね?私の言っていることの意味が。」
 ジャベンスは、何も答えることなく、外へ出て行った。
レシアス「ふっ。」
 その時、シルバもアジトへ帰ってきた。
シルバ「どうしたんじゃ、ジャベンスのやつ。随分と切羽詰っていたが・・・。」
 レシアスは事情を説明した。
シルバ「なるほど、あの時、やつらを逃がしたのは、こういう事じゃったのか。」
 ほくそ笑んでいるレシアスにシルバが話しかける。
レシアス「えぇ。最近の彼は、心が傾いていた。おそらく、裏切り者であるジュウに何かを吹き込まれたんだと思いますが・・・。」
シルバ「それで、なるべく任務を簡単なものにして、試すという事じゃな。」
レシアス「・・・彼には実力があります。その実力があれば、この任務は簡単にこなせるはずです。しかし、もしB-フォースとしての気持ちが皆無なら、この任務をこなすことは出来ない。そうなった場合は・・・・。」
 フッと笑うレシアス。
シルバ「なかなか面白そうじゃのう。」
 シルバも不適な笑みを浮かべる。
 そして、ジャベンスは、クロウの事を探して、グラビトンビレッジの公園のあたり
をうろついているヒスイとセシルの前に現れた。
ジャベンス「今度こそ、セシルを渡してもらうでごわす!」
ヒスイ「ジャベンス!?」
セシル「ま、また現れたの!?」
ジャベンス「・・・・。」
 “でも、兄ちゃん、もっと強くなりたいんだ・・・もっと強い正義の味方になって
・・・皆を守りたいんだ。”
 ジュウの言葉が脳裏に浮かぶ。
ジャベンス「!?」
 “B-フォースに依存している自分を救ってくれと・・・愛する弟のジャベンスの心がおいらを呼ぶ!!
ジャベンス「(ジュウ・・・あんちゃん・・・!)」
 ジャベンスはサンダースピアを構えるのだが、ビー玉を撃とうとはしない。
ヒスイ「?」
セシル「どうしたの?」
ジャベンス「(わしは・・・わしは、ジュウあんちゃんのように・・・!)」
 そして、サンダースピアをしまう。
ヒスイ「え、バトル・・・しないんですか?」
ジャベンス「わしには、できないで・・・ごわす・・・!」
セシル「そ、それってどういう?」
 そして、ジャベンスはその場を去った。
ジャベンス「(やっぱり、やっぱりわしは・・・!)」
 ヒスイたちのところから走り、街から出る。それでも足をとめず、ひたすら走り続けた。
レシアス「やはり、それを選びますか。」
 ジャベンスの前にレシアスとシルバが現れる。
ジャベンス「レシアス・・・シルバ・・・!」
レシアス「ふ、せっかくチャンスを与えたというのに、それを無下に扱ってしまうと
は、あなたも相当おろかですね。血は争えないと言う事か。」
ジャベンス「チャンス・・・?」
シルバ「これはお前への試験じゃったんじゃよ。あんな奴らからセシルを奪い取るなんて、造作もないことじゃからのう。」
ジャベンス「試験?」
レシアス「そう、あなたの心が、B-フォースよりか、裏切り者よりかを試すための、二択問題1問だけの特別試験ですよ。」
ジャベンス「それで・・・その試験の結果は?」
レシアス「不合格ですね。よって、我々はあなたを裏切り者として判断します。」
 ビーダマンを構えるレシアスとシルバ。
ジャベンス「っ!?」
レシアス「裏切り者には、それ相応の仕打ちを受けてもらいますよ。」
ジャベンス「くっ!」
 ダッ!とジャベンスは東北へ走り出した。
レシアス「・・・・。」
 その様子を見たレシアスはビーダマンをしまい、きびすを返す。
シルバ「ん?追いかけなくていいのか?」
レシアス「えぇ、それよりも、そろそろ彼が決着をつけるころだと思いますし・・・
私もアジトでいろいろとやるべきことがありますからね。ジャベンスの事はあなたに任せますよ。」
シルバ「し、しかし俺の体力が持つかどうか・・・!」
レシアス「ジャベンスの始末はまた今度つけますよ。それよりも、ジャベンスの居所をつけやすくするように、あれを仕掛けてきてほしいんです。」
シルバ「そうか、分かった。」
 そして、シルバはジャベンスを追いかけ、レシアスはアジトへと帰っていった。
 ・・・・・。
 ・・・。
 そして、現在。
ジャベンス「はぁ・・・はぁ・・・!シルバに発信レーザーを当てられた以上・・・
逃げることは無意味でごわすな・・・。でも、そう簡単にやられるわけにもいかないでごわす!」
???「やっと見つけたぜ!」
 その時、ジャベンスの後ろで声がした。
ジャベンス「!?」
 びっくりして後ろを振り向く。そこに立っていたのは・・・。
ジャベンス「ジュウあんちゃん・・。」
ジュウ「どうしたんだよ、こんな所で。B-フォースとは、話をつけたのか?」
ジャベンス「・・・・・。」
ツバキ「あ~、食った食った~。」
 食事が終わったツバキは、クロウたちと別れ、自警団事務所へと帰ってきた。
ツバサ「あ、兄さん!」
ツバキ「ん、なんだツバサ、どうしたんだよ?」
 事務所前に、ツバサとジョーがいた。
ジョー「お、おいツバサ!お前、本気なのかよ!」
 ジョーはツバサを止めているようだ。
ツバサ「うん、決着をつけたいんだ、自分自身に。自分自身の甘い心にけじめをつけたいんだ!」
ジョー「だ、だけどよ!せっかく、せっかく分かり合えたのに!」
ツバキ「?な、なんのことだかさっぱりなんだが・・・。」
ツバサ「実は・・・兄さんには隠してたんだけど・・・。」
 ツバサは、今まで自分がしてきたことの全てをツバキに話した。
ツバサ「だから・・・僕を逮捕してほしいんだ。今までの罪は消えないかもしれないけど、でも・・。何か、救いがあるような気がするから。」
ツバキ「・・・そんなことがあったのか。」
ジョー「な、なぁ!あんたツバサの兄貴だろ!見逃してくれよ!ツバサだって、反省してるんだし!」
ツバキ「・・・たとえ弟でも、法に違反した以上、見逃すわけには行かない。」
ジョー「そ、そんな!」
ツバキ「でも、自首してんだから、それほど重い罪にはならなくてすむと思うぞ!」
ジョー「・・・・。」
ツバサ「兄さん・・・。」
ツバキ「さ、行こうか、ツバサ。」
 ツバキは、ツバサをつれて、事務所へ向かって歩き出す。
ツバサ「ジョー・・・君にあえて、本当によかった。」
 振り向き、ジョーに向かって真っ直ぐな笑顔でそういう。
ジョー「ツバサ・・・!俺、もっと強くなる!そして、お前の分まで!勝利してやる
からな!!」
 ジョーは、ツバサに向かってありったけの声で叫んだ。
ツバサ「うん!また今度、絶対バトルしようね!」
       つづく
 次回予告
ヒスイ「僕たちの前に再びレシアスが現れました!」
クロウ「どうしたんだ、奴の様子がおかしいぞ?」
ヒスイ「!?・・・ま、まさか・・・!」
クロウ「そして、ヒスイも何かに怯えていた!いったい、この二人の関係は・・・!?」
ヒスイ「次回!『禁じられた過去』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」




 

 



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