弾突バトル!フリックス・アレイ トリニティ 第14話「大乱戦!白熱のサバイバルレース!!」

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第14話「大乱戦!白熱のサバイバルレース!!」

 

『さぁ、ついにはじまりました赤壁杯予選大会第一ステージ!バーチャル世界に建設されたロングブリッジ上で繰り広げられるサバイバルレース!早くも多くのドラマが展開されています!果たして、勝ち上がるのは……!』

「いけっ!マイティオーガ!!」
 デッドキャッスルと組んでいる小竜隊。
 スタートダッシュはシールダーアリエスの特性を活かしたものの、ある程度グループが分散した中盤戦では力を発揮出来ず他の選手にバトンタッチ。
 現在はマイティオーガがウィップローズを抱えて先行している。
 ウィップローズはツルを使って相手に絡みつく機体だが、マイティオーガの角の多さは絡みやすさにも繋がっているようだ。

「うふふ、あたしの機体とあなたの機体、相性良いみたいね。どう、今度リアルでも会ってみない?」
「……」
 真面目なナガトは特に良い返しが思いつかず黙ってしまう。
「おすましさんね。そういうところもかっこいいわよ」
「……はあ」

 後ろでその様子を見ながら、シュウタロウがジローへこそこそと話しかける。

(あいつ、すっかりヒナコの色香にメロメロになってやがるぜ)
(神童とは言え所詮男だな)
(……にしても、小竜隊の奴らあからさまに俺達を警戒してるな)

 小竜隊メンバーは控にいても常に機体をシュート出来るように構え、そしてデッドキャッスルが妙な動きをしないかのチェックを怠らない。
 それは『怪しんでいますよ』とアピールしているかのようにも見えた。

(終盤で裏切って蹴落とす作戦は見通した上で、敢えて乗っているってとこか)
(へっ、ならこのまま安全にゴールするまでよ。このペースなら予選突破は確実だ、余計な事する必要はねぇ)
(だな)
「……」

 内緒話の中に入れてもらえなかったのが寂しかったのか、ギョウはシュウタロウとジローを無言で眺めていた。

「ツバサ、予定のポイントまで残り10m!そろそろ交代の準備を!」
「了解や!」

 予定のポイントを通過し、マイティオーガとレヴァントワイバーンが交代する。

「あたし女にしがみつく趣味はないのよね、誰か交代して」
「おいらが行くんだよね!」

 ウィップローズはアサルトスコーピオと交代。

「さぁ行くで!しっかり捕まりぃや!!
「アサルトスコーピオの拘束は簡単に解けないんだよね!ホールドバイパー!!」
 ガッシ!!
 アサルトスコーピオの巨大なアームがしっかりとレヴァントワイバーンを掴んだ。

『さぁ、レースもそろそろ1/3が終了すると行ったところですが、各チームが徐々にペースダウンしていく中でまだペースを保っているチームがいます!』

「カッ飛ぶんや!ワイバーン!!」
「ついていくんだよね!アサルトスコーピオ!!」

『小竜隊とデッドキャッスルです!!最高速で劣るものの、後半戦になるにつれてその地力を発揮!見事な連携でグングン順位を上げています!!』

「ウヒョー!このままトップを狙うで!!」
「ツバサ、無理をするな!時間内にゴールできれば良いんだ!」
「飛ばしすぎてコースアウトしたら元も子もないぞ」
「分かっとるって!」

 ゲンジとリュウジに諭されて、ツバサは少しペースを落として安定走行に徹した。

『さぁ、ここでトップに変化が起きました!スタートからずっとトップ争いをしていたレッドウィングスとインビンシブルソウルでしたが、一瞬の隙を突いてホワイトホースが抜き去りました!!
馬をモチーフにした機体を使うだけあって凄いスピード!縦列フォーメーションのドラフティングを利用してなおも加速を続けています!』

「あいつらか……!」

 ホワイトホースの名を聞き、ツバサの手に無意識に力が篭る。
 安全運転を心がけるつもりが徐々にスピードが上がり、前方を走るチームが見えてきた。
(絶対にブチ抜いたる……!)

