第23話「轟け!ビー玉の雷鳴!!」
ジョー「うおおおお!!」
ツバサ「はあああ!!」
前回の続きで、激しくバトルする二人。
フィールド内を飛び交うビー玉、弾け飛ぶターゲット。
ジョー「はぁ・・・はぁ・・・!」
ツバサ「くっ!」
現在、ジョーの残りターゲットは、4本。ツバサは2本で、ジョーが有利で事が進んでいる。
ジョー「(これは・・・俺の求めるバトルじゃねぇ!)」
しかし、そう心の中で叫んだジョーは、ビー玉を撃つのを止め、ビーダマンをしまった。
ツバサ「?」
そんなジョーを不思議そうに見る一同。
ジョー「止めだ止めだ!」
そう言って、両手を上げてきびすを返す。
ヒスイ「止め?」
ジョー「ああ。こんなバトル、続けたくねぇ!」
ヒスイ「でも、折角有利だったのに・・・。」
ジョー「そんなの関係ねぇよ!俺は、俺の求めるバトルのために戦ってるんだ!それが出来ないんじゃ、戦う意味はねぇ。」
ツバサ「同感だね。勝てるかどうか分からないようなバトルは、僕好みじゃない。」
ツバサもビーダマンをしまう。
ジョー「そう言うこった。ちっ、バトルでこんなに厭な気分になったのは初めてだぜ。じゃぁな、もう二度とお前とはバトルしねぇよ!」
そうツバサに言って去っていこうとした。
クロウ「待てよ。」
が、それをクロウが止める。
ジョー「なんだ?」
振り向くジョー。
クロウ「お前、こいつとのバトルで自分の望むものが出来ないと言うのは承知の上でのバトルだったはずだ。なのに、バトルを中断するのか?」
ジョー「・・・確かに自分勝手だってのは分かってる。でもさ、やっぱ辛いだろ?楽しくないのは。自分の感情を押し殺すのだけはしないようにしてるんだ。俺は。」
クロウ「!?」
ジョーの言葉はきわめて自分勝手で、説得力の無いものだった。でも、それはクロウの胸に深く突き刺さった。
クロウ「(辛い・・・感情を押し殺すのは・・・。)」
ジョー「そう言う事だ。あ~あ、口直しに熱いバトルでも探しに行くかな~。」
そう言って、今度こそ本当にジョーは去って言ってしまった。
ツバサ「じゃ、僕も帰ろうかな。はぁ、折角いい気持ちだったのにあいつのせいで台無しだよ・・・・。」
ブツブツ文句を言いながらツバサも去っていってしまう。
そして取り残されてしまった二人。
クロウ「俺達も行くか?」
ヒスイ「ええ・・・。結局、B-フォースの手がかりは見つからず終いでしたしね。」
二人も歩き出した。
B-フォースのアジト。
水晶に映っている旦那に向かって話し掛けているレシアス。
それを遠くから面白くなさそうに眺めているチルド。
チルド「はぁ・・・。つまんないな・・・。」
シルバ「まぁ、暇なら依頼でもこなしてみたらどうじゃ?」
チルド「そうだね。まだこなしていない依頼が5件くらいあったし。」
そして、チルドは外へ出て行った。
ドンッ!ドンッ!!
