爆・爆ストーリー ZERO 第9話

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第9話「激闘再び!クロウVSヒスイ」

 闇のトーナメント、二回戦。クロウの試合。

 ドキュンッ!バキィ!!

 クロウは一撃で相手ビーダマンを破壊した。
DJ「決まった~!!Bブロック二回戦の勝者は、クロウ選手だ!」
クロウ「・・・・。」
 クロウは勝利するのが当然と言った顔で、無言でフィールドに戻っていく。

DJ「さあ、盛り上がってきた今回の闇のトーナメントも、いよいよ大詰めになってしまいましたぁ~!!」
観客「ワ~~!!」
DJ「次は、いよいよAブロック準決勝だ!」

 ヤセンとロンがフィールドに立つ。
ヤセン「・・・・。」
ロン「・・・・。」
無言でにらみ合う二人。
DJ「全く掘り下げてもらえない、完全なるエキストラキャラでありながらも、ここまで健闘してきた影の実力者、ヤセン選手!」
ヤセン「いえーい!!」
 ヤセンはビーダマンを掲げ、叫ぶ。
DJ「そして、今まで圧倒的な強さを見せつけ、対戦相手を恐怖に陥れたビーダー、ロン選手!」
ロン「・・・・・。」
DJ「準決勝は、この二人の対決だぁ!!」
 チャキ・・・!
二人がビーダマンを構える。
DJ「おっと、二人とも、気合十分だ!やる気が、ビンビン伝わってくるぅ~!!しびれるぅ~~~!!!」
ロン「いいから早くはじめろ!」
 くだらないDJにロンが一喝する。
DJ「お、おーけーおーけー。それじゃ、始めようか!」
 DJが右手を挙げ、叫ぶ。
DJ「レディー、ビーファイア!」
 DJの合図で戦闘体勢に入る二人。
ヤセン「うおおおおおお!!!」
 ヤセンの連射攻撃。
 5発・・・7発・・・とどんどんビー玉が発射される。
ロン「ふん・・。」
 ロンは何食わぬ顔で、その攻撃を全部受ける。
 が、全然びくともしない。
ロン「・・・・。」
 そして、ロンはヤセンとは全く違う方向にビー玉を打ち出す。
 ドキュンッ!!
DJ「なんと!ロン選手、全く違う方向へパワーショットだぁ!」
セシル「危ない!」
クロウ「っ・・!」
 そのパワーショットは、クロウの頬をかすめ、壁にめり込んだ。
クロウ「・・・・。」
 あまりに意外な出来事に呆然とするクロウ。
ロン「・・・・・。」
 そして、ロンはクロウの方を向き、口の両端を上げてにやりと笑う。
クロウ「(あいつ・・・!)」
DJ「さあ、アクシデントが起こったが、バトルは仕切りなおしだ!」
ヤセン「いけー!」
 ヤセンが再びロンに攻撃する。
ロン「遅い・・・。」
 しかし、ロンはあっさりその攻撃をかわしてみせる。
ヤセン「うっ・・・!」
 そして、あっさりヤセンのすぐ後ろにつく。
ロン「食らえ・・・!」
ヒスイ「まさか、あんな至近距離で撃つつもりですか!?」
セシル「そ、そんな事したら、あのビーダーも無事じゃすまないよ!止めなきゃ!」
 セシルが立ち上がる。
 が、クロウはそれを止めた。
クロウ「止めるな!」
セシル「クロウ・・・!」
クロウ「言ったはずだ・・。これがこの大会なんだよ・・・。素人が余計な真似をするな!」
セシル「・・・・・。」
DJ「ロン選手!圧倒的有利なポジションに着いた!ヤセン選手、絶体絶命!!」
ヤセン「・・・!」
ロン「フッ・・。」
ロンは一瞬不気味な笑みを浮かべたかと思うと、パワーショットをヤセンの背中にぶち込んだ。
 ズドオオオン!!!
ヤセン「ぐああああ!!!」
ヤセンの断末魔が響き渡る。
セシル「うっ・・・!」
 あまりの光景にセシルは思わず目を背ける。
DJ「決まったぁー!勝ったのは、ロン選手だ!」
ロン「・・・・。」
 ロンは無言のまま立ち去る。フィールドに倒れているヤセンを残して・・。
DJ「う~ん・・・フィールド上で倒れられたら邪魔なんだよね~。」
 どこからか、この大会のスタッフらしき人間が、複数表れ、ヤセンを乱暴に抱え上げ、フィールドの外に放り投げた。
DJ「よし、これで邪魔者はいなくなった~っと!」
セシル「酷い・・・!」
ヒスイ「・・・。」
 セシルとヒスイは、悲痛な表情でヤセンの事を見ている。
クロウ「この大会の本性は最初から教えたはずだ、今更なに考えてるんだ?」
セシル「だって・・。」
クロウ「元々この大会に出てる奴らは普段からあんな扱いをされてるんだ。別に気にすることは無い。」
セシル「・・・・私達がのん気に暮らしてる間に、あんな世界があったなんて・・。」

