弾突バトル!フリックス・アレイ 第38話

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第38話「スクールの呪縛!リサの決別」
 
 
『さぁ、第1回グレートフリックスカップ関東予選もいよいよ中盤!
そろそろ折り返し地点の一時間が経過するぞ!!もっとも勝ち星を得るフリッカーは一体だれになるのか!?』
 
 会場内各所で激しいバトルが繰り広げられている。
「「アクティブシュート!!」」
 
「いっけぇ!ディフィートヴィクター!」
「後がないんだ!頑張れ、ツインファング!!」
 バンのディフィートヴィクターが二つの牙を持つフリックスを弾き飛ばした。
「おっしゃあ俺の勝ちぃ!!」
「くっそぉ!最後の星だったのにぃ……!」
 ツインファングを使っていた少年は涙ながらにバンに星を渡した。
 
「へっへっへ、これで20勝!この調子なら楽勝で予選突破だな!」
 集まった星を眺めながらバンはにやにやしながら歩いている。
「リサや剛志達は順調かなぁ?」
 
 一方の剛志とレイジは
「合体技じゃ、レイジ!」
「うん!」
 グランドギガとファントムレイダーの二段攻撃によって、二つのフリックスがはじけ飛んだ。
「ヘッドスクエア!」
「スロースティックビルダー!!」
 フロントが大きい赤いフリックスと、割り箸を接着したフリックスが同時にHP0になる。
「わしらの勝ちじゃな!フロントヘビーでなかなかなパワーじゃったが、まだまだじゃ!」
「そっちのフリックスも良い機動力だったけど、バランス調整が甘いよ!」
 剛志とレイジが得意気に言うと、負けた二人は悔し気に口をゆがめた。
「くっそー、とにかくフロントを重くすれば攻撃力が上がると思ったのに!!」
「お金が無かったからって材料を割り箸一膳だけで作ったのは失敗だったかも……」
 がっくりと肩を落としてその場を去る。
 これで剛志とレイジも大分星が集まってきた。
「今ので18個か」
「順調だね、剛志!」
「チーム戦の分、シングルで戦うよりは多少非効率的じゃが、わしらにとってはこれが一番の戦い方じゃな!」
「うん!」
 
 そして、リサは……。
「ブレイズウェイバー!」
 ブレイズウェイバーが、鋭く切り込んで敵機とマイン両方にヒットする。
「しまったっ!」
 これで相手のHPは0でリサの勝利となった。
「くぅう、Fend offは受け流し性能には自信あるんだけどなぁ」
「マインヒットは受け流し重視の機体と相性が良いから。今回は私の運が良かったよ」
「ちぇっ、まぁそういう事にしとくわ。ほら、星」
 リサに負けたモブ少年は潔く星を渡してくれた。
「ありがとう」
 快くそれを受け取って、リサと少年は別れた。
 
「これで星は15個……マインヒットがメインの戦術だとどうしても長引いちゃうな」
 他のフリッカーの星の数は分からないが、それでもなんとなく自分の勝ち星の集まりが悪いと感じてしまう。
 戦えば確実に勝ってはいるものの、フリップアウトできる確率が低いとバトルは長丁場になりがちで、こういう時間制限付きのルールでは若干不利となる。
「上手く多人数戦に持ち込めればマインヒット重視の戦術でも星を集めやすいんだけど……」
 そんな事をぼやきながら歩いていると、後ろからふいに声を掛けられた。
「見つけましたよ、先輩!」
 声がした方向を振り向いてみると、そこには一人の背の低い少年がいた。
 年齢は9歳くらいだろうか、バンよりも年下に見える。
 しかし、見た目の幼さとは反して、その雰囲気には若干大人びたものを感じさせた。
「っ!」
 そして、リサはその少年に見覚えがあった。
「遠山カップには出場していなかったので、もう引退したのかと思ってましたが……ここで会えて安心しましたよ。お久しぶりです、リサ先輩」
「ゆう……くん……」
 少年の名を呟くリサ。二人は知り合いのようだ。
「はい。もう、1年ぶりでしょうか……あの時はお世話になりました」
 ゆうと呼ばれた少年は丁寧に頭を下げた。
「う、うん、久しぶりだね……」
 返事をするものの、リサは罰が悪そうに目をそらした。
「スクールの新入生だった頃、リサ先輩に指導してもらった日々は忘れません。
あの頃の僕はリサ先輩の足元にも及ばないほど弱かったですが……。
もう一度戦うためにスクールの辛い訓練に耐えてきて……ようやくSランクになったんです」
 ゆうはSランクの証である銀バッジをリサに見せつけた。
「そ、そっか……頑張ったんだね」
 リサは後輩の頑張りに目を細めながらも、それでもどこか複雑そうな顔を見せる。
「残念ながら三武将には選ばれませんでしたが、それでもリサ先輩との再戦を夢見て、ここまで来ました」
「ゆうくん……」
「お願いします。僕と今ここで戦ってください!」
「……うん、分かったよ」
 リサはゆうのお願いに小さくうなずいた。
 