『絶好調の小竜隊!そろそろトップを形成するグループの背中が見えてきたか!?三人でフォーメーションを組んでいるトライビーストへ迫る!!』

「このままブッちぎるで!!」
 ワイバーンがトライビーストの右サイドを攻めて抜こうとするが……。

「散開!ブロックフォーメーション!!」

 機体を出してはいないが、控にいるリーダー格っぽい少年の指示でトライビーストの3機が横一列に広がってブロックする。

「なっ、卑怯やで!そこどかんかい!!」
「どくわけないだろ」

『さぁ、小竜隊&デッドキャッスルVSトライビーストの激しいバトルです!しかし、鉄壁のブロックで抜かせません!!』

 ワイバーンは何度もアタックを仕掛けるが、完璧に阻まれてしまう。

「レイダーレザード!」
「シュトロムスワロー!!」

『軽量フリックスを駆るケンシン君のレイザーレザードとセイ君のシュトロムスワロー!見事なコンビネーション!!』

「コンバットスティングル!!」

『そこへ、マサノリ君の変形フリックス、コンバットスティングルが支えて調和を取り、天才戦略家若生ジュン君が完璧に指揮しています!このブロックを突破するのは難しそうです!!』

「だったらこじ開けるまでや!」
 ツバサは相手よりもコースの先を見据えた。
「そこや!!」
 その先は緩いS字コーナーが続く。並列フォーメーションを維持するのは不可能だろう。
 僅かに生まれた隙間を縫うように攻めるツバサだが……!

「ツバサ!深追いするな!!」
「ふっ、阻め!コンバットスティングル!!」
 コンバットスティングルの変形したボディの先端がワイバーンを掠め、バランスを崩させる。
「し、しもたっ!」
 バランスを崩してスピンしたワイバーンとそれを掴んでいるスコーピオはそのままコースの壁へ接近しコースアウトしそうになる。

「ジロー!」
「任せろ!いけっ、ギガモス!!」
 ジローが素早く大型機体であるギガモスをシュートし、ワイバーンを受け止めてコースアウトを免れた。

『間一髪!車田ジロー君の見事なアシストでワイバーンはコースアウトを免れました!』

「よし、今です!キョウジ!!」
「了解!ぶっ刺せ!クロームリノセラス!!」

 キョウジと呼ばれた大柄の少年がマサノリのスティングルとチェンジし、そのサイのようなフリックスの強力な突進で縦一列になったレザードとスワローを弾き飛ばした。

「レザード!!」

 そして今度はレザードがその勢いを利用してスワローを押し出し、スワローがその勢いをプラスしてさらにシュートで加速する。
「いけ!シュトロムスワロー!!」

「「「トライブースター!!!」」」

 三体分のシュートスピードを得たスワローはそのまま超加速して見えなくなってしまった。

『出たー!出ました!!トライビースト三体分のパワーを一機に集めた必殺走法!!!これによって、小竜隊を完全に引き離しました!!この競り合いはトライビーストの完全勝利です!!』

「く、くそ、うちとした事が……!」
「どうしたツバサ?とにかくここからは俺が引っ張る。少し頭を冷やすんだ」
「……」
 ツバサは唇を噛み締めながらもリュウジにバトンタッチ。
「すまんかった、おおきにな」
 そしてジローへ改めて礼を言った。
「まぁこのくらいのトラブルでもないと、サポーターの役割がなくなるからな」

『さぁ、レースは更に熾烈を極めています!おおっと、必殺技で加速したトライビーストのシュトロムスワローが前方を走るノースアマゾンに迫ります!
ノースアマゾンはアントソルジャー3機でフォーメーション走行を実施して鉄壁のブロック!果たして突破できるのでしょうか!?』

「っ、抜けない……!」
「セイ、ここは交代です。いけ!ヒドゥンスネイカー!!」
 ここに来て司令塔のジュンがセイと交代する。
 ヒドゥンスネイカーはまるで蛇のようにすり抜けを得意とした細く薄い機体だ。その特性を利用してブロックをすり抜けようとするが……。

「させない!!」

 ガッ!
『これは巧み!同形状故の息のあった連携でアントソルジャーは厚い壁を形成しています!!』

「それなら……キョウジ、あの壁に風穴をあけてやりなさい」
「ごっつぁん!!」
 キョウジはジュンの後ろからクロームリノセラスを放った。
 バゴォーン!!!
 いくら三機でブロックしていたとは言え、サイをモチーフにした機体の猛突進には耐えきれずフォーメーションが崩れてしまった。
「そこだ!」
 その僅かな隙間を縫ってヒドゥンスネイカーが塗り抜けて前に出る。
「「「しまった!」」」

