第76話「チームの絆!試行錯誤で勝利を掴め!!」
千葉県東京ドイツ村。
ダントツウィナーズVSユーロフリッカー騎士団のバトルは3バトルマッチとなった。
第1ラウンドはユーロフリッカー騎士団に取られてしまい後がないが、果たして……!
『さぁ、白熱の戦いを見せてくれるダントツウィナーズとユーロフリッカー騎士団!第二ラウンドはどのような戦いを見せてくれるのか!?』
インターバルを挟んで、フィールドが一新される。
『第二ラウンドのフィールドは森林!所々に生えた樹木と凸凹な路面がフリックスの走行を遮る難易度の高いフィールドだ!!』
「これは難しそうなフィールドだぜ」
「シャーシはオフロード用に変えたほうが良いね」
「そうだな」
バン達はセッティングを変更する。
『さぁ、早速第二ラウンド行くぜ!3.2.1.アクティブシュート!!』
シュンッ、ガッガッ!!
このフィールドは流石に難しすぎたのか、両チームともに自滅した。
「いぃ!?」
「全員自滅か!」
「想定内だ。初手はフィールドの癖を掴めれば上等」
それぞれ機体をセットし直す。
「ここじゃビートヴィクターの力を発揮しきれねぇぜ」
「バン、ザキ。このは私のサポートに回って」
「あ、そっか。プロミネンスウェイバーの機動力なら」
「あぁ?俺がサポートだと?」
「ザキ」
「……ちっ」
ザキは渋々ながら頷いた。
『さぁ、仕切り直し行くぜ!3.2.1.アクティブシュート!!』
「やはり要注意は彼女ですね。ロンギヌス!!」
ロンギヌスの槍がプロミネンスウェイバーへ襲いかかる。
「させるかぁ!!」
ガッ!
ダークネスディバウアがスピンしながらそれを弾き飛ばす。
「むっ!」
「いくぜ、リサ!」
パーーーン!
ビートヴィクターがプロミネンスウェイバーを弾き飛ばし、ウェイバーは障害物を利用してジグザグに動きながらフィールドの奥へ向かった。
『さぁ、先手を取ったのはダントツウィナーズだ!』
「ちっ、だがこのフィールドじゃロクに攻撃出来ねぇだろ!」
「バン、ザキ!」
「ああ!」
「とっとと決めろよ」
リサの合図でバンとザキがシュートしてまるで陣形を組むように機体を移動させた。
「いっけぇ!プロミネンスドリフト!!」
バシュッ!
リサのシュート、まずはマインを弾き飛ばし樹木にぶつかって反射しロンギヌスにヒット。
「くっ!」
「へっ、でも次のターンでお返ししてやるぜ!」
しかしまだまだウェイバーは止まらない。
そのままビートヴィクターへ迫る。
「いくよ、バン!」
「おう!」
パァン!!
ヴィクターのバネギミックを利用してウェイバーを更に加速させ、ジークボルグにヒット。
パァン!
ジークボルグのバネによって跳ね上げられ、飛び上がるウェイバー。
「まさか、ジークボルグのギミックも利用したのか!?」
急降下してマインにぶつかり、それをダークネスディバウアへ飛ばす。
カッ!
ダークネスディバウアへマインがヒットし、そこへウェイバーがぶつかり合う、ダークネスディバウアが回転しエクスカリバーへ接触した。
『なんとなんとなんと!!ダントツウィナーズはリサ君の驚異的なテクニックと見事なチームワークでユーロフリッカー騎士団を』
「バカな!1ターンで俺達三機をマインヒットだと!?」
「しかも、こんなフィールドで……!」
「やったなリサ!」
「二人のおかげだよ!」
「ちっ」
「ダントツウィナーズ……チームとしても成長しているようだ」
『さぁ、イーブンだ!いよいよ最終ラウンドだぞ!!最後のフィールドはこれだ!!』
今度は見た目は適度にフェンスやスロープが設置されている基本的なフィールドだった。
「なんだ?普通のフィールドじゃん」
『ふふふ、フィールド表面を触ってみたまえ』
意味深に笑うバトルフリッカーコウに促されるまま触ってみる。
「これ!」
「素材が違う」
『そう!今回の舞台はラバーフィールド!摩擦の強い路面で防御力が上がる反面、機動力は下がるぞ!!』
「ラバーか……」
「思ったよりも摩擦力が強そうだね」
「だが、平面なら力任せにいけばどうにかなる」
「そうだな!このフィールドは俺とザキで行こうぜ!!」
そして、最終ラウンドのセットをする。
『そんじゃ、最終ラウンド行くぜ!3.2.1アクティブシュート!!』
シュンッ!!