 二人はフィールドを挟んで対峙する。
「頼むぞ、オルカシャーク」
 ゆうは観た事のない黒いフリックスを取り出した。
「それは?」
「あなたを倒すために開発した新型です。フレイムウェイバーの形状を参考にして、炎のフレイムウェイバーに対抗するために水棲生物であるシャチとサメをモチーフにしました」
 確かに、オルカシャークの形状はフレイムウェイバーのように曲線状で、攻防のバランスに優れていそうだ。
(オルカシャーク……確かに強そうな機体……でも、私だってあの頃のままじゃない)
 リサはブレイズウェイバーをギュッと握りしめた。
 
 そして二人はマインと機体をセットする。
 
「「アクティブシュート!!」」
 
 中央で正面から激突するブレイズウェイバーとオルカシャーク。
 しかし、互いに流線型なフロント形状の上に、意図的に重心をずらしての激突だったため、その衝撃は反らされ、互いに回転しながらディフェンスフェンスに激突して停止。
 パッと見ではほぼ同距離だが……
「ドロー……?」
 いや、僅かにオルカシャークの方が奥へ進んでいる。
「これは、僕が……いや……!」
 しかし、物理的な距離はオルカの方が進んでいるものの、回転してシュートポイントを奥の方へ向けているブレイズウェイバーの方が、「スタート地点からシュートポイントの距離」で勝っていた。
 リサの先攻だ。
「さすがですね、リサ先輩」
「ううん、これは運が良かっただけ」
「いえ、さすがのコントロール力です。腕は衰えていないようで、安心しましたよ……でも、それだけの腕を持ちながら、どうして逃げたんです?」
「!?」
 ゆうは奥歯を噛みしめ、感情を押し殺しながらリサを睨みつけた。
「わ、わた、しは……」
 その言葉に、リサは完全に動揺してしまった。
 ロクな返事も出来ないまま、指は震え、視界の焦点が定まらないままシュートする。
 バシュッ!
 ブレイズウェイバーは、オルカシャークにヒットし、フェンスを利用してバウンドしてマインへ向かう……が、ギリギリのところでマインに届かなかった。
「あっ!」
 力加減をミスしてしまった。いつものリサでは絶対にやらない事だ。それだけゆうの言葉は精神的に揺さぶられてしまったのだろう
「僕はずっとあなたと並び立つためにっ!そのためだけに這い上がろうと必死だった!でも、這い上がった頃には、あなたはいなかった……!!僕らを捨てて逃げていた!!!」
「ち、ちがっ!」
 バシュッ!!
 オルカシャークが難なくブレイズウェイバーをマインヒットする。
「何が違うんですか!?」
「私は、ただ……楽しいフリックスバトルが、したかっただけで……」
 それを聞いて、ゆうの表情はさらに険しくなった。
「楽しくなかったと……?僕らとの、スクールでのフリックスが……?」
「ゆうくん……」
「僕は、リサ先輩と一緒にフリックスが出来て、楽しかった……スクールの訓練は辛い事の方が多かったけど、でも、それを乗り超えて強くなれた時は嬉しかった!辛かったことも全部楽しかった事だと思えた!だからここまで頑張れた!!
なのにあなたはそれを否定するんですかっ!!スクールのトップでありながら、それを否定して、逃げて、置き去りにして……それがどういう意味か……!」
「……!」
 憎しみのこもったゆうの言葉に完全に気圧されたリサは、震える指でブレイズウェイバーをチョンオシしてしまった。
「あ」
 これでゆうのターンに移ってしまう。
「あなたはっ!僕たちを侮辱したんだ!!
フリップスペル!フレイムヒット発動!!」

 フレイムヒット……シュート前に自分のマインを再セット可能。ただし変形向き変えせずに撃たなければならない。

 バキィィ!!!
 ゆうは容赦なくブレイズウェイバーをマインヒットする。
 これでもうリサは後が無い。
「楽しくないから逃げた!?辛いから逃げた!?そんなあなたに、トップフリッカーを目指す資格はない!!」
「わたし、は……」
「これでもうはっきりした。スクールトップでもなければ、ここで僕に負けるあなたにフリッカーとしての価値は無い。スクール生として一からやり直すか、今ここで引退してください!」
「私の、価値……」
 
 ゛倒したい相手はたくさんいる、まだ勝ったことない奴だっている。でも、やっぱり俺は、初めての大会で、初めて負けちまったあのバトルは忘れられねぇ。リサじゃなきゃダメなんだ。リサとじゃなきゃ……!”
 
