段田バン視点第8話「スペリオルシステムの開発者」
本編第21話の赤壁杯ユース大会の翌日。
達斗と翔也は放課後、機体のメンテナンスをするために段田ラボへやってきた。
「よし、これでOKだ」
バンがボックス状の機械からスプリントヴァーテックスとスピニングエイペックスを取り出して達斗と翔也へ手渡した。
「「ありがとうございます」」
二人は声を揃えて愛機を受け取った
「しかし、ぶっつけ本番の大会でトラブルが起きなかったのは奇跡だな」
伊江羅博士が感心するように呟いた。
「それは確かに……試合中は夢中だったからそこまで考えてる余裕なかったけど」
「これもバンさんと伊江羅博士が念入りに調整してくれたおかげですね」
「いや、お前ら二人の基本設計が良かったんだよ。まさかあんな合体技まで編み出して優勝するなんて大したもんだぜ」
「これだな」
伊江羅博士がモニターのスイッチを入れた。すると、大会でのバトルの様子が映し出される。
「「スーパーノヴァトルネード!!」」
「これこれ、凄かったよな!」
バンがモニターを指差しながら興奮する。
「回転するスピニングエイペックスをスプリントヴァーテックスが弾く事で強力な磁気嵐を発生させる……あのギミックにこのような使い方があったとはな」
「これ翔也が咄嗟に思い付いたんです」
「へぇ、さすがだな翔也!」
バンに褒められて翔也は照れながらも得意げに鼻を擦る。
「へへへ、まぁ偶然なんですけどね。エイペックスとヴァーテックスが反発し合ったのを見て、もしかしたらって」
「なるほど……まだまだスーパーX機体には隠された力があるのかもしれないな」
伊江羅博士は機体の設計図を眺めながら感慨深げに呟いた。
「隠された力か……よーし、タツ!早速バトルしてもっと力を引き出そうぜ!」
「うん!」
翔也と達斗はメンテしたばかりの機体を手に持って部屋の隅にあるフィールドへ駆け出そうとした。
「待て!」
が、それをバンが止める。
「な、なんですか……?」
さすがにメンテしたばかりの機体を酷使する事を注意されるのかと思い、二人は身を強張らせた。しかし、バンの言葉は予想外のものだった。
「お前ら、俺とバトルしてくれ」
「「え、?」」
耳を疑った。
「あんなの見せられちゃ俺も黙ってられねぇぜ。2VS1で俺と勝負だ!」
バンが提案したのは、翔也と達斗タッグでのバンとのバトルだった。
「「えええええええ!!??」
大会で優秀な成績を収めたとはいえ、まだまだアマチュアでの若輩者の二人がトッププロの中でもチャンピオンの段田バンに勝負を挑まれる。軽いジョークのようだが、バンの目は本気だった。
「バ、バンさんとバトル……!」
「マジか……」
さすがに二人はたじろぐ。
「おいおい、そんなに重く考えるなよ。ただの練習試合だぜ」
「でも、なぁ」
「うん」
翔也と達斗は顔を見合わせる。
「お前らのあの技とガチンコ勝負してみたくなったんだ!頼むよ!」
バンは手を合わせた
立場が遥か上の存在とは思えないカジュアルなお願いの仕方に、二人の緊張は解かれた。
「まぁ、負けて死ぬわけじゃないし、今の俺たちの力がどれだけバンさんに通じるか試す良いチャンスか」
「そうだね。うん、やります!バトルしましょう!」
「そうこなくっちゃ!」
こうして、三人はフィールドに着いた。
「ルールは2vs1の変則チームバトルだ。HPは三人とも15で良いぜ」
「分かりました」
「って事は、純粋に人数分俺達の方が有利か……」
「ハンデあるからって手加減しなくて良いからな!本気で来いよ!」
「手加減なんて出来る立場じゃないですよ……!」
「全力でいきます!」
マインと機体をフィールドにセットして構える。
「「「3.2.1.アクティブシュート」」」
「いけぇ!プリベイルヴィクター!!」
バンのシュートしたプリベイルヴィクターが凄まじき迫力で迫ってくる。まともにぶつかればすぐに場外だ。
「タツ!」
「うん!」
翔也は達斗に目配せし、達斗は頷く。
シュンッ!!