「よし、交代です!ケンシン、セイ、マサノリ!」
「「「了解!!」」」

 前に出た瞬間、選手交代しレイダーレザード、シュトロムスワロー、コンバットスティングルの3機でブロックする。

『立場逆転!!トライビーストはノースアマゾンのブロックを交わした直後にブロックを形成!まさにやったらやり返す!!』

「完璧な布陣です。このままいきますよ!」
「まだだ!飛べ!ホッパソルジャー!!」
「なに!?」
 ドゥーーン!!
 一機のバッタ型フリックスが後ろから飛び上がり、トライビーストのブロックを超えてきた。

『なんとなんと!ノースアマゾンはアントソルジャー三人衆から合田シュン君に選手交代し、バッタ型フリックスのホッパソルジャーで大ジャンプ!この抜きつ抜かれつの攻防はまだまだ決着がつきそうにありません!』

「どうだ!」
「ちっ、こうでないと面白くありません……!」

 白熱のノースアマゾンVSトライビーストの激突。
 そんな時、いきなり1機のフリックスが前方から逆走して突っ込んできた。
「潰せぇ!ブロッケンシェルロード!!!」
 ドガァァァ!!!
 バネギミックを有するその機体は、ノースアマゾンとトライビーストの機体を一撃で転倒クラッシュさせた。

『な!なんと、現在2位を走っているはずのインビンシブルソウルのメンバー、ホウセン君がわざわざ逆走してノースアマゾンとトライビーストに襲いかかりました!!チームのトップを走っているのは他のメンバーとは言え、これは何かの作戦でしょうか!?』

「作戦?はっ、こんなみみっちいレースなんざやってられるか!俺はブッ飛ばしてぇだけだ!」
「な、なんて奴だ……!」
 ノースアマゾンもトライビーストも機体が転倒しているため、しばらく動けない。このタイムロスは痛い。
「おい、お前らの中に青龍使いはいるか?」
「は?青龍?」
 唐突なホウセンの問いに全員首を傾げた。
「……いないみてぇだな。じゃ、もう用はねぇ。あばよ」

 勝手に襲ってきた上に勝手な事を言うとホウセンは機体を回収して更に後ろへ向かっていった。
 フリックスを出せる場所は、チーム内のトップよりも後ろなら自由とは言えこの行動はめちゃくちゃだ。

 そして、小竜隊はリュウジとギョウが連携して進んでいた。

「行けっ!ソニックユニコーーーーン!!!」
「しっかりついていけ!ナスティアラクネア!!」
 さすがチーム一の機動力を持つユニコーン。かなりのハイペースでスピードを稼いでいる。

 そこへ……ドゴォォーーーン!と前方上空からフリックスが降ってきて地面を抉り、ユニコーンは足止めされてしまった。

「な、なんだ!?」
「ようやく見つけたぜぇ……」

 埃が晴れて機体とフリッカーの姿が見える。
 シェルロードを放ったホウセンがゲンジの手に持っているドラグナーを見てニヤリと笑っていた。

「な、お、お前は……!」
「俺はインビンシブルソウルのホウセン。お前だな?青龍使いのフリッカーは!」
「インビンシブルソウルって、確か江東館を……!」
「あぁ、白虎の使い手だって言うから期待したんだが、歯応えのない奴だったぜ」
「っ!」
「ってか、インビンシブルソウルって今トップを走ってるチームやん!なんでこないなとこに来るねん!」
「チームのトップの後ろだったらどこでフリックス出しても良いってルールだろ?だったら俺はレースなんかよりも他の奴らをぶっ飛ばす方が性に合ってんだよ。そのついでに、四聖獣フリッカーに挨拶しとこうと思ってな!」
「四聖獣……って事はもしかしてお前っ!」
「ブロッケンシェルロード……玄武の機体だ。さぁ、お前も青龍の機体を出せ!」
「コウはこんな奴にも……!リュウジ、ここは先行しててくれ!こいつの狙いは俺だけみたいだ!」
「ああ!だが無理はするな!」
 ゲンジに言われるまま、リュウジ達は先を急いだ。

