爆・爆ストーリー ZERO 第12話

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第12話「奪われたレーザーホーネット!」

 黒服の男達との騒動の末、レーザーホーネットを何者かに盗まれたクロウ達は、あちこち探し回ったが、もう完全に日が暮れてしまった。
セシル「暗くなって来たね・・・。」
クロウ「あぁ、今夜は月も明るくない。そろそろ休んだ方がいいな」
ヒスイ「うぅ・・・レーザーホーネット・・・!」
ヒスイは未練がましく呟く。
クロウ「あきらめろ、どうせこの暗さじゃ探せないんだ。」
セシル「そうそう。だったら、明日探すためにも英気を養っておかなきゃ!」
ヒスイ「そうですね・・・。」

 ヒスイはがっくりと肩を落としながら頷いた。
セシル「それじゃ、早速近くの宿を探しましょ!」
 クロウ達は、宿目指して歩き出した・・・。
 ・・が、まだまだ街へは遠く道中に店も何も無かった。
ヒスイ「宿・・・ありませんね。」
セシル「うん・・・。」
クロウ「街も遠いしな。仕方ない、野宿するか。」
セシル「え~、また~!!」
当然不満を言うセシル。
クロウ「文句を言うな、宿がないんだからしょうがないだろ。」
セシル「はぁ~・・・。」
クロウの言う事ももっともなので、セシルは反論しない。
三人は適当にどこか寝やすいような場所を探す。
クロウ「ま、こんなところだろうな。」

 適当に寝心地の良さそうな地面を見つけて、そこへ寝床を広げる。
セシル「はぁ・・・いつになったら宿で寝られるんだろう・・・。」
クロウ「ちょっと前に宿に止まっただろ?」
セシル「一週間前にね!」
 そういって、セシルは目をつぶる。
ヒスイ「はぁ・・・明日は見つかるといいなぁ・・。」
 ヒスイも目を閉じる。
クロウ「・・・・・。」
 クロウも同じく目を閉じた。
 と、そんな三人を影から見ている怪しい人影が・・・!

 ・・・・・。
 ・・・。
 そして、翌日。
セシル「ふわぁぁぁ~!良く寝た~!」
起きたセシルは大きく伸びをし、あたりを見回す。
クロウもヒスイもまだ寝てるようだ。
セシル「(へぇ~、珍しい。私が先に起きるなんて・・・。)」
珍しいついでに、セシルはクロウやヒスイの寝顔をみてみる。
セシル「(こうして二人の寝顔を見るのって、はじめてかも・・。)」
セシルはボーっと、クロウの寝顔に見とれてしまう。
セシル「(こうして見ると、クロウも結構かっこいいかも・・・。)」
 と、突然クロウの目が、まるでロボットのようにパチッと開く。
セシル「(えっ!?)」
驚くまもなく、クロウはセシルの存在に気づいた。
クロウ「なんだ、起きてたのか・・?」
クロウは、セシルの顔が目の前にあった事に対して気にする事なく、淡々と言う。
セシル「う、うん・・。」
 セシルはどぎまぎしながら答える。
クロウ「ヒスイ、起きろ。朝だぞ。」
 クロウはそんなセシルを無視し、隣でまだ寝息を立てているヒスイを起こす。
ヒスイ「う、う・・・ん。」
 ヒスイはなかなか起きない。
クロウ「おい、レーザーホーネットを探すんじゃないのか?」
ヒスイ「はっ!レーザーホーネット!!」
 その単語を聞いたヒスイは、飛び起きる。
ヒスイ「さぁ!探しましょう!レーザーホーネットを!!」
クロウ「その前に、顔洗って歯を磨くのが先だ!」

