爆・爆ストーリー ZERO 第20話

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第20話「最悪の巡り合い」



 紆余曲折ありつつも、ついに三人はグラビトンビレッジの公園で再会できた。
セシル「クロウ~!!」
 再会に涙したセシルはそのまま勢い良くクロウの胸に・・・。
クロウ「あ、そうだ。」
 ズデッ!
 クロウはすばやくセシルの攻撃をかわし、ヒスイの前にレクイエムを出した。

クロウ「こいつの調子がおかしい。前のバトルでは明らかに性能ダウンしていた。」

 ヒスイはレクイエムを受け取ると簡単に分析をしてみた。

ヒスイ「・・・やはり、素体にかなりの負荷がかかってますね。」
クロウ「前にアーマーを強化したからな、それに素体が耐えられなかったんだろ
う。」
ヒスイ「とりあえず、これは僕が修理しときますよ。」
 そう言って、ヒスイは、レクイエムをバッグの中にしまった。
クロウ「ああ、頼む。」
セシル「・・・・。」
 そんなやり取りを、セシルは土の味を噛み締めながら聞いていた。
 そう、さっきクロウにかわされたセシルはそのままの勢いで、みっともなく地面に倒れてしまったのだ。
ヒスイ「あれ、なんでそんな所で寝てるんですか?」
 セシルに気づいたヒスイは、本当に不思議そうに聞く。
セシル「別に。」
 言って、無言で立ち上がり、パンパンと服についた砂をはたく。
セシル「とにかく、合流出来て良かったね。」
ヒスイ「ほんとに、あの時はもう駄目かと思いましたよ。」
クロウ「あぁ、悪かったな、心配かけた。」
セシル「でも、よく無事だったよね?あんな高さから落ちたのに。」
クロウ「それは・・・。」
 ちょっと口ごもる。
 そして、ちょっと強い口調で、こういった。
クロウ「おい・・・いい加減出て来い。」
ヒスイはっ?」
セシル「?」
 二人はなんの事だかさっぱり分からない。
???「さすがだね。僕の気配に気づくなんて。」
 物陰から、謎の少年が出て来た。
ヒスイ「こ、こいつは・・・!?」
チルド「はじめまして、僕はチルドって言うんだ。」
 童顔で、背が低く、見たところヒスイよりも年下っぽかった。
セシル「どうしたのボク?もしかして迷子?」
 セシルが中腰になり、チルドと同じ目線になる。
クロウ「離れた方がいいぞ。」
セシル「えっ?」
 クロウの言葉で立ち上がるセシル。
チルド「なんだ、やっぱり分かっちゃうんだ。」
クロウ「あぁ、雰囲気で大体な。」
セシル「どういう事?」
 マジで訳が分からないヒスイとセシル。
クロウ「この展開でもまだ分からないのか・・・。ようするに、」
チルド「僕がB-フォースのメンバーって事だよ。」
 チルドの告白に、驚愕する二人。
セシル「えぇ!?」
ヒスイ「B-フォース!?」
チルド「ふふふ。」
 驚くセシルとヒスイに対しお構いなしにビーダマンを構えるチルド。
チルド「行くよ、ジェネラルワン。」
 そして、チルドは容赦なく攻撃を始めた。
クロウ「くっ!(今の俺は戦う力を持っていない。どうすれば!)」
セシル「に、逃げよう!」
ヒスイ「えぇ!」
 その場から逃げ出す三人。
チルド「逃がさないよ・・・!」
 追いかけるチルド。
チルド「久しぶりに面白い仕事になりそうだなぁ。」
 その頃、クレアはいまだクロウを探し回っていた。
クレア「はぁ・・はぁ・・・!」
 元々運動が得意と言うわけじゃない。ここまで走るだけでも随分と息を切らしている。
 でも、止まる事はなかった。
 何故だか知らないが、クロウと会わなければならない。会って、渡さなければならない。
 そう、本能的に感じていた。
クレア「ふぅ・・・ここにもいない・・・。」
 クレアはグラビトンビレッジの公園にたどり着いたのだが、そこにはもうクロウ達の姿はなかった。
ナンパ師「へい、姉ちゃん~。」
 その時、いかにも軽そうな男が、ガムをくっちゃくっちゃ噛みながら近づいてき
た。
クレア「!?」
 とても厭な感じ。
 生理的に受け付けないその雰囲気に、クレアは思わず吐き気をもよおしてしまうほどの嫌悪感を抱いた。
ナンパ師「なぁ~、もし暇ならさ~、俺っちと一緒にお茶でもどうよ~?」
 ナンパ師は図々しくも、クレアの肩に自分の手を回した。
クレア「あ・・あ・・・。」
 恐怖で、何も口に出来ない。
ナンパ師「ん、なに?OK?やった~、じゃ、いこうぜ!」
 ナンパ師はなんとも自分勝手な解釈をして、そのまま歩き出そうとする。
クレア「いや・・・。」
 ボソッと呟く。
ナンパ師「え、なに?聞こえな~い。」
 ナンパ師は耳を思いっきりクレアの口に近づけてきた。
クレア「!?」
 それがもう決定的だった。
クレア「いやーーー!!!!」
 我を忘れ、無我夢中で、男の手から離れる。
ナンパ師「な、なんだよ~、そんなにこわがんなくてもいいじゃん~!」
 振り払われたナンパ師は不機嫌そうに口を尖らす。
クレア「はぁ・・・はぁ・・・。」
 そして、クレアは無言で黄色いものを取り出し、ナンパ師に向かって構える。
ナンパ師「お、おい・・・何する気だよ・・!?」
 そして、何かが放たれ、ナンパ師は倒れてしまった。
 ・・・・気がついたら、自分の目の前にさっきのナンパ師が倒れていた。
クレア「はぁ・・・はぁ・・・。」
 頭の中は後悔でいっぱいだった。
クレア「また・・・・やってしまった・・・。」
 あれを手にしてからずっと、この衝動を抑えきれずにいた。
 自分ではどうしようもない。そこにいるのはもう、自分ではなくなってしまうのだから。
クレア「(もう二度と、誰も傷つけたくない。だから、絶対にこれを渡さないと
!)」
 再びそう決意し、走り出した。
チルド「ふふ、逃がさないよ~!」
 逃げる三人に向かって、ビー玉を撃ちまくるチルド。
ヒスイ「はぁ・・はぁ・・!!」
セシル「な、なんて凄いショットなの!?」
ヒスイ「そんな、市販品のジェネラルワンであそこまでのパワーが出せるなんて!・・・くっ!」
 ヒスイの走るスピードが落ちてくる。
セシル「だ、大丈夫!?」
ヒスイ「えぇ、なんとか・・・!」
 さっき二回もバトルをこなしたせいか、かなり体力を消耗している。
チルド「ちっ、もっと逃げろ・・!簡単に終わったらつまらないじゃないか。」
 強い口調でつぶやくチルド。
クロウ「こっちだ!」
 クロウは、木々の多い林を指差す。
 そこに入り、物陰に身を潜め、やり過ごそうとする。
クロウ「・・・・。」
 息を潜め、チルドが通り過ぎるのを待つ。
チルド「ちぃ、どこいった・・!」
 チルドは血眼になってクロウ達を探している。
チルド「くそっ、これじゃ面白くない!逃げろとは言ったが、隠れろとは言って無いじゃないか!」
 相当イラついているようだ。

