爆・爆ストーリー ZERO 第8話

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第8話「一撃必中!レーザーホーネット」

 闇のトーナメント、ロンVSジュウのバトル。

 攻撃の手を緩めないロン。そしてその攻撃をよけ続けるジュウ。二人の戦いは更に激しさを増していく。
ロン「はあああ!!」
ズドドドド!!

 防戦一方のジュウへロンのドライブショット連射が続く。
ジュウ「くっ!」
DJ「すごいぞ!怒涛の攻撃を続けるロン選手もすごいが、それをかわしつづけるジュウ選手も凄い!!」
カンッ!
しかし、さすがに全ての攻撃を躱し続けるのは無理があったのか、ロンの攻撃が一発ジュウにヒットする。
ジュウ「ぐぅ!」

 たった一発でもかなりの衝撃となるらしい、ジュウは全身の力を込めてそれを耐え抜いた。

クロウ「あのジュウって奴、動きが鈍ってきたな。仕留められるのも時間の問題か。」
ヒスイ「・・・・・。」

 ライジングヘイロンの分析を終えたヒスイはこそこそと作業をしている。
 しかし、試合に夢中のクロウとセシルはそのことに気づいていない。

セシル「でも、やっぱりロンって凄いね・・・。」
クロウ「ああ。あれだけビー玉を撃ってるってのに、ぜんぜん息切れしてない。いや、それどころか、ジュウが疲れてるのを楽しんでるみたいだ。」
セシル「疲れるのを楽しんでるって・・・。」
クロウ「まるで、獣が獲物を捕らえて弄んでるようだ。」
ロン「ふふふ・・・!」
ロンの攻撃は更に勢いを増していく。
ジュウ「はぁ・・!はぁ・・!」

 バンッ!バンッ!
 ジュウは必死でよけ続けるが、耐え切れず二、三発ヒットする。
ジュウ「ぐわああ!!」
セシル「弄んでって事は、力を制御して、あのパワー・・・!?」
クロウ「だろうな。決着を付けようと思えばすぐにつけられるはず。」

 クロウはロンの姿を凝視する。すると、ロンと一瞬目が合った。

クロウ「っ!」

 その鋭い眼光に、クロウは身震いする。

クロウ「(あるいは、誰かに誇示するため、か……)」
クロウは今度は、ジュウの方を見ている。
クロウ「あのジュウって奴、バトル中ずっとロンのビーダマン・・・ライジング
ヘイロンを凝視しているな。」
セシル「え・・?」
クロウ「あれだけのビー玉が飛び交ってるって言うのに、ライジングヘイロンだけを見ているんだ。」
セシル「そんな!じゃあ、飛んでくるビー玉を見ないで避けてるの!?」
クロウ「いや、そんな事は俺でもできる。ただ、なんでそんな事をするのか……」

セシル「ヒスイみたいに、分析してるのかな?」

クロウ「試合中に、勝利を放棄してまでする事か?」

セシル「そんなの私にだって分からないよ」 

 そして、バトルはしばらく同じような展開が続き……。
ジュウ「(ふっ・・・そろそろか・・・。体力も限界にきてるし。)」
ジュウは、自らビーダマンを地面に落とした。
DJ「な、なんと!ジュウ選手が自らビーダマンを手放した!勝者はロン選手!」
ロン「ふんっ!」
 ドキュンッ!バキィ!
ロンは地面に落ちたジュウのビーダマンに容赦なくビー玉を発射し、破壊する。
DJ「しょ、勝負はついたというのに、ロン選手の攻撃はまだ続いていた!ジュウ選手のビーダマンは粉々だ!」
ロン「これが、本当の決着というものだ・・・。」
 そう言って、ロンはきびすを返した。
ジュウ「・・・・。」
 ジュウも、フィールドから出て行く。
 その時のジュウの表情にクロウは違和感を覚えた。
クロウ「(あいつ・・・笑ってる・・!?なんでだ・・?このバトルは生きるか死ぬ
かがかかっている・・・そのバトルに負けて、しかも生きる術であるビーダマンを破壊されたって言うのに、なんで笑ってられるんだ・・?)」
 そして、クロウが疑問を抱いたそのとき、ヒスイが大声を出す。
ヒスイ「出来た~!!!」
セシル「きゃっ!びっくりした~!」
クロウ「どうした?」
ヒスイ「出来たんですよ!ついに!!」
セシル「だから、何が?」
ヒスイ「前々から開発していた新型ビーダマンですよ!」
クロウ「新型?」
ヒスイ「そう!名づけて、『レーザーホーネット』!命中率をとことん重視したビーダマンです!」
ヒスイは、黄色と黒のミツバチを模したようなカラーリングのビーダマンを掲げ
る。
セシル「命中率を?」
ヒスイ「まず、指にフィットしやすいショルダーアーマー、『ハニービーショルダー』と、昆虫のように6つの足をイメージしたフットパーツ、『インセクトフット』で本体をがっちり固定し、そしてこの機体最大の特徴である、ヘッドパーツ『レーザーサイト』から発せられるレーザー光線で狙いを定めることにより、究極の命中精度を実現しました!」
セシル「へぇ~・・。」

