第20話「スタンドチームプレー!?赤壁杯ユース開幕」
フリックスの博覧会『エンジョイポリス』に遊びに来ている達斗と翔也。
様々なサブゲームや新要素を体験し、フリックスの更なる可能性を感じるのだった。
そして、次に足を運んだのは『ハーネスゾーン』だ。
「ここはフリップハーネスってのを体験出来るらしいな」
「フリップハーネス?」
「機体に紐を結わい付けて、それを指に付ける。そうする事でいろんなサブゲームが出来るみたいだな」
「機体と指を紐で繋ぐのか……それでどんな事が出来るんだろう?」
「とにかくやってみようぜ。レンタル機もあるし」
二人はスタンダードなレンタル機『シャトルラキエータ』を手に取り、紐を付けた。
そして、練習用のテーブルでシュートしてみる。
「あ、シュートしても紐で繋がってるからすぐに機体を回収してまたシュート出来るんだ!」
「上手く引き戻しが出来たら連続で何回もシュート出来て面白いな!」
シュートしては引き戻し、そしてまたシュート……を繰り返してハーネスの扱いを覚える。
「このフリップハーネスはサブゲームの数が尋常じゃないくらいあるみたいだぞ。タツ、急いで全制覇だ!」
「うん!」
おはじきマシンを紐で繋ぐ、たったそれだけの工夫でありとあらゆる競技が可能になっているらしい。
翔也と達斗はとにかくいろんなサブゲームをプレイした。
『ハーネスホッケー』
最もスタンダードなハーネスサブゲーム。
シュートした機体でパックを弾き飛ばし、相手の陣地に入れた方の勝ち。
「これは反射神経がモノを言うな……!」
『ハーネスキャプチャー』
ホッケーとは逆に、機体でパックを自陣側へ引き寄せた方の勝ち。
「ジャンプシュートでパックの奥まで飛んで引き寄せるのが基本になるのかな?」
通常の機体はそうなるのだが……。
「フィーッシュ!!」
中には、パックを採捕する事に特化したギミックの機体もあるようだった。
『フリップシェリング』
パックを砲弾として扱い、シュートした機体で発射してターゲットを倒す競技。
「ガンナーとも感覚が違うな。射撃戦ならぬ砲撃戦って感じだ」
しかし、このサブゲームにも特化したギミックの機体があるようだ。
「狙い撃つぜぇ!!」
シュートポイントを動かすとそれに連動して機体のハサミが可動して砲弾を圧出して素早く連射する機体を操るフリッカーがいた。
「単にシュートするんじゃなく、シュートポイントをギミックと連動させる機体もあるのか……!」
それによって砲弾を発射するだけじゃなく、機体の一部をまるで剣戟のように動かして機体同士でチャンバラするフリッカーたちも見受けられた。
「こりゃ、ゲームの数が多すぎて周り切れないぞ」
「翔也翔也!あれ、面白そうじゃない?」
達斗が指差した先にあるのは『パフォーマンストリック』と言うサブゲームだ。
「なになに、ハーネス機体を使ってトリックプレイ……スケボーとかジャグリングみたいな感じか。俺好みだな!ちょっと練習してみるか!」
翔也は看板近くにある無料冊子を手に取ってトリックの説明を読んだ。
「ふむふむ、なるほどね……左手で滑車みたいに引き戻すプーリーレスポンスを覚えるとスムーズにプレイできるな……それから、紐を張ったまま片側を打つと切り盛り回転するツイスタージャンプ……それで、一回転紐を巻き付けてシュートすると……サマーソルトスイング!これは面白い!タツ、お前はどんなトリック覚えた?」
器用な翔也は次々といろんなトリックをマスターするのだが、一方の達斗は……。
「………」
シュンシュンシュンシュン!
