弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第74話「打倒ユーロフリッカー騎士団!バーチャル特訓を攻略せよ!!」

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第74話「打倒ユーロフリッカー騎士団!バーチャル特訓を攻略せよ!!」

 

 研究所。
 大型の装置がウィーンウィーンとブザーを鳴らし、白煙を上げながらゆっくりと開いた。
 その中にはピカピカになった三体の期待が入っていた。

「よし、修理は完了だ」
「うおおおヴィクター!!」
 バンはいの一番に機体を手に取ってほおづりした。
「よかったぁ元通りだ」
「当たり前だ。あのくらいの損傷ならここの施設を使えば問題ない」
「だが、修復に時間かけすぎだろ。それまで練習出来なかった分、取り戻さねぇとな」
「これでも急ピッチ作業だったんだが、普通のバトルではありえない破損の仕方をしていたからな。そもそも、一番破損率の高かったディバウアの修理に時間を取られたんだが」
 慎重に戦ったバンとリサと違い、思いっきり突っ込んだ分ザキの方がダメージが大きかったようだ。
「ちっ」
 痛いところを突かれ、ザキは舌打ちしてそっぽを向いた。

「さて、機体が直って早速だが急いでミーティングと練習をするぞ。試合まで日が迫ってるからな」
「そういえば、次の相手はどこなんだ?」
「ユーロフリッカー騎士団だ」
 その言葉を聞いて、一同気を引き締める。
「あいつらか……!」
「こうしちゃいられねぇな。早く練習するぞ。次こそブチのめす」
 血の気の荒いザキを伊江羅が諌める。

「落ち着け。相手は闇雲に力を付けたところで勝てる相手ではない。特にこのFICSにおいては我々の天敵のような相手だ」
「どう言う事ですか?」
「我々ダントツウィナーズはそれぞれが自由な戦いで腕を磨いてきたものを集わせたチームだ。故に各個の実力は世界から見てもトップクラスだが、チームとしてまとまるかは、まだまだ改善の余地がある」
「まぁ、な」
「だがそれでも、一人一人の圧倒的な実力と機体性能は、まとまりがなくとも十分戦えるものだ。そして、弱点のチームワーク自体も経験を重ねてかなり上達してきた。この強みは大きい」
「なんだよ、問題なさそうじゃん」
「これが、並のチームを相手にするならな」
「でも、ユーロフリッカー騎士団は、違う……」
「そうだ。彼らは他のチームと違い、ヨーロッパ各国のトップを集めて結成している。それ故に、我々と同様一人一人が個人でも最強クラスの実力を持っている。その上、FICS開催が知らされるよりも前から組織として活動していた。つまり、個人の実力、チームのまとまり、全てを兼ね備えているんだ」
「はっ、だからどうした?だったらそれよりも力をつけりゃ良いだけだろ」
「甘いな。奴らの強みはまだある。ヨーロッパ各国から選手を集めていると言う事は、既に『他国との交流』を経験してきたと言う事だ。つまり、それだけあらゆる状況、相手への対応力を備えている」
「っ!」
「FICSは、試合毎に相手だけじゃなく環境の違う場所で戦う事になる。即ち前の試合までの経験が通じない場面も多々存在すると言う事だ。その中でも十分に対応出来る力こそが、FICSを勝ち抜く上で最も必要になる」

「対応力、か……」
「話が長ぇよ。で、結局何をさせたいんだよ?」

「……ついて来い」

 伊江羅博士に連れられて奥の部屋に行く。
 そこには仰々しいカプセル型の大きなメカがあった。

「これは……」
「最新型のバーチャルシミュレートマシンだ」
「シュミレート……」
「違う、シミュレートだ」
 バンの呟きにザキが突っ込む。
「どっちでもいいじゃねぇか」
「擬似バトルができる装置って事ですか?」
「そうだ。舞台や相手がランダムで出現する。それらを相手に勝ち抜いていく事が今回の訓練だ」

「なるほど、それで対応力って事か」
「話は分かった。とっととやるぞ」
 ザキは早速カプセルを開いて中に入る。
「……日が迫ってるとは言え、せっかちな奴だ。まぁいい。中に入ったらヘッドギアをつけろ。後の操作はこちらでやる」

 伊江羅に言われるままバン達はヘッドギアをつけた。
 すると目の前の光景が変わり、意識がバーチャル空間へ飛ばされる。

「おぉ、すげ!これがバーチャルか!」

「じゃあレベル1から順に行くぞ」

 目の前が歪み、状況が変化する。
 そして、ノーマルなフィールドが現れて、対戦相手としてゲンタやその他遠山フリッカーズスクールの生徒が現れた。

「あ、こいつら!懐かしいなぁ」
「雑魚じゃねぇか」

「順に行くと言っただろう。倒していけば対戦相手は次々と変わる」

「へっ、じゃあ軽くのしてやるか」
「おう、やろうぜ!」

 画面に、アクティブシュートの合図が表記される。
 バン達は機体をセットして構えた。

 3.2.1.アクティブシュート!!

「いっけええええ!!」

 バキィィィ!!
 さすがに今更一般のスクール生など相手にならないのかあっさりとクリア。

「さすがだな。ならこれはどうだ?」

 今度はユウタ、ゲンゴ、イツキの三武将が現れる。

「こいつらか……!」
「この三人もチーム戦は得意だったね」

 先程よりも苦戦するが、それでも難なくクリア。

 ……。
 ………。

 と言った感で、ダントツウィナーズは対戦相手やシチュエーションをランダムで変えながらバーチャル世界で猛特訓を続けた。

 その一方で、ユーロフリッカー騎士団の本拠地では。

「次!アイルランドチーム!」

 ドゴォォォ!!バキィィィ!!」

「次はグリーンランド代表だ!」

 バーーーーン!!!
 ヨーロッパ各国の代表フリッカーが集まり、入れ替わり立ち替わりでユーロフリッカー騎士団と練習をしている。

 それぞれお国柄が違っているように、使う機体や戦術も全く違う。
 それらへユーロフリッカー騎士団は見事に対応してあしらっていく。
 こんな練習を普段からしているからこそ、FICSにおいてこのチームは強かったのだ

 果たして、ダントツウィナーズはリベンジ成功する事ができるのか……!

 

    つづく

 

CM

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