「無関係の仲間は先に行かせて1人で立ち向かう……良い度胸じゃねぇか、燃えてきたぜ!さぁ、デザイアの分家同士やり合おうぜ!!」
「デザイア?」
「おらぁ!!」
 聞き慣れない言葉に首を傾げたゲンジだが、そんな事はお構いなしにシェルロードが突っ込んできた。

「くっ!」
 ゲンジは咄嗟にステップで躱そうとするが、サイドリアにヒットしスピンしながら弾かれた。
「運がいいな、お前」
「なっ!掠っただけでこの威力……!あの機体、今まで戦った奴とは次元が違う!」
「ビビってねぇで、お前からも来いよ!」
「っ!こっちも本気で行くしかない……!」
 ゲンジはドラゴンヘッドを展開する。
「いけぇ!ドラゴンヘッドブラスター!!」
 必殺の一撃をぶっ放すが、シェルロードはその巨大な甲羅のようなボディで難なく受け止めてしまった。
「なに!?ドラグナーの必殺技が通じない……!」
「お前もこの程度かよ、つまんねぇな。まぁいい。とっとと終わらせて次のステージで朱雀をぶっ潰すか」
「ソウ……!」
 四聖獣を狙ってるとしたら、当然朱雀使いであるソウもターゲットになるはずだ。
 その事を認識した瞬間、ゲンジの心から何かが湧き立つのを感じた。
「させるかぁぁぁ!!!」
 ゲンジは本能的にステップを使ってドラグナーを動かし、シュート準備中のシェルロードへ突っ込んだ。
 バチンッ!!!
 たかだかステップ移動とは言え、ドラグナーに突っ込まれた事でバネギミックが暴発、シェルロードは自らのギミックによって弾かれてしまった。

「はぁ、はぁ……!」
「……こいつ、この俺に一矢報いやがった……おもしれぇ!気に入ったぜ!!徹底的にぶっ壊してやるから感謝しろよ!!」
 ホウセンは心底嬉しそうに口の端を吊り上げて笑い、シェルロードを構えた。
「っ!」
「ぶっ潰せ!ブロッケンシェルロード!!」

 バシュウウウウウ!!
 先程とは比べ物にならないほどの気合のこもった一撃!
 いくらダメージの概念がないとは言え、これを食らってはひとたまりもない事が分かる。

「う、うわああああ!!」
 思わず悲鳴をあげるゲンジだが、その時。

「カッ飛べ!アイアンキャンサー!!」
 赤い機体が飛んできてシェルロードの横っ腹にぶつかり軌道を逸らした。

「え?」
 飛んできた方向を見ると、そこには番長風の大柄な男とその子分と思われる少年達がいた。
「お前だな、サクヤをやったのは?」
「サクヤ?……あぁ、俺がぶっ潰した雑魚の1人か」
「きっさま……!」
 ホウセンの小馬鹿にするような口調に番長はこめかみをひくつかせた。
「あ、兄貴!やっぱりこんな奴に構うのはやめてゴールを目指す方がいいっすよ!」
「馬鹿野郎!ダチをやられて黙ってるわけにはいかねぇだろ!シュウヘイ、お前らはゴールを目指せ」
「わ、分かったっす。いけ、スチールロブスター!!」
 言われるまま子分達は先へと進んだ。

「俺はアトランティスの鴫原タイシ。サクヤのダチだ」
「サクヤって、もしかして江東館の?」
「知ってるのか?」
「前に親善試合した事があるんだ」
「そうか。俺は元江東館メンバーでな、サクヤとはこの大会で頂点を競う事を誓ったんだ」

「ふ、はっはっはっ!雑魚同士で競う頂点とは、面白い事を言うな!」
「なんだと……!」
「サクヤは雑魚じゃない!大体、レース用にセッティングしたフリックスを不意打ちで弾き飛ばしただけで偉そうな事言うなよ!」
 ゲンジの指摘は図星だったのか、今度はホウセンのこめかみが動く。
「お前もおもしれぇ事言うな。いいぜ、だったら今からバトル用のセッティングにして二人がかりで来いよ」
「へ?」
「舐めた事言いやがって!いいぜ、やってやる!」
「えぇ!?やるの!?」
 ホウセンの思わぬ提案に面食らうゲンジとは反対にノリノリなタイシ、それに対して更にゲンジは面食らった。