 そして、身支度を済ませたクロウ達は、再び、レーザーホーネットを探すために歩き出す。
セシル「あ~・・お腹すいた・・。」
クロウ「そういえば、昨日は探し回って、晩飯食べてなかったな。」
セシル「ねぇ、どこかレストランに寄ろうよ。」
クロウ「見つかればな。」
セシル「じゃ、探そうよ~。」
 その時・・・。
クロウ「ふせろ!」
 クロウの言葉で体を低くする三人。
 その頭上を、ビー玉が勢い良く飛んで行く。
クロウ「誰だ!」
 立ち上がったクロウは、後ろを振り向く。
 そこには三人の目つきの悪いいかにも不良な少年達がいた。
不良A「てめえら!レーザーホーネットはどこへやった!」
 真ん中の不良が叫ぶ。
セシル「は・・?」
ヒスイ「れ、レーザーホーネット!?」
クロウ「何が言いたい?」
 ドキュンッ!
 いきなり、右側に立っていた不良君がクロウの顔をかすめるようにビー玉を放つ。
不良B「とぼけるな!」
不良C「お前らがレーザーホーネットを隠してるのははっきりしてるんだよ!」
クロウ「レーザーホーネットが目的と言う事は、闇のトーナメントの観客どもか・・・。」
不良A「よ、よく分かったな!」
クロウ「少し考えれば見当が付く。」
不良A「何だとコラ!」
ヒスイ「レーザーホーネットならありませんよ。何者かに盗まれましたからね・・・。」
 ヒスイの言葉に驚く不良達。
不良A「なに!?」
不良C「くそっ!先を越されたか!」
不良B「どうりで、カバンの中にもなかったわけか・・!」
セシル「(さ・・探ったの!?)」
 セシルは女性として、ちょっとした危機感を覚えた。
セシル「(私のカバン・・見てないよね・・・?)」
 気が付くと、何故か不良C君がセシルの事を変な目で見ていた・・・。
不良A「しかたねぇ、こうなった以上もうてめえらに用はない!いくぞ、お前ら!」
ヒスイ「待ってください!勝手に人のカバンを探っておいて、失礼じゃないですか!」

セシル「そ、そうよ!プライバシーの侵害って奴よ!損害賠償よ!!」
不良A「あん?だからなんだってんだよ?」

不良B「ったく、黙ってれば見逃してやろうと思ったのによ」

 不良たちはビーダマンを構えた。

 ヒスイも負けじとビーダマンを構える。が、クロウだけは戦闘態勢を取らない。

ヒスイ「クロウ、戦わないんですか?」

 珍しく好戦的ではないクロウに、ヒスイは疑問を抱く。

クロウ「いや、こいつらは使えるな」

ヒスイ「え?」

 そして、クロウは両手を胸の前に上げて不良たちに交渉をした。
クロウ「まぁ、落ち着けよ。ここは一旦休戦協定を結んだほうがいいんじゃないのか?」
不良A「休戦協定だと・・・?」
クロウ「ああ、俺達も、お前達も、奪われたレーザーホーネットを取り返したいという同じ目的を持っているんだ。だったらいがみ合うよりも、互いに協力したほうが効率的だと思わないか?」

 クロウの言葉に不良は訝しげな視線を送る。
不良A「協力ねぇ・・。」
クロウ「もちろん、レーザーホーネットが見つかった時は、バトルでどっちが手にいれるかを決めればいい。俺達が見つけても、お前たちが見つけても、条件は同じだ。腕に自信があるならその方が良いだろう?」
不良A「面白え・・。乗ったぜ、その話。」
不良C「お、俺も賛成だ!」
 セシルの方をチラチラ見ながら言う。
セシル「(ゾクッ!)」
クロウ「それじゃ、一応名乗っといたほうがいいな。俺はクロウだ。」
ヒスイ「僕は、ヒスイ。」
セシル「私はセシル。」
 三人がそれぞれ自己紹介をする。
不良A「俺は、ワルタだヨロシク!」
不良B「俺は、チョワル。」
不良C「俺は、ワルシだよ、セシルちゃんvv」
 不良君達も自己紹介する。

