弾突バトル!フリックス・アレイ 第4話「リベンジ目指して!勝利は誰にも渡さない!!」改訂版

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第4話「リベンジ目指して!勝利は誰にも渡さない!!」

 
 バンが通っている小学校。
 登校して、朝のHRが始まるまでの時間の教室はとっても賑わっている。

 それはバンとオサムとマナブの仲良しトリオも例外ではなかった。

「いやぁしかし、昨日の大会すごかったなぁ、バン!」
「うん、初出場で準優勝なんて、いい所行ったよね」
「くっそー、なんか差をつけられちまった気分だぜ」
 オサムとマナブは、口々にバンの準優勝という結果を称える。
 しかし、バンは不満気だ。
「冗談じゃないぜ。あんなの凄くもなんともねぇ、俺は決勝でリサに負けたんだぞ!ちくしょう!!」
 大会全体の結果よりも、リサに個人的に負けてしまった事がバンにとって最大の不満のようだ。
「次戦う時は絶対に負けねぇ!絶対にリベンジしてやるんだ!!」
 リベンジに燃えるバンに、マナブは冷静に言う。
「それにしても、あのリサって子、どこであそこまでのテクニックを身に着けたんだろう」
「へ?なにが?」
「いや、初めて観たはずのホールフィールドでも難なく対応してバンを翻弄してたし……普通のフリッカーはあそこまで上手い立ち回りは出来ないと思うけど」
「それは、リサが普通じゃなく強いフリッカーってだけじゃないのか?」
「まぁ、それは間違いないんだけど、どうしてそんなに強いのかって言う事を……」
 煮え切らないマナブに対して、バンは声をかぶせた。
「だからつまり、俺も同じくらい強くならなきゃ話にならないって事だろ!だったらもっともっと強くなりゃいいんだ!!」
 バンの言葉に、オサムが共感する。
「まっ、そういう事だな。バン!昼休みまた練習しようぜ!!」
「おう!!」
 なんだか元気のいい二人に、マナブはボソッと呟く。
「ほんと脳筋だよなぁ、こいつら……」

 そして昼休み。
 給食を食べ終わった後、フリックスが好きな子供で集まって、互いに机をくっつけてフリックスをしている。

 四人分の机をくっ付けたフィールド上で、四個のフリックスがバトルしている
「いっけぇ!ヴィクター!!」

 ドゴォ!!
 バンのシュートが他のフリックスを場外させた。
「あぁ、俺のバーニングマッハジャベリンランスがぁ!!!」
 そのフリックスを使っていたクラスメイトの一人が慌ててそれを拾いに行く。
「へっへぇーーん!ダントツゥ!!」
 ガッツポーズを決めるバンだが、その直後にオサムの攻撃がヴィクターを弾き飛ばす。
「おわぁ!!」
 無残にもヴィクターは場外してしまった。
「にっひっひ!昨日の借りを返したぜぇ!!」
 オサムはしたり顔で笑った。
「うぅ、こんな狭い場所じゃ不利だ……!」
 攻撃型のヴィクターは角ばった形状をしてるので、防御力が低いのだ。

「バンはほんとバリケード下手だよなぁ」
「構える場所をちゃんと考えないと」
「んな事言われてもさぁ、ドライブヴィクターは角ばってるから反射してどこに飛ぶか予想しづらいんだよなぁ」
 そこが攻撃型フリックスをバリケードする上で難しい所だ。
「まぁ、手に入れたばかりのフリックスじゃ、特性も把握しづらいしね」
「とにかく練習しかないな」

「だな!よーし、もう一度勝負だーー!!」
 丁度、さっきのバトルが終了して再戦の準備をしている所だったらしい。バンは気合いを入れなおしてその輪の中に入っていった。

 そして、放課後。
 バン達は、一旦家に帰ってから公園で遊ぶことを約束して、下校していた。
 バンはランドセルを背負い、この後のバトルのイメージトレーニングをしながら、いつもの住宅地を歩いている。
「まずは、ダントツで、その次にダントツで、最後にダントツで……よし、これで勝てるな」
 思考が思わず口出ているようだが、その戦術はあまりにも単純すぎて意味不明だ。
 そんなバンの何メートルか先で、一人の女の子のような影が横切って、路地裏に入っていったのが見えた。
「あれは!」
 一瞬しか見えなかったが、何故かバンはある確信を持って駆け出した。
 女の子が入っていった路地まで足を進めると、女の子はバンの遥か前方で黒服の男達に囲まれていた。
「リサ……と、誰だろうあいつら?」
 なにやらただならぬ雰囲気だ。もしかしたら悪い奴に絡まれているのかもしれない。
 だとしたら、大変だ!まだリベンジできてないのに、もしここでリサが悪い奴に悪い事をされてしまったら、もうリベンジ出来なくなってしまうかもしれない。
「助けないと!」
 それは困る!そう思ったバンは助けるために再び駆け出した。
 のだが、遥か前方にいたリサ達は歩みを進めてどこかに行ってしまった。
 バンがそこに駆け寄った時にはもう、間に合わなかったのだ。