「当たり前だろ!ここまでコケにされてやらなきゃ男じゃねぇ!!」
「マジか……!」
 売り言葉に買い言葉とはいえ、こんな事態になる事は想定してなかった。
 が、もうやるしかない。
「仕方ない、やってやる!!」

 タイシとゲンジは機体のセッティングをバトル用にして構えた。
「いくぜ……!」

「「「3.2.1.アクティブシュート!!」」」

 バシュウウウウウ、バキィ!!!
 凄まじい勢いでぶつかる三機。

「潰せぇぇぇ!!!」
 バゴォォォォ!!!
 ブロッケンシェルロードは、二機相手だと言うのに全く引かず、バネギミックを発動させて二機纏めてぶっ飛ばした。
 ドラグナーとキャンサーは壁にぶつかって転倒する。
 破壊は免れたが、転倒によるタイムロスで戦線復帰は難しいだろう。

「くっ、すごい衝撃だ……!」
「俺達二人を相手に……!」
「……ちっ」

 シェルロードのパワーに戦々恐々とする二人。しかし、ホウセンもまた苦い顔をしていた。

「ギミックがイカれやがったか。仕方ねぇ、今回は痛み分けだ」
 それだけ言って、シェルロードを回収し去っていった。
「と、とんでもない奴だ……」
 そう呟くゲンジのドラグナーもかなり破損しており、これ以上の使用は難しかった。

 そして一方の小竜隊。
 特にトラブルもなくソニックユニコーンがいい調子で飛ばしている。これなら予選突破は確実そうだが……。

「大丈夫かな、ゲンジ君?」
「ダメージの概念がないからバトルしても意味はないが、それでも機体への負担はバカにならない。上手い事切り上げてればいいんだが」
「ま、とにかく俺達は予選突破する事だけを考えようぜ。ギョウ、そろそろ誰かと交代するか?」

 シュウタロウがリーダーとしてギョウを気遣って声をかける。随分長い間拘束し続けたから負担も大きいはずだ。

「……いや、これでいい」
 ギョウはそう静かに呟くと、そっと機体の向きを変えて海の方へ向けて構えを取った。
「おまっ、何のつもりだ!?」
「……はぁぁぁ!!!」
 ドンッ!!ガッ!!
 ユニコーンもろとも場外に出るつもりで撃ったのだろうが、運良く壁にぶつかって免れた。

「ギョウ!プランと違うぞ!!小竜隊を蹴落とす作戦はもう無しだ!!」
「それにそもそもこんな早い段階で蹴落としたら俺たちの予選通過だって危うくなるぞ!?」
「あんた、血迷ったの!?」
「わけわかんないんだよね……!」
 慌てて口々にギョウを止めようと叫ぶデッドキャッスルの面々に、ギョウは静かに言葉を続けた。

「リーダー……俺はね、最初から予選通過も、チームの勝利も、どうでもいいんですよ」
「なん、だと……!」
「俺はただ、俺に赤っ恥をかかせた東堂ゲンジに一泡吹かせればそれで良かったんだ!!」

 話してる間に再びアラクネアのアクティブフェイズになり、シュート可能になる。

「まずい!リュウジ!早くユニコーンをアラクネアから引き離すんだ!!」
「今やろうとしてるところだ!!」
 リュウジはユニコーンをシュートしてアラクネアから抜け出そうとするが、敵わない。
「くそっ!いけっ、オーガ!!」
 ナガトはマイティオーガをシュートしてアラクネアを狙うが、受け止められてしまった。
「ナスティアラクネアの拘束力を舐めるなよ。これまでずっとしがみついてきたんだ。そう簡単に剥がせるわけないだろ?」
「くっ!」
「さぁ、自分がいない間にチームが脱落してたら、さぞ悔しいだろうなぁ!はっはっはっはっ!!!」

 ギョウは笑いながらマイティオーガとソニックユニコーンを道連れに、ナスティアラクネアを海へと身投げさせるようにシュートした。

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

   つづく

 

 

CM

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