セシル「(な、なんで私に!?)」
クロウ「とりあえず、二人一組になって三手に分かれよう。・・・途中で裏切るといけないから、組になるのは、俺のチームとお前のチーム一人ずつだ。」
ワルシ「じゃ、俺セシルちゃんと!」
 真っ先にワルシが手を上げる。
セシル「(えっ!?)」
 セシルは露骨に嫌な顔をするが、ワルシは気づかない。
クロウ「そうか。一組決まったな。」
セシル「ちょ、ちょっと待ってよ!私の意見は聞かないの!?」
クロウ「ん?たかが一時的なチームを決めるのにそんなに時間を使うわけにも行かないだろ。それに、組むのは見ず知らずの奴なんだから誰と組もうが同じだろ?」
ワルシ「そうだよ~、セシルちゃ~んvv」
 ワルシはニタニタしながらセシルを見る。
セシル「(うぅ~!)」
ワルタ「じゃ、俺は一番強そうなあんたと組んでやるぜ。」
クロウ「別に異存はない。だが、いいのか?レーザーホーネットを見つけたときは俺とバトルする事になるんだぜ?」
ワルタ「だからこそだ。」
クロウ「ほぅ・・。」
ヒスイ「じゃ、後は必然的に僕とチョワルですね。」
チョワル「ま、いいだろう。」
ワルシ「それじゃ!しゅっぱ~つ!」
 ワルシは元気よく言うが・・。
クロウ「待て、まだどこを探すか決めてないだろう・・・。」
 そして、どの組がどこを探すのか、集合場所をどこにするか、などなどを決め、ようやく捜索が開始された。

ヒスイ「あぁ・・・どこだ・・・レーザー・・・レーザーホーネットォ・・・!」
 ヒスイは一緒に探しているチョワルの事など完全に無視して捜索に集中している。
チョワル「(ま、そっちの方が俺としてはやりやすいがな。)」

 そんな二人の近くでは、二人の少年がバトルをしていた。
少年「いっけー!」
 少年の連射攻撃。
???「ふふふ・・・。」
 もう一人の男は、流れるような動きで交わす。
少年「うっ!」
???「今度はこっちから行くよ!」
ドキュンッ!
???のビーダマンから発射されるパワーショット。
少年「とめてやる!」
 少年は連射でパワーショットを撃ち落そうとするのだが、なかなか止まらない。
少年「くっ!」
 バンッ!
 ビー玉が、少年のビーダマンのアームパーツにあたるが、まだ勝負はつかない。
少年「凄いパワーショットだね!」
???「ううん!このショットに耐えるなんて、君も凄いよ!」
少年「よーし!今度は俺もパワーショットで勝負だ!」
 少年はビーダマンのホールドパーツをしめつけ、ビー玉を放つ。
???「(クスッ)」
 ???は一瞬だけ笑い、簡単に少年のパワーショットを撃ち落す。
少年「あ~!パワーじゃ勝てないか!」
???「なかなか楽しかったよ!でも、これで終わりだ!」
少年「それはどうかな!」
???「はあぁ!」
 ???から放たれるパワーショット。しかし、このショットは今までのとは比べ物にならない。
少年「うっ!」

 バーン!
 反撃するまもなく、???のショットが少年のビーダマンに当たり、少年はビーダマンを落としてしまう。
少年「くっそー!負けた~!」
 落としたビーダマンを拾って悔しがる少年。
???「いやぁ、君も凄く強かったよ!どっちが勝ってもおかしくない、いいバトルだったよ!」
少年「ははは。」
???「あ、そうだ。バトル前にした約束・・・。」
少年「あ、そうだった!バトルに勝ったら、俺のビーダマンを見るんだったよね。」
 少年は???にビーダマンを渡す。
???「ありがとう!」
少年「でも、そのビーダマンって、普通に市販されてるのと何にも変わらないぜ?特別な改造もしてないし・・・。」
 少年が言い終わる前に、???の態度が急に変わり、ビーダマンを地面に叩きつけた。
少年「えっ!?」
???「へっ!」
 バキィ!!
 地面に叩きつけたビーダマンを踏みつけ、粉々にする。
少年「あぁ・・・!な、なんて事すんだよ!」