無言で、ひたすらに高速でシャトルシュートを繰り返していた。
「……タツはこう言うコツコツするの得意だもんな……」
翔也は苦笑しながらも感心した。
その時だった。
『はぁーい!それじゃあメイたんの特別ライブ第二部そろそろ始めるよぉ〜!ステージに集合〜〜!!』
中央のステージの方からよく見知った声が聞こえてきた。
「こ、この声って」
「メイたん!?」
思わぬ人物の声に引き寄せられるように二人はステージへ足を運んだ。
ステージでは煌びやかな衣装を着たメイが歌って踊っている。
しかもその手にはハーネス機体が柔いつけられており、歌や踊りに合わせて巧みにパフォーマンストリックをプレイしていた。
『いっくよぉ!ミルキーウェイコメット!』
使用している機体は、トゥインクルコメットのような星型ボディのシュートポイントが彗星の尾のような形になっており、そこに紐が結わい付けられている。
「フリップハーネスとメイたんのライブはやっぱり相性良いね」
「だな。それにしても、仕事少なくなったって言ってたけど、ちゃんとライブ出来るようになったみたいで良かったな」
琴井コンツェルンがメインスポンサーのイベントだからこそ、安全性が担保されてるのだろう。
『はぁーい!それじゃあここからが本番だよぉ!皆、ハーネスの準備はいいかなぁー?』
メイが問うと、『ヴォォォォォイ!!』と野太い声が響いた。
『じゃあルールのおさらいだよ!メイの歌に合わせて皆のモニターにノーツが流れるから、タイミングよくシャトルシュートしていってね!』
このステージの観客席はちょっと特殊で、一つ一つの席に机とモニターが設置しており、ハーネスプレイが出来るようになっている。
「フリップハーネスで音ゲーかぁ、その発想はなかったね!」
「ファンと直接の触れ合いは出来なくなったって言ってたけど、これなら間接的にファンとフリックスが出来るってわけか……考えたなぁ」
そんな風に感心していると曲がスタートする。
「うわ、思ったよりテンポ早い!難しいな」
「へへへ、これは俺有利だな。何度も聴いた曲だぜ」
とは言え、曲に合わせてシュートと引き戻しをすると言うのはかなり難易度が高い。
翔也はそこそこの点数は稼げたものの、何度もミスしてしまった。
そして、曲が終了。
と同時に、エンジョイポリスのポイント獲得イベントも終了したらしく、メイがステージ上でリザルトを発表する。
『みんなぁー、ありがとーー!!大好きだよーー!!!
では、これにてエンジョイポリスのポイントチャレンジは終了になりまーす!集計するからもうちょっと待っててねー!』
暫くしてステージモニターにリザルトが表示される。
『お待たせしましたぁ!いよいよ結果発表でーす!秘密の特典を獲得出来る上位4名のフリッカーは誰でしょうか!?
まずは第4位、神田達斗君!さすがスプリング大会のチャンピオンですね!おめでとうございまーす!』
「よかったぁ、ギリギリだ」
達斗はホッと胸を撫で下ろした。
『続いて第3位は寺宝タカシ君!お父さんと一緒に頑張ったようです!おめでとうございます!』
「寺宝タカシってちょくちょく大会で戦う子だよね?」
「あぁ、父親の寺宝カケタが第0回GFCチャンピオンだけあって相当腕の立つフリッカーだ」
『そして……おおっと、第1位が同率で二人いますね!
一人は天崎翔也…君!そしてもう一人は不動ガイ君です!!二人とも近年のGFCで大活躍のフリッカーなので当然の結果かもしれないですね!おめでとうございます〜!』
「不動ガイ!?」
「参加してたんだ……」
『しかも不動ガイ君は来場からずっとステージを観てくれて、ライブチャレンジもパーフェクトクリアしてます!凄いですぅ!!』
「別のゲームやらずに一点特化でポイントを稼いだのか……」
「あぁ〜、俺もメイたんのライブにもっと早く気付いてれば……!いや、でも他のゲームも楽しかったしなぁ」
「まぁまぁ、特典は順位に関係なく貰えるみたいだし」
「それもそうだな。でも特典ってなんだろうな……」
「あ、発表するみたいだよ」
『それではお待ちかね!上位4人のフリッカーへ贈る特典の発表でーす!モニターに注目!!』
モニターに『メイたん率いるフリッカーチーム[ティンクルスターズ]のメンバーとして赤壁杯ユース大会に参戦する権利』とドデカく映し出された。
「フリッカーチーム……ティンクルスターズ?」
「赤壁杯ユース大会……?」
『赤壁杯って言うのは、アマチュアフリッカーがチームを組んで参加する老舗の大会なんだけど、そのユース大会が明日開かれるの!
