弾突バトル!フリックス・アレイ キメラ 第6話「ダンガVSレイガ」

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第6話「ダンガVSレイガ」

 

 白井研究所【フロンティア】。
 いつものようにカイヤのトレーニングに付き合っている白井所長。

カイヤ「……ふぅ」
 一通りのメニューをこなし、カイヤは一息つく。
白井「素晴らしい!またも記録が伸びている!もはや君に勝てるフリッカーとなるとプロの世界でも探すのが困難だろう!」

 白井所長の大袈裟な賛美に、カイヤは眉ひとつ動かさずに答える。

カイヤ「……困難ですか。それは、どうでしょうね」
白井「どういう、意味だい?」

 白井が疑問を示そうとした時、トレーニングルームに黒服が慌ただしく入ってきた。

黒服「た、大変です所長!」
白井「どうした、騒々しい」
黒服「例のプロトタイプの一体が、研究所から漏れたようです!」
白井「バカな!アレは破棄したはずだろう!」
黒服「先日の展示会の騒動に紛れて、微かに意思の残っていた個体が混乱に乗じて脱走したようで……!」
白井「ちっ、今すぐ捜索するんだ!あれは我が研究所の汚点、これ以上失態を重ねるわけにはいかない!」
黒服「はっ!」

 白井に命令され、黒服は慌てて出て行った。
 白井もその後に続く。カイヤはその様子を興味なさげに見送ったのちにトレーニングを再開した。

 …。
 ……。

 近頃出没しているフリックス通り魔。そいつと戦うために飛び出したダンガはついに通り魔と遭遇。
 二人は初対面にも関わらず出会った瞬間に互いの名を呟き、そして兄弟だと言われてしまった……。

アキラ「きょ、兄弟……?どういう事?」
ダンガ「知るか!なんなんだお前は……!」
レイガ「戦えば分かる」

 そう言って、レイガは機体を取り出す。紫色の、まるで恐竜のようなフォルムをしたその機体にアキラは驚愕した。

アキラ「その機体、まさか……!」
レイガ「プロトキメラ・プテラトリケラ!」

アキラ「どうして、キメラシステムの機体を……!」
ダンガ「どうでも良い、さっさと始めるぞ!」

 ダンガとレイガは早速バトルの構えに入る。

ダンガ&レイガ「「アクティブシュート!!」」

 二機のキメラシステムを搭載した機体が激突し、凄まじい衝撃波が巻き起こる。
 その衝撃に、たまたま近くを通りがかったOL風の若い女性が反応した。

千春「きゃっ、なに!?……あれは、フリックスバトル?って、これもしかして……!」

 千春は周りの惨状やこのバトルの異質から、これがあの世間を騒がせている通り魔フリッカーとのバトルだと言う事を察した。

千春「こうしちゃいられない!」

 千春は慌ててバッグから簡易式撮影機材を取り出して自撮りしながら声音を作った。

千春「やっほー☆バーチャルフリッチューバーのチハルだよぉ!今緊急で配信してるんだけどぉ、なんと私!今世間を騒がせている通り魔フリッカーとのバトルの現場に遭遇しちゃいました!危険なので陰からその様子を撮影しちゃいまーす!」

 ……。
 …。
 そしてその配信は、家にいる播磨も閲覧していた。

播磨「これは、ダンガくんに……まさか、彼は……!」

 ダンガと対峙しているフリッカーの姿を見て驚愕した播磨は慌てて家を飛び出した。

 ……。
 …。
 場面は再びダンガVSレイガのバトルに戻る。

ダンガ「ビーストサンダー!!」

 ダンガはラトパンサーモードに換装したキメラビーストで必殺技を繰り出すも、プロトキメラにあっさり受け止められてしまった。

レイガ「なんなんだぁ?今のは」
アキラ「コ、コンボが通じないなんて!」

 レイガのターン、レイガはトリケラセンターのツノを前に突き出した。

レイガ「トリケラモード!」

 そのツノで突き刺すようにシュートし、キメラビーストをぶっ飛ばす。

アキラ「ダンガ君!一旦体制を立て直そう!」
ダンガ「ちぃ!!
 ダンガはフロントを機動力のあるタカアーマーに変更し、距離を取る。
レイガ「逃がさない。翼竜モード!」
 レイガはプロトキメラのツノを畳んで、嘴を強調するモードにする。

