すぴかさんへ

Pocket

第1話

 

 海岸沿いの道を小さな少年がアタッシュケースを持って走っていた。
 その後ろをチャリンコに乗った不良集団が追い掛ける。

アキラ「はぁ、はぁ……!」
タイラ「てめぇ待ちやがれぇ!!」
ケイ「逃げても無駄だよ!」

 必死に逃げたが壁に追い詰められる。

タイラ「さぁ追い詰めたぜぇ」
アキラ「うぅ……!」
コウキ「チビ!いい加減大人しくその機体を渡せ!」
アキラ「嫌だ!この機体は、誰にも渡すわけにはいかないんだ!」
コウキ「強情な奴だな。優しくされてるうちが花だぜ?」
タイラ「コウキ様、こんな奴とっととやっちゃいましょうぜ」
コウキ「そうだな。穏便に事を運びたかったが、こうもつけ上がられちゃ武闘派フリッカー集団『ダスト』の名が廃るってもんだ。悪く思うなよ、チビ」

 不良集団が機体を構えて少年に向ける。

アキラ「っ!」

 死を覚悟して身構えたその時……!
 ドゴォォォ!!
 背後の壁に穴が空き、そこからダンガが現れた。

ダンガ「腹が減ったぞぉぉぉぉ!!!」

 ダンガの突然の登場に場は混乱した。

コウキ「な、なんだてめぇ!いきなり現れやがって!!」
ダンガ「あぁ〜、匂いはここからか」
ケイ「え、あたいそんなに体臭キツい!?」
ダンガ「違う。バトルの匂いだ」
タイラ「バトルの匂いだぁ?何言ってんだこいつ」
コウキ「おい、誰だか知らねぇが俺達はそこのチビと大事な話があるんだ。部外者はすっこんでろ」

 ダンガは凄んでくるコウキを無視して不良集団を見定めた。

ダンガ「人数は、いち、に、さん……いっぱいか。大盛り無料ってとこだな」
コウキ「無視すんじゃねぇよ!」
ダンガ「しかもイキがいいな。喰いごたえがありそうだ」
コウキ「あぁ?」

 ダンガの空気読めない発言の連続に一触即発のムードになる。
 が、これは少年にとっては渡りに船な展開だ。

アキラ「あ、あの、助けて!僕、あの人達に襲われてて……!」
ダンガ「知るか。お前は不味そうだ、引っ込んでろ」

 アキラはビクッとしてダンガの後ろに隠れた。
 対応は冷たいが結果として守られる形になる。

ダンガ「俺の名はダンガ。お前達もフリッカーなら俺とバトルしろ」
コウキ「あん?てめぇ、この俺様を『ダスト』のリーダー、早乙女コウキと知ってて舐めた口聞いてんのか?」
ダンガ「ダスト?なんだそれは」
コウキ「知らないなら教えてやる!俺達はなぁ、空に輝く一番星、スターダストのようにフリッカー界にその名を轟かせる武闘派集団!それが『ダスト』よ!」
アキラ「……ダストって、ゴミクズって意味じゃ」
コウキ「誰がゴミクズだとぉ?」
アキラ「ひぃぃ、ごめんなさい!それで、合ってます!」

ダンガ「何でもいい、早くしろ。俺は腹が減っているんだ」
コウキ「こいつ……!」
タイラ「こんな奴、コウキ様が出るまでもねぇ!俺が捻り潰してやりますよ!」
ダンガ「ほぅ、大盛りかと思ったらフルコースか」
タイラ「ふざけた事はこいつを見てから抜かせ!」
アキラ「あ、その機体は……!」

 タイラが得意げに機体を見せつける。

タイラ「オルカシャーク!旧式だが、名機だぜぇ?」
ダンガ「それがどうした」

 ダンガも機体を見せる。

タイラ「げぇ!?その機体は……!」
アキラ「ハンマーギガ!?」
ケイ「なんでこんな奴がハンマーギガみたいな名機を……!」
タイラ「けっ!名機使ってりゃいいってもんじゃねぇんだよ!!」

 タイラとダンガのバトル。
 あっさりとダンガが勝利し、タイラの右腕にぶっ飛ばされた機体がぶち当たる。

タイラ「ぐあああああ!!う、うで、腕がああああ!!!」
ダンガ「前菜にしてはまずまずだな」
タイラ「ぐ、くそ……例え腕が捥がれようと、コウキ様の邪魔するやつはこの俺が……!」
ケイ「タイラ、無理はいけないよ。次はあたいが相手になってやる」

 タイラを庇うようにケイが前に出るのだが、それをコウキが制した。

コウキ「ケイ、お前も下がれ。こいつは俺が始末する」
ダンガ「いきなりメインディッシュか。ここのシェフは随分せっかちだな」
コウキ「言ってろ、ボコボコにしてやる。このグランドファングでな!!」

 ダンガとコウキがシュートの構えを取る。

ダンガ&コウキ「「アクティブシュート!!」」

 バキィ!!
 同時にシュートで2機のフリックスがぶつかり弾け飛ぶ。

アキラ「ど、同時場外!?」
コウキ「なに、俺のグランドファングを弾き飛ばしやがった!」
ダンガ「やるな……最高のご馳走にありつけそうだ」
コウキ「ちっ、まぐれは二度続かねぇぜ!」

 再び、二人はシュートの構えを取った。

コウキ「いけぇ!グランドファング!!」
ダンガ「喰らえ!ハンマーギガ!!」

 先ほど以上の勢いで突っ込んでいく2機だが……。

???「薙ぎ払え!エクスカリバーゼノ!!」

 突如、聖剣を模した機体が間に割って入りスピンで2機を薙ぎ払った。

ダンガ&コウキ「「なにぃ!?」」

 驚く一同に、カイヤがゆっくりと歩いてきた。

カイヤ「君は播磨博士の息子だね、随分探したよ」
アキラ「あ……!」
コウキ「てめぇ、カイヤ……!」
タイラ「な、なんでチャンピオンの氷斬(ひょうざん)カイヤがここに!?」

 

 

CM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

JPEG,PNG,GIF形式の画像を投稿できます(投稿時はコメント入力必須)