爆闘アタッカーショウ!!2ndエディケイション
ケエエエエタイショオセエエエツ!!
それは、熱きケータイ小説ライター達の戦い!!
ケエエエエタイショオセエエエツ!!
それは、人生の縮図!漢のロマンである!!
「いけぇ、俺のラブ&スカーイ!!」
第3話「俺達の土地!プレイス・プライベート・オプチカル」
風吹くさわやかな草原を僕はストームランサーに跨り、駆け抜けていた。
「ひゃっほーぅい!!」
頬撫でるそよ風が心地良い。
吹き出る汗を一瞬で吹き飛ばしてくれる。
今まで暑苦しいバトルしかしてなかったから、こんなさわやかな気分でMTBを走らせるのは本当に久しぶりだ。
「たまにはこういうのもいいな、僕の愛機のストームランサー!」
ストームランサーに語りかけると、なんだかストームランサーも喜んでいるようだ。
「おっしゃぁ!もうひとっ走りするぜ!遅れるなよ、僕の愛機のストームランサー!!」
自転車なんだから遅れるわけがない。
芝生の上は少し走りづらいが、タイヤをオフロード用に交換しているのでなんとか普通に走れている。
しかし、急激に路面の状態が変化した。
「なんだぁ!?」
ブヨン!とタイヤが跳ねた。
路面がいきなり柔らかいものに変化したのだ。
「しまった!この路面じゃ、このタイヤは不利だ!僕の愛機のストームランサー、耐えてくれぇ!!」
しかし、オフロード用に硬いサスペンションをセッティングしていたストームランサーは柔らかい路面をバウンドして、吹っ飛んでしまう。
「うわあああああああああああああああ!!!!!!」
ドンッ!
と言う衝撃を感じ、僕は目を開けた。
目の前には天井……そして体には暖かい感じ。
「……夢だったのか」
せっかく、僕の愛機のストームランサーを気持ちよく走らせてる夢を見たのに、それが夢だったなんて……。
なんだか損した気分だ。
まぁ、普段の僕はストームランサーを呼ぶ時にイチイチ『僕の愛機の』なんて付けないからな。
その時点で夢と気付くべきだったか。
それにしても、なんか、いつもと感触が違う。
具体的に言うと……布団が重い。
布団を重く感じるなんて、生まれて初めての経験だ。
「初めて……!」
トクンと胸が高鳴った。
初めての事柄と言うのはどんな事であろうと得てして興奮するものだ。
この貴重な経験をもう少し味わっていたい。
その欲求に駆られた僕は、二度寝して、重たい布団の感触を記憶に刻み込む事にした。
「おやすみぃ……」
うぅ~ん、重たい布団と言うのも、なかなか寝心地がいいじゃないか。
心なしか、いつもよりも柔らかくて気持ちいいし。
フニョフニョしてると言うよりポヨンポヨンしてる。
例えていうなら柔らかさを失わずにいたマシュマロって感じ?
いや、むしろ溶鉱炉で熱せられて柔らかくなった鋼鉄と言った方が言いえて妙かもしれない。
「ってこらぁ~、二度寝するなぁ~!」
と、布団の中から声が聞こえたかと思うとそこから二本の腕が伸び、僕のほっぺたをつねった。
「いででで!!」
な、なんだこれは!?新手の学校の怪談か!?
あれか!人食い布団の怪って奴か!!
いやだよ!まだ死にたくないよ!助けてパジョラム!!
「もぉ、せっかくお姉ちゃんが起こしに来てあげたのに」
布団の中から、聞いた事のある可愛らしい声が聞こえてきた。
「なに!?」
布団を引っぺがすと、なんとあの女が僕の体の上にうつぶせに乗っかっていた。
なるほど、重かったり柔らかかったりしたのはこれが原因か。
「てめぇええええええ!!!!!!」
僕はあの女をどかした。
「どういうつもりだぁ!?」
「羽根布団ならぬ、姉布団だよ☆」
いけしゃあしゃあと言う。全然上手くねぇよ。
「ふざけんなっ!」
本当にふざけた事を言う。全く、腹立だしい!
「いいか?二度とこんな真似するなよ!」
「ごめんなさい……」
この女は、意外と素直に謝り。シュンと萎れた。
ちょっとキツく叱りすぎたか?
