爆・爆ストーリー ZERO 第6話

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第6話「ビー玉の嵐!ローラーシールドブースター」


 ウィナーズよりも面白い大会があるというクロウに連れられて、やってきたのは廃ビルの地下だった。
 そこでは表世界を追放されて裏社会に生きるビーダー達が生きる糧を手に入れるためにしのぎを削る大会『闇のトーナメント』が開催されていた。
 その大会の一回戦、チビンとヤセンの戦いが繰り広げられる。
DJ「一回戦第一試合、チビンvsヤセンのバトルは激しさを増しているぞ!!」
チビン「うおおおお!!」
 
 チビンは小細工なしのパワーショットをブッ放つ。
 ドキューン!!!
DJ「おっと!チビン選手!いきなりパワーショットだ!防ぎきれるかヤセン選手!!」
ヤセン「ほっ!」
 カンッ!
 ヤセンはノーマルショットを撃つが、弾かれる。しかし、そのことで勢いがなくなったチビンのショットは簡単にかわせる。
DJ「かわした!」
 
 互いに一歩の引かない戦いはかなり長引いていた。
  
セシル「いつまで続くの~・・・。」
 客席でその試合を見ているセシルはちょっと飽きているようだ。
ヒスイ「・・・・。」
 カチャカチャ・・・。
 一方のヒスイは黙々となにやら作業している。
セシル「何してんの、ヒスイ?」
ヒスイ「メンテナンスですよ。」
 そう言うヒスイの手元にはただのメンテナンスとは思えない大掛かりな工具や材料があった。
セシル「それにしては、随分手間の掛かりそうなことしてるじゃない。」
ヒスイ「それは、見てのお楽しみです。」
セシル「???」
 
 そして……。
 バーン!!
DJ「決まった~!!ヤセンのショットが、チビンのビーダマンを破壊した!勝者は、ヤセン選手!!」
チビン「くっそー!!」
DJ「さあ、続いては・・・!」
 その後も、激しいバトルが展開されていった。
 ・・・。
 ・・・・。
 ・・・・・。
 そしてついにロンの試合になった。
クロウ「いよいよロンか・・・。」
ヒスイ「この前は、とっさの事であいつの使うライジングヘイロンをよく見る事が出来ませんでしたからね・・。今度こそ分析してやる!」
 ロンのビーダマンに興味津々なヒスイは張り切ってフィールドを見つめた。
DJ「さあ、次はAブロック一回戦、第4試合は、ロン選手vsドロロ選手だ!」
 ロンとドロロがフィールドに現れる。
ドロロ「へっへっへ!俺様の力を見せてやるよ!」
 ドロロは長い舌で自分のビーダマンを舐めた。
ロン「・・・・・。」
 ロンはそんなドロロの仕草など気にもせずに、ただ一点を見つめている。
DJ「それでは、始めるよよーん!レディー、ビーファイヤー!」
 開始合図とともに動いたのはドロロだ。
ドロロ「ぐおおお!!!」
 ズドドドド!!
 ドロロは気合いを込めてトリガーを押して押して押しまくる。
DJ「ドロロ選手の気合いの入った連射・・・と思いきや、あまりビー玉が発射されてないやんけ!どうやら、見掛け倒しのようだ!」
 ビーダマンは、ただ闇雲にトリガーを押しただけでは連射は出来ない。
 ビー玉がコアへ装填されるタイミングでトリガーを押さなければ空撃ちになってしまうのだ。
ドロロ「ぐっはっは!確かに見掛け倒しだが、奴はかなり怖気づいたはずだべ!」
 しかし、その事はドロロも承知の上だったようで、これはただの猫騙しのつもりだったらしい。
ロン「いけっ、ライジングヘイロン・・・。」
 だが、そんな姑息な手がロンに通じるはずもなく。
 バーン!
ドロロ「ぐわあああ!!」
 ドロロ選手はライジングヘイロンのノーマルショット一発で、吹っ飛んでしまっ
た。
DJ「・・・・き、決まった・・!しょ、勝者はロン選手!」
ドロロ「う、ぐぐ・・・。」
 仰向けに倒れ、呻くドロロを気にする事無く、ロンは客席の一点を一瞥してからフィールドを去った。
ロン「ふん・・。」
DJ「凄い!たった一発のショットで勝負を決めてしまった!」