スプリントヴァーテックスとスピニングエイペックスはお互いにぶつかる様な軌道を取り、プリベイルヴィクターが到達する前に二機が反発して軌道を変えてプリベイルヴィクターの攻撃を回避した。
「よし、躱した!」
「危なかった……!」
「やるじゃねぇか」
しかし、そもそもそこまで強くシュートしたわけでは無かったのか、回避されたプリベイルヴィクターはすぐに停止した。
今回のアクティブシュートで最も進んだのはスプリントヴァーテックスだ。
達斗&翔也タッグの先攻。
「いきなりバンさんに大技使うのはリスクがあるな」
「まずは様子見だね」
「だな。タツ、受け取れ!」
バシュッ!
翔也はスピンシュートしてマインをスプリントヴァーテックスの目の前まで飛ばす。
「うん!いけ、ヴァーテックス!!」
バシュッ!!
達斗はヴァーテックスをシュートして目の前のマインを弾き飛ばし、プリベイルヴィクターに接触した。
これでマインヒット3ダメージだ。
「よし、まずは先制ダメージだ!」
「へっ、こんなもんかよ」
バンのターン。
バンは素早くヴィクターの向きを変えてヴァーテックスに狙いを定める。
「っ!」
達斗は咄嗟にステップしてその場を離れようとするが……。
「遅いぜ!」
バキィィ!!!
バンはステップの隙を与えずに素早くシュートしてスプリントヴァーテックスを弾き飛ばす。
力をあまり込められなかったためか、スペリオルシステムは発動しなかったが、それでもフリップアウトさせるほどの威力だった。
「くっ!」
これで達斗は6ダメージだ。
「どうした?本気で来いって言っただろ!出し惜しみすんな!!」
バンが喝を入れる。
達斗は場外したヴァーテックスをスタート位置に戻す。3機以上のバトルなので仕切り直しは行われない。
「翔也、こうなったら……」
「あぁ、やるしかねぇな……!」
達斗と翔也は腹を括った。
「いけっ、スピニングエイペックス!!」
バシュッ!ギュワアアアアアア!!!!
翔也がスプリントヴァーテックスの目の前へ向かってスピンシュートする。
「いくぞ、スプリントヴァーテックス!!」
そして、達斗は猛烈スピンするスピニングエイペックスへ向かって渾身のストレートシュートを放った。
ガッ!!
スピニングエイペックスへスプリントヴァーテックスが衝突!その瞬間、電磁気ギミックによる反発力でスピニングエイペックスがプリベイルヴィクターへ向かってカッ飛ぶ!
「「スーパーノヴァトルネード!!!」」
「へへ、これこれ!」
明らかにヤバいエネルギーで突っ込んでくるスピニングエイペックスに、バンはバリケードも構えずに迎え撃つ。
バゴォォォ!!!!
必殺技をモロに受けて吹っ飛ばされるヴィクター、その軌道をバンはじっくりと睨め付ける。
「そこかっ!」
バッ!
バンは素早く手を伸ばして飛ばされたプリベイルヴィクターをキャッチした。
「ぐっ、くぅぅぅ〜、効くなぁ……!」
半端じゃない勢いで飛ばされた機体を素手でキャッチしたので、その衝撃が手から全身に伝わる。
「あ、う、うそだろ……」
「アレをキャッチするなんて……!」
「へへっ、下手にバリケード構えたらブレイクされるか、オーバーアウトされかねなかったからな……それにしても、やっぱ大した技だぜ……おぉ〜、いちち……!」
バンは衝撃で少し腫れた右手を軽く振った。
オーバーアウトは免れたが、飛ばされた自機を触ったため全フリップアウト扱いで6ダメージだ。
これでバンはHP6になる。
「んじゃ、俺も遠慮なく行くぜ!」
バンのターン、プリベイルヴィクターを復帰位置に戻し、そしてスピニングエイペックスへ狙いを定める。
「喰らえ!!」
バンの強烈なシュート。
「っ!」
翔也は咄嗟にステップでエイペックスの向きを変えて衝撃を逃がそうとする。
バゴォォォ!!!