「じゃあ次からは姉抱き枕にするねっ☆」
すぐに開き直りやがった。
「そういう問題じゃねぇだろ!!」
そう、これは布団とか枕とかの問題じゃない。
「姉って付けるな!僕は認めてないって言っただろ!!」
「……」
僕の言葉に、この女はキョトンとする。
そして、しばらく考える仕草をしたのち。
「それじゃあ、アイ布団やアイ抱き枕って言えば、これからもやっていいの?」
「当たり前だろ!気持ちよかったからな!!」
全く、この女は世間の常識と言うものを知らないようだ。
「……?うん、分かった。じゃあこれからも時々するね☆」
「是非に!!」
「それより、早く起きないと学校に遅れるよ。朝ごはん作っておいたから早く着替えて来て」
「うい」
朝飯か。そういや、ここ最近ご無沙汰だったな。
元気にしてたかなぁ、朝飯クン。
「おおおおお!」
着替え終わって食卓についた僕は、テーブルに並べられてあるブツを見て、感嘆の声を簡単にあげてしまった。
濛々と湯気を上げる炊き立ての白ご飯に味噌汁、鮭の切り身。
和風で彩られた朝食は、目覚めたばかりの胃袋にはピッタリマッチする完璧な品揃えだった。
「美味そう」
僕は、久しぶりの朝食に涎が垂れそうになった。
「ささ、早く食べて。時間無いよ」
「お、おう!」
早速席について箸を取る。
炊き立てご飯はふっくらと、それでいてもっちりとしている。
味噌汁も熱々で、そこいらのラーメンなんかよりよっぽど美味い。
鮭の切り身は、なんとテリヤキだった。
それもタダのテリヤキじゃない、特製のタレを何度も薄塗りし、何度も焼きにかけた特別バージョンだと言う事が、かみ締めるたびに伝わってくる。
こんなに手の込んだ朝食を用意するなんて、相当早起きしたに違いない。
僕なんかの、ために……。
いや、考えるな!これ以上考えたら情に流される!
こいつが何をしようが、こいつがした事が変わるわけじゃないだろ!
それよりも、今のこの美味しい食事を堪能しようではないか。
「ふぅ、ごっそさん」
あっという間に朝食を平らげてしまった。
ふと時間を見ると、そろそろ出発しないと待ち合わせ時間に間に合いそうに無い時間帯だ。
「やべ、そろそろいかなきゃ!」
僕はカバンを持つと、慌てて玄関へと足を進める。
「あ、ゆうくん!おべん……!」
「学校で済ませる!!」
中学校が小学校と違う最大の点は、学校で大きい方をしてもからかわれない事にある。
だから、僕はあいつの忠告を無視して出発した。
それが、後の事件に発展するとも知らずに……。
「遅かったな、ユウジ」
待ち合わせ場所には、既に権兵衛が愛機のボルカニックフリーザーと一緒に待っていた。
「悪い悪い。ちょっとごたついててさ」
「そっか。まあいい。とにかく始めようぜ」
「おう!」
いよいよ、戦いの火蓋が切って落とされるのだ。
「「ダッシュセット!!」」
二人の声が重なる。
この合図で僕らのMTBに未知なるパワーが注入されるのだ。
「「韋駄天・ゴー!!」」
そしてMTBバトルスタートだ!
「うおおおおおおお!!!」
「ぬおおおおおおおお!!!!」
レースは接戦したが、僅かの差で権兵衛が勝利した。
「はぁ……はぁ……くそっ、負けたか」
「……いや、この勝負は俺の勝ちじゃない」
権兵衛が、いきなり自分の勝利を否定した。
「え?」
「お前、一体何があった?」
真剣な瞳で、僕を心配するように見つめてくる権兵衛。
「今日のバトル、あれはお前の本来の走りじゃない。全然集中できてなかったじゃないか」
「それは……」
さすがに鋭いな、権兵衛は。
あいつとの事があって、集中できなかったのは事実だ。
だけど、これは僕の問題だ。話すのは躊躇われる。
「……」
「まっ、言いたくないならいいさ」
ダンマリを決め込んでいると、権兵衛はあっさり引いてくれた。
権兵衛のそういうところは、素直にありがたかったりする。
「悪いな」
「良いって。だけど、本気でやばい事になったら相談しろよな」
「あぁ、サンキュ」
僕は、本当に良い友達と持ったと思う。
午前中の退屈な授業が終わり、いよいよ待ちに待った昼休みがやってきた。
「はぁ~、腹減った~」
僕が大きく伸びをしていると、権兵衛が近づいてきた。
「ユウジ、急いで購買行こうぜ。もずくパン売り切れるぞ」
「おっと、そうだったな」
もう少し伸びていたかったのだが、もずくパンが売り切られたらかなわない。
僕は、重い腰を上げた。
「ん、なんだ。教室が騒がしいな」
昼休みだから騒がしいのは当たり前だが、この喧騒は何か違う。
そう、ただの喧騒ではなく、皆が共通のテーマで騒いでるというか……。
「うわ、誰だあの人……キレイだなぁ」