 その圧倒的な力の差を見て、客席にいるセシルたちは驚愕した。
セシル「つ、強い・・!」
ヒスイ「なんてビーダマンだ・・。これじゃ、分析できない・・!」
クロウ「あいつ・・!」
 クロウは、フィールドを去るロンの背中を睨む。
クロウ「(バトル中にも関わらず、対戦相手を無視して、俺に気迫を送り続けてやがった・・!一体どういうつもりなんだ?)」
 ヒスイとセシルが、ロンの強さに震撼しているのに対し、クロウは別の所に恐怖を感じていた。
セシル「クロウ?」
 その様子を察したセシルが心配そうにクロウを見る。
クロウ「なんだ?」
セシル「え、いや、ちょっと様子が変だったから・・・。」
クロウ「そんな事はない。気のせいだろ。」
 そう言うクロウの口調はいつものそっけないもので、先ほどの恐怖心など微塵も感じさせなかった。
セシル「そう・・?」
 だから、納得は出来なかったがセシルはそれ以上追及はしなかった。
 ・・・・・。
 ・・・。
 ・。
DJ「さあ、続いては、Bブロックの第一試合を始めるぞ!対戦カードは、ヒスイ選手vsダスイ選手だ!」
 DJのアナウンスを聞いてヒスイが立ち上がる。
ヒスイ「いよいよ僕の出番ですね!」
セシル「頑張ってね、ヒスイ!」
 セシルの声援にヒスイは笑顔でうなずいた。
ヒスイ「はい!」
 そして、意気揚々とフィールドへと歩いていく。
クロウ「ヒスイ!」
 その前に、クロウがヒスイを呼び止める。
ヒスイ「え?」
 思いがけなかったのか、少し驚いた様子で振り向くと、クロウが真剣な顔でヒスイへ忠告する。
クロウ「いいか?恐らくビーダマンの性能も、ビーダーとしての腕も、相手よりもお前の方が上だ。だがな、このバトルはそんな事は一切関係ない。それだけは覚えておけ。」
 その忠告を受けて、ヒスイはしっかりと頷いた。
ヒスイ「分かりました。」
 そして、ヒスイとダスイがフィールドに立つ。
ダスイ「お前・・・見ない顔だな、新人か?」
ヒスイ「え、う、うん。この大会に出るのは初めてだけど・・。」
ダスイ「そうか・・・。言っておくが、この大会はお前のような、ビーダマンや自分
の力におんぶに抱っこのアマちゃんが勝てるような大会じゃないぜ。」
 そう言うダスイの姿を観て、ヒスイは今までにない感覚に包まれていた。
ヒスイ「・・・・。」
DJ「ほんじゃま、始めるぞい!レディー、ビーフファイヤー!!」
 言い知れぬ感覚に気を取られてしまったヒスイは反応が遅れてしまう。
ダスイ「うおおおおお!!!!」
 ダスイの怒涛の連射。7発くらいのビー玉がヒスイに襲い掛かる。
ヒスイ「いけー!」
 しかし、ヒスイは難なくそれを打ち落とした。
ヒスイ「(クロウの言ったとおり、相手は大した事ありませんね・・・。あのパーツ
を使うまでも無いか。でも、油断は禁物!一気にケリをつける!)」
DJ「さあ、ヒスイ選手の反撃が、始まるか~?」
ヒスイ「ジェイドガンナー!!」
 ジェイドガンナーの連射。一気に15発くらい撃つ。
ダスイ「ぐおおおお!!!」
 しかし、ダスイは気合いですべて撃ち落した。
ヒスイ「なに・・!?」
ダスイ「俺は、負けない・・!負けない・・・!負けないんだァ~!!!」
ヒスイ「うっ・・・!」
ダスイ「うおおおおおお!!!」
 ダスイのパワーショット。真っ直ぐヒスイへ向かっていく。
ヒスイ「よし、このくらいのショットなら撃ち落せる!」
 ヒスイは、向かってくるショットに向かってなんどもビー玉を撃つが、なかなか撃ち落せられない。
ヒスイ「くっ・・・!まだか!」
ダスイ「うおおおおおおお!!!!」
 ドキュン!ドキュン!ドキュン!!
 何度も何度もビー玉を撃つが、全部弾かれてしまう。
ヒスイ「そんな!普通なら撃ち落せてるはずなのに!」
 バーン!!
 ダスイのショットがジェイドガンナーに命中する。
ヒスイ「ぐっ・・!」
 しかし、衝撃は全然大した事はなく、難なく耐えられる。
ヒスイ「(これだけのショットを・・・なんで撃ち落せられないんだ・・・!?)」
 ヒスイの顔に焦りが浮かぶ。
 その様子を客席から見ているセシルは、心配そうに呟いた。
セシル「ヒスイ、思ったより苦戦してるね。」
クロウ「一応忠告しておいたんだがな・・・。やはり実際に体験しないと分からないか。」