しかし、そんな小細工が通用する相手では無い。
スピニングエイペックスはプリベイルヴィクターの攻撃を受けて回転しながら場外してしまった。
これで翔也はHP9だ。
「翔也!」
「くっ、やっぱり強い……!」
翔也は場外したスピニングエイペックスを復帰位置に戻した。
達斗&翔也のターン。
「けど、バンさんのHPはあと6!」
「もう一度必殺技で決めよう!」
「当然!」
再びスーパーノヴァトルネードを繰り出そうとする二人だが……。
「そうはいかねぇ!フリップスペル『ストライクバック』でカウンターブローだ!」
ストライクバック……三人以上のバトルにおいてカウンターブローが出来る。また、このアクティブシュートで敵機を場外や転倒させたり、自機よりも先に敵機が停止したら追加でダメージが入る。
「ス、ストライクバック……!」
「こっからは本当のガチンコしようぜ」
「アクティブシュートで必殺技の撃ち合いか……!」
バンの意図を察して、翔也と達斗は固唾を飲んだ。
そして、三人が機体をスタート位置に戻す。
「「「3.2.1.アクティブシュート!!!」」」
バシュッ!!!
ほぼ同時のシュートだが、気持ち達斗はシュートの加速タイミングを遅らせて翔也に先行を譲る。
翔也は素早い加速でシュートしてスピニングエイペックスをスピンさせてスプリントヴァーテックスの前に来る様にした。
「いっけえええ!!!」
そこ目掛けてスプリントヴァーテックスが突っ込んでいく。
「いっくぜぇ!ブースターインパクトォォォォ!!」
それとほぼ同時に、バンはお馴染みの必殺シュートを繰り出して突っ込んでいく。
しかもその勢いは、シュートした直後に更に加速した様に見えた。
「っ、そのシュート!?」
「翔也の竜巻に吸い寄せられて、加速した!?」
「わりぃな!スピンで竜巻出す機体とは戦い慣れてんだ!!」
バンはスピニングエイペックスの起こす風の流れを読んで逆に利用したのだ。
ガッッッッッ!!!
スピニングエイペックスにスプリントヴァーテックスが接触すると同時にプリベイルヴィクターも激突した。そして、スペリオルシステムが発動!
バーーーーーーン!!!!!
三機の強大な運動エネルギーを持った機体同士が接触した事で衝撃波が発生!
三機とも場外に弾き飛ばされてしまった。
ガシャ、ズザアアアアア!!
当然キャッチする余裕もなく、床に落ちて滑っていく。
「はぁ、はぁ……!」
「く、ふぅ……!」
「は、はぁ、はぁ……!」
発生した衝撃波に吹き飛ばされないよう踏ん張る事で体力を消耗したのか、三人とも息を乱している。
「全員場外の自滅……!」
「っ、距離は!」
自滅のダメージは2だが、場外の場合はフィールドからの距離によってダメージが増える。
測定してみると、プリベイルヴィクターは2mほど飛ばされ、他の二機は3m飛ばされていた。
プリベイルヴィクターは2×2で4ダメージ、残りHP2だ。
一方、他の二機は2×3の6ダメージが発生して二人とも残りHP3。
アクティブシュートで場外が発生したので再びアクティブシュートとなる。
「残ったか……!」
「まだまだ!翔也、もう一回やろう!」
「おう!……って、なにぃ!?」
機体を拾った翔也が素っ頓狂な声を上げる。
「ど、どうしたの?」
「タツ、機体見てみろ」
「え?……あぁ!!」
達斗も翔也と同様声を荒げる。
スピニングエイペックスとスプリントヴァーテックスはボロボロ、ブレーキ用のラバーも完全に擦り切れていた。
「これじゃ、もう必殺技使えない……!」
「あっちゃ〜、わりぃやり過ぎちまったか」
本番ではないし、これ以上やって機体に負担をかけるのも良くないと判断して試合は中断。
ヴァーテックスとエイペックスは再びメンテ行きとなった。