「うちの生徒じゃないよな、私服着てるし」
「誰かの身内か?」
耳を澄ますと、そんな言葉が聞こえてくる。
どうやら、廊下に誰かいるようだ。
「おい、なんかキレイな人がいるみたいだ。行ってみようぜ」
好奇心旺盛な権兵衛がそう誘う。
正直あまり興味は無いが、購買に行くためにはどの道廊下に行かないといけないからな。
僕と権兵衛は、教室を出た。そして、皆が騒いでいる人物の顔を見た瞬間……。
「げっっ!」
僕はあからさまに驚愕した。
「どした?」
権兵衛が僕の様子に疑問を抱く。
「い、いや……」
あれは、あまり関わらないほうが身のためだろうと判断し、適当に誤魔化す。
「さ、さっさと購買行こうぜ。お前ももう満足だろ」
「あ、あぁ……」
イマイチ納得いかない様子の権兵衛を連れて、その人物とは反対方向へと歩く。
「待てよユウジ。購買は逆方向だぞ」
「うっ」
そうだ、購買への道はその人物によって防がれていたか……。
どうすれば……とか悩んでるうちに。
「あっ、ゆうく~ん!」
その問題の人物が、僕を指差して大声で名前を叫んでしまった。
「げぇ」
その瞬間、クラス中の視線を独り占めしてしまった。
「なんだあいつ、あの美人と知り合いなのかよ」
「『ゆうくん』とか、凄い呼び名で呼ばれてたよ」
「おいおいおいおい、あいつ一人暮らしじゃなかったのか?!」
「まさか、まさかの……!?」
「だあああああ!!!」
僕は慌ててその人物の元へ駆け寄る。
「なんで来てんだよ!!」
その人物とは、言うまでも無く自称僕の姉。極村原河アイだった。
「だって、ゆうくんお弁当忘れてるから」
「おべ、んとう?」
いや、だっていつもお弁当持ってってないし。
あ、待てよ。今朝の会話……。
>「あ、ゆうくん!おべん……!」
>「学校で済ませる!!」
あれって、便所の事じゃなくて弁当の事だったんだ。
そりゃそうか。便所の事をおべんじょなんて言わねぇよ普通。
いや、女の子だから丁寧に『お』をつけてるのだとばかり思ったけど。
普通は『お手洗い』って言うじゃん。気付けよ僕。
「ジトー」
「はっ!」
気付くと、権兵衛がジト目で僕の事を見ていた。
いや、権兵衛だけじゃない。クラス中の皆がジト目で僕の事を見ている。
いやんそんなに見つめないで照れちゃうじゃない☆
「わ、分かった。ありがとうさようならさっさと帰ってくれ!」
あいつから弁当を受け取ると、逃げるように教室に戻った。
「ふぅ……」
席に戻って一息つく。
心臓に悪すぎだぜ……。
自分の領土に戻ったことで一安心のつもりだったが、そうはいかないらしい。
「「「「我sbんがおいbgcxぽがbsg」」」」
クラス中の奴らが一斉に僕のとこに押し寄せてきた。
しまた。教室に戻ったのは失敗だったか。
「お前あのお姉さんとどういう関係だよ!」
「身内か?身内だよな?そうだといってくれええええ!!」
「ちくしょう!お前ばっかり愛妻弁当食うのは許せん!俺のマザコン弁当と交換しろおおお!!!」
「お、落ち着けお前ら……!」
「っていうか、あの人って極村原河クンのお姉さんじゃないの?
さっき『弟をよろしくね』って言ってたし」
比較的冷静そうな女生徒が言う。
すると、僕を取り囲んでいた連中の熱が急激に下がる。
「なぁんだ。姉か」
「そりゃそうだよな。お前なんかに手作り弁当持ってくれる女ができるわけねぇって」
「まぁとりあえず今度俺にも紹介してくれよ。な?な?」
おかげで、僕に対する好奇の視線は薄まって助かった。
のだが、あの発言にはどうしても納得できない箇所がある。
「ちげぇよ……」
僕はどうしても我慢できなくなって口を開いた。
「あいつは、僕の姉じゃねえええええ!!!!」
そして、魂の限り叫んだ。
すると、再びクラス中がざわめきだす。
「じゃぁなんなんだよ!?」
「マジで、あいつお前の女なの!?」
「嘘つけよ!姉だろ!そうだよな?そうと言ってくれ!!」
「嘘じゃねぇよ!誰がなんというと、あんな奴は姉なんかじゃねえ!!
あいつは、僕と一緒の家にいるだけのただの女だああああああああ!!!!!」
……。
………。
…………。
「……あ」
やべっ。
なんかクラス中の視線がさっきよりも強烈になってる気がするんだが……!
人はコレを『火に油を注ぐ』と言うのだ
次回
「いよいよここまで来たな……。今までいろいろあったけど
でも、これで全てが決まる。
さぁ、始めようぜ!俺は、全力でお前に挑む!!
そして見せてやるんだ!とびっきりのMTB魂を!
かくして、決着をつけるための戦いが始まる!
次回、爆闘アタッカーショウ!!2nd『勝負の行方!ビクトリー・オア・ルーズ』
熱き闘志をダッシュ・セット!」