第11話「黒服男の謎!」
ジュウと別れ、更に旅を続ける三人。
林の中を歩いている途中、そろそろ辺りが薄暗くなってきた。
ヒスイ「今日は、ここら辺で休みませんか?暗くなってきたし・・・。」
セシル「さ~んせ~い・・・私もうクタクタ・・。」
ヒスイ「あそこに、ちょうどキャンプできそうなスペースありますね。」
三人は近くにある大きな木の下に座り込んだ。
セシル「ふぅ~・・・。」
ようやく座れて、セシルは大きなため息をつく。
ヒスイ「・・・・・。」
ヒスイも座り、懐からビーダマンを取り出し、メンテをし始める。
セシル「何してんの?」
ヒスイ「レーザーホーネットの手入れですよ。」
セシル「レーザーホーネットの・・・?」
セシルは、普段使っていないビーダマンの手入れをするヒスイを疑問に思った。
ヒスイ「ええ、いくら使っていないビーダマンとはいえ、キチンとメンテをしないと性能が落ちてしまいますからね。」
セシル「へぇ・・・・。」
ヒスイは、手にあるレーザーホーネットを見つめながら思う。
ヒスイ「(お前も早く、本当の持ち主が見つかると良いんだけどな・・・。)」
そんな風に思いを馳せている時だった。
ドキュンッ!
どこからかビーダマンの発射音が聞こえてきた。
クロウ「なんだ!?」
ビー玉がレーザーホーネットを持っているヒスイをかすめて、木にめり込んでいる。
セシル「い、いきなりなんなの!?」
クロウ「誰だ!」
クロウは素早く立ち上がり、ビー玉が飛んできたであろう方向を睨む。
ザッ・・!
クロウ達の前に三人のがらの悪い少年たちが現れた。
不良A「へっへっへ・・!」
クロウはその姿を見て、一瞬シャドウのビーダーかと思ったが、すぐに考え直した。
クロウ「(こいつら・・・俺じゃなく、ヒスイを狙った・・・?)」
ヒスイ「な、なんですかあなた達は!?」
セシル「もしかして、シャドウのビーダー!?」
不良B「さぁ、どうだかなぁ~?」
ヒスイとセシルの問いに、ガラの悪い少年はすっとぼけた。
クロウ「いや、こいつらはシャドウのビーダーじゃない。恐らく、裏社会のビーダーだろうな。」
不良C「よ、よく分かったな!?」
クロウ「俺も一時期は裏社会にいたんだ。そのくらいの判別はつく。」
不良A「ほぉ・・・。」
ヒスイ「で、一体なんの用なんですか!いきなりこんなことして!」
不良B「へぇ・・表社会のビーダーにしては威勢がいいじゃねぇか。ま、怖いもの見たさで闇のトーナメントに出場したんだから当然か。」
闇のトーナメント。その単語を聞いてヒスイは身をこわばらせた。
ヒスイ「・・・・。」
不良C「ん・・・お前・・・。」
その時、不良君達は、何かに気づいたようだ。
不良B「!?・・・こいつ、とんだ食わせもんだぜ!」
不良C「ああ、表とばかり思ってたのによ!」
急に不良たちのヒスイへの態度が変化した。先ほどまでは完全に舐めきった態度だったのに、いきなり警戒するような態度になったのだ。
セシル「へっ・・・何の事?」
いきなりの態度の変化にセシルとクロウは訳が分からない様子だった。
ヒスイ「(ちっ・・・。)」
クロウ「言いたいことがあるならさっさと言え。」
不良A「ふん、お前らも相当な大物だな。そんな奴と一緒にいるなん……!」
ヒスイ「レーザーホーネット!!」
不良君が言い気る前に、ヒスイは慌ててレーザーホーネットを取り出し、不良君達の脳天めがけて撃つ。
ゴンッ!
不良達「きゅ~・・・!」
不良達は気絶した。(ビーダマンを人に向けて撃ってはいけません!)
ヒスイ「ふぅ・・・。」
セシル「気絶しちゃった・・・。」
ヒスイ「レーザーホーネットを使って、丁度脳震盪を起こすであろう場所を狙ったんですよ。」
セシル「でもヒスイらしくないね、相手の目的も聞かずに不意打ちするなんて・・・。」
ヒスイ「えっ・・・ああ、いつまで話しても時間の無駄だと思いまして・・・。ああいう輩は早く始末するに限りますよ」
クロウ「ま、それもそうだな。どうせ倒すなら早い方がいい。」
クロウの言葉を聞いて、ヒスイは安堵するように息を吐いて、チラリと気絶した不良たちを見た。
ヒスイ「(彼ら・・・目がさめた時にはここでの記憶はなくなっているでしょう・・・。ここまで細かい狙撃が出来るのは、レーザーホーネットくらいなものでしょうね。)」
そして、三人は違うところで野宿することになった。
クロウとヒスイは二人並んで寝て、セシルは少し離れている。
・・・・・。
・・・。
朝。
セシル「きゃああああああ!!!!」
セシルの甲高い声が辺りに響き渡り、クロウとヒスイが目を覚ました。
クロウ「なんだ・・・?」
見ると、セシルが大勢の黒服の男達に囲まれていた。
黒服A「さあ、行きますよ。」
セシル「い、いや!」
黒服のうちの一人がセシルの腕を掴んで連れ去ろうとする。
ヒスイ「セシルちゃん!」
ドキュンッ!