「……まさか、メンテ完了した直後にオーバーホールさせられる羽目になるとはな」
伊江羅博士がゴチる。
「ははは、悪い」
「だが、良いデータは取れたな。スーパーノヴァトルネードは、威力が高い分機体への負担が大きい。連続で使用するのは2回までが限度だろう」
「もし本番の大会で考えなしに連発してたら、却って不利になってたかもしれないんですね……」
「まぁ、GFCは個人戦だから使う機会はそんなに無いと思うけど」
翔也の言う通り、赤壁杯はたまたまチーム戦だったから合体技が使えただけであり、GFCでは翔也も達斗もライバル同士だから使う事はないだろう。
「いや、そうとも限らないぜ」
しかし、翔也の発言にバンが反論する。
「GFCの予選はバトルロイヤルのFUGBが採用される。って事は、状況によってはライバル同士が結託する場合もある」
「確かに」
「それに、サマー大会からは単なるライバルじゃなく、明確な敵も現れるだろうしな」
「敵……!」
「セレスティア……」
バンの言葉で、その存在の事を思い出す。
「厄介な奴らだぜ。民間運営とはいえ、大会を利用してあんなもんの販促するなんてな」
「イクヲリティー……」
「GFCは赤壁杯と違って公式委員会運営の大会だから下手な真似は出来ないと思うが」
「でも、なんか仕掛けてくるのは間違いねぇ。達斗、翔也、負けんなよ!」
「「は、はい……」」
二人の返事はどこかぎこちなかった。
「なんだよ、歯切れ悪いな」
「いえ……二人がかりで合体技まで使ったのに、バンさんには全然敵わなかったなって……」
「その上、回数制限の弱点が判明したってなると、ちょっと厳しい戦いになるかなと」
「何言ってんだよ。あそこまで戦えたら大したもんだぜ!それに、赤壁杯ではあいつらに勝ったんだろ」
バンは必死に元気付けようとするが……。
「だけど、セレスティアのボス、プロフェッサーFはバンさんと同じスペリオルシステムの機体を使ってた」
「スーパーノヴァトルネードでも、あの機体に勝てるかどうか」
プロフェッサーFのバスターファフニールにコテンパンにされた記憶が蘇る。
「いやいや、あいつは年齢的にGFCには出てこないだろ」
「ですが、同じ機能の機体を持った新しいメンバーが出て来るかも……」
翔也の懸念は尤もだ。ボスが使っている機体のデータを流用して開発された機体を使うメンバーが出てこない保証はどこにもない。
「いや、それは不可能なはずだ」
翔也の懸念を、伊江羅博士はピシャリと否定した。
「スペリオルシステムは、そう易々と量産し、ましてや並のフリッカーに扱わせる事などは出来ない」
いつもよりも強い口調で断言する伊江羅博士に違和感を覚える。
「そう、なんですか……?」
それ以上伊江羅博士は言葉を発しなかった。
なんとなく気まずい空気になったのでバンが口を開く。
「……俺も詳しい事は知らないんだけどさ。なぁ伊江羅博士、ここんところバタバタしてて聞けなかったけど……スペリオルシステムってそもそもなんなんだ?なんでセレスティアのボスが同じシステム使ってんだ?もしかして伊江羅博士は、プロフェッサーFに何か心当たりがあるんじゃねぇか?」
バンの質問責めを受け、伊江羅博士は重々しく口を開いた。
「……全ては、バンキッシュパンデミックの裏で動いていた事だ」
「バンキッシュパンデミック?」
達斗が首を傾げる。
「それって、数十年前にフリップゴッドの発表したバンキッシュドライバーが強過ぎたせいで競技環境が崩れた事件、でしたっけ?」
翔也がネット等で仕入れたと思われる朧げな知識で語ると、伊江羅は頷いた。
「そうだ……あの頃は、誰しもがバンキッシュドライバーに踊らされていた。バンキッシュドライバーを求めるもの、対抗出来ないと諦めるもの……そして、バンキッシュドライバーを超えようとするもの」
