爆・爆ストーリー ZERO 第15話

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第15話「クロウ、散る」
 B-フォースのアジト。
 ジャベンスがまたも任務に失敗した数日後。
ジャベンス「・・・・・。」
 ジャベンスはあの日からずっと一人部屋の片隅でふさぎこんでいた。
ジャベンス「(わしは・・・ジュウあんちゃんに勝った。わしは間違ってない。間
違ってるのはジュウあんちゃんでごわす・・・!!だけど・・・。)」
 ずっとそんな自問自答を繰り返していた。
男A「・・・・。」

 そんなジャベンスの様子を見て、男Aは困ったように思案した。

男A「(あのジャベンスが二度に渡って任務を失敗。よほど取り巻きが手ごわいと言う事ですか。しかし困りましたね、あまり長引くようだと報酬にも影響が出る。ここは早々に手を打つしか……)」
 その時、部屋の中央にあるテーブルの上にある水晶らしき球が光った。
男A「ん・・・。」

 どうやらそれは通信機としての役割を持っているようだ。
 男はその水晶を手にとり、誰かと話をする。
男A「・・・はい、分かりました。」

 男Aは静かに返事をして水晶をテーブルに置いた。
男B「誰だったの?」
 そこへ、子供っぽい印象の男が話し掛けてきた。
男A「エレスティアさんからです。」

 それを聞いて、子供っぽい男は興味深げに聞いてくる。
男B「へぇ・・・なんだったの?」
男A「あぁ、ターゲットの居場所がまた変更したようで、その連絡でした。今はグラビトンビレッジへ向かってるようですよ。」
男B「ふ~ん、グラビトンビレッジと言えば、途中で吊橋があるね。」
男A「狙うならそこでしょう・・・。今回は、私自らが行きます。これ以上失態を重
ねるわけにはいきませんからね。」

 そう言って、男Aはジャベンスを一瞥した。
ジャベンス「・・・・!」

 その視線に気付き、ジャベンスは身体を強張らせた。
 その頃、ジュウは・・・。
ジュウ「うおおおお!!!」
 巨大な岩相手にビー玉を撃ち、特訓していた。
ジュウ「はぁ・・・はぁ・・・!」
 ドサッ!
 仰向けに倒れるジュウ。
ジュウ「まだまだ・・・このビーストウェーブを完全に使いこなさないとな。」
 そして再び立ち上がり、ビーストウェーブを構える。
ジュウ「いっけー!!」
 ガンッ!
 キュルルルルル!!
 岩にめり込み、回転するビー玉。
ジュウ「・・・ようやく、形が見えてきたな・・!あともう一歩だ!」
 ギリッ・・!
 更にホールドパーツを締め付け、そして踏ん張る。
ジュウ「どわっ!」
 しかし、力みすぎたのか、足を滑らせ体が傾いてしまう。
 ドキュンッ!
 その状態で撃ったので、ビー玉は横回転しながら岩にぶつかる。
ジュウ「ととと・・・!!」
 そして今度は逆方向に傾いてビー玉を放つ。
 最初に撃った玉とはまったく逆回転のビー玉が岩にめり込んだビー玉にぶつかる。
ジュウ「!?」
 その瞬間、突風が起き、岩が粉々に吹っ飛んだ。
ジュウ「うわっ!?」
 ジュウも吹っ飛ぶ。
 ゴンッ!!
 そして、後ろにある岩に頭から激突してしまった。
ジュウ「・・・み、見えたぞ・・・正義の形が・・・。」
 そう呟き、気を失ってしまった。
 そしてその頃、クロウ達は街を出て荒野を続けていた。
クロウ「本当にこの方角であっているのか?」

ヒスイ「えぇ、街で得た情報では、レーザーホーネットらしきビーダマンを持った人がこの先のグラビトンビレッジの方へ向かっていったらしいんですが」

クロウ「その情報、確かなんだろうな?」

ヒスイ「分かりませんよ。でも、今はわずかな可能性にも縋りたいですからね。レーザーホーネットは思った以上に危険なビーダマンだった。早く回収しないと」

クロウ「俺としても、あの力は興味があるからな。一度手にするか戦うかしてみたいものだ」

 クロウとしては、レーザーホーネットを紛失しても全く痛手ではないが。

 あの時に見せたあの力と戦ってみたい。そのためにも探し出さなければならないと言う風には考えているようだ。
セシル「グラビトンビレッジかぁ。まぁ、目的地が村なら野宿しなくて済みそうね」