 不意に、決勝前夜にバンに言われた言葉を思い出した。
 その一言一句を脳内で反芻し、リサはゆっくりと顔をゆうの方へ向けた。
「やめないよ」
「先輩?」
 その顔は、先ほどの動揺し切った顔とは違い、凛としていた。
「私は、フリックスを辞めないし、スクールに戻る気もない」
「あなたは、どこまで逃げ続ける気なんですか……!」
「ううん。これは逃げるためじゃない。確かに、最初は逃げるためだった……でも今は違うの。私は、私を一人のフリッカーとして、ライバルとしてみてくれている、そんなフリッカーと戦うために今ここにいるの。スクール生としてじゃなく、一人のフリッカーとして迎え撃つために」
「スクール生としてじゃなく、フリッカーとして……?」
「だから、ゆうくん。君にだって負けないよ。先輩だからじゃない、私は、フリッカーだから!!」
 そう強く言うと、リサはブレイズウェイバーを構えた。
「いけぇ!!」
 バシュッ!!
 リサはスピンシュートでマインを弾き飛ばした。
 マインはオルカシャークのヘッドに激突し、そのまま乗り越えて場外してしまった。
 
 そして、そのマインはリサのだったので、リサはオルカシャークの後ろへマインをセットした。
「オルカシャークのヘッドを逆に利用したっ!」
「昔、ゆうくん達とフリックスをしてた時も楽しかったよ。でも、今の強くなったゆうくんと戦うのはもっと楽しい!」
「リサ先輩」
「無責任な先輩でごめんね。でも、ゆうくんの成長も、今こうして戦えることも、私はすっごく嬉しいよ!」
 リサが満面の笑みでそう語りかけると、ゆうの表情も穏やかになった。
「あの頃のままですね」
「え?」
「きっと僕は、この瞬間をずっと望んでいたんだ。本当は、恨んでたわけじゃない。スクールに戻ってほしかったわけじゃない。ただ、戦いたかっただけなんだ……」
 ゆうは目を閉じて、つぅと一筋の涙を流した。
 そして、それを乱暴に拭うと、キッとリサをねめつけた。
「だからこそ、勝つのは僕です!!」
 ゆうはオルカシャークを構えた。
 ブレイズウェイバーとオルカシャークの線上にマインはない。が、数センチ先まで飛ばせれば場外させる事は出来る。
「いけぇ!!オルカシャーク!!!」
 ゆうは渾身の力でオルカシャークをシュートした。
 バキィ!!
 オルカシャークのヘッドがブレイズウェイバーの懐に潜り込み、掬い上げた。
「アッパー攻撃!?」
「オルカシャークは、マインヒットだけの機体じゃないんです!!」
 
 ゴロゴロと転がりながらフィールドの外へと飛ばされていくブレイズウェイバー。
「っ!!」
 リサは必死にそれをバリケードで防ぎ切った。
「は、はぁ、はぁ……!」
 どうにか場外は防げたものの、元々体力の少ないリサは今の衝撃でかなり消耗してしまった。
「防がれた!?でも、次で決める!」
「どうにか防げたけど、次受けたら……!」
 首の皮一枚繋がったブレイズウェイバー。
 しかし、次フリップアウト狙いの攻撃を受けてしまえば、バリケードを突破されてしまうだろう。
(このターンで決めないと……)
 とは言え、フリップアウトするためには場外までの距離が遠いし、バリケードを突破できるパワーもない。
 が、マインヒットを決めても反撃を喰らえば終わってしまう。
 リサは消耗した体力ながら、集中力をフルに使って盤面を観た。
 そして、ある事に気付いた。
(あの穴……角度が急だけど、ブレイズウェイバーなら、もしかしたら)
 リサの目に入ったのは、中央付近に二つ設置してある穴だ。あの上に機体が一部でも止まれば場外扱いとなる。
 しかし、その穴は敵機との線上にはない。普通に狙うと絶対に行かない位置だ。しかも狙う方向だけじゃなく力加減も考えないといけない。
 かなり難易度の高い状況だ。
「ブレイズウェイバー……」
 リサは手元にあるブレイズウェイバーを見た。
 スクールから出て知り合ったたくさんの仲間達。そんな仲間たちと作り上げた、愛すべき機体。
 リサは、その性能にすべてをかける事にした。
「お願い、ブレイズウェイバー!」
 バシュッ!!
 リサは、オルカシャークではなく、それよりもかなり方向がズレているディフェンスフェンスへ向かってシュートした。
「ど、どこを狙って!?」
 困惑するゆうだが、ブレイズウェイバーは壁にぶつかると、側面に備え付けられたバネの力によってバウンドした。
「バウンドした!?」
 急角度に反射したブレイズウェイバーは、回転しながらオルカシャークの横っ腹にヒットする。
 予想だにしなかった攻撃にオルカシャークは無抵抗のまま弾き飛ばされ、そのまま穴の上に止まってしまった。
「あ、あぁ……!」
 これでフリップアウトで2ダメージ。オルカシャークは残りHPを失い、撃沈してしまった。
 
