弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第70話「疑惑の一戦!デウスリベンジャーズの謎」

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第70話「疑惑の一戦!デウスリベンジャーズの謎」

 

 千葉県野田市清水公園。
 ここでは今日、デザートハンターズとデウスリベンジャーズの試合が行われていた。

「いけー!マルコー!!」
 観客席でダントツウィナーズも応援に来ていた。

『さぁ、デザートハンターズvsデウスリベンジャーズの試合も中盤戦!お互い一進一退の攻防!全く引かない互角の立ち合いだぁ!!』

「いけっ!イービルリッパー!!」
 複数の刃を模した武器が備え付けられている機体、イービルリッパーの三体がパイライトファングへ襲いかかる。

『リーダーのアルベルト君を先頭にイービルリッパー三体のフォーメーションアタックだ!これを躱すのは至難だぞ!!』

「飛ぶです!パイライトファング!!」
 マルコはステップを使ってパイライトファングを移動させ、フィールドのギャップを利用して跳ねた。
 その下をイービルリッパーが潜り抜ける。

『これは凄い!まさに軽業師とも言える空中殺法で攻撃を回避!!』

「ヒャッホー!やっぱりバトルは楽しいデス!!」
「よぉ、やるな。あんたら」
 デウスリベンジャーズのリーダー、アルベルトが話しかける。目元の傷のせいで強面な印象があるが、社交的な性格なのだろうか。
「あなた達も素晴らしいデス!」
「そいつは光栄だ。……だが」
 一瞬、アルベルトの目線が鋭くなる。
「素晴らしいのはこれからだ」
 その呟きは会場の騒音にかき消されて誰の耳にも届かなかった。

 そして、デザートハンターズのターンとなる。

「行くデス!スタンプスナイパー!!」
 象をモチーフにした機体らしい踏み付け攻撃。
 上手くこれでスタンを取れれば有利にバトルを運べるが……。
 シャキンッ!!

「!?」
 パイライトファングがイービルリッパーへ乗り上げようとした瞬間、何かが切り裂かれるような嫌な音が響いた。
 そして、バランスを崩したパイライトファングはそのまま転倒する。
「そんなっ!?」
「ふっ」

『おおっとこれはどうした事か!?パイライトファングが突如バランスを崩した!整備不良か?』

「マルコ!どうしマシタ!?」
「分からナイ。パイライトファングが痛がってる……」
「どうして、急に??」

 それからのデザートハンターズはボロボロだった。
 イービルリッパーと接触するたびに不自然にバランスを崩し、機体が徐々に破損していく。

「い、一体どうなってんだ?マルコの奴、急に調子崩したぞ?」
「メンテ不足か?情けない奴だ」
「ううん、あの破損は不自然だよ……」
 ダントツウィナーズも困惑していると、横で何やら納得している風に頷いている三人の少年がいた。

「なるほど、そういう事か」
「確かに、アレでは客観的に判断は出来ませんね」
「汚ねぇ奴らだぜ」
 見てみると、そこにはユーロフリッカー騎士団がいた。
「お前ら」
 バン達の存在に気付くと、ユーロフリッカー騎士団は訳知り顔で話しかけてきた。
「君らもいずれデウスリベンジャーズと対戦する時が来たら、そのときは気をつけるといい」
「それは、どう言う意味?」
「さっき見ただろ」
「私達も、前回アレにしてやられましてね」
「まさか、あいつらに負けちまったのか!?」
 FICSの中では一番の強敵と言う認識のユーロフリッカー騎士団が他のチームに敗北したと言うのはにわかには信じ難い。
「いや、どうにか辛勝はした。が、受けたダメージは決して小さくはない。何より騎士道に反するやり口を放置するのは我々の義に反する」
「それで、対策を練るためにこうして敵情視察してるってわけだ」
 珍しく観客席で遭遇したのはそう言う事らしい。
「でも、相手が何かしてるのがハッキリしてるなら運営に言えばいいじゃねぇか」
「いや、このFICSの厳しいチェックを掻い潜って参戦しているんだ。対策は万全だろう」
「実際、こうして第三者視点なって、奴らの巧妙さをより一層感じましたしね」
「下手に小突けばこっちが返り討ちに合うだろうな」
「それに、奴らがそこまでして非道を働くのなら、こちらは真正面から打ち破ると言うのが騎士道と言うもの」
 ユーロフリッカー騎士団の言う事も分かる。
 こんな大舞台で不正をするにはよほどの対策を取っているに違いない。
 そんな相手に、なんの確証もなく訴えた所でカウンターを喰らうのは明白。
「……」

『決まったあああ!!序盤は絶好調だったデザートハンターズでしたが、終盤で息切れしたか!?デウスリベンジャーズの見事な逆転勝利だ!!』

「そんなっ!おかしい!こんなのおかしい!おかしい!!」
 マルコは悔し気に拳を握りしめる。
「何がおかしい?楽しいバトルだったじゃないか」
 アルベルトがニヤニヤと笑いながらマルコを挑発する。
「こんなの、楽しいバトルじゃないデス!!」
 激昂したマルコはアルベルトへ掴み掛かろうとする。

「よせっ!!」
 ガッ!
 間一髪でバンがマルコを止める。
「バン……」
「マルコ、楽しくなくても、バトルはバトルだよ。許せなくても、結果は覆らない」
 リサに諭され、マルコはハッとする。
「そう、デシタ。すみません。チームの皆にも迷惑をかける所でした……」
「気にしないデ、マルコ」
「ボク達もマルコと気持ちは同じデス。ダントツウィナーズに止めて貰わなければ、ボク達も……」
「次、頑張ろうぜマルコ。あんな奴ら、正々堂々実力で勝つんだ!」
 バンのマルコへの励ましを聞いて、アルベルトが鼻で笑う。
「ふん、正々堂々か。負けた腹いせに掴みかかろうとする奴が出来るのかねぇ」
「てめぇ……!」

「口が過ぎるぞ、アルベルト」

 と、アルベルトの後ろから仮面をつけた大人の男が叱責してきた。
「お前達の仕事は勝つ事だ。不要な言動は慎め」
「はっ、申し訳ありません、オーナー!」
 オーナーと呼ばれた男には絶対服従なのか、アルベルト達は態度を一変させて姿勢を正した。

「オーナー……?」
「デザートハンターズの皆様、本日は良い試合をありがとう。これでも我々は知略を尽くし正々堂々と戦っているつもりだ。妙な疑いは持たないでいただきたい」
 その表情は隠れているが、大人としての強い威圧感があり、何も答えられなかった。
「ダントツウィナーズの諸君とも試合出来る日を楽しみにしているよ。では」

 威圧の籠った社交辞令を終えて、デウスリベンジャーズは去っていった。

「あいつ、どこかで……」
 そんなデウスリベンジャーズのオーナーに対してバン達は謎の既視感を覚えていた。
 そして、お守りとして持っていた勾玉がほのかに輝いていた事には気付かなかった。

 

    つづく

 

 

CM

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