 と、そんな風に話ながら歩いていると……。
クロウ「・・・。」
セシル「何・・・これ・・・。」
ヒスイ「崖・・・ですね。」

 三人の目の前には崖があった。
 その崖は深さ何十メートルもあり、下には激流の川がある。そして、向こう側までは20メートルくらい離れている。
セシル「ここをどうやって渡るって言うのよ~!!」
クロウ「仕方ない・・・引き返すか。」
セシル「ダメ!絶対に村に行くの!」
クロウ「・・・・。」
ヒスイ「う~ん・・・。木を倒して橋でも作りましょうか?」
セシル「そんな長い木なんてないじゃない。」
クロウ「飛ぶか?」
セシル「どうやって!?」
クロウ「昔シャドウにいたころ、人間ビー玉とか言う技を使って崖を飛び越した奴の噂を聞いた事がある・・・。それを応用すれば出来るはずだ。」
セシル「だから、どうやってよ?」
クロウ「?・・・人間ビー玉で。」
セシル「だから!人間ビー玉はどうやってやるの!?」
クロウ「知るか。自分で考えろ。」
 理不尽である。
セシル「・・・・・。」
ヒスイ「ていうか、その必要はありませんよ。」
 ヒスイが遠くを指差す。
セシル「え?」
 その先には、吊橋があった。
クロウ「ふっ、やはりな。」
セシル「あ、あれを渡るの・・・!?」
 セシルはちょっと震えている。
セシル「も、もっと別の道はないの?」
ヒスイ「う~ん・・・・他に見当たりませんし、これ以上の道を行くとしたらかなり
遠回りになりますよ。」
セシル「うぅ・・・!」
クロウ「お前・・・怖いのか?」
セシル「ていうか!怖くないの!?」
クロウ「別に。」
ヒスイ「えぇ・・・。」
セシル「だって、ギシギシ揺れてるよ・・・!」
クロウ「風吹いてるんだから当たり前だろ。」
セシル「でも、でも・・!!」
クロウ「いいから行くぞ。」
 クロウとヒスイが吊橋に向かって歩いていく。
セシル「ほ、本気なの!?命が惜しくないの!?」
クロウ「お前・・・人間ビー玉の時は反応しなかったくせに・・・。」
 丁度その頃・・・・。
ジュウ「う・・・う~ん・・・。」
 気を失っていたジュウがようやく正気を取り戻す。
ジュウ「いてて・・・ん!?」
 ジュウの目の前にジャベンスがいた。
ジャベンス「探したでごわす・・・ジュウあんちゃん・・!」
ジュウ「ジャベンス・・・。まぁ、あの石を持ってるB-フォースなら見つけるのも簡
単と言うわけか。」
 ジュウは立ち上がる。
ジュウ「・・・・・。」
ジャベンス「・・・・・。」
 ジュウとジャベンスが対峙する。
ジュウ「ジャベンス・・・。」
ジャベンス「決着をつけるでごわす、ジュウあんちゃん・・!どちらが正しいか!」
ジュウ「ああ・・・。今度こそお前を救ってやるよ。お前の心を、B-フォースから。
兄貴として、そして正義の味方として!」
 ビーストウェーブSを取り出すジュウ。
ジュウ「あの頃のように!」
ジャベンス「あの頃・・・!?」
 あの頃とは一体何の事なのか・・・!?
 そして、場面がまた変わる。
 クロウ、ヒスイ、セシルの三人が吊橋を慎重に歩いている。
セシル「あわわ、揺れる!揺れるぅ!!」
 セシルは必死にクロウにしがみつきながら歩いている。
クロウ「邪魔だな・・。」
 と言いつつ、今の状態に甘んじている。
クロウ「(ちっ・・・!)」
ヒスイ「ふぅ、やっと半分まで来れた~・・・結構長いですね。」
 ゆっくりゆっくり歩いているのでたった20メートルとは言え、時間がかかる。
???「お待ちしておりましたよ。皆さん。」
 クロウたちの前に謎の男・・・って言うか、B-フォースのメンバーが現れる。
クロウ「お前は・・!」
ヒスイ「!?(こいつは・・・!)」
レシアス「私の名前は、レシアス。察しているとは思いますが・・・。」
クロウ「ああ、B-フォースだろ?」
レシアス「ええ。」
 うなづくレシアス。
ヒスイ「(何故・・・こいつが・・・!)」
 ヒスイは何か別の意味で驚いている。が、クロウもセシルもそしてレシアスもそれ
に気づいていない。
クロウ「B-フォースか・・・ならば容赦はしない。」
 と言うかクロウは誰でも容赦しないような気がする。
クロウ「さぁ、構えろ!」
 レクイエムを取り出すクロウ。
レシアス「ふっ・・・。」
 プロトワンを取り出すレシアス。
クロウ「プロトワンだと・・・ふざけるな!それがお前のビーダマンではなかろう
!」
レシアス「えぇ、でも、あなたごときに本気を出す必要が・・・あるのかどうか。」
クロウ「まぁいい、後悔させてやろう!」
 レクイエムのノーマルショット。
 ドライブ回転のビー玉がレシアスを襲う。
レシアス「ふっ。」
 ガンッ!!
 レシアスはあっさり撃ち落してしまう。
セシル「え!?クロウのショットが・・・!」
レシアス「ビーダーの力も極めると、プロトワンのようなビーダマンでもある程度の威力を発揮するんですよ。」
クロウ「くっ!」
 ドキュンッ!
 再び撃つクロウ。今度は締め撃ちだ。
クロウ「!?」
 その時、クロウは何か違和感を覚えた。
クロウ「(これは・・・。)」
レシアス「ふんっ!」
 またも撃ち落される。
クロウ「(まさか・・・また・・!?)」
レシアス「今度はこちらから行きますよ。」
クロウ「ちっ!使えない奴だな!」
 ドキュンッ!
 レシアスのパワーショットが放たれ、クロウに向かって飛んでくる。
クロウ「ちぃ!!」
 ドキュンッ!
 ペキッ!
 クロウも迎え撃つために思いっきりパワーショットを撃つのだが、その時、レクイ
エムから変な音が聞こえてくる。
クロウ「くそっ!?」
セシル「なによ・・・全然弱いじゃない!」
 レクイエムが放ったビー玉はいつもよりも数倍弱いものだった。
ヒスイ「(まさか!?)」
 当然、その玉は弾かれ、レシアスの放ったビー玉は、クロウに向かってくる。
クロウ「うわああああ!!!」
 バーン!!!
 レシアスのビー玉がぶつかり、クロウは吹っ飛ぶ。
セシル「あ、クロウ!!」
 そして、橋から激流の川へ落ちて行った。

           つづく

 次回予告

ヒスイ「た、大変です!クロウが!川に流されてしまいました!!あの高さからじゃ
・・・もしかして・・・!」
セシル「大丈夫よ!クロウの事だもん!そう簡単にやられたりはしないよ!」
クロウ「次回!『正義と真実』極めろ、強さへの道!」

  

 



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