「くそっ!どこ行ったんだ……?」
 辺りをキョロキョロと見回すと、すぐに黒服達とリサの歩いている姿が見えた。
「あれって、河川敷の方じゃないか。あそこで何をする気なんだ?」
 何か嫌な予感がする。バンは歩みを進めた。

 そして、河川敷。
 リサと黒服の一人が、フリックスのフィールドを挟んで対峙していた。他の黒服たちはその周りを取り囲んでいるだけで特に何もしていない。
 バンは橋の上からそれを発見した。
「フリックスバトルしてるのか?」
 バトル中に部外者が関与するのはマナー違反だ。バンは遠くから見守る事にした。

「それでは約束ですよリサ様。私が勝ったら言う事を聞いてもらいます」
「……うん」
 黒服の言葉にリサがうなずく。なにやら取引をしているようだ。

 そして、バトルスタート!
 アクティブシュートして、フレイムウェイバーが先手を取る。

 バシュッ!カンッ!!
 ウェイバーは黒服のフリックスとマインに掠めるようにヒットし、更に距離を取った。いつものヒット&アウェイ戦術だ。
「よし」
「ほぅ、さすがのテクニックですねぇ。ですが……」
 黒服のターン。
 距離を取られたフレイムウェイバー目掛けてシュートする。

 ガッ!
 黒服のシュートは手前のマインを飛ばし、そのマインはフレイムウェイバーとにヒットした。
「っ!」
「私もスクールに仕える者として、それなりの訓練を積んでいると言う事を忘れてもらっては困りますよ」
 黒服はニヤリと笑った。
 
 これで、お互いにHPは2だ。
 しかし、このまま1ダメージずつ与えていけば黒服の方が圧倒的に不利なはず。
 なのに黒服は余裕の表情を崩さない。
「フレイムウェイバー!」
 
 不気味さを感じつつもリサは着実にマインヒットする。
「ふふふ」
 黒服も反撃マインを決めた。

 これでお互いにHP1でリサのターン。
 マインの位置も悪くない、十分にマインヒットを狙える。
「これで、私の勝ちは確実のはず……」
 狙いを定めるリサ。しかし、なぜか不安が拭えない。
「お願い、フレイムウェイバー!」
 
 バシュッ!!
 フレイムウェイバーは手前にあったマインを弾き飛ばし、そのまままっすぐ黒服のフリックスへ突進する。
 しかし……。
「フッ」
 黒服の口元が吊り上がる。
 そして、クイッと黒服が右手を動かすと、僅かにフリックスの位置が移動した。
「えっ!?」
 シュッ!
 ウェイバーのシュートは空振り、そのまま場外してしまった。
「うそ……」
 地面に落ちたウェイバーを見ながら、リサは信じられないと言う表情をする。
 そんなリサに黒服はいやらしい笑みを浮かべながら近づいてきた。
「ふふふ、惜しかったですねぇリサ様。ですが、約束は約束です。さぁ、我々と……」
 黒服の手がリサに伸び、その肩を掴もうとした……その時だった。

「ちょっと待ったあああああああ!!!!!」

4話

 橋の方から元気のいい少年の声がしたかと思うと、バンが物凄い勢いで駆け寄って来た。
「はぁ、はぁ……!」
 よほど全力で疾走したのか、黒服とリサの前までくるとしばらく肩で息を整えた。