人里はなれた荒野で銃声が鳴り響く。
男「ぐああ!!」
スーツを着た、お偉いさんらしき男の人が倒れる。
そして、それを見下ろすチルド。
チルド「・・・これで3件目・・・。こいつの機構は面白いけど・・・つまらない・・・。」
チルドは退屈そうにレーザーホーネットを眺めていた。
チルド「・・・なんで、僕ばっかりこんなに退屈してるんだろう・・・?」
そして、クロウ達は散々歩き回ったが、結局B-フォースのアジトを掴めずにいた。
クロウ「手掛かり無しか・・・。」
あちこち歩き回っているうちに、暗くなってしまった。
しかもまわりは何も無い荒野だ。
ヒスイ「仕方ありませんね、今日はここら辺で、野宿にしますか?」
クロウ「ああ。」
寝るための支度をし、横になるクロウ。
しかし、ヒスイはまだ寝る様子は無い。
クロウ「寝ないのか?」
ヒスイ「えぇ。」
ちょっと顔をうつむけ、呟く。ヒスイの手には、破損してボロボロになったローラーシールドブースターが握られている。
クロウ「・・・そうか。まぁ、お前が起きて何をしてようが勝手だ。好きにしな。」
そう言って目をつぶるクロウ。
ヒスイ「・・・・・。」
完全にクロウが眠ってしまった事を確認したヒスイは、行動を開始した。
ヒスイ「さて・・どうしたものか・・。」
冷めた目でローラーシールドブースターをジッと見る。
そして・・・。
ヒスイ「ちっ、やっぱもう使えないか。」
そう呟いて、地面に叩きつけた。
完全に砕けてしまうブースター。
ゴソゴソ・・・。
そして、懐から緑色のパーツを取り出す。
ヒスイ「ほんとはもっと調整してから使いたかったんだけどな・・・。ま、仕方ないか。」
カチャカチャ。
真夜中、一人で作業を開始した。
翌朝。
ヒスイ「出来たー!!」
ヒスイの叫び声が丁度いい目覚ましとなり、クロウは目を覚ました。
クロウ「ん・・・。」
けだるそうに体を起こしヒスイの方を見る。
クロウ「出来た?」
ヒスイ「ええ!ついに出来ました!ジェイドガンナーの後を継ぐ、僕の新しい相棒!ジェイドガンナーブリッツが!」
前機よりもごつく進化した緑色の戦士を掲げるヒスイ。
クロウ「ジェイドガンナーブリッツ?」
ヒスイ「そう!この機体はなんといっても・・・。」
ドキュンッ!!
ヒスイが新マシンの性能を説明しようとしたとき、ビー玉が二人の頬をかすめた。
クロウ「!?」
反射的に飛んできたほうに顔を向ける二人。
チルド「あ、やっぱりここにいたんだ。水晶を使って色々探し回ったんだけど、なかなか見つからなかったからイライラしてたところなんだ。」
レーザーホーネットを構えたチルドが笑顔で向かってくる。
クロウ「くっ!」
立ち上がる二人。
チルド「あ、そうだ。これ返すよ。」
チルドはレーザーホーネットをヒスイに向かって投げる。
ヒスイ「え・・・・。」
ヒスイはハトが豆鉄砲を食らったような顔をしてそれを受け取った。
ヒスイ「どうして・・・?」
チルド「それ、面白いけどつまらないんだ。簡単に終わっちゃうから。」
訳が分からないヒスイとクロウ。
チルド「それより僕と遊んでよ。みんなセシルの事につきっきりになって、つまらないんだ。」
チルドは一見友好的な笑顔を浮かべてジェネラルワンを構えた。
ヒスイ「いいでしょう。」
ジェイドガンナーブリッツを構えるヒスイ。
ヒスイ「(丁度いいテストになりそうだ。)」
チルド「行くよ。」
ドンッ!!
チルドのパワーショット。
これは、前回の戦いでは止める事の出来なかったものだ。
ヒスイ「・・・・・・。」
真っ直ぐチルドの玉がヒスイに向かってくる。
ヒスイ「ジェイドガンナーブリッツ!お前の力を解き放て!!」
ズドドドドド!!!
チルド「なに!?」
ジェイドガンナーBから放たれた無数のビー玉により、チルドの玉はあっさり弾かれた。
いや、それどころか、まだ残っている数個の玉がチルドに向かってくる。
チルド「くっ!!」
ヒスイ「はあああ!!!」
ヒスイはまだ連射を続けている。
チルド「なに!?」
形勢逆転。
今度はチルドがヒスイの玉を防御する番だ。
チルド「そんな!」
カンッカンッ!!
チルドの目の前で弾かれていくビー玉達。
チルド「なんでっ!なんでこんな玉が!」
ドンッ!!