と言うわけで、メイたんと同じチームに選ばれた4人のメンバーは明日大会会場に集合ね⭐︎』
「「なにぃぃぃ!?」」
突然の発表に素っ頓狂な声を上げた。
いくら土日休みとは言え急すぎる……!
とは言え、上位4人の予定が合わなければ成績下位のフリッカーを指定すれば良いだけなのだろう。
「翔也、どうしよう……」
「どうしようも何も……やるしかないだろ!」
突然で戸惑いはしたが、渡りに船な面白そうな提案。フリッカーとして乗らない理由は無い!
と言うわけで、達斗と翔也は明日赤壁杯ユース大会に出場することを決めた。
……。
…。
そして翌日。翔也と達斗は段田ラボで調整が終わったばかりのスピニングエイペックスとスプリントヴァーテックスを受け取った。
「一応試し撃ちは済んでるし、調整も完璧だけど。まさかいきなりぶっつけ本番とはなぁ」
「ははは、成り行きで……まぁ元々昨日ゴトーマガリカドーの大会に出る予定だったんで、丁度いいですよ」
「でも赤壁杯って聞いた事ないなぁ。グレートフリックスカップとは違うんですか?」
達斗の疑問にバンが答えた。
「あぁ、民間の団体が主催してる大会なんだ。最近だと公式委員会も協賛してるから、公認イベントではあるな」
「ユースってのはどう言う意味なんですかね?」
「アマチュアでのチーム戦ってのは参戦ハードルが高いからさ。どうしても長年やってると同じチームばかりが上位になる。だからテコ入れとして赤壁杯参加経験のない新人チーム限定の大会を開いたらしいな」
「へぇ……」
「まぁなんにせよエキシビジョンみたいなもんだから気軽に楽しんで来な!」
「「はい!!」」
二人は元気に返事して会場へ向かった。
……。
会場は幕張の大型ショッピングモールの広場だ。
一般客に混じってちらほらフリッカー達がいる。
「えっと、確か待ち合わせはこの時計台だったよな」
広場の中でもよく目立つ高さ2mを超える時計台の近くに来ると、年下の男の子が遠慮がちに話しかけて来た。
「あ、あの……天崎翔也さんに、神田達斗さんですか?」
「もしかして、寺宝タカシくん?」
「は、はい。今日はよろしくお願いします!」
タカシは年下らしく真面目に頭を下げた。
「こちらこそ!タカシ君は大会でよく見かけるけど、直接絡むのは初めてだったよな。楽しみだ!」
そんな風に話していると、今度は不動ガイがやってきた。
「まさか、お前達とチームを組む事になるとはな」
「不動ガイ……!」
「これも乗り掛かった船だ。余興にはなるだろう」
「とかなんとかスカしてるけど、メイたんの曲パーフェクトするまでライブに入り浸ってたのはどこの誰かなぁ?」
「ふん」
翔也が揶揄うと、ガイは無表情のままそっぽを向いた。
「あー、みんな集まってますねぇ〜」
少し遅れて、ラフな服装をして帽子を深く被った少女が話し掛けてきた。変装中のメイだ。
「メイたん!」
「今日は急な誘いに乗ってくれて、ありがとねっ」
「それはいいけどなんでまた」
「あ、話は控え室に行ってからにしよ。こっちこっち!」
メイに言われるままに関係者以外立ち入り禁止の通路を通って、選手控え室へ向かった。
「どんなメンバーが揃うかは正直運だったんだけど、こんな錚々たる顔ぶれになるなんてほんっとついてるなぁ」