 セシルは口元を抑えながら痛々しく呟いた。

クロウ「そんな事より、次は俺とのバトルだろ。さっさと準備をしろ」
ヒスイ「あ、そうでしたね。頭を切り替えないと・・・。」
クロウ「そういえば、レクイエムでお前と戦うのは初めてか……」

 クロウがレクイエムを眺めながら言う。
ヒスイ「クロウ、あのときの借りを反させてもらいますよ!」
クロウ「なんでもいい。早くフィールドに行くぞ。」

 クロウとヒスイはフィールドに立った。
DJ「さあ、お次はBブロックの準決勝だ!」
ヒスイ「メタルレイヴンレクイエムに、完成したジェイドガンナー・・・。いいバトルが出来そうですね!」
クロウ「・・・・・。」
DJ「一回戦では怒涛の連射を見せつけ、二回戦ではレーザーホーネットで圧倒的な勝利を見せ付けたヒスイ選手!」

 いかにも不良っぽい格好をしている観客たちは、レーザーホーネットの話題で盛り上がってる。
観客A「こ、今回はレーザーホーネットは出ないのか・・!?」
観客B「どうやら、違う機体らしいぜ。」
観客C「ちっ・・!」

DJ「そして、ヒスイ選手と対戦するのは、一回戦、二回戦共に圧倒的な力を見せつけ、一瞬で勝負を決めた、クロウ選手だ!」
クロウ「・・・・。」
DJ「それでは、始めるぞ!レディー、ビーファイア!」
ヒスイ「いっけー!ジェイドガンナー!!」
 ジェイドガンナーの連射攻撃。一気に15発くらいのビー玉がクロウを襲う。
クロウ「・・・・。」
 しかし、クロウはあっさり交わし、ヒスイとの間合いを詰める。
ヒスイ「くっ・・!」
 急に近くなったクロウとの距離に慌てるヒスイ。
ヒスイ「(いくらなんでも、こんな至近距離からレクイエムのショットを受けたら・・!)」
 ヒスイは、急いでクロウから離れる。
クロウ「ふ・・!」
 しかし、そこに隙が出来た。
クロウ「はあああ!!」
 そこをつき、クロウがパワーショットを放つ。
ヒスイ「くっ!ジェイドガンナー!!」
 ヒスイはジェイドガンナーの連射で迎撃するが、なかなか撃ち落せない。
 バンッ!!
 しかし、何発か当てたおかげで威力が下がったので、なんとか耐えられた。
ヒスイ「くぅ・・・!相変わらず凄いショットだ・・・!」
クロウ「隙だらけだ。」
ヒスイ「えぇ・・!」
クロウのショットが再びヒスイに襲い掛かる。
ヒスイ「ひぃ!」
 なんとか交わすヒスイ。
ヒスイ「はぁ・・はぁ・・・。全然気が抜けない・・・。さすがクロウですね・・・。」
クロウ「俺の攻撃にここまで耐えるとはたいしたもんだ。でも、これで終わりだ。」
 ギシギシ・・・!
 ドキュンッ!!
 クロウはホールドパーツを思いっきり締め付けてパワーショットを放つ。
ヒスイ「こ、今度当たったら耐えられない・・!」
 ヒスイは急いでジェイドガンナーのパーツを付け替える。
ヒスイ「ジェイドガンナー!ワンハンドミッション!!」
 そして、怒涛の連射でクロウのパワーショットを迎え撃つ。
DJ「これは凄い!ジェイドガンナーのワンハンドミッションだ!しかし、レクイエムのパワーショットも負けていない!ジェイドガンナーの連射をことごとく弾いている!」
ヒスイ「と、とまれぇ~!!」
 バシュッ!
 ぶつかる寸前に、なんとかクロウのパワーショットを撃ち落した。
クロウ「やるな・・・!」
 クロウがまたパワーショットを放つ。
ヒスイ「くっ・・!」
 それをまた連射で迎え撃つ。
 そして、ぶつかる寸前に止める。
 ドキュンッ!ドキュンッ!!
DJ「さあ、バトルはこう着状態だ!レクイエムがパワーショットを撃ち、ジェイドガンナーがぎりぎりのところで撃ち落す!そんな展開を続けているぞ!」