「なんですか、あなたは」
 黒服が、さもめんどくさそうな目でバンを見る。
「すぅぅぅ、はぁぁぁぁ」
 バンは大きく深呼吸すると顔を上げて黒服を睨み付けた。
「見てたぜ、俺は!お前、さっきのバトルでなんかイカサマしただろ!!」
「は、イカサマ?」
「とぼけんな!お前が手を動かした時、フリックスが動いてリサの攻撃避けたじゃねぇか!!糸かなんかで動かしたんだろ!!」
 唾を飛ばす勢いで相手のイカサマを暴露するバンだが、黒服は全く動じていない。
「ふん、ヒドイ言い掛かりだ。何を証拠にそんな。そもそも、このバトルがどうなろうと、部外者であるあなたには関係ないでしょう」
「関係ある!無茶苦茶関係ある!!だって俺は、前の大会でリサに負けちまったんだからな!!」
 リサを指差して叫ぶ。
「え?」
 指差されたリサはキョトンとする。
「リサにリベンジするのはこの俺だ!リサには、俺以外誰にも負けて欲しくねぇんだ!それがインチキだったら、尚更だ!!」
「プッ、あっはっはっは!!」
 バンの言い分に、黒服は大声で笑い出した。
「何が可笑しい!!」
「くっくっく、全く、ガキの考える事は本当にくだらない。まぁいいでしょう。それで、あなたは一体どうしたいんですか?」
 黒服の言葉を受けて、バンはヴィクターを取り出して突きつけた。
「俺とバトルしろ!!俺が勝ったら、お前はイカサマを認めてリサの負けを取り消せ!お前が勝ったら、さっきのバトルはお前の勝ちでいい」
 なんともまぁメチャクチャな条件だ。
「ふっ、くだらないが、まぁいいでしょう。どの道、このままあなたに騒がれては不都合だ」

 バトルスタート!
 黒服とバンが同時にシュートする。
 激しい激突の末、先手を取ったのはバンだ。

「まずは、俺から行くぜ!」
 先攻はバンだ。
「いけっ!ヴィクター!!」
 バシュッ!
 まずは手堅くマインヒットしていく。

「へんっどうだ!」 
「マインヒットなど、サルでもできますよ。マインヒットにおいて重要なのは、成功させた後に反撃を受けないようにする事です」
 ガッ!!
 黒服は、マインを場外まで飛ばしつつ、ドライブヴィクターに攻撃をヒットさせた。
「このようにね!」
 飛ばしたマインはバンのものだったのでバンが回収する。
「くっ!」
「これであなたはマインヒットは狙えない」
 マインを弾き飛ばしながらマインヒットしたおかげで、ドライブヴィクターと黒服フリックスの周りにマインがなくなってしまった。
 ドライブヴィクターのシュート軌道ではマインヒットさせるのは難しいだろう。
「けっ!それがどうしたってんだ!だったらブッ飛ばせばいいだけの話!!」
「フッ」
 息まくバンに対して、黒服はにやりと笑った。

「いっくぜぇ、ドライブヴィクター!!」
 気合いを込めてドライブヴィクターを構える。
「ふふふ。撃てるものなら撃ってみなさい」
 黒服は再び不敵に笑い、右手を密かに背中に回す。
「いっけぇ!!」
 バンのスピンシュート!
 空気を切り裂き、ドライブヴィクターが回転しながら黒服のフリックスへとスッ飛ぶ。
「甘いですねぇ」
 黒服はクイッと右手を動かす。すると、糸で繋がっていた黒服のフリックスがクイッと動きヴィクターのシュートをかわそうとする。
「ブッ飛ばせえええええ!!!」
 しかし、勢い良くスピンしているヴィクターにはそんなものは関係なかった。
 スピンして攻撃範囲が広がっているのにプラスして、物凄い風圧で黒服のフリックスに攻撃がヒットした。
「な、なにっ!?」
 そのままフリップアウトしてしまった。

「どうだ!俺の勝ちだぜ!!」
 ヴィクターを掲げてバンが言う。
「……」
 黒服はしばらく地に落ちたフリックスを眺めていたが、すぐにある事に気付く。
「まさか、あのフリックスは……なるほど、これは面白い」
 ボソッと呟くと、バンに向き直った。
「いいでしょう。今回は私の負けです。今日の所は大人しく引き下がるとしましょう」
 そう言って、踵を返した。周りに居た黒服たちもそれに習う。
「なんだ、やけにあっさりだな?」
 バンはちょっと拍子抜けする。
「ですが」
 黒服は、何歩か歩いた所で立ち止まり、振り向きもせずにこう言った。
「あなたにとってこのバトルは後悔を招く事になるでしょう」
「なんだよ、負け惜しみかよ!」
「フッ」
 黒服は小さく笑うと今度こそ去っていった。

 夕暮れの河川敷で、バンとリサだけが取り残された。
     つづく

 次回予告




CM

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