両チームともにあまり進めずに激突はしなかったが、その中でビートヴィクターが先手を取った。
『先攻はダントツウィナーズだ!!』
「思ったよりも進まねぇ!けど、この位置なら!」
バシュッ!!
バンは近くにいたエクスカリバーへ攻撃をぶつけた。
「ビートインパクト!!」
しかし、摩擦によって防御力が上がっていたため、あまり弾き飛ばせなかった。
「くぅぅ、めんどくせぇぇ!!」
「ビートヴィクターみたいな掬い上げ機体は余計に攻撃力が下がっちゃうんだ……!」
「オラァ!!」
ザキも力一杯シュートするが、ただでさえ機動力に欠けるスピンシュートでは攻撃が届かない。
リサも何も出来ずにマイン再セットした。
『新素材の超強力ラバーの味はどうだい!?いずれはF-1のタイヤにも使われる予定の高性能な摩擦力を持つのさ!!』
「そんなもんフィールドに使うなよ……!」
ユーロフリッカー騎士団のターン。
「あいつらだって、ロクに攻撃出来ないはず!」
「どうかな?このフィールドの特性はもう掴んだ。いくぞ、ガレス」
「おうよ!」
バキィィィ!!
ジークボルグがエクスカリバーを弾き飛ばした。
カチ上げなら路面摩擦関係なく大きく飛ばせるのだ。
そして、エクスカリバーはダントツウィナーズの固まっている場所へ着地。
『おおっとこれはうまい!アドルフ君は自身の攻撃力で味方を移動させた!!』
「行くぜ、喰らえ!!アックススラッシュ!!!」
エクスカリバーは必殺技のアックススラッシュを発動!
剣を振り回すようにスピンをして、ビートヴィクターとプロミネンスウェイバーを同時に薙ぎ払い投げ飛ばした。
「げぇ!」
「ウェイバー!!」
『これは凄い!ガレス君は必殺技を駆使して一気にヴィクターとウェイバーを撃沈だ!!』
「よくやった、ガレス」
「チョロいぜ」
『さぁ、これで本当に後が無くなってしまった!ダントツウィナーズはザキ君一人で逆転は出来るのか!?』
「ぐ、くそ……諦めたくねぇ……!ザキ、頼む!」
「お願い、私たちの分まで、勝って!!」
バンとリサはザキへ望みを託す。
「けっ」
ザキはぶっきらぼうに返事をして機体を構えた。
(……期待を向けられるのは慣れている)
スクール時代を思い出す。
多くのスクール生達からの羨望を受けながらも、そんなものを一蹴し我が道を突き進み……それが更に周囲の期待を大きくしていった。
だが、今は少し違う。
バン達の期待は羨望から来るものではなく、対等な仲間としてのもの。
そしてザキも、それを内心受け入れながら戦っている。
(この俺が、こんな戦い方をするなんてな)
ザキは自虐ぎみにフッと笑いながら、力を込めた。
肘を曲げ、そしてシュートの瞬間に伸ばしながらスピンシュートを放つ。
「っ!そのシュート……!」
それはまるでバンのブースターインパクトのようだった。
「ブースタージェノサイド!!!」
バキィィィ!!!
ブースターインパクトによる加速を得たダークネスディバウアは路面摩擦をものともせずに突進し、エクスカリバーを弾き飛ばした。
「うおおおお!!!」
そして、そのままマインを弾きながらフェンスに直撃し、反射してジークボルグとロンギヌスへダブルヒット。
「これは!」
まるで、リサのプロミネンスドリフトを彷彿とさせた。
『決まった!仲間の期待を背負ったザキ君は、他のメンバーの必殺技を合わせたかのようなミラクルシュートでユーロフリッカー騎士団を同時に撃破!!勝者はダントツウィナーズだぁぁぁ!!!』
「ザキ!」
「へっ、倒してやったぞ」
「おう!凄かったぜ!!それに、今のシュート、もしかして……」
「私たちの……」
バンとリサが言い切る前にザキはそっぽを向いた。
「チーム戦なんだろう、これは」
ザキの言葉に、バンとリサは顔を見合わせて笑った。
つづく
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