弾突バトル!フリックス・アレイ FICS 第65話「誘致成功!世界を超えて全千葉へ!!」

Pocket

第65話「誘致成功!世界を超えて全千葉へ!!」

 

 FICSアジア大陸予選の激闘を戦い抜き、見事本戦リーグへの出場権を獲得したダントツウィナーズは、インドで出会ったライバル達との別れを惜しみつつ、帰国するために飛び立った。
 そして、長い空の旅を終えてようやく成田空港へとたどり着いた。

「いやぁ、やっぱ日本の、いや、千葉の空気は最高だぜ!!」
 空港の長い長い歩行者通路を歩きながら、バンは大きく伸びをした。
「そんなに違うかな……」
「全然違うじゃん!千葉は良い風が吹くんだぜ」
「……風が吹いたら京葉線が止まるでしょ」
「最近は止まらねぇよ!」
「どっちでもいいけど……」

「まっ、とにかくこれでしばらく落ち着けるな。帰ったら早速撮り溜めしたパケモン観なきゃ」
「悪いが、そうもいかない。これから皆には本部に直行してもらう」
 引率していた伊江羅博士が言うとバンはブー垂れた。
「へっ?えぇーー、俺もう疲れたよ〜」
「何かあるんですか?」
「あぁ、大会実行委員長である遠山段治郎から知らせがあるそうだ」
「そんなの後で良いよ。やっとパケモン観られると思ったのに」
「まぁそうボヤくな。内容は知らされていないが、何やら朗報だそうだ」
「もしかしたらまたユーロフリッカー騎士団みたいに私達に練習試合を申し込んできたチームがいるのかも」
 リサの推測を聞いて、さっきまで不満たらたらだったバンの目が輝く。
「おお、マジか!おっしゃぁ!帰国していきなり戦えるなんてラッキーだぜ!早く行こうぜ!!」
 俄然元気を取り戻したバンは通路を駆け出す。
「あ、ちょっと待って!走ると危ないよ!」
「まったく、単純な奴だ」
「まだ内容は分からないんだがな……」

 ……。
 ………。
 国際競技連盟本部。

「遅くなりましたが、ただいま帰りました」
 伊江羅博士がうやうやしく礼をする。
「ふぉっふぉっふぉ。アジア大陸予選、ご苦労であった」
「んな事よりじーさん!挑戦者はどこにいるんだよ!?早く戦おうぜ!!」
「何のことじゃ?」
「それはバンが勝手に思い込んでただけでしょ……」
 リサから衝撃的な事実を聞かされてバンは驚愕した。
「えぇーー!!じゃあ俺は何のためにここまで来たんだよ!!!!」
「呼ばれたからだろ」

「ははは……ところでお祖父様、お知らせとは一体なんでしょうか?」
「そ、そうじゃったな。オホン、これは非常に名誉な事であり、ワシらも前々から働きかけておった事じゃったんじゃが……」
「勿体ぶらずに早く言え」
「相変わらずせっかちな奴じゃ」
 ザキに急かされて、段治郎はコホンと咳払いした。
「聞いて喜ぶが良い!FICS本戦リーグ、開催地が我が国千葉県に決定した!」

「「「ち、千葉県に!?」」」

「そうじゃ!千葉県各地、ありとあらゆる場所を会場にして試合が行われるんじゃ!!」

 段治郎の、あまりの規模の大きな発表にバン達は一瞬思考回路がショートするのを感じた。

「ち、千葉県って、この千葉県だよな……それが、FICSの舞台になるって事!?」
「そうじゃ!」
「世界大会ってレベルじゃねぇぞ、それは」
「もはや、全千葉大会、といっても過言ではないじゃろうな」
 段治郎がニヤリと笑う。

「全、千葉大会……」
「随分とスケールのデカい話になって来たな」
「世界どころか、宇宙を超えて一気に千葉だなんて」
「まぁ、さすがに全千葉大会と言うのは言い過ぎじゃが。この世界大会FICSは、実質そのくらいの心構えで開催を決めたと言う事じゃ。だからこそ、この千葉へ誘致するため様々な苦労を……」
 話が段治郎の苦労話に持っていかれそうになったが、バン達はスルーして盛り上がる。

「舞台は千葉!って事は優勝すれば、全千葉ナンバーワン……」
「さすがに舞台が千葉ってだけで、それはただの比喩だけど」
「なんだ?さすがのお前もビビってるのか?」
「ん、んなわけあるか!世界だろうと全千葉だろうと!俺がダントツ1番だ!!」

「……まぁええじゃろ。運営の苦労話は犬も食わないというからの」
 無視された事は水に流し、段治郎は再び注目を集めてバン達を激励する。
「ともかくじゃ!それだけFICSはフリッカーの期待を背負った大会となる!代表選手として恥じない戦いをするんじゃぞ!!」

「「はい!」」
 バンとリサは声を合わせて返事をし、ザキも無言で頷いた。

 ……。
 ………。

 段治郎の話も終わり、バンとリサは自宅に戻り、部屋で二人ベッドに座って話をしていた。

「は〜、それにしてもアジア大陸予選ってだけでもすげぇ冒険だったのに、いきなり全千葉大会なんてなぁ」
「ちょっと突拍子もなかったね」
「でもさ、そんだけ皆このFICSに力入れてるって事なんだよな」
「うん……。スクールの生徒と対立して、グレートフリックスカップを戦って、世界中でフリップゴッドを探して……まさかここまで来るなんて思わなかったね」

「そうだな……」

 バンもこれまでの冒険と戦いの記憶を思い返していた。
 友達に誘われてフリックスを初めて、ダントツ一番を誇示して。
 リサに負けて、リベンジを目指して。リサを守って、スクールと戦って。
 数々のライバル達と出会って、全国大会で優勝して……。
 フリップゴッドと出会った事で世界大会が決まり、上級アクティブが完成し、日本代表となってアジア大会で勝ち抜いて……。

 随分と遠い所まで来たものだ。

「リサ、絶対に世界一に、全千葉ダントツ一番になろうぜ!」
「うん!」

「優勝だぁーー!!!」

 

    つづく

 

CM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

JPEG,PNG,GIF形式の画像を投稿できます(投稿時はコメント入力必須)