第79話「暴け!デウスリベンジャーズの魔手!!」
館山城城山公園。
ここでは、ユーロフリッカー騎士団とデウスリベンジャーズの二戦目が行われている。
先日行われた七夕祭りでFICSフリッカー達の仲が良くなったのもあり、その試合を他の三チームも観戦していた。
もちろん、デウスリベンジャーの動向に対してユーロフリッカー騎士団を心配してのものだ。
『さぁ、ユーロフリッカー騎士団とデウスリベンジャーズの戦いはますます激しさを増している!前回敗北してしまったデウスリベンジャーズは、どうにかここで勝っておきたいところ!それ故なのか、物凄い気迫で戦っているぞ!!』
「オラァァ!!切り刻め!!」
「ロンギヌス!!」
ズパァァ!!!
ジャンのロンギヌスに深い傷がつく。
「っ!第一戦目よりも破壊力が高い……!」
「あの時は様子見兼ねてたからなぁ!これが俺たちの本気だ!」
「くっ、本気の出し方間違ってんだろ!」
バシュッ!シャキンッ!!
ガレスのエクスカリバーも切り刻まれていく。
「剣なのに切り刻まれる気持ちはどうだ?」
「ちぃ!!」
『デウスリベンジャーズの猛攻!猛攻!!しかし、フリップアウトどころかマインもヒットしない!今回のルールは上級ではないため、激しい猛攻に対して全くダメージになっていないぞ!!』
「さぁ、じっくりと痛ぶってやるぜぇ!」
「……ゲスが!」
シュバッ!バチィィン!!
アルベルトの攻撃。ジークボルグへアタックするが、逆にバネギミックでカウンターを喰らってしまった。
「やるじゃねぇか。でも、無意味だぜ」
カウンターで弾き飛ばした所で、斬りつけられてしまう事に変わりはない。
ジークボルグには深い傷がつけられてしまった。
そして、ユーロフリッカー騎士団のターン。
「やれぇ!エクスカリバー!!」
ガレスの力強いシュートも、破損によってバランスが崩れているために決まらない。
「ダメです!機体性能が大幅に落ちていてまともに戦えません!」
「仕方ない。次のターンからは負担を最小限に抑えながらマインヒットを狙う。敵機からなるべく距離を取るぞ」
アドルフとジャンは敵機から離れ、次のターンでマインを狙えるような立ち位置へ移動した。
『さぁ、ユーロフリッカー騎士団は作戦を変更し敵機から距離を取った!一方のデウスリベンジャーズ、この立ち位置からでは攻撃は難しいか!?』
「無駄なんだよ!!」
マインもフリップアウトも狙いづらいであろう立ち位置にも関わらず、イービルリッパーは構わず突進し、斬りつけてくる。
「くっ!」
「貴様ら、まともに勝つ気はないのか!?」
「悪いが、これが俺達の勝ち方だ!」
観客席。
「ひ、ひでぇ、こんなのバトルじゃねぇ……!」
「うん、まさかこんなあからさまに仕掛けてくるなんて」
「酷い!酷すぎマス!!」
「……強豪であるユーロフリッカー騎士団を潰すためにはなりふり構わないと言う事か」
そして試合は、デウスリベンジャーズによる拷問のような展開で進んでいく。
どんどん傷つき、力を失っていくユーロフリッカー騎士団に成す術はない。
「アドルフー!!もういい!自滅しろおおお!!!」
「これ以上やったら、機体が死んでしまいマス!!!」
バン達は必死にアドルフへ棄権するように訴えるのだが……。
「……ありがたい忠告だが、ここで引いては騎士道に反する」
アドルフはボロボロになったジークボルグのギミックをチャージし、イービルリッパーへ狙いを定める。
直接攻撃の構えだ。
「ほぅ、根性だけは座ってんな。でもそんな意地のせいで再起不能になっても知らねぇぞ?」
「意地ではない。これは勝つための行動だ!!」
ドンッッ!!
必殺の一撃をぶつける。
「トライアンフアッパー!!」
「切り裂けぇぇ!!!」
バキィィィィ!!!
イービルリッパーを場外へ弾き飛ばすものの、その負荷に耐えきれずジークボルグのフロントパーツが折れて、欠片も一緒に飛んでいく。
「はっ、自滅だぜ!」
「ジャン、ガレス!!」
「ええ!」
「任せろ!!」
ロンギヌスが槍を射出して飛んでいきそうになった欠片を撃ち落とし、さらにエクスカリバーがそれを支えて場内にとどまらせた。
『これは見事なチームワーク!力を振り絞ったアドルフ君の一撃を、ジャン君とガレス君がサポートしてアルベルト君のイービルリッパーをフリップアウト!!まだまだ勝負は分からない!!』
「ふざけた真似しやがって……!」
仕切り直しアクティブ。
『3.2.1.アクティブシュート!!』
バシュウウウウウ!!
「遊びは終わりだ!デーモンシュレッダー!!!」
イービルリッパーの刃が更に鋭くなり、ユーロフリッカー騎士団へ襲い掛かる。
ズパァァァァァ!!!!
その一撃を真正面から食らってしまい、ユーロフリッカー騎士団の機体は細切れに引き裂かれてしまった。
「なっ!」
「ぐ……!」
『な、なんと言うアクシデント!激しすぎるバトルの末にユーロフリッカー騎士団の機体が全て破壊してしまった。これではバトル続行は不可能……よって勝者はデウスリベンジャーズだ!』
「大人しく逃げときゃ、負けるだけで済んだのにな」
「……」
嫌味ったらしく笑うアルベルトを無視し、アドルフは客席へ目配せした。
その、視線の先には……。
「あ、あいつら、やりやがった……」
「ひど、ひどすぎデス」
「ここまでやる事ないのに……」
「……ウィリアム、ジェームズ、データは取れたか?」
「オールライト」
「ここまで派手にやってくれれば、今までよりも分析はしやすいはず」
「よくやった」
デイビットはメンバーへ労いの言葉をかけると、ステージを見下ろしアドルフと目を合わせた。
(ユーロフリッカー騎士団、君達の戦いは決して無駄にはしない)
つづく
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