ヒスイが駆け出そうとする
よりも早く、レクイエムのショットがセシルと黒服男の間を通り、その隙をついてセシルは黒服の腕を振りほどいてその場を離れた。
黒服B「誰だ!?」
黒服達が一斉クロウの方を向く。
クロウ「・・・俺ではなく、連れを襲うとは、相変わらずシャドウは卑怯な手を使うな。」
黒服C「シャドウ・・・?あ、こいつはまさか・・!」
黒服D「以前、ガンタの奴を一撃で倒したって奴じゃ・・!」
黒服F「くそっ、俺達の邪魔をされてたまるか!」
クロウ「・・・?」
クロウは黒服達の言葉に違和感を覚えた。
クロウ「(いや、寝こみを襲うなら俺を狙った方が早い。なら、こいつらはさっきの奴らと同じくシャドウとは別の・・・)」
そしてクロウはあるひとつの答えにたどり着いた。
クロウ「お前ら・・・シャドウじゃないな」
黒服A「当たり前だ!なんだよ、シャドウって・・・。」
ヒスイ「じゃあ、あなた方は一体・・・。」
クロウ「セシルを狙って、何が目的だ?」
黒服B「お前らには関係無い!」
クロウ「ああ、そうだな。お前の言うとおりだ。だが、大事な食費元を失うわけにはいかない。」
セシル「(クロウにとって私って、単なる金づる?)」
クロウ「そして、誰であろうと俺の前に立ちふさがる奴は、倒すまでだ。」
ギシギシギシ・・・!
クロウはレクイエムのホールドパーツをしめ、しめ撃ちの構えをする。
クロウ「はああぁぁ!!」
ドキュンッ!
クロウのショットが男達目掛けて吹っ飛んでいく。
黒服達「う、うわああああ!!!」
どんどん迫ってくるクロウのショット・・・。
その時!
ジュウ「とう!風が舞い・・・波が揺れる・・・!大地が震え、影となりて悪を討つ!正義のビーダー、スーパーレジェンダーマン!推参!!」
クロウのショットの弾道の前にジュウが現れた。
ヒスイ「あ・・!」
ゴンッ!
ビー玉は容赦なくジュウの後頭部に叩きつけられた。
ジュウ「いってぇ~~~!!!!」
ジュウは頭を押さえながら飛び跳ねる。
クロウ「ちっ!」
思わぬ邪魔がはいり、舌打ちするクロウ。
ジュウ「リーダーのレジェンドレッドに対して何てことするんだ!レジェンドブラック!」
クロウ「・・・・やる気が失せた・・・。後は勝手にやってくれ。」
そういって、クロウは戦線を離脱した。
ヒスイ「・・・・・。」
ジュウ「何ボーっとしてるんだ!レジェンドグリーン!」
ヒスイ「へっ!?」
ジュウ「仲間のレジェンドピンクのピンチなんだ!あの悪の軍団を一掃するぞ!」
ヒスイ「は、はぁ・・・。」
ジュウはビーストウェーブを取り出した。
ジュウ「行くぞ!ビーストウェーブS!!」
そして、黒服の男達へと突っ込んでいった。
ヒスイ「・・・・・。」
しばらく呆気に取られていたヒスイだが、我に返り、ジェイドガンナーを手にジュウの後に続いた
・・・・・。
・・・。
ヒスイ「ジェイドガンナー!ワンハンドミッション!」
ジュウ「正義の鉄拳!受けてみよ!!」
ズドドドドド!!!!
そして、ヒスイとジュウの活躍によって黒服の男達は尻尾を巻いて逃げていった。
黒服の男達「覚えてろよ!」
お決まりのセリフを残して・・・。
ジュウ「こうして、悪は去っていった・・・。だが、世界に本当の平和が訪れるまで、レジェンドファイブの戦いは続く!頑張れ!レジェンドファイブ!負けるな!レジェンドファイブ!!勝利はきっと、我らのために・・・!」
ジュウは特撮ヒーローものお決まりのナレーションを言いながら浸っている。
クロウ「こいつさっき、スーパーレジェンダーマンって言ってなかったか?」
セシル「そっか!ジュウ君一人の時は仮面ビーダーとか、スーパーレジェンダーマンになって、私達四人そろった時は、レジェンドファイブになるんだ!」
クロウ「俺達を巻き込むなよ・・・。」
ジュウ「それじゃあ、また会える日まで、さらば友よ~!!」
そう言って、ジュウは走り去っていった。
クロウ「(もう二度と現れるな!)」
セシル「(あははは・・・。)」
ヒスイ「あ"~~~!!」
突如、ヒスイはけたたましい声を上げる。
クロウ「なんだ、どうしたんだ?」
クロウとセシルは、カバンの中をごそごそとさぐってるヒスイを見る。
ヒスイ「あ、あ、・・・れ、れれれ・・・!」
ヒスイはかなり動揺しているらしく、何を言ってるのかさっぱり分からない。
セシル「れ?」
クロウ「どうした?落ち着いて話せ。」
ヒスイ「レーザーホーネットがなくなってるんですよ~!!!」
セシル「え!?」
クロウ「なんだと!?」
つづく
次回予告
ヒスイ「ああ~、どうしよう~!レーザーホーネットが盗まれてしまいました!」
セシル「どうするもこうするも、探すしかないでしょ。」
ヒスイ「うぅ・・・僕の不注意のせいで・・!せっかく一生懸命作ったのに!!」
セシル「次回!『奪われたレーザーホーネット!』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」