翔也達の顔を一人一人見て、メイはホクホクだ。
「でもまさかあのイベントからいきなりチームメイト認定されるなんて思わなかったよ」
「うー、だってここ数ヶ月全然ファンとのバトルが出来なくてフラストレーション溜まってたんだもん!」
メイは可愛らしく頬を膨らませた。
「確かに、こう言う形ならゲリラ的な襲撃に遭う心配はないか」
琴井コンツェルンがバックについている大規模な博覧会イベントの中のアトラクションの一部としてライブをして、その結果に応じて別イベントに参加するためのメンバーを選出する。
警備が厳重なあのイベント内で派手な事は出来ないし、そもそも特典がなんなのかも最後まで明かされなかったから悪意を持ってる人間がわざわざ参加する理由もない。
仮に参加したとしても裏で操作して落とせば良い。
安全に欲求を解消するための巧妙な手段だ。
恐らく、スナ夫も一役買っていたのだろう。
「で、でも、いきなり僕達でチームを組むなんて、大丈夫でしょうか……?練習する時間もないですし」
おずおずと意見するタカシへ、メイは身を屈めて視線を合わせて話かかけた。
「タカシ君とは初めましてだよね?今日はよろしくねっ」
ニコッと笑うと、タカシは頬を染めて俯いた。
「は、はい」
「大丈夫!今日の大会はエキシビジョンみたいなものだし、それにメイはこう言うのがやりたかったの!」
「こう言うの?」
メイの言葉に首を傾げる翔也だが、その疑問に答える暇はなさそうだった。
「あ、そろそろ大会始まっちゃう!急ごう!」
メイに促されるまま、メンバーは会場へ向かった。
会場ではバトルフリッカーコウがステージに立って大会の説明をしている。
『ゴホン、皆!今日は、よく来てくれたなぁ!!赤壁杯初心者のための、ユース大会!チーム戦は初めてだってフリッカーも、遠慮なく大暴れしてくれぇ!!』
「……あれ?」
そんなコウのマイクパフォーマンスを聞いたメイは、何故か首を傾げた。
「どうかした?」
「うーん、あの実況の人今日は喉の調子悪いんですかねぇ……?」
「え、そう?いつも通りな気がするけど」
「気のせい、かなぁ」
『試合形式は、赤壁杯お馴染みの、チーム戦による3点制ルール!上級じゃないから、注意してくれよぉ!』
「チーム戦な上に3点制かぁ」
「確か、マインヒットか場外じゃないとダメージが入らないんだよね」
『大会形式は、トーナメントだが、対戦カードは全試合ランダムで決定する!どこでどのチームと当たるかは直前まで分からないぞ!』
説明も終わり、大会開始だ。
ティンクルスターズ最初の対戦相手は『ナイトスレイヤーズ』と言うチームだ。
『第一試合は、ティンクルスターズvsナイトスレイヤーズだ!
良いバトルを、見せてくれよぉ!』
ナイトスレイヤーズは黒い西洋風な衣装に身を包んでおり、ジャラジャラと十字架のアクセサリーをつけてたりして……なんと言うか厨二病の典型的な見た目をしている。
その中にはかつてGFCに出ていた黒風キョウヘイやクルーズイベントに出ていた槻村凶華もいた。
「寺宝タカシ、再びあいまみえる事になろうとは。今宵こそ我が魔王の力に酔いしれるがいい!」
「え、あ、はい、よろしくお願いします」(いつ会ったっけ?)