 ゴッ!
 距離を取ったはずなのに一気に詰められて嘴の一撃を喰らってしまう。

アキラ「つ、強すぎる……!」
レイガ「その程度か、兄弟」
ダンガ「……」

 ダンガの口元が歪む。さすがにこの力の差には楽しむ余裕はないのだろうか。

ダンガ「ふ、はははは!!!なかなか美味だぞ、お前!!」
アキラ「ダ、ダンガ君……」
レイガ「強がるな」
ダンガ「強がりも調味料だ、好きにさせろ。お前のダントツ、喰らい尽くす!」

 そして、センターアーマーをマンティスセンターに変更して撃とうとした時に、突如やってきた播磨博士に呼び止められた。

播磨「待つんだダンガ君!今のままじゃ勝てない!!」
アキラ「お父さん!?」

ダンガ「なに?」
播磨「これを使うんだ!!」

 シュッ!
 播磨博士はダンガへ二つの赤いパーツを投げ渡した。
 赤いセンターアーマーとリアアーマーだ。

ダンガ「新しい食器か」

 ダンガは赤いセンターアーマーを取り付けた。
 まるでクジャクのように扇状に翼が広がるようなアーマーだった。

ダンガ「はぁぁぁぁ!!!」

 広がる翼を使い、マインを弾き飛ばしながらもマインヒットを決める。

レイガ「むっ!」
アキラ「す、凄い!マインヒット用の翼なのに、それ自体に攻撃力があるみたいだ!」
播磨「これがピーコックセンターの力だ!」
レイガ「……!」

 レイガの反撃。しかし、キメラビーストは大きく広げた翼によりそれを受け流した。

播磨「今だダンガ君!君ならその赤のコンボを使いこなせるはずだ!!」
ダンガ「……せっかくだから、使ってみるか」

 ダンガはリアを赤いアーマーに付け替える。
 キメラビーストは、まるで真紅に燃え上がり不死鳥のような姿になった。

播磨「キメラビースト・イーピードルコンボだ!!」
アキラ「す、凄い……!」

 そして、ピーコックセンターの翼が畳まれてフロントアッパー形状になり
 コンドルリアから錘の付いたスピナーパーツが出現し、それがイーグルフロントの頭上に取り付けられた。

レイガ「……面白い」
ダンガ「お前のダントツを食わせろ!!」

 ダンガは取り付けられたスピナーが高速回転させながらシュートした。

ダンガ「ビーストバーン!!」

 ピーコックセンターの翼で掬い上げ、そして頭上のスピナーに敵機をぶち当て、ぶっ飛ばした。
 プロトキメラ撃沈だ。

アキラ「やった!ダンガ君が勝った!!」
播磨「あぁ、さすがだ!!」
ダンガ「美味かったぞ、お前とのバトル!」

 皆口々にダンガの勝利を祝う中、レイガはプロトキメラを手に満足気に頷いた。

レイガ「これが、お前のダントツか」

 そう呟くと、レイガの身体から白煙が立ち込め始める。

アキラ「え、な、なに!?どうしたの!?」
播磨「……」

 アキラはその以上事態に動揺する構え、播磨はまるでそれが分かっていたかのように無反応だった。

レイガ「受け取れ」

 レイガはプロトキメラから紫のアーマーを外してダンガへ渡した。

ダンガ「お前……」
レイガ「お前は、生きろ。この世のダントツを喰らい尽くせ」

 それだけ言うと、レイガはヨロヨロとその場を去って行った。

白井「どうやら破棄する手間は省けそうだ。いや、それどころか……カイヤへの良い手土産が出来た」

 ここまでのバトルの様子を陰で観ていた白井はほくそ笑んだ。

 

   つづく

 

 

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