 バトル終了。リサの勝利だ。
「ありがとう、ブレイズウェイバー」
 リサはブレイズウェイバーを手に取って、いつくしむように抱きしめた。
「……リサ先輩」
 ゆうはオルカシャークを拾った後、リサへ話しかけてきた。
「ありがとうございました」
 そして、深々と頭を下げる。
「ゆうくん……私のほうこそ、楽しかったよ」
 リサは頭を下げているゆうへ手を差し出した。
 それに気付いたゆうは頭を上げてその手を取って、握手した。
「先輩。僕はずっと、スクールトップとしてのリサ先輩しか見ていなかった。でも今度は、一人のフリッカーとしてあなたを超えます」
「うん、楽しみにしてるよ。また、バトルしようね」
「はい。出来れば本戦でもう一度」
 ゆうはもう一度一礼してから、踵を返して歩いて行った。
 その後ろ姿を見ながら、リサは思った。
(これでもう、私はスクール生としてじゃなく、本当に一人のフリッカーとして吹っ切れたような気がする。バン、楽しみにしてるよ)
 
 そして、その頃バンは……。
 
「ふぅ、そろそろディフィートヴィクターもメンテしないとガタが来てるな……」
 連戦連勝だが、さすがにメンテもなしに戦い続ければヴィクターとは言え消耗してくる。
 バンは近くの休憩エリアへ脚を運び、そこでメンテをすることにした。
  
 休憩エリアではバンと同じように機体を修理する目的のフリッカーが大勢集まっていた。
「っひゃ~、結構集まってんなぁ。やっぱ長丁場だから、みんなメンテしなきゃダメなんだろうな。うっし、まだ時間あるししっかりやらねぇとな!」
 バンはドカッと席に座り、ディフィートヴィクターをバラした。
 FXシステムはただでさえパーツが多い。一つ一つしっかりチェックして、汚れを落としたり破損個所のチェックをしないといけないので多少時間がかかるのが難点だ。
「ここは良いな……あ、右サイドパーツ大分消耗してんな……予備に変えとくか」
 パーツケースから新品のサイドパーツを取り出してヴィクターに取り付ける。
 どうしても横っ腹は敵機からの攻撃を受けやすい場所だからその分破損率も高い。
「あとは、フロントのスプリングにグリスアップして……っと!よし、完璧!これで試合中に壊れる事はないぞ!!」
 ディフィートヴィクターを組み直して、メンテ完了!気合を入れ直す意味も込めてヴィクターを掲げたところで、隣のバトルエリアで悲鳴が聞こえてきた。
「うわぁ、何すんだ!!」
「壊す事ないだろぉ!!」
 その声に、バンは反応した。
「な、なんだ?まさかスクール生が……!」
 嫌な予感がして、バンは休憩エリアから駆け出して声が聞こえた方向へ向かった。
  
 そこには……。
「へっへっへ!これがスクールのバトルって奴だぜ!大体、壊れるようなフリックス持ってんのが悪いんだよ!」
 ゲンタが見た事ない緑色のフリックスを手に持ちながら得意気になっていた。
「げ、ゲンタ……!お前も参加してたのか!!」
 ゲンタはバンの姿を確認するとギョッとする。
「げげっ、お前!くぅぅ、毎度毎度余計な所で現れやがって!」
「まだこんなやってんのかよ、進歩ねぇな」
「進歩が無い?はんっ、笑わせる。それはこいつを見てから言いなっ!」
 ゲンタはバンに緑色の新型フリックスを見せつけた。
「クローリングカメレオン!新型機だぜ?俺だって進歩してんだ。もうお前には負けないぜ」
「機体の問題じゃないっての」
 とにかく、ここであったが百年目と言わんばかりに二人はフィールドに着いた。
 