去年のSGFCで少しだけ戦ったが、タカシは覚えていなかった。
「また会ったわね翔也サマー!我が凶華ムーンの新たなる月の刃……ルナティックエッジの錆となりなさい!」
凶華はフラジールエッジを強化した機体を見せつけて来た。
「アレは会った扱いになるのか……?ってか、サマーはやめろ」
翔也と凶華は直接関わった事はない。ただ凶華が翔也を勝手に意識しただけだ。
「まぁいいや。新型機持ってんのはお前らだけじゃないぜ!なぁ、タツ!」
「うん!」
達斗と翔也は新型のヴァーテックスとエイペックスを見せ付ける。
「スピニングエイペックス!」
「スプリントヴァーテックス!」
「「これが俺(僕)達の新型!スーパーX機体だ!!」」
「え、ええーー!二人とも新型機手に入れたのぉ!?」
チームリーダーであるメイが一番驚く。
「あ、ごめん。そういやバタバタしてたから言うの忘れてた」
「ふん、本番土壇場で新型機を披露とは大した自信だな」
「そう言うつもりじゃなかったんだけど……」
「あ、あの、僕も……」
新型発表流れになり、タカシもおずおずと機体を見せた。
「リベリオン・ポラリスって言います。一応友達と何回かフリーバトルはしましたけど、大会に出すのは初めてで」
「「タカシ君も新型!?」」
『おおっと、ティンクルスターズは、味方にも知らせていない新型が三機も土壇場で登場!これは、まともにチームプレイ、出来るのか!?それとも、これも作戦のうちなのか!?』
「だからチームは急に決まったから仕方なかったんだって……!」
「ふ、ふふふ……」
いきなりの情報量に、もう笑うしかないのかメイは俯いて身体を震わせた。
「メ、メイたん?」
「あ、あはははは!いいよいいよ!こう言うの!こう言うのが良いの!!よーし、メイたんも負けないからね!皆でがんばろー!おー!!」
何故か一人テンションが上がっていた。
「だ、大丈夫かな……?」
不安がる達斗。
「この大会はチームワークが全て。そしてチームプレイはお互いの情報共有が必須。この勝負はもらったな」
相手チームのリーダー格の腕に包帯を巻いて片側だけにカラコンを付けている少年が余裕な表情で鼻を鳴らした。
『それでは、軽く言葉のジャブを交わし合った所で、そろそろおっぱじめるぞ!』
バトルフリッカーコウに促されて各フリッカー達はフィールドについた。
フィールドはフラット路面にフリップホールあり段差エリアありフェンスありなスタンダードなものだが、5vs5で戦えるように通常よりも広い。
『いくぞ!3.2.1.アクティブシュート!!』
合図と同時に総勢10機のフリックスがフィールドの奥へ行こうとカッ飛ぶ。
「いっけぇ!スプリントヴァーテックス!!」
その中でも群を抜いたのがスプリントヴァーテックスだ。前のヴァーテックスを遥かに上回る直進性で突き進む。
「甘い!」
しかし、スピンで待ち構えていたリゾネイトアザゼルが遠心力で翼を広げてスプリントヴァーテックスを横へ弾いて方向転換させる。
その先にはルナティックエッジが待機していた。
「我が研ぎ澄まされし月の刃よ!向かい来るものを切り刻め!」
シュパァァァ!!
ルナティックエッジの滑らかな掬い上げ形状のボディによってスプリントヴァーテックスは飛び上がり場外してしまった。
「あぁ!」
『キョウヘイ君と凶華君の連携により、スプリントヴァーテックスは場外!!』
「こうなったらメイたんが先行取りますよぉ〜!」
シュン!
トゥインクルコメットの素早い動きで先行を取ろうとするが。
「「させない!」」
ガッ!
騎士型とシュモクザメ型フリックスに行く手を阻まれてしまった。
『刃キリヤ君のクラールエッジと、刃ケイル君のシュモークスクレイパーが、トゥインクルコメットの道を塞ぐ!双子らしい見事なコンビネーション!
そして、意気揚々とリーダー矢神ケイゴ君のフェイトスレイヤーがフィールド奥に到達!先手はナイトスレイヤーズだ!』
「ふっ、これぞ運命の力」
ケイゴが意味不明な決め台詞でカッコつける。
しかし、カッコつけ方は意味不明だがその強さは本物だ。
ナイトスレイヤーズは再び見事な連携でマインヒットを決めてティンクルスターズを攻める。
「こ、これがあいつらのチームワーク……!」
「僕達も連携しなきゃ勝てない……!」
シュン!!