 クロウはヒスイが今の感覚に包まれる事は想定内だったらしく、さほど驚いてはいないようだ。
セシル「どういう事?」
クロウ「どうせ、言っても分からないさ。知りたいなら、このバトルをよく見る事だ
な。」
 いつものようにぶっきらぼうではあったが、いつもと違い真剣な答えを聞いて、セシルはヒスイの戦いを凝視する事にした。
セシル「・・・・。」
 バトルは膠着状態が続く。どのショットも決め手にはならず、消耗戦になっている。
 ドキュン!ドキュン!!
DJ「ヒスイ選手の連射!ダスイ選手、撃ち落せるか!?」
ダスイ「うおおお!!」
 ダスイの連射。しかし、連射スピードが遅いので、撃ち落せない。
DJ「おっと!このままでは命中してしまうぞ!」
ダスイ「くっ!」
 バーン!!!
 ヒスイの弾が命中し、なぜか辺りに煙が立ち込める。
DJ「命中!!まともに当たってしまった!大丈夫か!?」
ヒスイ「はぁ・・・はぁ・・!」
 ヒスイの息も絶え絶えだ。
 だが、さすがにこれは決まっただろうと、セシルの顔に安堵が浮かぶ。
セシル「さすがに、あれだけの弾が当たったら、無事なわけないよね。」
クロウ「どうかな・・?」
 煙が徐々に晴れていく。
DJ「のっと、無事だ!ダスイ選手はビーダマンをしっかり持っている!!」
ダスイ「はぁ、はぁ・・・。」
ヒスイ「なに!?」
ダスイ「俺は、死なない・・・・絶対に死なない・・・!」
 ダスイの強力な気迫を感じ、臆するヒスイ。
ヒスイ「うっ・・・!」
ダスイ「・・・。」
ヒスイ「(お、怖気づくな・・!絶対にこっちの方が勝てるはずなんだ!そ、そう
だ、あれを・・・あれを使えば・・・!)」
 ヒスイはポケットからパーツを取り出す。
DJ「なんだ?ヒスイ選手がポケットからパーツを取り出したぞ!」
ヒスイ「ローラーシールドブースター!セットアップ!!」
 カシャッ!
 ローラーシールドブースターと呼ばれるパーツをジェイドガンナーのバックにセットする。
セシル「ローラーシールドブースター!?」
ヒスイ「ローラーを装備し、よりスムーズにビー玉を発射する事により、連射スピードをアップさせるバックパーツです!」
DJ「なんと!ヒスイ選手は、秘密兵器を用意していた!」
ヒスイ「これなら、どうだぁ~!!!」
 ヒスイは、今までの比じゃないほどの連射でダスイを攻撃する。
ダスイ「ぐっ!」
DJ「凄い連射だ!これはまさに、ビー玉の嵐!!」
セシル「凄い!」
クロウ「ほう・・。」
ダスイ「だめだ・・・かわせない・・!」
 バーン!!
 連射した全てのビー玉がヒットする。
ダスイ「ぐわあああ!!」
 そしてまたも、煙が舞い上がり、ダスイの姿を隠す。
DJ「全部当たった~!!さすがに、これはきついぞ~!!」
セシル「これなら、いくらなんでも・・・。」
ヒスイ「うおおおおお!!!」
 ヒスイは攻撃の手を緩めず、どんどん連射する。
セシル「え・・!?」
 ガガガガガッ!
DJ「ヒスイ選手の容赦ない連射が続く!!」
セシル「まだ攻撃を続けるの!?」
クロウ「・・・・。」
ヒスイ「はぁ・・・はぁ・・・!」
 さすがにヒスイも息が切れてきたので、連射を止める。
ヒスイ「・・・!」
 そして、煙が晴れる。
 そこにたっていたのは、傷つきながらもビーダマンを持っているダスイだった。
ダスイ「はぁ・・・はぁ・・・!」
DJ「なんと!ダスイ選手は、あのビー玉に耐えていた!!」
ヒスイ「そんな・・!」
ダスイ「俺は・・生きる・・・どんなに意地汚くても、生き続けるんだぁ!!」
ヒスイ「うっ・・!」
 ヒスイは、ダスイの気迫に完全に腰が引けてしまった。
ヒスイ「(完全に、こっちが優勢のはずなのに、あいての気迫に飲み込まれてしまう・・・!どうやら僕は、思ったよりも厄介な大会に出場してしまったようですね・・。)」


              つづく

 次回予告

ヒスイ「凄いですね、あのジュウって選手。」
セシル「え~、ただ避け続けてるだけじゃない。」
ヒスイ「でも、あんなに長くロンと戦った選手は彼が初めてですよ。おかげで、じっくりライジングヘイロンを観察できます!」
クロウ「次回!『パワーの秘密 ジュウの秘策』極めろ、強さへの道!」





 



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