「超えようとする?」
「そう、バンキッシュドライバーを超える更なる力を求め開発しようとする研究者も少数ながら存在していた。俺も、その一人だった」
昔を懐かしむように伊江羅は一息ついて再び話し始める。
「その時に設計したのが、単なるバネ蓄勢ではなくギアの力で威力を増幅させるシステム……スペリオルシステムだ」
「そんな昔からスペリオルシステムの設計が」
「だが、所詮は夢物語だった。あの当時の技術では、とてもじゃないが作れるようなものじゃない。だが……俺の設計に賛同するものが現れた。それが、高嶺飛我(たかみねひゅうが)と言う男だ」
「ひゅうが……」
達斗が呟く。
「高嶺と共同開発する事で、数年の時を経てようやく試作1号機が形になった。だが、一言で言えばそれは失敗作だった。強大な威力に対して機体の強度が足りず、そしてフリッカーへの安全性問題もクリアが出来ない。どう足掻いても、こればかりはどうしようもなく、やがて研究資金は尽きてしまい計画は凍結。高嶺とも疎遠になってしまった」
「そんな事があったのか……」
「しかも俺達の研究を傍で見ていた弟のザキが悪影響を受けてしまい、その後はいろいろバタバタしたからな、スペリオルシステムどころではなかった」
「あぁ……」
これはバンの良く知っている初代ストーリーの話だろう。
「結局、今のようにスペリオルシステムを実現させるためにはかなりの歳月を要した上に、バンレベルのフリッカーでないとまだまだ安全には扱わせられない。おいそれと無関係な人間が開発し、扱えるものではないのだ」
「な、なるほど……」
スペリオルシステムの裏に秘められた壮絶な過去を聞き、神妙に頷く一同。そしてそれと同時に一つの答えが浮かぶ。
「って事は安直だけど、その高嶺飛我って人がプロフェッサーFなんですかね?」
「話の流れだと、それ以外無いですよね?」
その意見にバンが反論する。
「でも、そんな昔に伊江羅博士と共同開発してたって事は結構良い歳だろ?仮面付けててハッキリしなかったけど、俺が見た感じだと俺より一回りくらい若そうだったけどな」
バンはプロフェッサーFの容姿を思い出しながら言う。
「見た目年齢など当てにはならんが……だが、バンの言う通り、プロフェッサーFは高嶺であるはずがない」
「あるはずがない?」
妙な否定の言い回しに、バンは引っかかった。
「……」
ここからは重い話題なのか、伊江羅博士は一旦間を置いた。
「風の噂程度でハッキリとはしないんだが……奴は数年前に命を絶ったらしい」
「マジか!?」
「これでも奴は研究者の間ではそれなりに名を馳せていたからな、縁は切れても訃報くらいは耳に入る。もっとも、葬式に出たわけではないから確かな情報ではないがな」
全てを語り終えて、伊江羅は息を吐いた。
「でも、やっぱり一番可能性が高いのはその高峰って人ですよね……?」
「他に無いしな……死を偽造したとか?」
「いや、何のためにだよ」
「確かに……」
「ひゅうが……もしかして、プロフェッサーFのFって!」
「いや、ひゅうがはイニシャルHだぞ」
翔也に突っ込まれる。達斗は英語の成績がよくない。
「あ、そっか」
達斗は間違いが恥ずかしくて少し顔を赤くした。
「まぁつまり、まだまだ謎だらけって事か」
バンは大きく伸びをして身体をほぐして総括した。
「敵の情報がハッキリしない以上、戦況は何とも言えないな」
「赤壁杯では勝ったとは言え、油断は禁物か」
「サマー大会までに、何か仕掛けて来るかもしれませんしね」
「イクヲリティーが発売したらどうなるか……」
「俺達も、次の一手を考えねぇとな……」
一同は重々しく頷いた。
つづく