渾身のパワーを込めたショットで、一気にヒスイの連射を弾く。
ヒスイ「!?」
間一髪でそれをよけるヒスイ。
玉はヒスイの頬をかすめて、後ろにある大木にぶつかる。
ドーンッ!!
大きな音を立てて大木が倒れた。
チルド「はぁ、はぁ・・・!」
ヒスイ「・・・・。」
息を切らすチルド。
それを冷静に見つめているヒスイ。
チルド「なんで・・・なんなんだよ、それ~~!!!」
クロウ「(これが、新しいジェイドガンナーの力か。)」
ヒスイ「従来よりも低い位置に片手撃ち用のグリップを搭載し、補充スピードを極めたネオシールドブースター!そして、セイクリッドホークとの戦いでヒントを得た、腕に取り付け、ホールドを締め付ける効果と、補充量、補充スピードを高めたパーツを搭載した超連射モデルです!」
グッ・・!
腕についた緑色の板を押さえつけてパワーショットを放つ。
チルド「!?」
チルドはなんとかそれをかわす。
ヒスイ「もちろん、パワーも上がってますよ。」
チルド「うっ・・・!」
チルドは完全にたじろいだ。
チルド「つまらない・・・・こんなのはつまらない・・・・!」
ヒスイ「まだまだぁ!」
攻撃の手を緩めないヒスイ。
怒涛の連射がチルドに襲い掛かる。
チルド「う、くっ!」
必死に防御するチルド。
しかし、徐々に押されていく。
チルド「ふざ・・・ける・・な・・・!」
バーンッ!!!
ヒスイ「!?」
さっきチルドが放った渾身のパワーショットが再び火を吹いた。
しかも、今度は連射だ。
チルド「ふざけるなふざけるなふざけるなぁ~!!!」
ヒスイ「くっ!」
徐々に、ヒスイが押されていく。
チルド「はぁ・・はぁ・・・!」
しかし、さすがに疲れたのか、そのパワー連射もすぐに収まった。
ヒスイ「よし!」
形勢逆転する事無く、ヒスイが再びチルドを圧倒し始める。
チルド「ぐっ、こんなの・・・つまらない・・・!つまらない・・・!」
何かをつぶやきながら必死で防御する。
チルド「つまらないよ、こんなの・・・簡単に勝つのはつまらないけど・・・負けるのは・・・もっと、つまらないじゃないか~~~!!!!」
叫んで、さっきのパワーショットを遥かに凌駕する威力のショットを放つ。
ヒスイ「なんだ!?」
スパー!!
ヒスイの玉を全て弾き、ジェイドガンナーブリッツに向かってくる。
ヒスイ「うっ!止められない!」
チルド「うわああああああああ!!!!」
バーンッ!!
チルドのショットはジェイドガンナーにぶつかり、ヒスイはジェイドを落としてしまった。
ヒスイ「しまった!」
慌てて拾うヒスイ。
その隙に、チルドは何かを叫びながら去って行ってしまった。
ヒスイ「ふぅ・・・。まだまだ調整が足りなかったようですね。」
額の汗を拭うヒスイ。
ヒスイ「あっ!」
と、いきなり何か思いついたように声を上げる。
クロウ「どうした?」
ヒスイ「い、急いでチルドの後を追いましょう!」
クロウは、ヒスイのセリフで全てを把握した。
クロウ「そうか、奴についていけば、B-フォースのアジトをつかめるかもしれない。」
そして、二人は、チルドが走っていったであろう方向へ・・・。
しかし、チルドは意外に速く、見失ってしまった。
つづく
次回予告
ジョー「自分の快楽のために、他人のビーダマンを破壊しまくるツバサ。それは絶対に間違ってる!」
ツバサ「言い訳をして、本当の勝負から逃げているジョー。それでは、本当の勝利は得られない!」
ツバサ&ジョー「その考え、絶対に正してやる!」
ヒスイ「次回!『浄化する魂』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」