 なんとなく感心するセシルの前にヒスイはレーザーホーネットを差し出した。
ヒスイ「セシルちゃん、受け取ってもらえますか?」
セシル「えっ、私に?」

 目の前に出されたレーザーホーネットを見て、セシルは目をしばたたかせた。
ヒスイ「はい、前の壊れたビーダマンの弁償です。」
セシル「・・・・・。」
セシルはヒスイの手にあるレーザーホーネットを見つめて、しばらく考える。
セシル「う~ん、でもなぁ・・・。」
ヒスイ「どうしたんですか?」
セシル「確かに、凄いビーダマンってのは分かるんだけど・・。」
クロウ「はっきりしない奴だな。」
ヒスイ「何か、問題でもあるんですか?」
セシル「問題っていうか・・・なんかデザインが・・。」
ヒスイ「え・・?」
セシル「だって、こんなごついビーダマンを女の子が使ってたら、なんか変でしょ?」
ヒスイ「・・・・。」
ヒスイは、セシルの言葉に固まってしまった。
セシル「だから、せっかく造ってくれたのに、悪いんだけど・・・。」
クロウ「(そんな理由でか……。)」
ヒスイ「あ、そ、そうですか・・・。気に入らないんなら、仕方ないですね。」
セシルの返答に、ヒスイはがっくりと肩を落としてレーザーホーネットを引っ込めた。

セシル「ごめんね。」
ヒスイ「いえ、気にしないでください。セシルちゃんには、他にビーダマンを開発します。」

セシル「うん、ありがとう。そんなに急がなくてもいいから」

クロウ「……」

 そのセシルの言葉を聞いて、クロウはどこか違和感を覚えた。

 が、そんな事よりも試合は続く。
DJ「ほんじゃ、次の試合は、Bブロック二回戦第一試合だ!対戦カードは、ヒスイ選手vsAB選手だ!!!」
ヒスイ「あ、僕の番だ・・!」
 立ち上がるヒスイ。ジェイドガンナーを用意しようとして、思いとどまった。
ヒスイ「(でも、せっかく造ったんだから、試し撃ちくらいしておこうかな・・・?)」

 そして、フィールドに立つ二人のビーダー。
AB「ヒスイか・・・ジェイドガンナーの連射には要注意だな・・!」

 ABは先ほどのヒスイの試合を見て、ジェイドガンナーの連射を脅威に感じているようだ。
DJ「そんじゃ、はっじめるぞー!レディー、ビーファイア!!」
AB「うおおおりゃあああ!!」
 ズドドドド!!

 ジェイドを警戒し、ABは先手必勝とばかりにスタート直後に猛連射を放った。
DJ「AB選手!スタートと同時に猛攻撃開始!!」
AB「あいつの連射が発動する前につぶす!」
ヒスイ「・・・・。」
ヒスイはABの攻撃を避け、ビーダマンを構える。
DJ「な、なにぃ!?」

 それを見て、DJは素で驚きの声を上げた。
観客A「なんだ、あのビーダマンは・・!」
観客B「よく分からないが、凄い威圧感だぜ・・!」
観客達もヒスイの持つビーダマンを見てざわめきだす。
DJ「なんと!ヒスイ選手の持っているビーダマンは、ジェイドガンナーではない!あの、ビーダマンはいったい・・!?」
ヒスイ「レーザーホーネット!!」
 レーザーホーネットから赤い閃光が発せられ、相手のビーダマンに当たる。
ヒスイ「いけぇ!」
 ドキュンッ!!
 そして、一発のビー玉がABのビーダマンにぶつかる。
AB「そ、その程度のショットで……!」
 それほど強いショットではなかったのにもかかわらず、ABはビーダマンを落としてしまった。

AB「なっ、ウソだろ?大したショットでもないのに、抵抗できなかった!?」

ヒスイ「(予想以上の出来ですね・・・。)」
ヒスイが誰にも気づかれないようにほくそ笑む。

DJ「な、なんとー!ヒスイ選手のたった一発のショットが勝負を決めた!!」

 会場が騒然となる中、クロウは冷静にレーザーホーネットの分析をしていた。
クロウ「(なるほど・・・形のあるものには全て、死の点というものが存在する。そ
の点は非常に小さく、偶然に頼らない限り当てることは不可能だ。だが、その点を付
かれたら、どんなに強固なものでも、どんなに弱い攻撃でも、一撃で終わってしまう
・・・。レーザーホーネットを使って、そこをピンポイント攻撃したのか・・。)」

AB「な・・・なんでだ・・・。ぜんぜん抵抗できなかった・・。」

DJ「凄いぞ!レーザーホーネット!一体、あのショットのどこにあんなパワーが秘め
られていたというのか!?」

観客K「す、すげぇ・・・。あのビーダマン・・!」
観客I「ああ・・・欲しいな・・・あのビーダマンが・・・。」
観客H「強大な力・・・あれこそ、俺の求めるものだ・・!」
 観客たちの視線がレーザーホーネットに注がれ様子を見て、クロウは一人思案する。
クロウ「(一気に注目を集めてしまったようだな・・。だが、集めた相手が悪かった
・・。面倒なことにならなければいいがな。)」

     つづく

ヒスイ「闇のトーナメントの準決勝!ついに、僕とクロウが当たるときが来ました
!」
クロウ「メタルレイヴンレクイエムと完璧になったジェイドガンナー・・・そういえ
ば今まで戦ったことがなかったな。」
ヒスイ「この前の借りを返させてもらいますよ!」
クロウ「次回!『激闘再び!クロウVSヒスイ』極めろ、強さへの道!」




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