shoot10「少女」
無事に椎奈と再会出来た千春。
カード争奪バトルの主催者の所へ行こうと言う椎奈だが、そんな二人の前にあの夢に現れた少女が立ちはだかった。
「戦いの放棄は許さない」
「あなたは、夢の中の……!」
少女が手を翳すと目の前にフィールドが現れる。
「やるしかないみたいね」
椎奈は覚悟を決めてグラヴィトキシックをフィールドに置いた。
「ドロシー……!」
千春も戸惑いながらルナルチをセットした。
「「「3.2.1.アクティブシュート!!」」」
三機のフリックスが一斉に放たれてフィールド中央に向かって突き進む。
「いけっ!グラヴィトキシック!!」
「ルナ=ルチリア!!」
「無駄よ……リインバースエンジェル!!」
ガッ!
椎奈と千春の機体は、少女の薄く掬い上げるような機体と接触するとそのまま乗り上げて場外してしまった。
「そんなっ!こっちは二人がかりなのに……!」
「やるじゃない……!」
「あなた達は私には勝てない」
その後もリインバースエンジェルの攻略法は見つからず、敗北してしまった。
「つ、強い……!」
「今のあなた達じゃ、大したエナジーにはならないけど……貰っていくね」
敗北のショックで座り込む二人へ少女が近づき、エネルギーを吸い取るかのように手を翳す。
その時。
「もうやめて!!!」
シュン!と、キセノサイドエンジェルが飛んできてそれを阻んだ。
見ると、そこには少女と瓜二つの姿をしたもう一人の少女がいた。
「え、ど、どう言う事?」
「双子、ってわけじゃないよね」
戸惑う千春と椎奈。
少女は疎ましそうにもう一人の少女を睨みつけた。
「……まだ邪魔する気なのね」
「これ以上、誰かを犠牲にするのはやめて!」
「これはあなたが望んだ事でしょう」
「違う!私は、私は……!」
「そう、自分が助かる事を望まないなんて、そんなあなたは本当の私じゃないわ。今すぐ消してあげる」
少女がリインバースエンジェルを構えると、もう一人の少女もキセノサイドエンジェルを構えた。
「あなたこそ、本当の私じゃない!!」
バシュッ!!
二人が同時に機体をシュートする。
バーーーーン!!!
激突した瞬間、凄まじい衝撃波と共に二人の少女は幻のように消えてしまった。
「き、消えた……」
「やっぱり、実体じゃなくて意識体みたいなものなのね」
「え?意識体?」
「行くわよ千春。思ってたより事態は一刻を争うかもしれない!」
椎奈は立ち上がり、千春の手を引いて駆け出した。
つづく