 一方、セシルとワルシのペアは・・・。
セシル「(うううう・・・!)」
ワルシ「(デヘデヘデヘ。)」
 ワルシはずっとアイコンタクトでセシルにラブコールを送っていた。
セシル「(も、もう限界・・・!)」
 ずっと耐えていたが、ついに限界がきてしまった。
セシル「あ、あれは何!?」
 セシルは、別方向を指差す。
ワルシ「え、なになに?セシルちゃん!」
 かなり古典的な方法だが、セシルの言う事についつい反応してしまうワルシ。
セシル「(今だ・・!)」
 その隙を着いて、ダッ!と逃げ出すセシル。
セシル「はぁ・・はぁ・・・。もういいかな・・・。」
 しばらく走って、さすがに息が切れたので、歩き出すセシル。
セシル「あれ?」
 そこに、一人でブツブツいいながら歩いているヒスイを見つけた。
セシル「ヒスイじゃない!」
ヒスイ「え、セシルちゃん?どうしたんですか、一人で?」
セシル「え、あぁ、まぁ、ちょっとね・・・・。ヒスイの方こそ、なんでチョワルと一緒じゃないの?」
ヒスイ「え・・・?」
 ヒスイはあたりを見回す。
ヒスイ「あれ・・・あ~!!知らないうちにはぐれてしまいました~!」
セシル「あはは・・・。」
ヒスイ「ま、まぁ集合場所は決めてますし、集合時間まで僕達二人で探しましょう。」
セシル「そうね。」
 そして、しばらく歩きまわっていると、クロウとワルタのペアとめぐり合った。
ヒスイ「あ、クロウ。」
クロウ「お前ら・・。」
ワルタ「あれ?チョワルとワルシはどうした?」
セシル「それが・・・途中ではぐれちゃって・・・。」
クロウ「そうか。ま、集合場所は決めてるし、問題ないだろう。」
ワルタ「ん・・・あれは・・・?」
 と、ワルタが何かを見つけたようだ。
クロウ「どうした?」
ワルタ「チョワルとワルシだ!」
クロウ「え・・?」
 見ると、チョワルとワルシが二人並んで直立している。
セシル「あ、ほんとだ!」
ヒスイ「行ってみましょう!」
 クロウ達は、ボーっと立っている二人の所に近づいて行った。
 しかし・・。
セシル「ねぇ・・なんか変じゃない?」
 近づくにつれ、二人に何か違和感を感じた。
クロウ「ああ・・・。あの二人には・・・生気が感じられない・・・。」
 そして、二人のすぐ後ろまできた。
ワルタ「よぉ、どうしたんだよ。」
ワルタが二人の方を軽く押す。すると・・。
 ドサッ!
 二人はまるでマネキンのように、何の抵抗も無く前に倒れてしまった。
クロウ「なに!?」

不良D「ふっふふ・・・ふっふっふ・・!」
 前で笑い声が聞こえる。
クロウ「お前・・!」
クロウ達の前に、謎の不良君が立っていた。
ワルタ「お前が、チョワルとワルシをやったのか!」
不良D「ふっふっふ・・!」
 不良Dはニヤリと笑い、レーザーホーネットを皆の前に見せる。
ヒスイ「あ、あれはレーザーホーネット!」
クロウ「あいつが持っていたのか!」
ワルタ「てめぇ・・!よくもチョワルとワルシを!」
ヒスイ「レーザーホーネットを返してください!」
 怒り心頭のワルタとヒスイはビーダマンを構える。
ヒスイ&ワルタ「ビーファイア!!」
不良D「くっくっく!」
 しかし、不良Dの持つレーザーホーネットから発射されたビー玉が二人のビーダマンを撃ち落す。
ワルタ「くっ!」
ヒスイ「そんなっ!」
不良D「あっはっは!最高だ・・・こいつは!」
 そして、レーザーホーネットを持った不良Dはそのまま去って行ってしまう。
ヒスイ「ぐぐ・・・!」

      つづく

次回予告

ヒスイ「依然、レーザーホーネットは奪われたまま・・・はぁ・・・。」
セシル「落ち込んでる場合じゃないわよ!ヒスイ!」
クロウ「謎の強敵が俺達の前に立ちはだかった!一体、こいつらは・・・」
ヒスイ「次回!『B-フォース出現!』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」




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