翔也と達斗が連携するためにフェイトスレイヤーへ同時攻撃仕掛けようとする。しかし……。
ガッ!!
途中でエイペックスとヴァーテックスがぶつかり、その反発で二機とも場外へ自滅。
「あぁ!」
「くそっ!」
「ふっ、その程度か」
「何をやっている!」
ドゴォォォ!!!!
しかし、達斗と翔也の自滅で油断したケイゴへ、ガイが攻撃を仕掛ける。バリケードを持つ手が緩んでいたおかげでフェイトスレイヤーはあっさり場外してしまった。
「ガイ、お前……」
「チームワークなど知った事か!俺は俺で戦う。今までと同じようにな」
「でもこの大会は今までとは……」
達斗が言い切る前にタカシがシュートする。
「バリア展開完了!いけぇ!ポラリス!!」
タカシのリベリオンポラリスは円形の機体の周りにバリアのような輪っかが展開している。
その巨体を利用してクラールエッジへマインヒットを決めるが、巨体故にホールの上に停止した。自滅になればマインヒットは無効だ。
「あ、しまった!」
「大丈夫⭐︎気にしないで!」
メイが狙いを定める。上手くいけば二機同時にマインヒットできそうだ。
「ここでメイたんがダブルヒット決めれば俺達の自滅を取り戻せるぞ!」
「いっけートゥインクルコメット!!」
しかし、メイは絶好のダブルヒットチャンスは狙わず、明後日の方向へシュートした。
「ちょ、そっちじゃ……!」
「イオンテールファシネーション⭐︎」
トゥインクルコメットはフェンスにぶつかった反動で見事な軌跡を描いていく。
『これは美しい……!保科メイ君のシュートは、まさに我々を魅了する芸術だ!!』
「でも、攻撃にならないんじゃ……」
ガッ!
コメットはポラリスを弾いてから停止した。それによってポラリスの穴自滅は解除される。そして、自滅ではなくなったのでポラリスのマインヒットは有効になった。
「ね、大丈夫だったでしょ⭐︎」
メイはタカシへウインクしてみせる。
「あ、ありがとうございます……!」
「確かに凄いけど、せっかくダブルヒット出来そうだったのに勿体無い」
「えー、だってそれじゃ可愛くないでしょ!可愛いシュートができて、しかも仲間も助けられたんだからお得お得♪」
「お得って……」
「それにね、あたしこう言うのがずっとやりたかったんだ……チームだからって何にも束縛されないで、ソロみたいに自由なんだけど、でも一人じゃないからもっと思いっきり自由に戦えるの!だから、あのイベントでチームメイトを見つけようって思ったんだ。誰よりもあのイベントを楽しめる人とならきっと楽しいチームプレイが出来るって」
「メイたん……」
サインスターズと言うチームに所属していた頃は、何の自由もなかった。ソロになって自由にはなったが、後ろ盾がなくリスクが大きい。
その両方を経験したメイだからこそ、『自由なチーム』と言う理想に憧れたのだろう。
「だから、翔也様も達斗君も、チームの事なんか気にしないで思いっきりやって!あたし、二人の新しい力が見たいから!」
「……そうだな。俺達、身構え過ぎてたみたいだ」
「うん、チームも新型機も関係ない。僕達は今まで通り僕達の戦いをするんだ!」
それからのティンクルスターズの動きは見違えるようだった。
『さぁ、バトルも中盤戦に差し掛かりさらにヒートアップ!華麗な連携を見せるナイトスレイヤーズに対して、ティンクルスターズは各々が自由に動いている!しかし、それぞれがスタンドプレーをしながらもチームとしてのシナジーを欠いていない!まさにスタンドチームプレイだ!!』
一進一退の攻防戦によって、タカシとメイ、刃兄弟がそれぞれ撃沈。
翔也達斗ガイ、凶華キョウヘイが残りHP1。ケイゴだけ残りHP2だ。
あと一手で決着が付きそうな終盤戦に差し掛かった所でティンクルスターズのターンになった。
「どっちもあと三機……でも、僕達の方がHPが少ない。ここで仕留めきれないと反撃のマインヒットでやられる……!」
少なくとも、ケイゴはマインヒットではなくフリップアウトで仕留めなければならない。
が、ナイトスレイヤーズの陣形は硬く一筋縄では行かなそうだ。
「……タツ、一つ試してみたい事があるんだが、いいか?」
「え、試したい事って?」
「さっき、おもしれぇ動きしただろ、俺達の機体……それを応用すればもっとおもしれぇ必殺技になるかもしれない」
「面白い、必殺……!」
「上手くいくかは分からないけどさ」
翔也はチームメイトの他3人へ視線を移す。
いつもならともかく、チーム戦で勝手な大博打をしていいものか……。
「好きにしろ。仕留め損ねたら俺がやるだけだ」
ガイがブッきらぼうに言うと、メイとタカシも強く頷いた。
「よし、行くぜ!スピニングエイペックス!!」
バシュッ!ギュワアアアアア!!!!