 そしてB-フォースアジトでは、その様子を、レシアスがシャドウも使っている水晶で見ている。
レシアス「ふ、もっとイラつけ。それがあなたのパワーになるんですから。」
 ガチャ……。
レシアス「随分遅かったようですね、シルバ。」
シルバ「ちょっと、いろいろあってのう。ん?」
 シルバが水晶に映っているチルドに目がいく。
シルバ「チルド・・・もう使うのか?」
レシアス「えぇ、丁度いい頃合だと思いましてね。奴の試験も終了した事ですし、そろそろ決着をつけてもいいでしょう。」
 レシアスは意味深にほくそ笑んだ。

 

 一方のチルドは林の中に隠れたクロウ達を探していた。
チルド「どこだ!どこだ!!どこにいる!!!」
 チルドの声がどんどん大きくなる。
チルド「ふ・・・ふふ・・・・ははは・・・!」
 ドンッ!
 一発の玉がチルドの顔をかすめる。
チルド「ん・・・?」
 ゆっくりと、玉が飛んできた方に顔を向ける。
ヒスイ「・・・・。」
 そこには、ヒスイがジェイドガンナーを構えて立っていた。
チルド「やっとやる気になったようだな。」

 チルドの表情に笑顔が戻った。
ヒスイ「ええ、十分休ませて貰いましたよ。」
チルド「ふふ。」
 チルドの持つジェネラルワンから強力なパワーショットが放たれ、真っ直ぐジェイドガンナーへ向かってくる。
ヒスイ「いけー!!」
 それを連射で迎え撃つ。
 しかし、そのパワーは全然収まらない。
ヒスイ「くっ!」
 ガンッ!!
 止むを得ず攻撃を受け、耐える。
チルド「その程度か?」
ヒスイ「まだまだ!」
 そして、ヒスイがチルドと戦っている間に、クロウはセシルを連れて、林の外に出て行った。
セシル「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫かな、ヒスイ?」
クロウ「さぁな。だが、あいつも一端のビーダーだ。なんとかするだろう。」
 しかし・・・・。
チルド「逃がさないよ。」
 ヒスイを振り切った早くもチルドが、クロウたちを追いかけてきた。
セシル「は、早っ!」
クロウ「ちっ!」
 その時だった。
クレア「クロウ!はぁ、はぁ、やっと、やっと会えた。」
 クレアが息を切らしながらクロウ達の前に現れた。
クロウ「あ、あんたは・・・!」
クレア「あなたに・・・渡したいものが・・・!」
 クレアが黄色いビーダマンを取り出す。
チルド「邪魔だな。」
 ドンッ!
クレア「うっ・・!」
 ドサッ!
 チルドの攻撃を受け、倒れてしまうクレア。
チルド「ん・・・なんだ、これは?」
 チルドは、倒れたクレアの持っているビーダマンに興味を持った。
クロウ「それは!?」
チルド「見た事ないビーダマンだなぁ。」
 チルドはそれを拾い、玩具を手に入れた子供のような目で眺めている。
ヒスイ「ま、待て~!!」
 その時、ボロボロになったヒスイがようやくチルドを追いかけてきた。
ヒスイ「あ、あれは!?」
 しかし、チルドの持っているビーダマンを見て、驚愕する。
チルド「ん・・?まだ、生きてたんだ。」
 ヒスイの存在に気づき、つまらなそうな顔をするチルド。
 しかし、ヒスイはそれどころではない。
ヒスイ「れ・・・れれれ・・・・。」
チルド「れ?」
ヒスイ「レーザーホーネット!?」
          つづく
 次回予告
ヒスイ「僕らの前に、バトルの挑戦者が現れました!しかも、新型ビーダマンを持っているようです!これは、受けないわけにはいきませんね!」
クロウ「しかし、そいつはバトルの後に急に態度を変えてジェイドガンナーを・・・
!」
 次回!『汚れた聖なる翼』極めろ、強さへの道!」


 

 



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