ヒスイ「はぁ・・・はぁ・・・。」
 ヒスイの息が乱れ始める。
DJ「おっと、ヒスイ選手、スタミナ切れか?やはり、単発のパワーショットのクロウ選手によりも、なんども連射するヒスイ選手の方が、疲労度は高いのか!?」
クロウ「そろそろ勝負を決めるか・・・。」
 ドキュンッ!
 クロウのパワーショット。
ヒスイ「ジェイドガンナー!!!」
 迎撃するジェイドガンナー。
ヒスイ「うっ、しまった!」
 しかし、手が滑ってしまい、ジェイドのショットが外れてしまう。
 そして、クロウのショットがジェイドガンナーにヒット。

 バーン!!!

ヒスイ「うわあああ!!」
 その衝撃に耐え切れず、ヒスイはジェイドガンナーを手放してしまう。
DJ「決まったー!ヒスイ選手がジェイドガンナーを手放した!この勝負・・・。」
 DJが結果を言おうとした直後・・。
 ピシッ・・ピシッ・・!
クロウ「くっ・・!」
 パキィ・・!
レクイエムの素体にひびが入り、アーマーが割れてしまった。
DJ「な、なんと!レクイエムが壊れてしまった!!となると・・・この勝負ドローだ!!よって、優勝はロン選手に決定だ~!!!」

 ・・・・。
 ・・・。
 ・・。
 大会が終わり、三人は会場から外へ出た。
ヒスイ「はい、クロウ。直りましたよ。」
 ヒスイは、元通りになったレクイエムをクロウに渡す。
クロウ「悪いな。」
ヒスイ「いえいえ・・。」
 そして、ヒスイは俯き、ぼそっと呟く。
ヒスイ「こ・・・簡単に・・・を失うわけに・・かないからな・・・!」
 だが、うまく聞き取れない。
クロウ「なんだ?」
 クロウに聞かれ、慌てて答えるヒスイ。
ヒスイ「あ、いえ、せっかく一生懸命作ったのに、こんなに簡単に壊れたら困りますよ(笑)」
クロウ「そうか・・・。」
ヒスイ「あと、レクイエムの強度を増しておきましたから、『今度は本気で撃っても』大丈夫ですよ♪」
クロウ「・・・・。」
 ヒスイの言葉にちょっと驚くクロウ。
クロウ「(なるほど、手加減してたのはお見通しだったというわけか。さすがビーダマンの研究をしているだけの事はある・・!)」

 そして、そんなクロウたちの事を影で観察している人たちが・・・。
???「あいつのもっている、あの・・・。」
???「欲しい・・・どんな事をしてでも・・・。」
???「この俺が手に入れてみせる・・・!」

     つづく

 次回予告

クロウ「闇のトーナメントも終わり、旅を続ける俺たちの前に現れた気違い少年、ジュウ。」
ジュウ「気違いって、酷いな~。おいらはただ・・・。」
ヒスイ「次回!『正義のビーダー!』」
クロウ「極めろ、強さへの道!」

 




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