翔也はスプリントヴァーテックスとナイトスレイヤーズの間でスピニングエイペックスを猛スピンさせた。その凄まじい遠心力で内蔵されているマグネが唸りを上げる。
「磁場の、嵐……!」
「タツ!思いっきりブチ込め!!」
「うんっ!」
達斗はスピンを続けるエイペックスへ向けて渾身のシュートをブチかました!
シュンッ!ガッ、ガガガガガ!!!!
エイペックスとヴァーテックスの衝突で強大な反発力が生まれる!
「「いっけええええ!!!」
バゴオオオオオ!!!!
その反発力によって解き放たれたスピニングエイペックスは、更なる回転力とスピードを経てナイトスレイヤーズへ突っ込んだ。
「な、何だこの力は……!」
さすがのケイゴもなす術がない。
「スーパーノヴァトルネード!!!」
バキィィィ!!!
旋風を纏って突っ込むスピニングエイペックスによって、ナイトスレイヤーズの残りの機体は全て吹き飛んでしまった。
『決まったあああああ!!!新型機二体の凄まじい合体技で、ナイトスレイヤーズ三機が、轟沈!!勝ったのはティンクルスターズだ!!!』
「おっしゃああああ!ダントツにおもしれぇぜえええ!!」
翔也が勝利の雄叫びを上げ、その周りに仲間が集う。
「やったね翔也!新合体技の完成だ!!」
「あぁ!俺達の新しい力、見せてやったぜ!」
「さすが翔也様ぁ💕」
「新型機の力は伊達じゃないようだな」
「凄いです!……でも、僕は全然役に立てなかったな……」
新型を引っ提げたにしては戦績が振るわなかったタカシは少し凹んでいる。
「気にしない気にしない♪あたしだって全然攻撃成功しなかったし!次頑張ろ、次!」
「あはは、はい……!」
タカシよりも戦績の悪いメイはあっけらかんとしている。
そんなティンクルスターズへナイトスレイヤーズが近づいて来た。
「なるほど、保科メイ……君がこのチームの要だったか」
ケイゴが感心しながら言った。
「え、うん、リーダーはあたしだよ!」
「そういう意味ではない。失敗を許容する雰囲気を作り、メンバーの自由を促し、それが挑戦精神へと繋がり……戦いの中で成長する力となる。今回は完敗だ」
素直に負けを認めたケイゴはメイへ握手を求める。
「うーん、ただ好きな事やってるだけなんだけどね。でもありがと!すっごく楽しかったよ!」
メイは快くその手を握った。
そして、大会は続いていく……。
『さぁ、名バトルの連続となった赤壁杯ユース大会!次なる対戦カードはチームシックスダブルオーVSチームイクヲリティー!!』
モニターに対戦フリッカーの姿が映し出される。
それを確認して、達斗と翔也は驚愕した。
「イクヲリティー!?」
「セレスティア……参加してたのか!?」
つづく