「「アクティブシュート!!」」 
 
 ガッ!ガガガ!!!
 ヴィクターとカメレオンが中央で激突!一瞬、カメレオンが押し込んでくる。
「どうだ!」
「押し込んだ!?」
「カメレオンはフロント重心!激突すれば押し込む力が強い!」
「へっ、でもこっちだって負けるか!!」
 
 一瞬押し込まれたヴィクターだが、すぐにフロントのバネ蓄勢ギミックを発動させて、カメレオンを弾き飛ばした。
「なにぃ?!」
 その勢いのままカメレオンは場外してしまった。
 アクティブシュートでの場外は自滅扱いなのでカメレオンは1ダメージだ。
「へへーん、俺のヴィクターにパワーで勝てると思うなよ!」
「ちっ、そういやお前パワーバカだったな……だったらこうだ」
 カメレオンを拾ったゲンタは、フロントのパーツを可動させて、リアに移動する。
「へ、変形した!?」
「こいつは、重心をフロントからリアに変形出来るんだ。カメレオンみたいに、相手に合わせて戦い方を変えられるんだぜ!」
「卑怯なお前にピッタリだな!」
「なんだと……!見てろよ!!」
 
「「アクティブシュート!!」」
 
「またぶっ飛ばしてやるぜ!!」
 再び激突する二機。
 しかし、フロントが軽くなったカメレオンは、そのままフロントを浮かしてヴィクターを飛び越えた。
「なに!?」
 そしてヴィクターよりも遠い位置で停止した。
「よし、これで俺の先攻だな」
「くっそぉ……!」
「見てろよ、こいつの真骨頂!」
 ゲンタはカメレオンの変形を中途半端な位置で止める。
「そ、その形態は!?」
「こいつが、恐怖のハンマーモードだ。中途半端に上部に設置したハンマーが、相手との激突で振り下ろされてそのまま相手を破壊する!」
「な、なんだと!攻撃するんなら、相手をブッ飛ばせばいいじゃないか!なんでわざわざ破壊するような攻撃をするんだ!!」
「うるせぇ!これが、俺の……スクールの戦い方だ!!」
「……やっぱりお前、なんも進歩してねぇ!!」
 バンは拳に力を込めた。
「来いよ!どんな攻撃が来ても、俺は耐えてやる!!」
「抜かせっ!!」
 バシュッ!
 クローリングカメレオンのハンマー攻撃がさく裂。
 重量物を上部から受けたヴィクターは、さすがに耐えきれるはずがない……と思いきや、ヴィクターは無傷だった。
「た、耐えた……!」
「FXシステムを舐めるなよ…!こいつは上部にも防御パーツを付けてんだ!そんな攻撃ビクともしねぇぜ!」
「ば、バカな!」
 そしてバンのターン。
「見せてやるぜ!誰に教わったわけでもない俺の戦い方を!俺のシュートを!ヴィクターの力を!!」
 グッ!と力を込めて、ヴィクターをシュートした。
「フリップスペル!デスペレーションリバース発動!
アンリミテッドブースターインパクト!!」

 
 バシュウウウウ!!!
 バンの必殺技さく裂!凄まじい勢いでクローリングカメレオンを弾き飛ばした。
 そしてヴィクターはスペルの効果で自滅は阻止。
 
 これでカメレオンは撃沈。バンの勝利だ。
 
「なっ、くそ……!」
「どぉだ!これが俺の力だ!!」
「ち、ちくしょう!!」
 ゲンタはカメレオンを拾ってそのまま走って逃げてしまった。
 
「へへへっ、観たか!スクールなんかにいたんじゃ、強くなれねぇんだよ!!」
 そんな風に得意気になるバンは後ろから、不意に声を掛けられた。
「ふふふ、それはどうでしょうね」
「っ!」
 バンは振り返った、そこにいたのは、イツキとザキだった。
「ザ、ザキ……!」
「あなたの強さは凄まじいものがあります。だからこそ、スクール生として勝負がしたいですね」
 イツキとザキが、不敵な笑みでバンの前に立ちはだかる……!
 
 
     つづく!
 
 次回予告
 
「俺の前に立ちはだかったイツキ、そしてザキ!こいつらが、2VS1で勝負を挑んできた!へっ、上等だぜ!何企んでんだか分からねぇけど受けてやる!!
ディフィートヴィクターの力で二人ともブッ倒してやるぜ!!
 
次回!『悪夢の覚醒!全てを飲み尽くす闇』
 
次回も俺がダントツ一番」




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